JPH0146573B2

JPH0146573B2 -

Info

Publication number: JPH0146573B2
Application number: JP55071834A
Authority: JP
Inventors: Morimichi Tanaka
Original assignee: Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Proterial Ltd
Priority date: 1980-05-29
Filing date: 1980-05-29
Publication date: 1989-10-09
Also published as: JPS56169740A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はプラスチツク成形機等の円筒状シリン
ダー内面の摩耗部分に遠心被覆法により被着して
用いられる耐摩耗、耐食性合金に関するものであ
る。プラスチツク成形機用シリンダーには、成形中
の樹脂または樹脂に加えたハロゲン系難燃剤のよ
うな添加剤による腐食を防止するため、耐摩耗性
と耐食性を兼ね備えた合金材料が要求される。従来から用いられている窒化鋼製シリンダーは
安価ではあるが、耐摩耗性と耐食性に難点があり
近年著るしく生産量が増大している耐摩耗性と耐
食性が要求されるようなプラスチツクの成形には
使用に耐えない。このシリンダーの問題点を解決
するため、遠心被覆法による被着材合金として
Cr5〜10％、B2.5〜４％、Ni40〜45％、Co40〜
45％なる硬さHRc48のNi−Co基合金や、Cr5〜
10％、B2.5〜４％、Ni2％以下、残部実質的にCo
よりなる硬さHRc58のCo基合金等があり、第１
図にて示すように、これらの合金２を構造用鋼性
シリンダー７の内面に遠心被覆法により被着した
シリンダーが開発されている。しかし、これらの
合金は窒化鋼に比し耐摩耗性と耐食性は秀れてい
るけれども機械的性質を見るに、引張強さおよび
伸びはそれぞれ30〜35Kg/mm²および0.05〜0.10％
と低く、非常に脆弱な材料であるため、製作時の
切削加工の際に欠け落ちが発生する等の欠点があ
る。また、プラスチツク成形機用シリンダーとし
て使用される温度範囲15〜400℃においてシリン
ダーの外殻層を形成する鋼材の線膨張率が13×
10^-6mm/mmであるのに対し、これらの合金の線膨
張率は12.0〜12.6×10^-6mm/mmと低いため、シリン
ダーが加熱されると被着層に引張り応力が発生
し、被着層が破壊されることがある。さらにこれ
らの合金の経済的な問題点として、高価な金属で
あるCoの含有量が40％以上であるため、シリン
ダーの製造原価を著るしく高めている。本発明の
目的はプラスチツク成形機用シリンダー内面に遠
心被覆法により被着する合金として、耐摩耗性と
耐食性に秀れ、機械的性質にも秀れ、線膨張率が
鋼材のものに近ずき、しかも安価な合金を提供す
るにある。本発明者は、前記Ni−Co基合金とCo基合金に
ついて、Co含有量を低減しても耐摩耗性と耐食
性を劣化させずに同等もしくはそれ以上の性能を
有し、しかも機械的性質に秀れ、線膨張率が高い
被着合金の製造法について検討した結果、Ｂ、
Cr、Si、Niの相乗効果により得られることを見
出した。すなわち、本発明合金は重量比でCr11
〜20％、B1.5〜3.0％、Si2.5〜5.0％、Co5〜30％、
残部実質的にNiよりなる組成を有するものであ
る。本発明合金の成分限定理由は以下の通りであ
る。ＢはNiまたはCoと化合して硼化物を作り、合
金の硬さを高める。さらにＢはCrと化合してク
ローム硼化物を作り、プラスチツク材料に添加さ
れたガラス繊維やカーボン繊維のごとき硬質物質
によるシリンダー内面の摩耗にみられるアブレツ
シブ摩耗に対して高い抵抗性を与える。Ｂ含有量
が1.5％未満では合金の硬さがHRc48以下になる
とともに、クローム硼化物の析出がなくなり耐摩
耗性が不十分であり、3.0％を越えると合金の脆
化が著るしくなり加工が困難になる。これらの点
からＢ含有量の適切な範囲は1.5〜3.0％である。 CrはＢと化合してクローム硼化物を作り、ア
ブレツシブ摩耗に対し高い抵抗性を与える。Cr
含有量が10％以下ではB1.5〜3.0％の範囲でもク
ローム硼化物の析出がなく合金の耐摩耗性に対し
不適当になり、20％を越えると合金の脆化が著る
しく加工が困難となる。これらの理由によりCr
含有量は11−20％とする。 SiはCoを低減したNi基合金の高硬度化に有効
である。本発明合金において、Si含有量が2.5％
未満のとき、従来合金の最低硬さHRc48以下と
なり耐摩耗性が不足する。Si量の増加とともに硬
さは上昇するが、5.0％を越えると合金が脆弱と
なつて使用に耐えなくなる。これらの理由によ
り、Si含有量は2.5〜5.0％とする。 Coは合金を高硬度化して耐摩耗性を高めるが、
高価な元素であるため経済性の点から少ないほう
が好ましい。本発明合金において、上記Si含有量
が上限値の５％のとき、従来合金の最低硬さ
HRc48以上を得るに必要なCo含有量下限値は5.0
％である。一方、上記Si含有量が下限値の2.5％
のとき、必要なCoの含有量は30％である。Co含
有量が30％を越えても合金の硬さは得られるが、
経済性が悪くなるので好ましくない。これらの理
由により、Co含有量は５〜30％とする。次に本発明合金の具体的実施例について説明す
る。実施例１本発明合金、従来合金のNi−Co基合金および
Co基合金のそれぞれを高周波電気炉にて総量１
Kg溶解し、板状の鋳造物および以下に示す各種試
験のための直径30mm、長さ100mmの乾燥砂型に鋳
造した金属塊にした。第１表においてＡは従来のCo基合金、Ｂは従
来のNi−Co基合金、Ｃ，Ｄはそれぞれ本願発明
合金例である。これらの合金にはMnを添加して
いるが、これは脱酸剤として加えたもので、望ま
しくは、0.2〜2.0％添加される。また、Feは基地
の硬さを低めるとともに耐食性を劣化させる傾向
があるので、望ましくは１％以下とする。第１表

【表】第１表の合金の硬さ測定結果、アブレツシブ摩
耗測定結果、腐食試験結果、引張強さおよび伸び
測定結果、線膨張率測定結果を第２表に示す。以
下その試験方法および結果について述べる。第２表

【表】硬さは前記金属塊のものである。従来合金Ａお
よびＢの硬さはそれぞれHRc58および48である
のに対し、本発明合金Ｃ，Ｄの硬さはHRc50〜
54であり、従来合金の最低硬度以上の値が確保さ
れている。アブレツシブ摩耗試験は直径30mm、長
さ100mmの金属塊から加工した直径28mm、幅８mm
の回転を固定した円板の外周面の１個所を粒度No.
240のエンドレスペーパー上に荷重1.5Kgで押しつ
け、エンドレスペーパーと接触した距離が300m
のときの円板の摩耗減量を体積mm³で示した。結
果は従来合金の摩耗減量が31〜35mm³であるのに
対し、本発明合金の摩耗減量は４〜５mm³であり、
きわめて少ない、これは本発明合金の組織中に析
出するクローム硼化物が摩耗量の軽減に寄与して
いるためである。腐食試験は直径6.5mm、長さ10
mmの試験片を前記金属塊から加工し、50℃に加熱
された50％硫酸水溶液、50％塩酸水溶液、50％ふ
つ酸水溶液中に24時間浸し、腐食減量を体積mm³
で示した。本発明合金の腐食減量は従来合金の腐
食減量の少ない合金Ｂに近い水準にある。引張強
さおよび伸びは前記金属塊から加工した平行部直
径８mm、平行部長さ30mmの試験片を引張り試験し
た。本発明合金は従来合金ＡおよびＢのいずれよ
りも引張強さおよび伸びが大きい。線膨張率の測
定は前記金属塊から直径6.5mm、長さ30mmの試片
を加工し、15℃（室温）から400℃までの温度に
おける膨張量から実測した。結果は本発明合金の
線膨張率は従来合金よりも大きく、その値は本発
明合金を被着する構造用鋼材の線膨張率にほぼ等
しい値である。以上の試験結果から本発明合金は
耐摩耗性においては従来合金以上の性能があり、
耐食性においても従来合金に比肩する性能があ
り、プラスチツク成形機用シリンダーの内面被覆
材としては十分に適合するものである。また、本
発明合金の引張強さおよび伸びは従来合金のもの
よりも高く、合金の脆性が従来合金よりも軽減さ
れたため、加工が容易になる。また、本発明合金
の線膨張率は高く被着する鋼材の線膨張率にほぼ
等しいことは、シリンダーの加熱中に被着層に発
生する引張り応力が減少し、被着層が破壊するこ
とが緩和される。実施例２第１表に示す本発明合金Ｃ，Ｄの前記板状鋳造
物を用い、通常知られている遠心被覆法により、
鋼製シリンダー内面に被着を行なつた。すなわ
ち、前記板状鋳造物を破砕し、外径130mm、内径
70mm、長さ1000mmのクロム・モリブデン鋼製シリ
ンダー内に片肉厚さ４mmの被着を行なうに必要な
量を入れ、シリンダー両端に鉄製のふたをした。
約1200℃に保持された炉中に入れ、被着材合金を
溶かしたのち、炉から取出し、直ちに遠心機に組
込み、シリンダーに1540rpmの回転を与えた。シ
リンダーを850℃まで冷却させたのち、回転を中
止し、800℃に保持された炉中に入れ室温に至る
まで48時間で徐冷した。シリンダーを切断し、試
験片を採取して、検鏡および硬度の測定を行なつ
た。検鏡の結果、クローム・モリブデン鋼製シリ
ンダーとの被着性と被着層の健全性に関して特別
な問題は生じなかつた。また、被着層の硬度を測
定した結果本発明合金ＣはHRc48、ＤはHRc53
が得られた。これらの結果からも本発明合金は遠
心被覆法により被着することに問題は生じないこ
とが明らかである。以上に詳述した如く、本発明合金は秀れた耐摩
耗性と耐食性をもつており、プラスチツク成形機
用シリンダーの内面に遠心被覆法により被着する
ことによつて秀れた性能を発揮する。また、従来
合金に比べて加工性が向上するとともに使用中の
被着層の破壊も緩和される。さらに、従来合金に
比べて安価に製造することができる。したがつて
本発明は性能および経済性の両面から貢献するこ
と多大なものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明対象シリンダー例の斜視図であ
る。１：鋼製シリンダー、２：耐摩耗、耐食性被着
合金層。

Claims

【特許請求の範囲】

１重量比でCr11〜20％、B1.5〜3.0％、Si2.5〜
5.0％、Co5〜30％、残部実質的にNiよりなるこ
とを特徴とするプラスチツク成形機用シリンダー
内面の遠心被覆用耐摩耗、耐食性合金。