JP2800076B2 - 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 - Google Patents
耐食・耐摩耗性コバルト基合金Info
- Publication number
- JP2800076B2 JP2800076B2 JP3102206A JP10220691A JP2800076B2 JP 2800076 B2 JP2800076 B2 JP 2800076B2 JP 3102206 A JP3102206 A JP 3102206A JP 10220691 A JP10220691 A JP 10220691A JP 2800076 B2 JP2800076 B2 JP 2800076B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- toughness
- corrosion resistance
- corrosion
- hardness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
混練機の部材構成材料として使用される耐食性、耐摩耗
性等にすぐれたコバルト(Co)基合金に関する。
形に供される原料ペレットの混練機の構成部材、例えば
円筒状シリンダは、耐摩耗性および耐食性を備えていな
ければならない。従来より、そのシリンダとして専ら窒
化鋼製シリンダが使用されたきた。
や高強度化等の要請に応えるために、ハロゲン化合物等
の難燃剤や、複合強化繊維としてセラミック等の硬質繊
維を樹脂中に混練することが行われている。これに伴っ
てシリンダ内面は、難燃剤による腐食および硬質繊維に
よる摩耗等が加重され、更に生産向上のための高圧・高
速度成形により表面損傷が加速される等、その使用条件
の苛酷化が進みつつある。このような使用条件の変化に
対し従来より使用されてきた窒化鋼では適切な対処を期
待することはできない。
有する合金をライニング材料として所謂遠心被覆法、ま
たは粉末冶金の手法を適用し、シリンダ内面を耐食・耐
摩耗合金で被覆保護することが行われ、そのライニング
用合金として、例えばCr:6〜12%,Mo:25〜
30%,Si:2〜3.5%,残部Coと不純物からな
る合金、またはCr:15〜20%,Mo:25〜30
%,Si:3〜4.5%,残部Coと不純物からなる合
金が使用されている。
ニング用合金の材質には一長一短あり、前記2種の合金
についてその材質特性をみると、前者の合金は、各種の
酸に対し良好な腐食抵抗性を有し、かつ靱性にすぐれて
いるものの、硬度が低く、耐摩耗性に難点があり、後者
の合金は、これとは逆に高硬度で摩耗抵抗性にすぐれて
いるが、耐食性に改善の余地があり、また靱性に乏しい
ため、部材の製造工程、特に機械加工時に亀裂や欠損等
を生じ易いという問題がある。
り、プラスチック成形機・混練機の構成部材であるシリ
ンダ、スクリュ、ノズル、その他のこれに関連する部材
の耐久性の向上・安定に有効な改良された耐食性・耐摩
耗性・靱性等を兼ね備えた、しかも前記従来の合金より
安価なCo基合金を提供する。
基合金は、Cr: 21〜29%,Mo: 15〜24%, Si: 0.
5 〜2%, B: 0.5 〜2%,C: 0.2 %以下, Fe: 2
%以下,Ni: 2%以下,残部実質的にCoからなり、
Co,Cr,Mo,Siの4元系合金相,Co,Cr,
Mo,Bの4元系合金相が混在する多相混相組織を有し
ている。明細書中,合金の元素含有量を示す%はすべて
重量%である。
は、主としてCo,Cr,Mo,Siの4元系合金相、
微量のSiを含有するCo,Cr,Mo,Bの4元系合
金相等からなる比較的微細な多相混相組織を有してい
る。Co,Cr,Mo,Siの4元系合金相は本発明合
金に高度の耐食性と耐摩耗性をもたらし、また、Co,
Cr,Mo,Bの4元系合金相によって良好な靱性が付
与されているものと考えられる。また、本発明合金は、
溶融状態における流動性が良好で、溶湯の噴霧造粉、お
よび鋳造のいずれも可能であり、プラスチック成形機等
の構成部材に適用するに当っては、その粉末を原料とす
る焼結法、または溶湯による遠心被覆法等を部材の形
状、その他の都合に応じて自由に選択することができ
る。本発明合金の成分限定理由は次のとおりである。
を形成する。Crの添加により硬度、耐食性が付与され
る。その添加量を21%以上としたのは、それより少な
いと、耐食性の不足をきたし、また硬度、靱性の改善効
果も十分に発現させることができなくなるからである。
添加増量により効果の増加をみるが、反面合金の靱性の
低下をきたすので、29%を上限とした。
る。Moの添加により、硬度、耐食性が高められる。添
加量の下限を15%としたのは、それに満たないと耐食
性の改善効果が不足するからであり、その増量により効
果を高めることができるが、24%までで十分であり、
それをこえる添加は経済性を損なうので、これを上限と
した。
より、その噴霧・造粉性や鋳造性を良好なものとし、ま
た合金粉末の焼結性を改善する。この効果を得るために
少なくとも0.5%を必要とする。しかし、過度の添加
はCo−Mo−Si相の生成・増加による合金の脆化を
招くので、2%をこえてはならない。
生成し、合金に高度の靭性が付与される。この効果を十
分ならしめるため、添加量の下限を0.5%とした。添
加増量により効果を増すが、あまり多くすると、酸化性
酸に対する腐食抵抗性が損なわれるので、2%を上限と
した。
し、かつ高靱性の本発明合金を形成するための基本元素
である。
i:2%以下 本発明合金におけるC、FeおよびNiは有用な元素で
なく、CはCr,Mo等と結合してこれらの元素の有効
量の減少と炭化物の生成による合金の脆化を招き、F
e,Niの存在は耐食性低下の原因となるので、これら
の混在量は少ない程良いが、Cは0.2%まで、Feお
よびNiはそれぞれ2%までの範囲であれば本発明の趣
旨は損なわない。よってCは0.2%以下、Feおよび
Niはそれぞれ2%以下の範囲内でその混在を許容する
こととした。
ック成形機・混練機の構成部材であるシリンダやスクリ
ュ、ノズル、およびその他の部品は、その全肉厚を本発
明合金とする必要はむろんなく、目的とする部材に応じ
た所要形状の構造用鋼等からなる金属ブロックを母材と
し、耐食性・耐摩耗性等を必要とする領域の表面に本発
明合金をライニング材として適用すればよい。本発明合
金は、例えば遠心噴霧法により造粉し、適当な粒度に分
級した粉末を焼結原料として母材表面を被覆する焼結合
金層を形成するようにしてもよく、また目的とする部材
が単軸シリンダ等である場合には、遠心被覆法を適用
し、円筒形状の母材を水平軸心を中心に回転させなが
ら、その中空孔内に本発明合金の溶湯を注入し、遠心力
の作用下に母材円筒体の内周面に合金層を形成するよう
にしてもよい。その被覆合金層厚さは、例えば1〜10
mm程度であってよい。
噴霧造粉機により粉末化し、分級処理して焼結原料粉末
とする。粒径:53〜250μm。焼結 鋼製の缶(内寸法:φ52×201,mm)と蓋をキャ
ニング材とし、上記粉末を入れ、真空中で施蓋すると共
に溶接で密封したのち、熱間等方圧加圧焼結に付した。
処理温度:固相線温度、加圧力:1500Kgf/cm
2、時間:2Hr。処理完了後、キャニング材を機械加
工により除去し、円盤形状の焼結合金ブロックを採取し
た。
o.11〜14は発明例、No.101〜108は比較
例であり、比較例のうち、No.101、No.102
は従来材の例、No.103〜No.108は発明例と
類似する組成を有しているが、いずれかの元素の含有量
(表中、下線)が本発明の規定からはずれている例であ
る。同表右欄は、各供試材について得られた下記試験の
結果を示している。
ケールで測定。表中「硬さ」欄の数値は、5個所の平均
値を示している。
計のダイヤモンド圧子で圧痕を付し、顕微鏡観察(倍
率:200)により、圧痕部のクラックの発生の有無を
判定する。圧子荷重(Kgf)は、1, 5,10,2
0,30,50の6水準とした。表中「靱性指数」の欄
の数値は、クラックを生じない最大荷重(Kgf)を表
している。例えば、圧子荷重が1Kgf,5Kgf,お
よび10Kgfであるときの圧痕にクラックはなく、2
0Kgfの荷重としたときの圧痕にクラックが発生した
場合は、その靱性指数を10(Kgf)と表示してい
る。同様に、圧子荷重1Kgfの圧痕にクラックが生じ
た場合の靱性指数は0(Kgf)と表示し、同指数が5
0(Kgf)というのは圧子荷重を50Kgfとして
も、クラックの発生がないことを意味している。
0%硝酸水溶液(いずれも液温は50℃)を試験液と
し、焼結合金ブロックから切出した角柱状試験片(9×
9×7,mm)を試験液中に懸吊浸漬し、24時間経過
後の腐食減量(mg)を測定した。
と、従来材であるNo.101およびNo.102を比
較すると、No.101は、良好な腐食抵抗性を示し、
靱性も高水準であるが、硬度が低く、No.102は高
い硬度を有しているものの靱性が著しく低く、また非酸
化性酸に対する腐食抵抗性に乏しいのに対し、発明例N
o.11〜14は、酸化性酸および非酸化性酸に対する
良好な耐食性と高硬度とを有し、しかも高硬度であるに
拘らず靱性も高水準であり、上記従来材のNo.101
とNo.102のそれぞれの長所を兼ね備えている。な
お、比較例No.103〜108は、発明例に類似する
組成を有しているが、構成元素の一部に過不足があるた
め、耐食性、硬度、または靱性のいずれかに問題があ
り、これらの諸特性を備えた発明例に及ばない。すなわ
ち、No.103(Si,C量過剰)は、高硬度を有し
ているものの、靱性に乏しく、かつ非酸化性酸に対する
耐食性も十分でなく、No.104(Cr量不足)は、
非酸化性酸に対する腐食抵抗性に劣り、硬度、靱性も相
対的に低く、No.105(Cr量過剰)は、高硬度
で、耐食性にもすぐれているが、靱性に乏しい。更にN
o.106(Mo量不足)は、非酸過性酸に対する腐食
抵抗性に劣り、No.107(B量過剰)は、酸化性酸
に対する抵抗性に欠け、No.108(B量不足)で
は、靱性の不足をきたしている。これらのことから、耐
食性、硬度および靱性の諸特性のすべてについて十分な
改善効果を得るには本発明の規定する成分構成を満足し
なければならないことがわかる。
r雰囲気中で、鋼製金型(内寸法:50×50,mm。
角型)に鋳込み、凝固完了後、金型から取出し機械加工
を加えて矩形盤状ブロック(肉厚15mm)を得た。
1、No.22は発明例,No.201およびNo.2
02は比較例(それぞれ実施例1の表1中No.101
およびNo.102と同種材料)である。各供試材につ
いて実施例1と同様の硬さ測定、靱性評価および腐食試
験を行って、同表右欄に示す結果を得た。
施例においても、発明例No.21、No.22は、従
来材である比較例No.201、No.202と異なっ
て、酸化性および非酸化性の酸に対する良好な耐食性を
有すると共に、高硬度を有し、かつ靱性にもすぐれてい
ることがわかる。
練機に要求される改良された耐食性および耐摩耗性を有
している。本発明合金をこれらの部材に適用することに
より、樹脂中への難燃剤やの強化繊維等の混練、および
高圧・高速成形等の使用条件の苛酷化に対し部材の腐食
・摩耗を軽減・緩和し、また高硬度でありながら靱性に
すぐれているので、部材の製造工程における機械加工時
のクラックや欠け等を生じにくく製造歩留が改善される
と共に、実使用過程でのクラックや欠け等に対する抵抗
性も高く安定な使用が可能であり、耐久性の向上、メン
テナンスの軽減、プラスチックの成形・混練工程の生産
性向上等の効果を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で,Cr: 21〜29%,Mo: 15〜
24%, Si: 0.5 〜2%, B: 0.5 〜2%,C: 0.2 %
以下, Fe: 2%以下,Ni: 2%以下,残部実質的に
Coからなり、Co,Cr,Mo,Siの4元系合金
相,Co,Cr,Mo,Bの4元系合金相が混在する多
相混相組織を有するプラスチック成形機・混練機用耐食
・耐摩耗性コバルト基合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3102206A JP2800076B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3102206A JP2800076B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04254543A JPH04254543A (ja) | 1992-09-09 |
JP2800076B2 true JP2800076B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=14321194
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3102206A Expired - Lifetime JP2800076B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2800076B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06145856A (ja) * | 1992-11-05 | 1994-05-27 | Kubota Corp | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
JP2837798B2 (ja) * | 1993-12-24 | 1998-12-16 | 株式会社クボタ | 耐食性、耐摩耗性及び高温強度にすぐれるコバルト基合金 |
JP3318469B2 (ja) * | 1995-06-30 | 2002-08-26 | 株式会社クボタ | プラスチック成形機及びペレット混練機の構成部材 |
JPH0920946A (ja) * | 1995-06-30 | 1997-01-21 | Kubota Corp | 耐摩耗性にすぐれる複合焼結材料 |
US6503442B1 (en) * | 2001-03-19 | 2003-01-07 | Praxair S.T. Technology, Inc. | Metal-zirconia composite coating with resistance to molten metals and high temperature corrosive gases |
JP5529366B2 (ja) * | 2007-03-29 | 2014-06-25 | 三菱重工業株式会社 | コーティング材料及びその製造方法並びにコーティング方法並びにシュラウド付き動翼 |
US11155904B2 (en) | 2019-07-11 | 2021-10-26 | L.E. Jones Company | Cobalt-rich wear resistant alloy and method of making and use thereof |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57174431A (en) * | 1980-12-22 | 1982-10-27 | Ebara Corp | Filling material for preventing crevice corrosion of austenite stainless steel |
-
1991
- 1991-02-06 JP JP3102206A patent/JP2800076B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04254543A (ja) | 1992-09-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2032728B1 (en) | Ni-base wear and corrosion resistant alloy | |
JP2800076B2 (ja) | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 | |
JP2800074B2 (ja) | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 | |
JP2800075B2 (ja) | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 | |
JP2837798B2 (ja) | 耐食性、耐摩耗性及び高温強度にすぐれるコバルト基合金 | |
CN110760837A (zh) | 钢铁表面激光熔覆陶瓷增强Ni基复合涂层及其制备方法 | |
JP3301441B2 (ja) | 高温高圧成形用複合シリンダ | |
JPH0649581A (ja) | 耐食耐摩耗性に優れた金属―セラミックス複合材料およびその製造方法 | |
JPH0317899B2 (ja) | ||
JPH0860278A (ja) | 耐キャビテーションエロージョン性に優れた耐食耐摩耗性材料 | |
JPH06145856A (ja) | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 | |
JPS61143547A (ja) | プラスチツク成形装置用シリンダ | |
JPH04254540A (ja) | 耐食・耐摩耗性ニッケル基合金 | |
JP2001279369A (ja) | 耐摩耗耐食合金および成形機用シリンダ | |
JP4353617B2 (ja) | プラスチック混練機・成形機部材用耐食耐摩耗Ni合金および部材 | |
JP3368181B2 (ja) | 非鉄金属溶湯用複合焼結合金の製造方法 | |
JP7406329B2 (ja) | Ni-Cr-Mo系析出硬化型合金 | |
CN110331399B (zh) | 抑制激光熔覆制备含铬镍基合金-cBN复合涂层中cBN颗粒分解的方法 | |
JPS6341976B2 (ja) | ||
JPS6341975B2 (ja) | ||
JPH0762201B2 (ja) | 特に耐食性に優れた耐摩耗粉末焼結合金 | |
JPS6013042A (ja) | 耐摩耗耐食合金 | |
JPH0569893B2 (ja) | ||
JPS6013043A (ja) | 耐摩耗耐食合金 | |
JPH0692602B2 (ja) | TiおよびTi合金母材の表面硬化肉盛用添加粉末 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080710 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090710 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100710 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100710 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110710 Year of fee payment: 13 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110710 Year of fee payment: 13 |