JP2800075B2 - 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 - Google Patents
耐食・耐摩耗性コバルト基合金Info
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Description
混練機の部材構成材料として使用される耐食性、耐摩耗
性等にすぐれたコバルト(Co)基合金に関する。
形に供される原料ペレットの混練機の構成部材、例えば
円筒状シリンダは、耐摩耗性および耐食性を備えていな
ければならない。従来より、そのシリンダとして専ら窒
化鋼製シリンダが使用されたきた。
や高強度化等の要請に応えるために、ハロゲン化合物等
の難燃剤や、複合強化繊維としてセラミック等の硬質繊
維を樹脂中に混練することが行われている。これに伴っ
てシリンダ内面は、難燃剤による腐食および硬質繊維に
よる摩耗等が加重され、更に生産向上のための高圧・高
速度成形により表面損傷が加速される等、その使用条件
の苛酷化が進みつつある。このような使用条件の変化に
対し従来より使用されてきた窒化鋼では適切な対処を期
待することはできない。
有する合金をライニング材料として所謂遠心被覆法、ま
たは粉末冶金の手法を適用し、シリンダ内面を耐食・耐
摩耗合金で被覆保護することが行われ、そのライニング
用合金として、例えばCr:6〜12%,Mo:25〜
30%,Si:2〜3.5%,残部Coと不純物からな
る合金、またはCr:15〜20%,Mo:25〜30
%,Si:3〜4.5%,残部Coと不純物からなる合
金が使用されている。
ニング用合金の材質には一長一短あり、前記2種の合金
についてその材質特性をみると、前者の合金は、各種の
酸に対し良好な腐食抵抗性を有し、かつ靭性にすぐれて
いるものの、硬度が低く、耐摩耗性に難点があり、後者
の合金は、これとは逆に高硬度で摩耗抵抗性にすぐれて
いるが、耐食性に改善の余地があり、また靭性に乏しい
ため、部材の製造工程、特に機械加工時に亀裂や欠損等
を生じ易いという問題がある。
り、プラスチック成形機・混練機の構成部材であるシリ
ンダ、スクリュ、ノズル、その他のこれに関連する部材
の耐久性の向上・安定に有効な改良された耐食性・耐摩
耗性・靭性等を兼ね備えたCo基合金を提供する。
基合金は、Cr: 15〜20%, Mo: 25〜32%, Si: 0.
3 〜1.9%, C: 0.2 %以下, Fe: 2%以下, Ni:
2%以下,残部実質的にCoからなり、Co,Cr,M
o,Siの4元系合金相,Co,Cr,Moの3元系合
金相が混在した多相混相組織を有する。 なお、明細書中
の合金元素の含有量を示す%はすべて重量%である。
は、Co,Cr,Mo,Siの4元系合金相、微量のS
iを含有するCo,Cr,Moの3元系合金相等からな
る比較的微細な多相混相組織を有している。本発明合金
は、高度の耐食性と硬さを有し、かつ高硬度でありなが
ら、良好な靭性を兼ね備えている。また本発明合金は、
溶融状態における流動性が良好で、溶湯の噴霧造粉、お
よび鋳造のいずれも可能であり、プラスチック成形機等
の構成部材に適用するに当っては、その粉末を原料とす
る焼結法、または溶湯による遠心被覆法等を部材の形
状、その他の都合に応じて自由に選択することができ
る。本発明合金の成分限定理由は次のとおりである。
成し、硬度、耐食性を高める作用を有する。その添加量
を15%以上としたのは、それより少ないと、硬度改善
効果を十分に発現させることができないからである。添
加増量により効果の増加をみるが、反面合金の靭性の低
下をきたすので、20%を上限とした。
性、特に酸化性酸に対する腐食抵抗性を強化するほか、
硬度を高める作用をなす。またMoの添加により合金粉
末の焼結性が良くなる。添加量の下限を25%としたの
は、それに満たないと耐食性および硬度の改善効果が不
足するからである。添加増量により効果を高めることが
できるが、過度の添加は合金の脆化を招くので、32%
までとした。
より、その噴霧・造粉性や鋳造性を良好なものとする。
また、合金粉末の焼結性の改善に奏効する。この効果を
得るために少なくとも0.3%を必要とする。しかし、
多量の添加は合金の脆化を招くので、1.9%をこえて
はならない。
し、かつ高靭性の本発明合金を形成するための基本元素
である。
i:2%以下 本発明合金におけるC、FeおよびNiは有用な元素で
なく、CはCr,Mo等と結合してこれらの元素の有効
量の減少と炭化物の生成による合金の脆化を招き、F
e,Niの存在は耐食性低下の原因となるので、これら
の混在量は少ない程良いが、Cは0.2%まで、Feお
よびNiはそれぞれ2%までの範囲であれば本発明の趣
旨は損なわない。よってCは0.2%以下、Feおよび
Niはそれぞれ2%以下の範囲内でその混在を許容する
こととした。
ック成形機・混練機の構成部材であるシリンダやスクリ
ュ、ノズル、およびその他の部品は、その全肉厚を本発
明合金とする必要はむろんなく、目的とする部材に応じ
た所要形状の構造用鋼等からなる金属ブロックを母材と
し、耐食性・耐摩耗性等を必要とする領域の表面に本発
明合金をライニング材として適用すればよい。本発明合
金は、例えば遠心噴霧法により造粉し、適当な粒度に分
級した粉末を焼結原料として母材表面を被覆する焼結合
金層を形成するようにしてもよく、また目的とする部材
が単軸シリンダ等である場合には、遠心被覆法を適用
し、円筒形状の母材を水平軸心を中心に回転させなが
ら、その中空孔内に本発明合金の溶湯を注入し、遠心力
の作用下に母材円筒体の内周面に合金層を形成するよう
にしてもよい。その被覆層厚さは、例えば1〜10mm
程度であってよい。
噴霧造粉機により粉末化し、分級処理して焼結原料粉末
とする。粒径:53〜250μm。焼結 鋼製の缶(内寸法:φ52×201,mm)と蓋をキャ
ニング材とし、上記粉末を入れ、真空中で施蓋すると共
に溶接で密封したのち、熱間等方圧加圧焼結に付した。
処理温度:固相線温度、加圧力:1500Kgf/cm
2、時間:2Hr。処理完了後、キャニング材を機械加
工により除去し、円盤形状の焼結合金ブロックを採取し
た。
o.11〜14は発明例、No.101〜108は比較
例であり、比較例のうち、No.101、No.102
は従来材の例、No.103〜No.108は発明例と
類似する組成を有しているが、いずれかの元素の含有量
(表中、下線)が本発明の規定からはずれている例であ
る。同表右欄は、各供試材について得られた下記試験の
結果を示している。
ケールで測定。表中「硬さ」欄の数値は、5個所の平均
値を示している。
計のダイヤモンド圧子で圧痕を付し、顕微鏡観察(倍
率:200)により、圧痕部のクラックの発生の有無を
判定する。圧子荷重(Kgf)は、1,5,10,2
0,30,50の6水準とした。表中「靭性指数」の欄
の数値は、クラックを生じない最大荷重(Kgf)を表
している。例えば、圧子荷重が1Kgf,5Kgf,お
よび10Kgfであるときの圧痕にクラックはなく、2
0Kgfの荷重としたときの圧痕にクラックが発生した
場合は、その靭性指数を10(Kgf)と表示してい
る。同様に、圧子荷重1Kgfの圧痕にクラックが生じ
た場合の靭性指数は0(Kgf)と表示し、同指数が5
0(Kgf)というのは圧子荷重を50Kgfとして
も、クラックの発生がないことを意味している。
0%硝酸水溶液(いずれも液温は50℃)をそれぞれ試
験液とし、焼結合金ブロックから切出した角柱状試験片
(9×9×7,mm)を試験液中に懸吊浸漬し、24時
間経過後の腐食減量(mg)を測定した。
と、従来材であるNo.101およびNo.102を比
較すると、No.101は、高度な靭性を有し、腐食抵
抗性も良好であるが、硬度が低く、No.102は高い
硬度を有しているものの靭性が著しく低く、また非酸化
性酸に対する腐食抵抗性に乏しいのに対し、発明例N
o.11〜14は、酸化性酸および非酸化性酸に対する
良好な耐食性と高硬度とを有し、しかも高硬度でありな
がら、靭性も比較的良好であり、上記従来材のNo.1
01とNo.102のそれぞれの長所を兼ね備えてい
る。なお、比較例No.103〜108は、発明例に類
似する組成を有しているが、構成元素の一部に過不足が
あるため、耐食性、硬度、または靭性のいずれかに問題
があり、これらの諸特性を備えた発明例に及ばない。す
なわち、No.103(Si量過剰)は、高硬度を有し
ているものの、靭性に乏しく、かつ酸化性酸に対する耐
食性に劣り、No.104(Cr量不足)は、硬度が低
く、No.105(Cr量過剰)は、高硬度で、耐食性
も良好であるが、靭性に欠けている。更にNo.106
(Mo量不足)は、耐食性、特に酸化性酸に対する腐食
抵抗性に劣り、かつ硬度も低く、No.107(Mo量
過剰)は、良好な耐食性と高硬度を有しているが、靭性
に乏しく、No.108(Si量過剰,Cr量不足)
は、高靭性を有しているものの、硬度が不足し、また酸
化性酸に対する腐食抵抗性も十分でない。これらのこと
から、耐食性、硬度および靭性の諸特性のすべてについ
て十分な改善効果を得るには本発明の規定する成分構成
を満足しなければならないことがわかる。
r雰囲気中で、鋼製金型(内寸法:50×50,mm。
角型)に鋳込み、凝固完了後、金型から取出し機械加工
を加えて矩形盤状ブロック(肉厚15mm)を得た。
1、No.22は発明例,No.201は比較例(発明
例に類似しているが、Si量が過剰の例)である。各供
試材について実施例1と同様の硬さ測定、靭性評価およ
び腐食試験を行って、同表右欄に示す結果を得た。
No.22は、良好な耐食性を有すると共に、高硬度を
有し、かつ硬質材でありながら靭性も良好である。比較
例No.201は、Si量が過剰のため、靭性に乏し
く、かつ耐食性にも劣っている。
練機に要求される改良された耐食性および耐摩耗性を有
している。本発明合金をこれらの部材に適用することに
より、樹脂中への難燃剤やの強化繊維等の混練、および
高圧・高速成形等の使用条件の苛酷化に対し部材の腐食
・摩耗を軽減・緩和し、また高硬度でありながら良好な
靭性を有しているので、部材の製造工程における機械加
工時のクラックや欠け等を生じにくく製造歩留が改善さ
れると共に、実使用過程でのクラックや欠け等に対する
抵抗性も高く安定な使用が可能であり、耐久性の向上、
メンテナンスの軽減、プラスチックの成形・混練工程の
生産性向上等の効果を得ることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 重量%で, Cr: 15〜20%, Mo: 25〜
32%, Si: 0.3 〜1.9%, C: 0.2 %以下, Fe: 2
%以下, Ni: 2%以下,残部実質的にCoからなり、
Co,Cr,Mo,Siの4元系合金相,Co,Cr,
Moの3元系合金相が混在する多相混相組織を有するプ
ラスチック成形機・混練機用耐食・耐摩耗性コバルト基
合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3102205A JP2800075B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3102205A JP2800075B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04254542A JPH04254542A (ja) | 1992-09-09 |
JP2800075B2 true JP2800075B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=14321165
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3102205A Expired - Lifetime JP2800075B2 (ja) | 1991-02-06 | 1991-02-06 | 耐食・耐摩耗性コバルト基合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2800075B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2004311779A1 (en) * | 2003-12-29 | 2005-07-21 | Deloro Stellite Holdings Corporation | Ductile cobalt-based laves phase alloys |
JP5529366B2 (ja) * | 2007-03-29 | 2014-06-25 | 三菱重工業株式会社 | コーティング材料及びその製造方法並びにコーティング方法並びにシュラウド付き動翼 |
US11155904B2 (en) | 2019-07-11 | 2021-10-26 | L.E. Jones Company | Cobalt-rich wear resistant alloy and method of making and use thereof |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2620297B2 (ja) * | 1988-04-21 | 1997-06-11 | 東芝機械株式会社 | 射出成形機用ノズル |
-
1991
- 1991-02-06 JP JP3102205A patent/JP2800075B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04254542A (ja) | 1992-09-09 |
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