JPH0146434B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はマンコンベアのステツプに係り、特に
安定性を向上するのに好適な構造のエスカレータ
などのマンコンベアのステツプに関するものであ
る。

マンコンベアは、デパート、ホテル等の大形ビ
ルや鉄道駅での主たる交通サービス設備として普
及してきたが、最近では、さらに歩道橋施設等に
代表される屋外設置のマンコンベアも増加してい
る。このため、最近のマンコンベアは、利用者層
の多様化にともない、耐食性、耐久性が高く、か
つ、安全性が良好なものが望まれている。

第１図はマンコンベアの中央部を部分的に断面
した斜視図で、利用客を乗せて上昇あるいは下降
する無端状のステツプ１と、このステツプ１と同
期して回動するハンドレール２と、この両回動体
の間に直立する欄干３およびスカードガード４と
を主部材として構成してある。

第２図は従来のステツプ１の斜視図、第３図は
第２図を−線で断面した断面図である。ステ
ツプ１は、表面部に精密な寸法で波状の凹凸を形
成させた水平のクリート５、クリート５の後端と
一端が連結され、下方に向つて配置されたライザ
ー６、枠体を形成している左右一対からなるブラ
ケツト７および転動ローラ８，９などより構成し
てある。そして、クリート５は平坦になつている
が、ライザー６は、曲率Ｒの弓状に成形してあ
り、それぞれアルミニウム合金のダイキヤスト成
形法で製作してある。

ところで、このステツプ１は、乗客荷重に耐え
る十分な剛性を有していることが必要で、また、
上昇運転時（第１図の矢印Ａ方向）に乗客の靴が
ライザー６に接触しながら上昇したとき、マンコ
ンベア上方（第１図のＢ部）にてステツプ１が徐
徐に水平となるときに発生する押圧力Ｆに抗する
強度が要求されるなど、機械工学上かなり高度な
強合設計が必要である。さらに、屋外形マンコン
ベアのように、マンコンベアの設置条件によつて
は、耐食性の向上も必要である。

しかるに、従来のステツプ１はアルミニウム製
であるので、耐食性の問題がある。ちなみに、文
献（日本金属学会刊・耐食合金）には、アルミニ
ウム合金の耐食性は、鋼材やステンレス材よりも
格段（1/25000）に劣つているというデータが示
してあり、このようなステツプ１を用いたマンコ
ンベアは、屋外用としては不適当である。

このため、クリート５およびライザー６の表層
材としてステンレス鋼板を用いることが提案され
ている。この場合、0.3〜1.5mm厚さのステンレス
薄板をプレス加工によつて波形に成形して用い
る。このステンレス鋼板製のステツプの要部を第
４図に示してある。ただし、第１図と同一部分は
同じ符号で示してある。ブラケツト７の前面にス
テンレス鋼板製のライザー１０をボルト１１で固
定した構成としてあるが、このような構成のステ
ツプ１にも次のような問題がある。すなわち、ラ
イザー１０は、薄鋼板を成形したライザーベース
１２にステンレス薄鋼板を波形に成形したライザ
ー表層体１３を溶接等で接合した構成としてある
が、これでは、上記した押圧力Ｆを受けたときに
ライザー表層体１３が撓み、この撓み量δが靴な
どをステツプ１の奥深くへ侵入させてしまい、安
全上極めて深刻な事態を招く。この侵入現象は、
侵入初期においては脱出できる機会があるか、ス
テツプ１が強力な駆動機（図示せず）によつて索
引されているので、脱出の機会を逸すると大きな
事故を発生するに至る。

したがつて、ステツプ１自体を過酷な設置環境
に耐えるようにするため、ステンレス鋼板や特殊
な耐食合金材を採用する場合、乗客保護という観
点からライザーの強度上の施策に十分配慮する必
要があることは不可欠の要件である。しかし、強
度を向上しようとライザーを頑丈に作るとステツ
プの重量が増大する問題がある。

本発明は上記に鑑みてなされたもので、その目
的とするところは、重量を増大させることなく安
全性を向上することができるマンコンベアのステ
ツプを提供することにある。

本発明の特徴は、ステツプの枠体である左右一
対のブラケツトのライザーと対向する側の下部に
跨つて棒状の補強体を取付け、この補強体に前記
ライザーの下端部を固定した構成とした点にあ
る。

以下本発明を第５図ないし第８図に示した実施
例を用いて詳細に説明する。

第５図は本発明のマンコンベアのステツプの一
実施例を示す第４図に相当する断面図、第６図は
第５図をＸ方向から見た正面図で、第２図、第４
図と同一部分は同じ符号で示し、ここでは説明を
省略する。第５図においては、薄鋼板よりなるラ
イザーベース１２に薄鋼板を連続して波形に形成
され波山が上下方向に延在するように配置したラ
イザー表層体１３を接合してなるライザー１０の
下部と左右両側に配設してあるステツプ１の枠体
を構成しているブラケツト７との間に、ライザー
１０の中央部がステツプ１の内側に屈曲しないよ
うにする補強体１４を設けた構成としてある。な
お、この補強体１４は、第６図に示すように、左
右のブラケツト７の前記ライザー１０対向する側
の下部間を跨ぐように棒状に形成してあり、それ
の両端部をライザーベース１２が上になるように
して左右のブラケツト７にボルト１５でそれぞれ
固定してある。そして、補強体１４の長さ方向の
上端部は、第５図に示すように、補強体１４自体
の曲げ強度が増大するように断面Ｌ字状に曲げて
ある。また、第６図に示すように、補強体１４と
ライザーベース１２とは、少なくとも３点以上
（第６図では５点）の部分でボルト１５によつて
結合してある。

上記した本発明の実施例によれば、ライザー１
０の下部を内側から補強体１４で抑えてあるか
ら、ライザー１０の重量を増大させることなく強
度を増大させることができライザー１０の中央部
が乗客の靴などにより押圧力Ｆを受けても撓むこ
とがなく、安全性を向上することができる。

第７図、第８図はそれぞれ本発明の他の実施例
を示す第５図に相当する断面図で、第５図と同一
部分は同じ符号で示してある。第７図において
は、第５図と同じ構造の補強体１４を組立時にあ
らかじめブラケツト７にボルト１６で固定してお
き、ライザー１０を組み込むときに、補強体１４
の下部をライザー１０のライザーベース１２とと
もにブラケツト７にボルト１５で取り付けるよう
にしてある。また、第８図においては、補強体１
４の取り付け方を変えてある。いずれの場合も、
効果は第５図の場合と同様である。

以上説明したように、本発明によれば、ライザ
ーの重量を増大させることなく下部中央部が内側
に屈曲しないようになるので、ステツプの安全性
を大幅に向上できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はマンコンベアの中央部を部分的に断面
した斜視図、第２図はステツプの斜視図、第３図
は従来のステツプの第２図の−線に沿う部分
の断面図、第４図は最近提案されたステツプの第
３図に相当する断面図、第５図は本発明のマンコ
ンベアのステツプの第４図に相当する断面図、第
６図は第５図をＸ方向から見た正面図、第７図、
第８図は本発明の他の実施例を示す第５図に相当
する断面図である。 １……ステツプ、５……クリート、７……ブラ
ケツト、８，９……転動ローラ、１０……ライザ
ー、１２……ライザーベース、１３……ライザー
表層体、１４……補強体、１５……ボルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 水平に配置されたクリートと、このクリート
   の後部と一端が連結され下方に向かつて配設され
   た薄鋼板よりなるライザーベースに薄鋼板を連続
   して波形に形成され波山が上下方向に延在するよ
   うに配置したライザー表層体を接合してなるライ
   ザーと、前記クリートと前記ライザーとをこれら
   の巾方向両端部で支える左右一対のブラケツトと
   を備えてなるマンコンベアのステツプにおいて、
   前記左右のブラケツトの前記ライザーと対向する
   側の下部に跨つて取付けられる棒状の補強体を設
   け、この補強体に前記ライザーの下端部を固定し
   たことを特徴とするマンコンベアのステツプ。 ２ 前記補強体は断面がＬ字形に形成してあるこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のマン
   コンベアのステツプ。