JPH0145403B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タイヤ加硫プレスにおいて、タイヤ
加硫時に加硫用モールドに大きな締付力が働くこ
とにより、上下モールドを支持しているトツププ
ラテン及びボトムプラテンの平行度が失われる欠
点を解消し、両プラテンの平行度を簡単容易かつ
確実に保持できることによつて、ユニフオーミテ
イの良好な加硫タイヤが得られるようにしたもの
に関する。

周知のようにタイヤ加硫プレスにおいては、プ
レスベース上にボトムプラテンを介し加硫用下型
が固定状に設置され、これに対し加硫用上型はプ
レスフレーム上に昇降自在に設けられるトツププ
ラテンに設置され、トツプリンクの昇降を介し上
型が下型に対し開閉自在とされ、下型上に装入し
たグリーンタイヤ内面にブラダと呼ばれる拡縮自
在な弾性成形体を下型中心に配置されている中心
機構を介し添接状に装填すると共に、ブラダ内に
はスチームその他の加熱流体を封入し、プレシエ
ーピング処理すると同時に上型を下型に閉合型締
めし、このさい一般的には上型開閉を行なうトツ
プリンクが、クランクギヤ、サイドリンク等によ
る機械的加圧手段あるいは液圧シリンダ等による
加圧手段を具備することによつて、両型を加圧締
着するのであり、既知のようにトツププラテン並
びにボトムプラテン側に具備された加熱手段と前
記ブラダにおける内部加熱と相俟つて、グリーン
タイヤの加硫成形を行なうのである。このような
タイヤ加硫プレスにおける加硫時における問題点
として、加硫用上下型を支持しているトツププラ
テンおよびボトムプラテン間におけるプラテン平
行度の維持がある。即ちプレスセンターと同心で
かつ互いに平行に配置された両プラテンの平行度
が正しく確保されることによつて、これら両プラ
テンに取付けられた上下型が同心かつ平行に保持
され、加硫精度の向上、ユニフオーミテイの優れ
た加硫タイヤ製品が得られるのであるが、トツプ
リンクの下降によつて両型を閉合し、かつ同時に
トツプリンクを介して加圧締着を行なう時、上下
両型に大きな締付力が働くことによつて、トツプ
リンク側に撓みが生じ、このトツプリンクの撓み
は同リンクに支持されている上型取付けのトツプ
プラテン側に波及し、またトツプリンクと対応す
るベース並びに同ベース上に設置されている下型
取付けのボトムプラテン側においても撓み方向は
反対であるが同様の撓みが生じるのであり、これ
によつて両プラテンの平行度は全く失われ、上下
両型におけるセンターずれ、更には型各部におけ
る締付力の不均一を生じ、加硫タイヤにおける精
度の向上やユニフオーミテーの良好を期待できな
いのである。このような問題点解決のために型開
閉機構と型加圧機構とを分離し、例えばトツプリ
ンクによつて上下両型の開閉クランプは行なう
が、締付力付与のための型加圧機構として、型周
側の対称位置に複数個の締め付け用流体圧シリン
ダ機構を配備し、個々の上下型組毎に型締め付け
を行なうようにした手段も開発されているが、こ
の手段では必要構造が複雑化し、操作も面倒であ
る等の欠点があり、特に同一加硫プレス機上に複
数組の加硫型を配備するマルチタイプのものにお
いては、型周辺構造の複雑化、設置スペースの取
り合い等において新たな問題を生じることにな
る。

本発明は以上のような上下プラテン平行度の維
持という問題点を、比較的簡単かつ容易な機構の
もとに解決し、プラテン平行度の確実な維持が得
られるようにしたもので、従つてその特徴とする
処は、固定ベース１の上面側に固定されたタイヤ
加硫用下型４と、昇降自在なトツプリンク１７の
下面側に設けられたタイヤ加硫用上型１１とが、
前記トツプリンク１７の上下動により接離自在と
なるよう構成されたタイヤ加硫プレスにおいて、 前記上型１１は、その軸心部に設けられた球面
継手装置を介して、前記トツプリンク１７に揺動
可能に結合されている点にある。

以下図示の実施例に基いて本発明を詳述する
と、第１図は本発明装置を従来の２モールドクラ
ンプ方式のマルチタイプのタイヤ加硫プレスに実
施した１例であつて、加硫プレスそのものの必要
構造は既知であるため、必要各部を概略的に説示
すれば、固定のベース１上に断熱材２を介してボ
トムプラテン３が設置され、同プラテン３上に加
硫用の下型４が取付けられ、このさい既知のよう
に前記プラテン３内にはスチーム、熱ガス等の加
熱流体、あるいはヒータ等の加熱源が供給乃至設
置され、下型４の中心、即ちプレスセンターには
前記ベース１を介して中心機構５が昇降自在に挿
設され、同中心機構５における下部リング６に
は、既知の拡縮自在な弾性成形体であるブラダ７
の下端が保持され、また中心機構５における昇降
自在なピストンロツド８の上端には上部リング９
を介して前記ブラダ７の上端が保持され、ピスト
ンロツド８の上下を介しブラダ７はグリーンタイ
ヤ１０の内面に装填されてタイヤ内面のシエーピ
ングを行なうのである。このためブラダ７内には
中心機構５を介してスチームその他の加熱源が供
給される。前記固定の下型４に対して開閉自在と
される加硫用の上型１１は、図例ではベース１側
に軸架したクランク軸１２のクランクギヤ１３の
偏心位置にクランクピン軸１４を介して下端を枢
支されたサイドリンク１５の上端にピン軸１６を
介し支持されたトツプリンク１７側に設けられ
る。即ちトツプリンク１７の下部に固設された型
高さ調整螺筒１８に螺挿された型高さ調整螺軸１
９にプラテンサポート２０が付設され、同サポー
ト２０に断熱材２１を介して固定したトツププラ
テン２２の下面に上型１１が取付けられるのであ
る。同図において２３，２４は前記下型４上型１
１の全体外周を被包し、かつそれぞれ型と同行す
るドームと呼ばれているボトムシールドとトツプ
シールドとを示している。この図例では第１図向
つて左側に同様の上下型４，１１組（図示ではボ
トムシールド２３トツプシールド２４のみを示し
ている）が同様に設置されるのであり、このため
トツプリンク１７は両組に共通のものとされ、従
つて図例のようにトツプリンク１７の左右両端に
一対のサイドリンク１５以下のクランクプレス機
構が具備されている。この図例で明らかなように
トツプリンク１７が型開閉機構と型加圧機構とを
兼ねるサイドリンク１５以下クランク軸１２によ
る一連の機構によつて型、特に上型１１の下型４
に対する開閉クランプと上下両型４，１１に対す
る加圧締め付けを行なう時、先に述べたようにト
ツプリンク１７側には強大な締付力による撓みが
生じ、極端に言えばトツプリンク１７の中央が高
く、両端が低くなるような山型の撓みが生じ、同
時にベース１側においても中央が低く、両端が高
くなるような撓みを生じることとなり、これらは
上下両型を支持するトツププラテン２２およびボ
トムプラテン３の平行度を著しく失することにな
る。

ここで本発明は、前記上下プラテン２２，３の
平行度を確保するために、第１図に例示したもの
では、トツプリンク１７とトツププラテン２２と
の間において、トツプリンク１７側に設けられる
調整螺筒１８の下部外周に、ホルダー２５とプレ
ート２６とによつて球面座を構成したものであ
り、以下本発明に係る球面座構造については、第
２，３，４各図において説示する。第２図は上型
要部の平面図、第３図は第２図Ａ―Ａ線断面図、
第４図は球面座詳細図をそれぞれ示しているが、
これら各図において、先ず調整螺筒１８はトツプ
リンク１７における下部プレート１７ａの所定位
置に設けた嵌支孔に、螺筒１８の外周対称位置に
設けたパラレルキー２７を介してキー嵌合させ、
同螺筒１８の軸方向脱落を防止するため、前記下
部プレート１７ａの下面にボルト２８等で固定し
たリング状のホルダー２５の内縁によつて螺筒１
８の下端を支持させると共に、前記ホルダー２５
の上面に形成した段部２５ａと下部プレート１７
ａの下面とによつて、同じくリング状のプレート
２６を支持させ、同プレート２６の内周面にテー
パ面２６ａを形成すると共に、これと対接する前
記螺筒１８の外周面に、図例では球面１８ａを形
成することによつて球面座を構成したものであ
る。このさい前記ホルダー２５、プレート２６は
何れもプレスセンターと同心のリング状態であ
り、また球面１８ａもプレスセンターと同心の適
宜曲率半径の球面とされる。このさい実施例のテ
ーパ面２６ａと球面１８ａの関係は、図例と反対
にプレート２６のテーパ面２６ａが球面とされ、
螺筒１８の球面１８ａがテーパ面とされる関係で
も同効であり、また両面１８ａ，２６ａを何れも
球面としてもよく、この両面を球面とする場合、
両球面は同一曲率半径のものでも、あるいはその
曲率半径を相違させたものであつてもよく、これ
らは全て本発明に包含される。尚第４図において
２８はパラレルキー２７の取付ネジ、２９は下部
プレート１７ａおよびプレート２６に設けられた
グリースその他の潤滑剤補給孔、３０はホルダー
２５の内縁端に設けるＯリングを示している。本
発明における調整螺軸１９は前記のような調整螺
筒１８に昇降自在に螺挿され、同螺軸１９の下端
に固設した取付リング３１によつてプラテンサポ
ート２０を保持し、このサポート２０の下面に断
熱材２１を介しトツププラテン２２がボルト３２
によつて一体に取付られる。

本発明における球面座の構成位置は、第１図乃
至第４図に示した型高さの調整螺筒１８の位置の
みに止まるものでなく、トツプリンク１７とトツ
ププラテン２２との間ならば、自由にその設定が
得られる。第５図に示した実施例はその１つであ
つて、図示のように型高さ調整螺筒１８はトツプ
リンク１７の下部プレート１７ａ側にボルト３３
等で固定し、この調整螺筒１８に昇降自在に螺挿
した型高さ調整螺軸１９の下部外周に球面３４ａ
を有するリング状のプレート３４を付設し、これ
に対し取付リング３１によつて前記螺軸１９の下
端に保持されるプラテンサポート２０の上面にボ
ルト３５等で敷設した同じくリング状のホルダー
３６の対接面に球面３６ａを形成し、球面座を構
成したものである。このさい第１図乃至第４図に
示した実施例と同様、その球面３４ａ，３６ａ
は、同一曲率半径の球面でも、曲率半径を相違し
たものでも同効であり、またその何れか一方の球
面３４ａまたは３６ａをテーパ面にすることも同
効であり、設計的変更は自由に行なえる。その他
同図において第１図乃至第４図実施例と同一符号
のものは同一部材を示している。

本発明の実施に当り、タイヤ加硫プレスの形成
は、図例の２モールド同時クランプ方式のマルチ
タイプのみに限定されることなく、１モールドの
みのシングルタイプのタイヤ加硫プレスにも適用
可能であることはいうまでもなく、また図示のト
ツプリンク１７の昇降手段としては、図例の機械
的な昇降手段の他、例えば液圧シリンダ機構をフ
レーム中央に配設し、同シリンダ機構におけるピ
ストンロツドにトツプリンク１７を支持させて昇
降させる手段でもよく、トツプリンクの昇降手段
の内容を問わず、本発明装置を同様に適用できる
ことも明白である。

本発明装置によれば、直接上型１１を支持する
トツププラテン２２と、トツププラテン２２の昇
降を行なうトツプリンク１７との間において、少
なくともその一面は球面とされ、他面は球面また
はテーパ面とされた接合面を持つ球面座の介入構
成によつて、上下プラテン２２，３の平行度を常
に確保し、上下型１１，４の自動調芯作用が確実
に得られることになる。即ち第４図実施例に示し
た構造においては、その球面座を構成する調整螺
筒１８の接触面は球面１８ａとされ、プレート２
６の接触面はテーパ面２６ａとされているが、今
下型４上に上型１１をトツプリンク１７の下降に
よつて閉合クランプし、同時にクランク軸１６以
下のクランク機構によつてトツププラテン２２と
ボトムプラテン３との間に上下両型１１，４を挟
持して締付力を負荷した時に、トツプリンク１７
が先に述べたように撓んでその締付力に不均一な
バラツキを生じても、球面１８ａとテーパ面２６
ａによる接触のため、その球面の存在によつてト
ツプリンク１７の撓みを吸収するように、球面を
持つ側が動くことによつて、トツプリンク２２と
ボトムプラテン３との平行度を常に保つことが可
能である。このことはトツプリンク１７が撓むこ
とにより、トツププラテン２２の各点に掛る締付
力にバラツキが生じた時に、トツププラテン２２
に回転トルクが働くことによつて証明されるが、
その計算式は省略する。

本発明によれば、タイヤ加硫用上型を、球面継
手装置を介して、トツプリンクに揺動可能に結合
したので、トツプリンクの撓みが球面継手装置に
よつて吸収され、上型に影響を与えないので、
上・下型の平行度を常に保つことができ、高精度
のタイヤを加硫成形することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置実施例の全体縦断正面図、
第２図は同上型要部平面図、第３図は第２図Ａ―
Ａ線断面図、第４図は球面座実施例の詳細断面
図、第５図は同変形実施例の要部縦断正面図であ
る。 １…ベース、３…ボトムプラテン、４…下型、
５…中心機構、７…ブラダ、１０…グリンタイ
ヤ、１１…上型、１５…サイドリンク、１７…ト
ツプリンク、１８…調整螺筒、１９…調整螺軸、
２０…プラテンサポート、２２…トツププラテ
ン、２６…プレート、２５…ホルダー、１８ａ…
球面、２６ａ…テーパ面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 固定ベース１の上面側に固定されたタイヤ加
   硫用下型４と、昇降自在なトツプリンク１７の下
   面側に設けられたタイヤ加硫用上型１１とが、前
   記トツプリンク１７の上下動により接離自在とな
   るよう構成されたタイヤ加硫プレスにおいて、 前記上型１１は、その軸心部に設けられた球面
   継手装置を介して、前記トツプリンク１７に揺動
   可能に結合されていることを特徴とするタイヤ加
   硫プレス。