JPH0145142Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は車輌用ガラスアンテナに関し、更に詳
細には自動車の窓ガラスに設けられたラジオ電波
受信に好適な車輌用ガラスアンテナに関するもの
である。 近年、自動車の後部窓ガラスに加熱線条および
アンテナ線条を備えたいわゆる防曇ガラスアンテ
ナが採用されはじめてきた。 しかしながら、このような防曇ガラスアンテナ
においては、FM放送電波を受信した場合、自動
車の前後方向からの到来電波に対し受信利得が最
小になり、自動車横方向からの到来電波に対し受
信利得が最大になる。 また、その利得差は大きい。したがつて、従来
の防曇ガラスアンテナにおいては、指向特性が強
く、電界強度の弱い場所でFM放送電波を受信す
る場合には、車の向きによつては利得が小さくな
つて、FM放送が受けにくくなるという欠点があ
つた。 そこで本考案者らはかかる欠点を解消するため
に、第１図に示すような新規な車輌用ガラスアン
テナを考案し、本出願人が実願昭56−23395号で
実用新登録出願した。 第１図において、１は例えば後部窓ガラスを形
成する板ガラス、２は板ガラス１上に設けられた
加熱線条である。板ガラス１上でかつ加熱線条２
の上方にはアンテナ線条が設けられている。この
アンテナ線条は板ガラス１の上縁とほぼ平行に設
けられた第１のアンテナ線３、第１のアンテナ線
３に平行に設けられた第２のアンテナ線４、第１
のアンテナ線３と第２のアンテナ線４に対して垂
直に設けられ、かつこれらのアンテナ線を連絡す
る第３のアンテナ線５、および第２のアンテナ線
４の両端部に第３のアンテナ線５に対して対称な
二組の折返し部７ａ，７′ａ，７ｂ，７′ｂを介し
て接続され、その先端が解放された第４のアンテ
ナ線６から構成されている。これらの、第１、第
２、第４のアンテナ線３，４，６は第３のアンテ
ナ線５に対して線対称になるように形成されてい
る。また、８は給電部である。 次に、第１図の防曇ガラスアンテナの指向特性
を第２図に示す。この特性図は従来のホイツプア
ンテナの利得を0dBとした時のものであり、Ｆは
電波の入射方向、半径方向は車輌用の向きを示
す。また、曲線イは76MHz、曲線ロは83MHz、曲
線ハは90MHzの電波を示す。 第１図の構成の車輌用ガラスアンテナは従来の
車輌用ガラスアンテナに比較してFM放送電波に
対する平均利得が向上し、指向特性も改善された
ものである。 本考案の目的は、前記した実願昭56−23395号
の考案に改良を加え、指向特性の改善はもちろ
ん、更に平均利得を向上させた車輌用ガラスアン
テナを提供することにある。 本考案は板ガラスの被加熱領域に設けられた複
数の加熱線条兼受信アンテナとその上方の被加熱
領域外に設けられたアンテナを有する車輌用ガラ
スアンテナにおいて、被加熱領域外に設けられた
アンテナは、ほぼ水平に設けられた第１のアンテ
ナ線、第１のアンテナ線に平行に設けられた第２
のアンテナ線、第１のアンテナ線と第２のアンテ
ナ線を連結する垂直に設けられた第３のアンテナ
線、および２本以上の水平線条を上下方向に所定
間隔をおいて前記第３のアンテナ線に関し左右対
称に配し、これらの端部を互い違いに垂直方向に
配した導電線条で接続して１本の連続した線条と
し、一方の端部に開放とし、他方の端部を第２の
アンテナの両端部に垂直方向に配した導電線条に
より接続した第４のアンテナ線を具えるととも
に、第１のアンテナ線または第２のアンテナ線の
うちで下方に設けられた方のアンテナ線と前記加
熱線条兼受信アンテナとを第３のアンテナ線の延
長上でない位置において、少なくとも１本の導電
線で接続したことを特徴とする。 以下に、本考案を実施例に基づいて説明する。
第３図は本考案の第一実施例を示し、車輌用ガラ
スアンテナの平面図を示す。 図において、本実施例が第１図のガラスアンテ
ナと異なる所は、板ガラス１上に設けられた加熱
線条とその上方に形成されたアンテナ線条とが、
第３のアンテナ線５の延長上にない導電線９によ
つて接続されている点である。なお、第３図にお
ける９以外の符号は第１図と同じ物又は同等物を
示す。また、本考案では、加熱線条２は加熱線条
とアンテナを兼ねるので、符号２は、以下、加熱
線条兼受信アンテナと呼ぶことにする。 この実施例において、図示されたアンテナ線の
各部の寸法ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ，ｆ，ｇおよびｈ
をａ＝1030mm、ｂ＝54mm、ｃ＝20mm、ｄ＝20mm、
ｅ＝20mm、ｆ＝130mm、ｇ＝30.7mm、ｈ＝82mmと
してアンテナの指向性を測定したところ、第４図
のような指向特性が得られた。第４図は、従来の
ホイツプアンテナの特性を0dBとした時の特性図
であり、曲線イ，ロ，ハはそれぞれ80，83，86M
Hzの電波を示す。 第４図から、この実施例によるガラスアンテナ
は第１図のアンテナに比べてFM周波数帯におい
てほぼ全方向で利得が上まわつていることがわか
る。また、FM周波数帯において良好な無指向性
を示し、どのような方向であつても、高い利得が
得られることがわかる。 次に、本考案の第２実施例を第５図で説明す
る。本実施例が第１実施例と異なるところは、導
電線９が非対称位置に、かつ２本設けられた点で
ある。 この実施例において、図示されたアンテナ線条
の各部の寸法ａ，ｂ，ｃ，ｄ，ｅ，ｆ，ｇ，ｈお
よびｉをａ＝1030mm、ｂ＝70mm、ｃ＝20mm、ｄ＝
20mm、ｅ＝20mm、ｆ＝130mm、ｇ＝130mm、ｈ＝
30.7mm、ｉ＝82mmとしてアンテナの指向性を測定
したところ第６図のような指向特性性が得られ
た、なお、第６図は前記した第４図と同じ条件で
作成されたものである。 第６図から、この実施例によるガラスアンテナ
によれば第１実施例と同様に良好な無指向性が得
られることがわかる。 また、上記の各実施例のアンテナのFM周波数
帯における受信利得を測定したところ、第１図に
示される車輌用ガラスアンテナの受信利得を0dB
として、第１表のような値が得られた。

【表】 第１表から明らかなように、本実施例によるガ
ラスアンテナは、それぞれ平均の利得が第１図の
アンテナに比べて3.2dB、3.0dB向上した。本考
案によるガラスアンテナは、特にホイツプアンテ
ナと本考案によるガラスアンテナの両方を用い
て、そのつど最良の受信状態にあるアンテナに切
替えるダイバーシテイ切換受信方式に採用する
と、ホイツプアンテナの利得の落ち込みを充分補
うことができ、非常に有効である。 なお、上記第１、第２実施例においては、アン
テナ線条の各部の寸法を特定し、そのアンテナ指
向特性を実測することにより本実施例の効果を説
明した。しかし、アンテナ線条の各部の寸法ａ，
a′，ｂ，ｃ，ｄをａ＝300〜1100mm、ｂ＝20〜50
mm、ｃ＝10〜40mm、ｄ＝５〜40mmにしても第４
図、第６図に示されている指向特性および第１表
に示す利得に近い結果が得られた。 第７図は、本考案の第３実施例を示す。この実
施例は第４のアンテナ線６に第３のアンテナ線７
に対して対称な折返し部が３組７ａ，７′ａ，７
ｂ，７′ｂ，７ｃ，７′ｃ設けられ、給電部８が第
１のアンテナ線３を延長した端部に形成されてい
る点で前記第１実施例と相違する。 本考案の第４実施例を第８図に示す。この実施
例は第１のアンテナ線３が加熱線条兼受信アンテ
ナ２側にあり、第２のアンテナ線４が板ガラス１
の上縁側に設けられ、かつ導電線９は加熱線条兼
受信アンテナ２と第１のアンテナ線３を接続する
ように構成したものである。 以上、４つの実施例により本考案を説明したが
本考案はこれらに限定されるものではなく、下記
のような変更も可能である。 (1) 前記した各実施例において、加熱線条兼受信
アンテナとその上方に設けられたアンテナとを
結ぶ導電線の本数は、１〜２本に限定されず、
それ以上でもよい。要は、加熱線条兼受信アン
テナの上方に設けられたアンテナと加熱線条兼
受信アンテナの受信電波の位相を整合するよう
に、その位置および本数を決めればよい。 (2) 第４のアンテナ線６の折返し部は、上記の各
実施例のように１〜３組に限定されず、それ以
上あつてもよい。また、その折返しは必ずしも
直角に曲げる必要はない。 (3) 給電部８に関しては第３図、第５図に示され
ている第３のアンテナ線５を直角に折り曲げ、
これをさらに水平方向に延長して、その端部に
給電部を設けてもよい。 以上のように、本考案によれば、加熱線条兼受
信アンテナとその上方の被加熱領域外に設けられ
たアンテナが第１、第２の水平方向に設けられた
アンテナ線、これらを接続する垂直に設けられた
第３のアンテナ線を有し第２アンテナ線の両端部
に接続された第４のアンテナ線に折返し部が設け
られ、その先端が開放されており、かつ、加熱線
条兼受信アンテナと第１あるいは第２のうちの下
方に設けられた方のアンテナ線とが、第３のアン
テナの延長線上でない位置で、導電線により接続
されている。このため、受信面積が大となり、直
接到来する電波の受信量が増大するばかりでな
く、車内の反射波も有効に受信することができ
る。したがつて、本考案による車輌用ガラスアン
テナは従来のガラスアンテナと比較してFM周波
数帯における指向特性が改善され、平均利得が格
段に向上するという大きな効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガラスアンテナの平面図、第２
図は第１図のアンテナの指向特性図、第３，５，
７および８図はそれぞれ本考案の一実施例のガラ
スアンテナの平面図、第４および６図はそれぞれ
第３および５図のガラスアンテナの指向特性図を
示す。 １……板ガラス、２……加熱線条兼アンテナ、
３……第１のアンテナ線、４……第２のアンテナ
線、５……第３のアンテナ線、６……第４のアン
テナ線、７ａ〜７ｃ，７′ａ〜７′ｃ……折返し
部、８……給電部、９……導電線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 板ガラスの被加熱領域に設けられた複数の加熱
   線条兼受信アンテナとその上方の被加熱領域外に
   設けられたアンテナを有する車輌用ガラスアンテ
   ナであつて、 被加熱領域外に設けられたアンテナは、ほぼ水
   平に設けられた第１のアンテナ線、 第１のアンテナ線に平行に設けられた第２のア
   ンテナ線、 第１のアンテナ線と第２のアンテナ線を連結す
   る垂直に設けられた第３のアンテナ線、 および２本以上の水平線条を上下方向に所定間
   隔をおいて前記第３のアンテナ線に関し左右対称
   に配し、これらの端部を互い違いに垂直方向に配
   した導電線条で接続して１本の連続した線条と
   し、一方の端部は開放とし、他方の端部を第２の
   アンテナの両端部に垂直方向に配した導電線条に
   より接続した第４のアンテナ線を備えるととも
   に、第１のアンテナ線または第２のアンテナ線の
   中で下方に設けられた方のアンテナ線と前記加熱
   線条兼受信アンテナとを、前記第３のアンテナ線
   の延長線上でない非対称位置に設けた少なくとも
   １本の導電線で接続したことを特徴とする車輌用
   ガラスアンテナ。