JPH0112407Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は車輛用ガラスアンテナに関し、更に詳
細には自動車のウインドウに設けられたラジオ電
波受信用のアンテナ線条からなる車輛用ガラスア
ンテナに関するものである。 近年自動車のリヤウインドウに加熱線条および
アンテナ線条を備えたものが使用されはじめてき
た。これらの所謂防曇アンテナガラスには二つの
タイプがある。 第１のタイプは加熱線条とアンテナ線条とを接
続し、加熱線条を補助アンテナとして利用するも
のである。また第２のタイプは、例えば第１図に
示されているようにリヤウインドウを形成する板
ガラス１上に加熱線条２とアンテナ線条３ａを独
立して設け、各各の機能を別個に持たせたもので
ある。 しかしながら、上記の第１のタイプにおいて
は、受信した電波が加熱線条のアースを伝わり、
大地へ流れるのを防止する必要があり、また加熱
線条へ供給される直流電流がラジオ受信機の電波
給電端子へ流れる事を防止する必要がある。この
ため、回路的に非常に煩雑になるという欠点があ
つた。また加熱線条への通電開始、あるいは通電
停止に際してラジオの雑音発生を伴うという欠点
があつた。一方、第２のタイプにおいては、FM
放送電波およびAM放送電波に対する平均利得が
小さいという欠点があつた。特にFM放送電波を
受信した場合、第２図に示されているように指向
特性が強く、車の向きによつては利得が小さくな
つてFM放送が受けにくくなるという欠点があつ
た。なお、第２図は従来のホイツプアンテナの利
得を0dBとした時の第１図のアンテナの指向特性
図であり、Ｆは電波の入射方向、半径方向は車輛
の向きを示す。また曲線イは76MHz、曲線ロは
83MHz、曲線ハは90MHzの電波を示す。 本考案の目的は、FM放送電波に対する平均利
得を向上させるとともに無指向性をも改善させた
車輛用ガラスアンテナを提供することにある。 以下に本考案の実施例を図によつて説明する。
第３図は、本考案の一実施例を示し、車輛用ガラ
スアンテナの平面図である。 図において、１は板ガラス、２はこの板ガラス
１上に設けられた加熱線条である。板ガラス１上
でかつ加熱線条２の上方に設けられたアンテナ線
条は、板ガラスの上縁にほぼ平行に設けられた第
１のアンテナ線３、第１のアンテナ線３に平行に
設けられた第２のアンテナ線４、第１のアンテナ
線３と第２のアンテナ線４に対して垂直に設けら
れ、かつこれらのアンテナ線を連結する第３のア
ンテナ線５、および第２のアンテナ線４の一端に
連接される第４のアンテナ線６から構成されてい
る。また、１１は第３のアンテナ線５の端部に設
けられた給電部である。 第４のアンテナ線６は、第２のアンテナ線４の
一方の端部より第１のアンテナ線と反対側に、ほ
ぼ垂直に伸びる第１の垂直部分７、該第１の垂直
部分７の終端から第２のアンテナ線４に平行に伸
びる第１の平行部分８、該第１の平行部分８の終
端より、第１のアンテナ線３側にほぼ垂直に伸び
る第２の垂直部分９、および第２のアンテナ線４
に近接した第２の垂直部分９の終端から、第２の
アンテナ線４に平行に伸び、端部が開放されてい
る第２の平行部分１０とから構成されている。 上記の構成の車輛用ガラスアンテナにおいて、
図示されたアンテナ線条の各部の寸法ａ，ｂ，
ｃ，ｅ，ｆをａ＝800mm、ｂ＝35mm、ｃ＝ｄ＝20
mm、ｅ＝35mm、ｆ＝５mmとして、アンテナのFM
帯指向特性を測定したところ、第４図のような特
性が得られた。第４図は第２図と同様の条件で測
定した指向特性図であり、図中の符号および線は
第２図と同じものを示す。 第４図と第２図を比べると、本実施例による車
輛用ガラスアンテナは、従来のアンテナに比べ
て、FM周波数帯において、大変優れた無指向性
を示し、車輛の向きが電波の入射方向に対してど
のような方向にあつても十分な利得を得ることが
できることがわかる。 また、上記の実施例のアンテナのFM周波数帯
における受信利得を測定したところ、第１図に示
されている従来のガラスアンテナに比べて、第１
表のような値が得られた。第１表の受信利得は、
第１図のアンテナの利得を0dBとした時の値であ
り、従来のガラスアンテナとの利得差を表わした
ものである。

【表】 第１表から明らかなように、本実施例によれ
ば、平均利得が8.1dB向上した。 なお、上記の実施例においては、アンテナ線条
各部の寸法を特定し、そのアンテナ指向特性を実
測することにより効果を説明したが、アンテナ線
条の各部の寸法をａ＝200〜1000mm、ｂ＝10〜100
mm、ｃ＝５〜40mm、ｄ＝５〜40mm、ｅ＝５〜40
mm、ｆ＝２〜15mmにしても、第２図に示されてい
る指向特性に近い結果が得られた。 本考案は上記の実施例に限定されず、下記のよ
うな変更も可能である。 (1) 給電部１１は、第５図のように、延長した第
１のアンテナ線３の端部に設けてもよいし、第
６図のように、第３のアンテナ線５の延長部
を、更に水平方向に延長した側方部に設けても
よい。 (2) 加熱線条２を有する防曇アンテナである必要
はなく、アンテナ線条単独であつてもよい。 (3) 第１のアンテナ線３と第４のアンテナ線６
は、上下が逆であつてもよい。例えば、第３，
５，６図において、第４のアンテナ線６が第２
のアンテナ線４より上側に位置し、第１のアン
テナ線３が第２のアンテナ線４より下側に位置
するようにしてもよい。 (4) 車輛のフロントガラスに本考案のアンテナを
設けることも可能である。 以上のように、本考案によれば、第４のアンテ
ナ線が、第２のアンテナ線の端部より第１のアン
テナ線と反対側にほぼ垂直に延びる第１の垂直部
分と、この第１の垂直部分の終端から第２のアン
テナ線に平行に延びる第１の水平部分と、この第
１の水平部分の終端より第１のアンテナ線側にほ
ぼ垂直に延びる第２の垂直部分と、第２のアンテ
ナ線に近接した第２の垂直部分の終端から第２の
アンテナ線に平行に延びかつ端部が開放されてい
る第２の水平部分とから構成されているので、従
来のガラスアンテナと比較して、FM帯における
無指向性が改善され、平均利得が格段に向上する
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガラスアンテナの平面図、第２
図は第１図のアンテナの指向特性図、第３図、第
５図および第６図は本考案の一実施例の平面図、
第４図は第３図のアンテナの指向特性図である。 １……板ガラス、３……第１のアンテナ線、４
……第２のアンテナ線、５……第３のアンテナ
線、６……第４のアンテナ線、７……第１の垂直
部分、８……第１の水平部分、９……第２の垂直
部分、１０……第２の水平部分、１１……給電
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板ガラス面上にアンテナ線条を設けた車輛用ガ
   ラスアンテナにおいて、ほぼ水平に設けられた第
   １のアンテナ線、第１のアンテナ線に平行に設け
   られた第２のアンテナ線、第１のアンテナ線と第
   ２のアンテナ線とを連結する垂直に設けられた第
   ３のアンテナ線、および第２のアンテナ線の一端
   に連接された第４のアンテナ線とを具備し、第４
   のアンテナ線は第２のアンテナ線の端部より第１
   のアンテナ線と反対側にほぼ垂直に伸びる第１の
   垂直部分と、第１の垂直部分の終端から第２のア
   ンテナ線に平行に伸びる第１の水平部分と、第１
   の水平部分の終端より第１のアンテナ線側にほぼ
   垂直に伸びる第２の垂直部分と、第２のアンテナ
   線に近接した第２の垂直部分の終端から第２のア
   ンテナ線に平行に伸び、その端部が開放されてい
   る第２の水平部分より構成された事を特徴とする
   車輛用ガラスアンテナ。