JPH0144786Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内燃機関の燃料供給系におけるフユー
エルリターン装置に関する。

（従来の技術） 燃料供給系における雰囲気温度の上昇に起因す
るベーパロツクの発生やパーコレーシヨンの発生
を防止するため、燃料ポンプによつて圧送される
燃料の一部を、燃料ポンプの吐出部や気化器のフ
ロート室流入部などからリターン通路を経て燃料
ポンプへ戻して燃料の異常昇温を抑制するフユー
エルリターン装置が広く使用されている。

そして従来のこの種装置は、実開昭51−38116
号公報に見られるように、リターン通路の終端を
燃料タンクの液相部に開口させているのが普通で
ある。

（考案が解決しようとする課題） ところが最近の自動車において客室空間並びに
トランクルーム容積を増大させるため、燃料タン
ク取付部の空間を上下方向に大きくとることが設
計上困難になるものがあり、この場合には燃料タ
ンク本体部の周辺に配する配管をできるだけ少な
くすることが望まれるが、上記従来例はこの要請
に応えることが困難である。又場合によつては前
記空間の制約を受けて、リターン通路用の配管を
燃料タンク本体部の周辺に配することが不可能な
ことがある。更に従来例においては、前記配管を
接続する部位において、燃料タンクの本体部に凹
凸を形成しているので、タンク容量が削減される
という欠点もある。

（課題を解決するための手段とその作用） 本考案は上記従来例の欠点を解消するため、リ
ターン通路の終端を燃料タンクの給油パイプ又は
ブリーザパイプに開口させて、燃料タンク本体部
の周辺にリターン通路用の配管を設けなくともよ
いように構成したことを第１の特徴とする。

ところで上記構成において、給油パイプ又はブ
リーザパイプは気相部となつているので、前記リ
ターン通路を１本の管路で形成すると、この管路
を通じて燃料タンクで発生した蒸発燃料が吸気系
に流出するおそれがある。すなわち機関停止時に
フロート室の燃料が蒸発し、インナベントを通じ
て吸気系に流出すると、フロート室の油面が下り
ニードル弁が開弁状態となる。従つて、燃料ポン
プの吐出部にリターン通路の始端を開口させてい
る場合には、燃料供給管の燃料ポンプの上方側部
分内の燃料とリターン通路内の燃料とが燃料タン
クに戻る。又フロート室流入部にリターン通路の
始端を開口させている場合には、この通路内の燃
料が燃料タンクに戻る。このため、燃料タンクの
気相部とフロート室の気相部とが空間を介しての
みの連通状態となり、燃料タンクで発生する蒸発
燃料が吸気系に流出するおそれがあるのである。

そこで本考案は上記問題を解決するため、前記
リターン通路の途中に燃料を一時溜める中間タン
クを配置し、この中間タンクの液相部に上流側リ
ターン管路の終端及び下流側リターン管路の始端
の少なくとも一方を開口させて、前記中間タンク
に溜まる燃料によつて、燃料タンクの気相部とフ
ロート室の気相部とが空間を介してのみの連通状
態となることを妨げ、燃料タンクで発生した蒸発
燃料が吸気系に流出しないように構成したことを
第２の特徴とする。

又上記構成では、燃料タンクで発生した蒸発燃
料のベーパー圧が中間タンクに溜まつた燃料の油
面に作用し、上流側リターン通路内にある燃料を
押し上げるため、フロート室のニードル弁の作動
が正常でない場合には前記燃料がフロート室に流
れ込むおそれがある。

そこで本考案は上記問題を解決するため、前記
中間タンクをフロート室よりもできるだけ低位置
に設け、フロート室の油面と中間タンクの油面と
の落差によつて前記燃料を押さえ込むように構成
したことを第３の特徴とする。

（実施例） 図面に示す本考案の実施例において、１は燃料
タンク、２は燃料ポンプ、３は気化器のフロート
室、４は燃料ポンプ２から吐出された燃料を前記
フロート室３に導く燃料供給管である。

本実施例のリターン通路５は、始端６が燃料ポ
ンプ２の吐出部に接続される上流側リターン管路
７と、終端１１が燃料タンク本体部１ａに突設し
た給油パイプ１２に開口する下流側リターン管路
１３とからなる。これらリターン管路７，１３
は、中間タンク９を介して接続されている。本実
施例では、前記上流側リターン管路７の終端８を
中間タンク９の液相部に開口させ、前記下流側リ
ターン管路１３の始端１０を中間タンク９の気相
部に開口させている。この中間タンク９はフロー
ト室３よりもできるだけ低い位置に設置され、フ
ロート室３の油面と中間タンク９の油面との落差
Ｈを大きくとつている。

上記構成のフユーエルリターン装置は次のよう
な作用を営むことができる。すなわち、機関停止
時にフロート室３の燃料が蒸発し、インナベント
１４を通じて吸気系１５に流出すると、フロート
室３の油面が下りニードル弁１６が開弁状態とな
り、燃料供給管４の燃料ポンプ２上方側部分内の
燃料と、上流側リターン管路７及び下流側リター
ン管路１３内の燃料とが燃料タンク１に戻るが、
前記上流側リターン管路７の終端８が中間タンク
９内に溜まつた燃料中に開口しているので、燃料
タンク１で発生した蒸発燃料の吸気系１５への通
路はこの部分でカツトされる。従つて、燃料タン
ク１で発生した蒸発燃料が吸気系１５に流出する
のを確実に防ぐことができる。前記ニードル弁１
６の故障時も同様である。

又燃料タンク１で発生した蒸発燃料のベーパー
圧が中間タンク９に溜まつた燃料の油面に作用
し、上流側リターン管路７及び燃料供給管４の燃
料ポンプ２上方側部分内にある燃料を押上げよう
とするが、フロート室３の油面と中間タンク９の
油面との落差Ｈによつて前記ベーパー圧に対抗す
ることができるので、ニードル弁１６の作動が正
常でない場合でも、前記燃料が押し上げられて吸
気系１５に流出するのを防止することができる。

本考案は上記実施例に示す外、種々の態様に構
成することができる。例えば前記下流側リターン
管路１３の始端１０のみを中間タンク９の液相部
に開口するように構成したり、前記始端１０及び
上流側リターン管路７の終端８を共に前記液相部
に開口するように構成することができる。

又下流側リターン管路１３の終端１１、すなわ
ちリターン通路５の終端１１を、ブリーザパイプ
１７に開口させることもできる。

更に上記実施例は、リターン通路５の始端を燃
料ポンプ２の吐出部に接続したものに係るが、第
１図に仮想線で示す如く、リターン通路５の始端
をフロート室３の流入部に接続したフユーエルリ
ターン装置に本考案を実施することもできる。

（考案の効果） 本考案は上記構成を有し、リターン通路の終端
を給油パイプ又はブリーザパイプに開口させてい
るので、燃料タンク本体部の周辺にリターン通路
用配管を設ける必要がなくなり、燃料タンク取付
部の空間を上下方向に大きくとることが困難な場
合においても、リターン通路の配管を容易になす
ことができる。又従来例の如く燃料タンクの容量
がリターン通路の接続部によつて削減されるとい
うことはない。

又本考案は中間タンクに溜めた燃料によつて、
燃料タンク内で発生した蒸発燃料が吸気系に流出
することを防止できるので、従来例と同等の蒸発
燃料流出防止効果を得ることができる。

更に本考案は中間タンクをフロート室よりもで
きるだけ低位置に設け、フロート室の油面と中間
タンクの油面との落差を大きくとることによつて
上流側リターン通路内にある燃料を押さえ込むこ
とができるので、燃料タンクで発生した蒸発燃料
のベーパー圧によつて前記燃料が吸気系は流出す
るのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例のシステム図、第２図
はその要部の拡大断面図である。 １……燃料タンク、２……燃料ポンプ、３……
フロート室、５……リターン通路、６……リター
ン通路の始端、７……上流側リターン管路、８…
…上流側リターン管路の終端、９……中間タン
ク、１０……下流側リターン管路の始端、１１…
…リターン通路の終端、１２……給油パイプ、１
３……下流側リターン管路、１７……ブリーザパ
イプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リターン通路の始端を燃料ポンプの吐出部又は
   気化器のフロート室の流入部に開口させると共
   に、終端を燃料タンクの給油パイプ又はブリーザ
   パイプに開口させる一方、リターン通路の途中に
   燃料を一時溜める中間タンクを配置し、この中間
   タンクの液相部に上流側リターン管路の終端及び
   下流側リターン管路の始端の少なくとも一方を開
   口させ、且つ前記中間タンクを前記フロート室よ
   りも低位置に設けたことを特徴とする内燃機関の
   フユーエルリターン装置。