JPH0140257B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は空気調和装置に関する。

従来例の構成とその問題点 従来のこの種の空気調和装置は、暖房時、第１
図に示すように吹出気流（図中矢印で示す。）を
所定の角度で下向きに偏向させ、室内温度分布を
良好に保つている。室温が設定値に到達後の安定
状態であれば、居住域（図中被線で示す。）内に
侵入する吹出気流が冷風感を生じさせる度合は小
さいが、特に運転開始後の立上り時には室温が低
く、そのため吹出温度も低いことから冷風感を生
じやすい。この冷風感を解決するために従来立上
り時の室温または吹出温度が低いときには吹出風
向を居住域外の水平に向け、室温あるいは吹出温
度が冷風感を生じさせない程度まで上昇した後、
下向きに気流を切り換える手段がとられている。
しかし、運転立上り時に風向を水平にすると室下
方の気温がなかなか上昇せず、冷風感は生じない
が、暖房感を得るまでに時間がかかるという欠点
を有していた。

発明の目的 本発明はかかる従来の欠点を解消するもので、
特に運転立上り時の快適性を向上させることを目
的とする。

発明の構成 この目的を達成するために本発明は吹出風向変
更手段と、室内温度検知手段または吹出温度検知
手段と、室内温度検知手段または吹出温度検知手
段の出力とある一定値とを比較する比較手段と、
運転開始後の時間を計時するタイマー回路と、比
較器の比較結果が満足されるかまたはタイマー回
路がある一定時間を満了するまで、前記吹出風向
変更手段による風向を床面に対して略垂直下向き
あるいは本体に最も近い壁面方向に制御する制御
装置を設けたものである。

この構成によつて機器の運転開始後、室温ある
いは吹出温度が低いときに吹出方向を床面と垂直
か、機器に最も近い壁面方向に向けることによつ
て、居住域内に気流を侵入させず、かつ室下方の
一部の気温を上昇させる作用を有する。

実施例の説明 以下、本発明の一実施例を第２図〜第６図を用
いて説明する。

第２図において１は空気調和装置本体で、内部
に熱交換器２、送風機３等を有する。吹出口４に
は吹出風向変更手段として風向制御翼５ａ，５
ｂ，５ｃが設けられ各翼は連結棒６により連結さ
れている。また風向制御翼５ａの軸７の端部には
ステツプモータ８が取り付けられており、吸込口
９に設けられた室温を検知するサーミスタ１０の
出力により、制御装置１１を介して、回転角度が
制御される。

第３図は制御装置１１のブロツク図で、室内温
度を検出するサーミスタ１０、このサーミスタ１
０の出力とあらかじめ設定された値とを比較する
比較手段２０と、その比較結果に基づいてステツ
プモータ８を回転させるステツプモータ制御回路
１２、及びタイマー回路１３で構成される。

上記構成において暖房運転を開始した場合の動
作を第４図〜第６図を用いて説明する。

第４図は動作のフローチヤートである。運転が
開始されるとタイマー回路１３が作動し、運転開
始後の時間がカウントされる１４。このとき、風
向制御翼５ａ，５ｂ，５ｃは、風向が垂直下向き
になるように設定されているサーミスタ１０によ
り室内温度Ｔが検知され１５、比較手段２０によ
り吹出風向切換温度Tcと比較されて１６、Ｔ＞
Tcであれば、ステツプモータ制御回路１２はス
テツプモータ８を回転させ、吹出風向が下向き
70゜〜80゜になる位置に風向制御翼を回動させる１
７。Ｔ≦Tcの場合、タイマー回路１３による運
転開始後の時間ｔと吹出風向切換時間tcが比較さ
れ１８、ｔ＞tcであれば前記と同様に風向を切り
換える１７。Ｔ≦tcかつｔ≦tcのときには、風向
を垂直下向きに保つ１９。

ここで吹出風合を垂直下向きにした場合の室内
気流を第５図に示す。吹出気流は床面に到達して
拡散し、周囲への到達距離が短く、室内の一部に
しか広がらずに再び上昇する。この場合、機器が
設置された側の空気が加熱されていく。したがつ
て、運転開始時には図中Ａの範囲に居住者が位置
することにより暖房効果が得られ、気流は床面で
減衰されているので不快な冷風感も生じない。

第５図Ａの範囲における立上り時の気温上昇を
横軸に時間をとつて示すと第６図のようになる。
室温がTcに達するか、時間がtcだけ経過するま
で垂直下向きに気流が吹出されるので、室内のＡ
の範囲で気流が循環して図中ａに示すように温度
上昇は早い。その後、吹出気流が冷風感を感じな
い程度に上昇すれば、下向70〜80゜の吹出角度に
変更して室内全体の空調に切り換える。一方、従
来の下向70〜80゜一定の吹出気流による例をｂを
示す。この場合は立上り時より室内全体の空気を
循環させて一様に温度上昇させていくが、それ故
にＡの範囲の上昇速度はおそい。さらに、低温時
より吹出気流が居住域内に侵入して冷風感をも生
じさせる。

このように、運転立上り時に吹出気流を床面に
向けて垂直に吹出すことにより、居住域内に冷風
感を生じさせず、また居住域の一部分を暖房する
ことが可能なため、居住者がその範囲に位置する
ことにより暖房感を早く得ることが可能となる。
さらに、吹出気流の一部は壁面や窓を直接加熱す
るため、機器設置側の壁面に居住者が近づいた場
合の冷輻射をおさえる効果も有する。

本実施例は、暖房時について説明したが、冷房
時について運転開始時に同様の制御を行なうこと
により、冷房感を早く得ることができ、立上り時
の快適性を向上させることができる。

図示しないが、他の実施例として風向変更を吹
出温度に基づいて行なつても、類似の効果を得
る。さらに吹出風向を機器本体に最も近い壁面方
向に向けることにより、壁面の加熱（暖房時）・
冷却（冷房時）効果が増すとともに、風量が大き
いとき等、気流の速度を減衰させて拡散させたい
場合に非常に有効な方法となる。

発明の効果 以上のように本発明の空気調和装置によれば次
の効果が得られる。

(1) 吹出風向変更手段と、室内温度検知手段また
は吹出温度検知手段と、室内温度検知手段また
は吹出温度検知手段の出力とある一定値とを比
較する比較手段と、運転開始後の時間を計時す
るタイマー回路と、比較手段の比較結果が満足
されるかまたはタイマー回路がある一定時間を
満了するまで、前記吹出風向変更手段による風
向を床面に対して略垂直下向きあるいは本体に
最も近い壁面方向に制御する制御装置を設けた
構成としているので、機器の運転開始後の室温
または吹出温度が低いときに吹出気流を居住域
内に侵入せずにある領域の空気温度だけを上昇
させることができるため、低温の吹出気流によ
る冷風感をおさえるとともに、室内空気全体を
加熱する場合に比べて、加熱している領域に居
住者が位置することにより、暖房感を早く得る
ことができるという効果を有する。

(2) 吹出気流の一部あるいは全部が機器本体に最
も近い壁面に直接当たるので、暖房時には壁面
が加熱され冷輻射がおさえられる。このとき居
住者はこの壁面に近づいているため効果は大き
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の空気調和装置による吹出気流と
居住域の関係を示した図、第２図は本発明の空気
調和装置の一実施例を示す断面図、第３図は同制
御装置のブロツク図、第４図は同動作を示すフロ
ーチヤート、第５図は同室内気流の状態を示した
図、第６図は第５図中の領域Ａにおける本発明と
従来の空気調和装置の時間に対する気温の上昇特
性図である。 １……空気調和装置本体、５ａ，５ｂ，５ｃ…
…風向制御翼、８……ステツプモータ、１０……
サーミスタ、１１……制御装置、１３……タイマ
ー回路、２０……比較手段。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 吹出風向変更手段と、室内温度検知手段また
   は吹出温度検知手段と、前記室内温度検知手段ま
   たは吹出温度検知手段の出力とある一定値とを比
   較する比較手段と、運転開始後の時間を計時する
   タイマー回路と、前記比較器の比較結果が満足さ
   れるかまたは前記タイマー回路がある一定時間を
   満了するまで、前記吹出風向変更手段による風向
   を床面に対して略下向きあるいは本体に最も近い
   壁面方向に制御する制御装置を設けた空気調和装
   置。