JPH0139989Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、伸縮継手に係り、継手本体の両開口
端面に嵌合されてパツキングを接続される管体に
圧接する合成樹脂で成形されたフランジ体を締着
する構造に関する。

〔従来の技術〕

水道管、排水管などを接続する伸縮継手は、例
えば、接続される管体の端部が挿入される円筒状
の継手本体と、この本体の両端部に嵌合される略
円環状の一対のフランジ体と、前記本体の両端面
の周縁部とフランジ体の内周縁部とで挾持される
ゴムなどで成形された略円環状のパツキングとを
備えた構造が採られている。

さらに、前記一対のフランジ体の外周側に、挿
通孔を設けた複数の突出部を形成し、この相対向
する突出部の挿通孔にボルトを挿通し、このボル
トをナツトで締める構造となつている。すなわ
ち、前記継手本体に接続すべき管体の端部を嵌合
し、前記ナツトを締めると、前記両フランジ体が
締着されるとともに、前記パツキングが本体の両
端面周縁部と管体の外周面とに圧接されること
で、漏水防止がなされて、前記管体が接続され
る。

そして、このような伸縮継手においては、従
来、継手本体を合成樹脂で成形したものは知られ
ているが、フランジ体は、その突出部をボルトと
ナツトとで強く締めた場合に大きな荷重がかかる
ため、充分な剛性を有する鋳鉄で成形されてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、特に船舶等で用いられる伸縮継手で
は、この継手が軽量であることが望ましいのだ
が、上記従来のフランジ体を鋳鉄で成形する構造
では、フランジ体が重くなり、かつ錆び易い欠点
があつた。

そこで、フランジ体を合成樹脂で成形すること
が考えられる。フランジ体を合成樹脂で成形して
も、パツキングが止水機能を発揮する程度に、継
手本体および管体に圧接された状態で、前記フラ
ンジ体がボルトおよびナツトで締着された際にか
かる荷重に対し、本来この合成樹脂で成形された
フランジ体は耐えることができる。

しかしながら、上記従来の伸縮継手の構造で
は、パツキングが止水機能を発揮する程度に圧接
された後にも、ナツトを締めるに際しての手応え
があまり明確でないために、必要以上に締め過
ぎ、このときにかかる荷重にフランジ体が耐える
ことができず、変形や破損を生ずるなどの問題点
がある。

本考案の目的は、フランジ体を合成樹脂で成形
することによつて、軽量で耐食性に優れ、かつ量
産性を有するとともに、フランジ体がボルトおよ
びナツトで必要以上に締めつけられることがな
く、このフランジ体に過度の荷重がかかることの
ない伸縮継手を得ることである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の伸縮継手は、両開口端面から接続すべ
き管体が挿入される筒状の継手本体と、この継手
本体の両端面に嵌合される合成樹脂で成形した略
環状の一対のフランジ体と、前記継手本体の両端
面とフランジ体の各内周縁とで挾持され前記管体
の外周面に圧接される環状のパツキングと、前記
両フランジ体を締着するボルトおよびナツトと、
前記両フランジ体間に位置して一端部が前記フラ
ンジ体に固着または一体的に形成され前記ボルト
およびナツトによる締着時に前記フランジ体の接
近距離を規制する略筒状の係止体とを具備したこ
とを特徴とするものである。

〔作用〕

本考案の伸縮継手は、継手本体の両開口端面か
ら接続すべき管体の端部を挿入し、ついで、前記
継手本体の両端面に嵌合されたフランジ体をボル
トおよびナツトで締着すると、前記継手本体の両
端面とフランジ体の各内周縁とで挾持されたパツ
キングが前記管体の外周面に圧接され、漏水防止
がなされて前記管体が接続されるとともに、前記
フランジ体間に位置して一端部がフランジ体に固
設された係止体によつて、前記両フランジ体の接
近距離が規制され、合成樹脂で成形されたこれら
フランジ体が強く締めつけられ過ぎることがない
ようにしたものである。

〔実施例〕

本考案の一実施例の構成を第１図および第２図
について説明する。

１は合成樹脂で成形された円筒形状の継手本体
で、両開口端面の周縁部は、内径側へ向つて内側
に傾斜した傾斜面に形成されている。

２は合成樹脂で成形され前記継手本体１の両端
部に嵌合される一対のフランジ体で、略円環状に
形成されている。このフランジ体２の前記継手本
体１の両端面周縁部に対向する内側面周縁部は、
外径側へ向つて内側に傾斜した傾斜面に形成され
ている。また、このフランジ体２の外周側には複
数の突出部３が設けられ、この突出部３には挿通
孔４が形成されている。さらに、この挿通孔４
は、中央部より内側で若干拡径されて嵌合孔５と
なつている。

６は合成樹脂で成形された円筒形の係止体で、
一端部が一方の前記フランジ体２の嵌合孔５に接
着または熔着されて嵌合されており、他端部は他
方のフランジ体２の相対応する嵌合孔５に挿脱自
在に嵌合されるようになつている。また、この係
止体６の長さは、パツキング７を介してフランジ
体２を継手本体１の両端部に嵌合した際の対応す
る嵌合孔５の底面間の距離より若干短くなつてい
る。

前記パツキング７は、ゴムなどの弾性体で円環
状に成形され、前記継手本体１の両端面周縁部と
前記フランジ体２の各内側面周縁部とで挾持され
るようになつている。

８はボルトで、前記両フランジ体２の対応する
挿通孔４と係止体６とに挿通され、このボルト８
にワツシヤ９を介してナツト１０を締め付けるこ
とで、前記両フランジ体２が締着されるようにな
つている。

つぎに、この実施例の作用について説明する。

水道管或いは排水管などの接続すべき管体を継
手本体１の両開口端面より挿入する。

ついで、ナツト１０を締めると、パツキング７
が継手本体１の両端面周縁部とフランジ体２の各
内側面周縁部とで押圧されて内径方向への力を受
け、このパツキング７が前記管体の外周面に圧接
されることで、漏水防止がなされて両管体が接続
される。

このようにナツト１０を締めていくと、係止体
６の固着されていない側の端面がフランジ体２の
嵌合孔５の底面に当接されて、両フランジ体２の
接近は一定距離で係止される。

このように、両フランジ体２のボルト８および
ナツト１０による締着が一定の時点で阻止される
ので、両フランジ体２が必要以上に強く締めつけ
られることがなく、合成樹脂で成形されたこのフ
ランジ体２は、ボルト８およびナツト１０の締め
つけによる荷重に耐えることができる。

また、係止体６は一方のフランジ体２に固着し
てあるので、作業時に扱うべき部材点数が減つ
て、作業効率が高まる。

なお、係止体６は、第２図に示すように、すべ
て一方のフランジ体２の嵌合孔５に固着してもよ
いが、第３図に示すように、各係止体６を、別の
フランジ体２の嵌合孔５に固着するようにしても
よい。

また、上記実施例では、係止体６をフランジ体
２の嵌合孔５に接着または熔着する構造について
説明したが、係止体６はそれぞれ一方のフランジ
体２と一体的に成形してもよい。

つぎに、本考案のさらに他の実施例を第４図に
ついて説明する。

この実施例では、一対の円筒形状の係止体６
が、それぞれ両フランジ体２の嵌合孔５に接着ま
たは熔着される。そして、両係止体６の長さは、
パツキングを介してフランジ体２を継手本体１の
両端部に嵌合したとき、相対向する両係止体６間
に若干の間隙が生ずる長さにする。なお、両係止
体６の長さは等しくする必要はない。すなわち、
間隙の生ずる位置は中央部に限らない。また、こ
の実施例においても、各係止体は、各フランジ体
２と一体的に成形してもよい。

この構造では、各フランジ体２の挿通孔４と係
止体６に挿通されたボルトにナツトを螺着して、
両フランジ体２を締めつけると、相対向する係止
体６の内側端面が当接されて、両フランジ体２の
接近が係止される。

これらの実施例において、係止体６にボルト８
が挿通されるようにしたので、特に大きな荷重の
かかる挿通孔４近傍でフランジ体２が係止体６に
より支持され、係止効果がより高まる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、パツキングを介して継手本体
の両端部に嵌合されるフランジ体は合成樹脂で成
形したので、このフランジ体を鋳鉄で成形した場
合に比べ、軽量化できるとともに耐食性および量
産性に優れ、また、前記両フランジ体間に位置し
て係止体を設けたので、これらフランジ体をボル
トおよびナツトで締着する際には、前記係止体に
よりフランジ体の接近が係止されて、このフラン
ジ体が必要以上に締めつけられることがなく、し
たがつて、合成樹脂で成形されたこのフランジ体
が締めつけによる荷重に耐えることができ、さら
に、前記係止体はフランジ体に一端部を固設した
ので、扱うべき部品点数が減つて作業時の能率が
高まるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す伸縮継手の縦
断側面図、第２図は同上フランジ体および係止体
の一部を切り欠いた側面図、第３図は本考案の他
の実施例を示すフランジ体および係止体の一部を
切り欠いた側面図、第４図は本考案のさらに他の
実施例を示す伸縮継手の一部を切り欠いた側面図
である。 １……継手本体、２……フランジ体、６……係
止体、７…パツキング、８……ボルト、１０……
ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両開口端面から接続すべき管体が挿入される筒
   状の継手本体と、この継手本体の両端面に嵌合さ
   れる合成樹脂で成形した略環状の一対のフランジ
   体と、前記継手本体の両端面とフランジ体の各内
   周縁とで挾持され前記管体の外周面に圧接される
   環状のパツキングと、前記両フランジ体を締着す
   るボルトおよびナツトと、前記両フランジ体間に
   位置して一端部が前記フランジ体に固着または一
   体的に形成され前記ボルトおよびナツトによる締
   着時に前記フランジ体の接近距離を規制する略筒
   状の係止体とを具備したことを特徴とする伸縮継
   手。