JPH0138975B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は自動車の手動変速機機等において一般
に採用されている同期装置、すなわち、回転軸上
に回転可能に組付けたギヤに一体的に設けたスプ
ラインピース、このスプラインピースのコーン部
上に組付けられて前記スプラインピースとにより
円錐クラツチを構成するシンクロナイザリング、
前記回転軸上にスプライン結合したクラツチハ
ブ、このクラツチハブ上にスプライン結合されて
前記スプラインピースとシンクロナイザリングの
外周に形成した外スプラインに係合可能な内スプ
ラインを内周に設けてなるスリーブ、このスリー
ブの内周に組付けられスプリングにより外方に付
勢されて前記スリーブの軸方向移動初期に前記シ
ンクロナイザリングを前記スプラインピースに向
けて押動するキーを備えてなる同期装置（所謂ワ
ーナ式同期装置）に関する。

〔従来技術〕

上記した形式の同期装置においては、従来、前
記シンクロナイザリングの外スプラインと前記ス
プラインピースの外スプラインが同一径であり、
また前記スリーブの内スプラインが同一形状に形
成されている。このため、スリーブによつてスプ
ラインピースとクラツチハブを連結する場合、ス
リーブの内スプラインをシンクロナイザリングの
外スプラインとスプラインピースの外スプライン
に順次係合させる必要があり、シンクロナイザリ
ングの外スプラインの軸方向長さと、スプライン
ピースの外スプラインの軸方向長さと、中立位置
にあるスリーブとシンクロナイザリング間の軸方
向隙間と、シンクロナイザリングとスプラインピ
ース間の軸方向隙間の和に相当する量スリーブを
軸方向へ移動させる必要がある。したがつて、比
較的長いシフトストローク（軸方向移動量）を要
し、良好なシフトフイーリングを得ることができ
ないことがある。また、従来の装置においては、
スリーブの内スプラインの端部に形成したチヤン
フアがシンクロナイザリングの外スプラインの端
部に形成したチヤンフアを通過した後スプライン
ピースの外スプラインの端部に形成したチヤンフ
アに係合するまでの間に、スリーブとスプライン
ピースの相対回転が大きくなることがあり、それ
による不具合（所謂、２段入りやギヤ鳴り等）が
生じることがある。

〔発明の目的〕

本発明は上記した問題に着目してなされたもの
で、その目的はシンクロナイザリングの外スプラ
イン、スリーブの内スプライン及びクラツチハブ
の形状を変更して、シフトストロークを減少させ
シフトフイーリングの向上を図るとともに、スリ
ーブの内スプラインがシンクロナイザリングの外
スプラインと係合を完了した後においてはスリー
ブとスプラインピースの相対回転が大きくならな
いようにして上記した不具合を解消することにあ
る。

〔発明の構成〕

かかる目的を達成するために、本発明において
は、シンクロナイザリングの外スプラインをスプ
ラインピースの外スプラインより小径とし、かつ
スリーブの内スプラインをシンクロナイザリング
の外スプラインと係合する第１の内スプラインと
スプラインピースの外スプラインと係合する第２
の内スプラインの２種類とし、第１の内スプライ
ンの軸方向長さを第２の内スプラインの軸方向長
さより所定量短くした。

〔発明の作用・効果〕

これにより、本発明においては、スリーブの第
１内スプラインの端部に形成されるチヤンフアが
これに係合するシンクロナイザリングの外スプラ
インに形成したチヤンフアを通過した直後に、ス
リーブの第２内スプラインの端部に形成されるチ
ヤンフアがこれに係合するスプラインピースの外
スプラインに形成したチヤンフアに係合するよう
に構成できる。したがつて、スリーブの第１内ス
プラインをシンクロナイザリングの外スプライン
上にて軸方向へ移動させると同時にスリーブの第
２内スプラインをスプラインピースの外スプライ
ン上にて軸方向へ移動させることができて、シフ
トストロークを減少させることができ、シフトフ
イーリングの向上を図ることができる。また、ス
リーブの第１内スプラインのチヤンフアがシンク
ロナイザリングの外スプラインのチヤンフアを通
過した直後においてスリーブの第２内スプライン
のチヤンフアがスプラインピースの外スプライン
に形成したチヤンフアに係合するようにできて、
スリーブとスプラインピースの相対回転増加を防
止することができ、相対回転大による不具合を未
然に防止することができる。

また、本発明においては、スリーブにおける第
１内スプラインの端部が第２内スプラインの端部
に対して軸方向にも径方向にも変位して設けられ
ているため、第１内スプラインの端部にチヤンフ
ア成形加工のための逃げ等を十分に確保すること
ができる。なお、チヤンフアは通常大径側に切り
込んで加工されるが、上記したチヤンフア成形加
工のための逃げ等を十分に確保することができな
い場合には、カツタがスリーブにおける第１内ス
プラインの端部以外の部分に干渉して所定形状の
チヤンフアが精度よく形成できなくなる。

更に、本発明においては、スリーブにおける第
２内スプラインがスプラインピースの外スプライ
ンに十分係合した状態にて第１スプラインの端部
がスプラインピースの端面に当接するように構成
でき、これによりシフトストツパの役目を果させ
ることができる。

〔実施例〕

以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図は本発明に係る一同期装置の円周方向
のある位置における断面を示していて、かかる構
成は円周方向３等分位置にて同じであり、その間
の円周方向３等分位置には第２図にて示した構成
が採用されている。

同期装置は、第１図及び第２図にて示したよう
に、スプラインピース１１，１１と、シンクロナ
イザリング１２，１２と、クラツチハブ１３と、
スリーブ１４と、キー１５を備えている。スプラ
インピース１１，１１は、回転軸２０上に回転可
能に組付けたギヤ２１，２２に一体的に設けられ
ていて、ギヤ２１，２２と一体的に回転する。ま
た各スプラインピース１１の外周には外スプライ
ン１１ａが形成され、その端部にはチヤンフア１
１ｂが形成されている。各シンクロナイザリング
１２は、スプラインピース１１のコーン部１１ｃ
上に組付けられていて、スプラインピース１１と
により円錐クラツチを構成する。また各シンクロ
ナイザリング１２の外周には外スプライン１２ａ
が形成され、その端部にはチヤンフア１２ｂが形
成されている。クラツチハブ１３は、回転軸２０
上にスプライン結合されていて、回転軸２０と一
体的に回転する。スリーブ１４は、クラツチハブ
１３上にスプライン結合されていて、内周にはシ
ンクロナイザリング１２の外スプライン１２ａと
スプラインピース１１の外スプライン１１ａに係
合可能な内スプラインが形成されている。キー１
５は、両端内周をシンクロナイザリング１２に設
けたキー溝１２ｃ内に嵌合してスリーブ１４の内
周に組付けられスプリング１６，１６により外方
に付勢されていて、スリーブ１４の軸方向移動初
期にシンクロナイザリング１２をスプラインピー
ス１１に向けて押動する。

しかして、本実施例においては、各シンクロナ
イザリング１２の外スプライン１２ａがスプライ
ンピース１１の外スプライン１１ａより小径とさ
れている。また、スリーブ１４の内スプライン
が、シンクロナイザリング１２の外スプライン１
２ａと係合する第１内スプライン１４ａ（第１図
参照）とスプラインピース１１の外スプライン１
１ａと係合する第２内スプライン１４ｂ（第２図
参照）の２種類とされ、各内スプライン１４ａ，
１４ｂの両端部にはチヤンフア１４ｃ，１４ｄが
それぞれ形成されている。更に、第１内スプライ
ン１４ａの軸方向長さが第２内スプライン１４ｂ
の軸方向長さより所定量短くされている。なお、
上記した構成以外の構成は従来公知のワーナ式同
期装置の構成と同じである。

上記のように構成した本実施例においては、ス
リーブ１４が図示しないシフトフオークにより軸
方向へ移動されると、スリーブ１４につれられた
キー１５によつてシンクロナイザリング１２がス
プラインピース１１に向けて押動され、スプライ
ンピース１１とシンクロナイザリング１２からな
る円錐クラツチに初期摩擦力が発生し、シンクロ
ナイザリング１２がスリーブ１４に対してわずか
に回転してそのチヤンフア１２ｂがスリーブ１４
の第１内スプライン１４ａのチヤンフア１４ｃに
係合する。円錐クラツチにて生じる摩擦トルクが
チヤンフア１２ｂ，１４ｃの係合にて発生する割
出トルクより大きければ、チヤンフア１２ｂ，１
４ｃの係合が保持されてスリーブ１４の軸方向移
動が阻止され、同期が促される。同期が促されて
円錐クラツチにて生じる摩擦トルクがチヤンフア
１２ｂ，１４ｃの係合にて発生する割出トルクよ
り小さくなると、割出トルクによつてシンクロナ
イザリング１２が逆方向へわずかに回転され、ス
リーブ１４の軸方向移動が許容される。

ところで、本実施例においては、スリーブ１４
の内スプラインが第１内スプライン１４ａと第２
内スプライン１４ｂの２種類とされ、第１内スプ
ライン１４ａの軸方向長さが第２内スプライン
14bの軸方向長さより所定量短くされているた
め、第１内スプライン１４ａの端部に形成したチ
ヤンフア１４ｃがシンクロナイザリング１２の外
スプライン１２ａに形成したチヤンフア１２ｂを
通過した直後に、第２内スプライン１４ｂの端部
に形成したチヤンフア１４ｄがスプラインピース
１１の外スプライン１１ａに形成したチヤンフア
１１ｂに係合する。したがつて、第１内スプライ
ン１４ａをシンクロナイザリング１２の外スプラ
イン１２ａ上にて軸方向へ移動させると同時に第
２内スプライン１４ｂをスプラインピース１１の
外スプライン１１ａ上にて軸方向へ移動させるこ
とができて、スリーブ１４のシフトストロークを
減少させることができ、シフトフイーリングの向
上を図ることができる。また、スリーブ１４の第
１内スプライン１４ａのチヤンフア１４ｃがシン
クロナイザリング１２の外スプライン１２ａのチ
ヤンフア１２ｂを通過した直後においてスリーブ
１４の第２内スプライン１４ｂのチヤンフア１４
ｄがスプラインピース１１の外スプライン１１ａ
に形成したチヤンフア１１ｂに係合するため、ス
リーブ１４とスプラインピース１１の相対回転増
加を防止することができ、相対回転大による不具
合を未然に防止することができる。

また、スリーブ１４における第１内スプライン
１４ａの端部が第２内スプライン１４ｂの端部に
対して軸方向にも径方向にも変位して設けられて
いるため、第１内スプライン１４ａの端部にチヤ
ンフア成形加工のための逃げ等を十分に確保する
ことができる。なお、チヤンフア１４ｃは通常大
径側に切り込んで加工されるが、上記したチヤン
フア成形加工のための逃げ等を十分に確保するこ
とができない場合には、カツタがスリーブ１４に
おける第１内スプライン１４ａの端部以外の部分
に干渉して所定形状のチヤンフア１４ｃが精度よ
く形成できなくなる。

更に、スリーブ１４における第２内スプライン
１４ｂがスプラインピース１１の外スプライン１
１ａに十分係合した状態にて第１スプライン１４
ａの端部がスプラインピース１１の端面Ｓに当接
するように構成でき、これによりシフトストツパ
の役目を果させることができる。

なお、上記実施例においては、第１内スプライ
ン１４ａをスリーブ１４に一体的に形成したが、
本発明の実施に際しては、第４図〜第６図にて示
したように、スリーブ１４の内周に別部材を嵌着
して第１内スプライン１４ａを形成してもよい。
第４図〜第６図に示した同期装置のその他の構成
及び作用は上記実施例の同期装置と同じであるた
め説明は省略する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る一同期装置の円周方向の
ある位置における断面図、第２図は本発明に係る
一同期装置の円周方向の他の位置における断面
図、第３図は第１図の−線に沿う展開図、第
４図は本発明に係る他の同期装置の円周方向のあ
る位置における断面図、第５図は第４図の−
線に沿う断面図、第６図は第４図の−線に沿
う展開図である。 符号の説明、１１……スプラインピース、１１
ａ……外スプライン、１１ｂ……チヤンフア、１
１ｃ……コーン部、１２……シンクロナイザリン
グ、１２ａ……外スプライン、１２ｂ……チヤン
フア、１３……クラツチハブ、１４……スリー
ブ、１４ａ……第１内スプライン、１４ｂ……第
２内スプライン、１４ｃ，１４ｄ……チヤンフ
ア、１５……キー、１６……スプリング、２０…
…回転軸、２１，２２……ギヤ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 回転軸上に回転可能に組付けたギヤに一体的
   に設けたスプラインピース、このスプラインピー
   スのコーン部上に組付けられて前記スプラインピ
   ースとにより円錐クラツチを構成するシンクロナ
   イザリング、前記回転軸上にスプライン結合した
   クラツチハブ、このクラツチハブ上にスプライン
   結合されて前記スプラインピースとシンクロナイ
   ザリングの外周に形成した外スプラインに係合可
   能な内スプラインを内周に設けてなるスリーブ、
   このスリーブの内周に組付けられスプリングによ
   り外方に付勢されて前記スリーブの軸方向移動初
   期に前記シンクロナイザリングを前記スプライン
   ピースに向けて押動するキーを備えてなる同期装
   置において、前記シンクロナイザリングの外スプ
   ラインを前記スプラインピースの外スプラインよ
   り小径とし、かつ前記スリーブの内スプラインを
   前記シンクロナイザリングの外スプラインと係合
   する第１内スプラインと前記スプラインピースの
   外スプラインと係合する第２内スプラインの２種
   類とし、前記第１内スプラインの軸方向長さを前
   記第２内スプラインの軸方向長さより所定量短く
   したことを特徴とする同期装置。