JPH0138671B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、輪転印刷機の印刷機構の互いに接触
する胴を相互に支持する装置に関する。

アメリカ合衆国特許第2362069号明細書で公知
の印刷機では、プレロードをかけられて互いに転
動する胴枕が側方フレームの内側で胴の端面にそ
れぞれ配置されている。通常胴の駆動歯車のピツ
チ円直径に等しい外径を有するこのような胴枕は
次のような機能を有している。即ち、 (イ) 両胴の表面間で所望の印圧を生ぜしめる。

(ロ) 両胴を正確な間隔で平行に保持する。

(ハ) ジヤーナルのたわみおよび主軸受け負荷をほ
ぼコンスタントに維持する。

(ニ) 駆動歯車のかみ合い不良により生ぜしめられ
る振動を減衰してギヤ目の発生を防止する。

(ホ) 駆動歯車に付加的に転動摩擦により胴を駆動
する。

従つて胴枕がないと特に凸版印刷機のばあい容
易にギヤ目が生ずるようになる。それというのも
圧胴と版胴との間の胴間隔が印刷中わずかばかり
変化するからである。精密なオフセツト印刷機に
おいてもプレロードをかけて胴枕を接触させた状
態ですべてのゴム胴と版胴とを転動させれば、い
わゆるブレのない申し分なく鮮明な印像が極めて
容易に得られるようになる。

胴枕を用いた胴支持形式はあらゆる要求を満た
すが唯一の（いずれにせよ重要な）経済上の欠点
として修理問題がある。特殊鋼から成る正確に真
円に形成された頑丈な胴枕は、印刷中胴が変形し
たばあい片寄つた負荷を受け、これによつて偏摩
耗するようになる。このばあい胴枕の交換に際し
て胴が取りはずされねばならず、従つて印刷機は
不都合に長い時間停止されねばならなくなる。従
来胴枕を分割することが試みられたが、負荷およ
び精度の理由から実現できなかつた。

更にドイツ連邦共和国特許第1253282号明細書
で公知の印刷機では、胴と共に回転する胴枕の代
わりに、側方フレームの内側にころがり軸受けと
して構成された支持リングが設けられている。こ
の公知の構成では支持リングは胴と共に回転しな
いため、印刷中胴が変形して片寄つた負荷を受け
たばあいでも支持リングの摩耗が回避され、ま
た、胴と共に回転する胴枕のばあいに生ずること
のある支持リング表面における紙の巻付きも生じ
ないので、表面損傷の危険も回避される。しかし
ながらこの公知の印刷機は実地においては適さな
い。それというのも支持リングは従来の胴枕のば
あいのように胴を支持する機能は有しているが、
申し分のない印像を得るために重要な構成部材、
即ち駆動歯車のかみ合い不良により生ぜしめられ
る振動を減衰してギヤ目の発生を防ぐ機能を有す
る構成部材が欠けているからである。

従つて本発明の課題は、従来の胴枕運転に相応
する機能が得られ、しかも必要とされる修理を行
うばあいに印刷機を長い時間停止させずに済むよ
うにすることにある。

前記課題は本発明によれば、印刷機構の互いに
接触する２つ胴のジヤーナルに側方フレームと各
胴の両端面側との間でそれぞれ支持リングが支承
されていて、該支持リングがジヤーナルに対して
相対回転可能にかつ側方フレームに対して回動不
能に支承されていて、更に支持リングがプレロー
ドをかけられて周面で互いに支持されており、前
記ジヤーナルに側方フレームの外側で各胴の少な
くとも一方の端面側で転動リングが支承されてい
て、該転動リングがジヤーナルに対して相対回動
不能に結合されていてかつプレロードをかけられ
て転動面で互いに転動するようになつていること
によつて解決された。

本発明によつて得られる利点は特に、従来の構
造形式の胴枕の有利な機能を維持できるというこ
とにある。

本発明では支持リングはころがり軸受け又はす
べり軸受けを組込まれて、ドイツ連邦共和国特許
第1253282号明細書で公知の印刷機のように、ジ
ヤーナルに対して相対回転可能に支承されてい
る。プレロードをかけられて互いに支持し合う本
発明による定置の支持リングは(イ)、両胴の表面間
で所望の印圧を生ぜしめかつ(ロ)、側方フレームの
内側で胴を正確な間隔で平行に保持し、かつ(ハ)、
ジヤーナルのたわみおよび主軸受け負荷をほぼコ
ンスタントに維持する。更に支持リングは胴と共
に回転しないため、印刷中胴が変形して片寄つた
負荷を受けたばあいでも互いに接触する支持リン
グの支持面の摩耗が回避されると共に、胴と共に
回転する胴枕において生ずることのある胴枕表面
における紙の巻付きも支持リングにおいては生じ
ないので、支持リングの支持面の表面損傷の危険
も回避される。従つて支持リングの耐用寿命が著
しく高められる。

更に、プレロードをかけられて互いに転動する
本発明による転動リングは、(イ)、駆動歯車のかみ
合い不良により生ぜしめられる振動を減衰してギ
ヤ目の発生を防止し、かつ(ロ)、駆動歯車に付加的
に転動摩擦によつて胴を駆動する。プレロードを
かけられて転動面で互いに転動する摩耗を受け易
い転動リングは、側方フレームの外側で別個にし
かも容易に転動リングに近づけるように配置され
ているので、必要な交換を短時間でその場で行う
ことができる。従つて胴の面倒な取りはずしを行
わずに済みかつ修理のために胴を印刷機運転場所
から印刷機製造工場に送らずに済みひいてはこの
ために必要な印刷機停止時間が省かれる。従つて
本発明は経済的にみて極めて有利でありかつ印刷
機運転業者および印刷機製造業者に対するこれま
で存在した胴枕運転の欠点も回避される。特に印
刷中の胴変形により生ぜしめられる片寄つた負荷
は支持リングによつて受け止められるので、転動
リングの摩耗も従来の胴枕に比して著しく減少さ
れる。

図示の実施例につき本発明を説明する。

本発明によれば修理し易い胴支持装置は、側方
フレームの内側に配置された定置の支持リングと
側方フレームの外側に配置された胴と共に回転す
る転動リングとの組合わせから構成される。この
ばあい側方フレームの内側で、有利には胴端面の
近くで頑丈なジヤーナルに支承された支持リング
は印圧と同じ方向で胴を支持する機能を担うのに
対して、側方フレームの外側に設けられた転動リ
ングは振動減衰機能および付加的な正確な摩擦転
動駆動機能を担う。

本発明は種々の変化形で実施できる。不都合な
たわみが生じないように胴長さと胴直径との比が
選ばれているばあいには、大寸法で設計されたこ
ろがり軸受けによつて胴端面の近くで頑丈な段部
上にそれぞれ定置の支持リングが組込まれる。こ
ろがり軸受けは（ほこり、インキ等によつて）汚
染されないように密封状態で取付けられている。
支持リングは異なる胴間隔調節又は印圧調節のた
めに真円に又は偏心的に構成できるか、又は、同
じか又は異なる高さの段部を有することができ
る。側方フレームの外側ではジヤーナルに耐摩耗
性の材料から成る頑丈な転動リングが設けられ
る。転動リングは有利には片側でオイルタンク内
で回転するか又は乾式に回転することができる
が、転動リングを両側で、即ち対で配置すること
もできる。

更に本発明では特に胴長さに対する胴直径の比
が小さいばあい、即ち、胴が極めて細いばあい胴
を両側で不動に支持することができる。このばあ
い胴対は印刷時に生じる力によつて互いに押し拡
げられるが、支持リングと転動リングとの間に位
置する、側方フレーム内の主軸受けによつて離れ
ないように保持される。側方フレーム内の主軸受
けの外側の転動リングは軸端の屈曲を阻止しかつ
このような不動な支持によつてジヤーナルを補強
する。

図示の実施例では完全な状態で構成された本発
明による装置を示しているが、一方の胴端面側で
転動リング対を省くこともできる。

胴対、例えば版胴１とゴム胴とは所属の同心的
な支承孔４内の主軸受け３と印刷開始および中断
並びに印圧調節のための偏心的な支承ブシユ５内
の主軸受け３とによつて側方フレーム６，７内に
支承されている。版胴１は端面の近くで側方フレ
ームの内側で支持面２０を有する支持リング８を
支持していて、この支持リングは頑丈なころがり
軸受け１０によつてジヤーナル１２，１３に支承
されていてかつ対応胴、例えばゴム胴２の支持リ
ング９に、プレロードをかけられて支持面２０，
２１を接触させた状態で、支持されている。ゴム
胴２も同様に端面の近くで側方フレームの内側で
支持面２１を有する支持リング９を支持してい
て、この支持リング９も頑丈なころがり軸受け１
１によつてジヤーナル１４，１５に支承されてい
る。側方フレームに対して外周面に沿つて回動可
能に支承されている偏心的な支承ブシユ５をある
程度回動させて、終端位置を固定することによつ
て、支持リングおよび後述する転動リングに所望
のプレロードがかけられる。このばあいプレロー
ドは支承ブシユ５の回動によりジヤーナルをわず
かに弾性変形することによつて生ぜしめられる。
版胴１とゴム胴２との間隔は、支持リング８，９
によつて規定されかつ必要であれば支持リング間
に挿入体を挿入することによつて又は周方向でみ
てリング直径の異なる支持リングを種々のリング
作業位置で固定することによつて変えることがで
きる。これによつて胴間の所望の印圧を変えるこ
とができる。側方フレーム６の外側にはジヤーナ
ル１２，１４にくさび止めされた主駆動歯車２
２，２３が設けられている。主駆動歯車２２，２
３のボス２４，２５は、該ボス２４，２５が外側
に位置する転動リング２６，２７用の定心部材と
しても用いられるように構成されていて、転動リ
ング２６，２７はねじによつて主駆動歯車２２，
２３と不動に結合されている。側方フレーム７か
ら突出するジヤーナル１３，１５にはボス３２，
３３がくさび止めされていて、該ボス３２，３３
も外側に位置する転動リング３０，３１を定心す
るために用いられる。転動リング３０，３１はボ
ス３２，３３にねじ止めされている。転動リング
２６，２７，３０，３１はプレロードをかけられ
て転動面２８，２９，３４，３５で転動する。

障害が発生したばあい又は例えば版板高さ又は
ブランケツト高さが変わるために胴間隔が異なる
ばあいには転動リングを迅速に交換することがで
きる。

このばあい転動リングの交換は次のようにして
行われる。

偏心的な支承ブシユ５にねじ止めされたフラン
ジ付き管状部材に係合するロツド（図示せず）を
介して支承ブシユを外部から所定の方向（逆時計
回り方向）で回動することによつて、転動リング
が互いに離される。次いで転動リング２６，２７
もしくは３０，３１を主駆動歯車２２，２３もし
くはボス２４，２５，３２，３３に固定するねじ
が解離され、これによつて転動リングがジヤーナ
ルから取りはずされる。この際新たな転動リング
がジヤーナルに装着されてねじ固定される。次い
でロツドを介して支承ブシユを戻し回動して所望
の回動位置で固定することによつて、転動リング
はプレロードをかけられて取付けられる。

例えばジヤーナルのたわみを減少させるために
転動リング２６，２７を側方フレーム６に密接さ
せて配置して、主駆動歯車２２，２３を外側に配
置するか、又は、一方の側でのみ転動リング２
６，２７を使用することもできる。転動リング２
６，２７，３０，３１を焼入れされて研摩された
転動面２８，２９，３４，３５を有する特殊鋼か
ら製作することができる。しかし転動リングは圧
着力を減少させるために摩擦車駆動装置用の周知
の摩擦ライニングを備えるか又は他の有利な形状
を有することができる。

更に支持リング８，９を、支持リング８，９の
溝３７内に係合するフレームに固定されたピン３
６又はキー又は制動部材等のような適当な措置に
よつて連行回転させないようにすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は印刷機構の胴、例えば版胴およびゴム胴
における本発明による支持装置を示した図であ
る。 １……版胴、２……ゴム胴、３……主軸受け、
４……支承孔、５……支承ブシユ、６，７……側
方フレーム、８，９……支持リング、１０，１１
……ころがり軸受け、１２，１３，１４，１５…
…ジヤーナル、１６，１７，１８，１９……端
面、２０，２１，２９，３４，３５……支持面、
２２，２３……主駆動歯車、２４，２５，３２，
３３……ボス、２６，２７，３０，３１……転動
リング、３６……ピン、３７……溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 輪転印刷機の印刷機構の互いに接触する胴を
   相互に支持する装置において、印刷機構の互いに
   接触する２つの胴１，２のジヤーナル１２，１
   ３，１４，１５に側方フレーム６，７と各胴の両
   端面側との間でそれぞれ支持リング８，９が支承
   されていて、該支持リングがジヤーナルに対して
   相対回転可能にかつ側方フレームに対して回動不
   能に支承されていて、更に支持リングがプレロー
   ドをかけられて周面で互いに支持されており、前
   記ジヤーナルに側方フレームの外側で各胴の少な
   くとも一方の端面側で転動リング２６，２７，３
   ０，３１が支承されていて、該転動リングがジヤ
   ーナルに対して相対回動不能に結合されていてか
   つプレロードをかけられて転動面で互いに転動す
   るようになつていることを特徴とする、輪転印刷
   機の印刷機構の互いに接触する胴を相互に支持す
   る装置。 ２ 転動リング２６，２７が側方フレーム６，７
   の外側で前記ジヤーナル１２，１４に、各胴の一
   方の端面側でのみ配置されている特許請求の範囲
   第１項記載の、輪転印刷機の印刷機構の互いに接
   触する胴を相互に支持する装置。 ３ 転動リング２６，２７，３０，３１が側方フ
   レーム６，７の外側で前記ジヤーナル１２，１
   ３，１４，１５に、各胴の両端面側で配置されて
   いる特許請求の範囲第１項記載の、輪転印刷機の
   印刷機構の互いに接触する胴を相互に支持する装
   置。 ４ 転動リング２６，２７，３０，３１が滑らか
   な研摩された転動面２８，２９，３４，３５を有
   する焼入された特殊鋼から形成されている特許請
   求の範囲第１項から第３項までのいずれか１項記
   載の、輪転印刷機の印刷機構の互いに接触する胴
   を相互に支持する装置。 ５ 転動リング２６，２７，３０，３１の転動面
   ２８，２９，３４，３５が摩擦ライニングを備え
   ている特許請求の範囲第１項から第３項までのい
   ずれか１項記載の、輪転印刷機の印刷機構の互い
   に接触する胴を相互に支持する装置。 ６ ジヤーナルに転動リングを相対回動不能に結
   合するために、転動リング２７，２８，３０，３
   １がジヤーナル１２，１３，１４，１５にくさび
   止めされたボス２４，２５，３２，３３上に交換
   可能に配置されている特許請求の範囲第１項から
   第５項までのいずれか１項記載の、輪転印刷機の
   印刷機構の互いに接触する胴を相互に支持する装
   置。