JPH0138260Y2 - - Google Patents

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JPH0138260Y2
JPH0138260Y2 JP5742083U JP5742083U JPH0138260Y2 JP H0138260 Y2 JPH0138260 Y2 JP H0138260Y2 JP 5742083 U JP5742083 U JP 5742083U JP 5742083 U JP5742083 U JP 5742083U JP H0138260 Y2 JPH0138260 Y2 JP H0138260Y2
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piece
insert ring
ceramic
thermal expansion
insert
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Description

【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、複数個のセラミツクピースを相互に
衝合合体させた状態で金属製のインサートリング
内に焼嵌めしてなるデイーゼルエンジンの副燃焼
室に関するものである。
(従来技術) 複数個のセラミツクピースを相互に衝合合体さ
せた状態で直筒状の金属製のインサートリング内
に焼嵌めしてなるデイーゼルエンジンの副燃焼室
の従来例としては例えば特開昭57−10723号公報
(F02B 19/08)に示す如きものが知られている。
ところで、この種のセラミツク製副燃焼室にお
いては、その装着部位に応じてセラミツクピース
の材質を変えるのが好都合な場合が多い。例え
ば、副燃焼室と主燃焼室を連通せしめる噴口をそ
の内部に形成したセラミツクピースのような噴口
側セラミツクピースは、該噴口部が副燃焼室の中
でも特に高温となるところであるところから通常
各種セラミツク材の中でも特に耐熱、耐食性に富
む材料(例えば窒化ケイ素)で形成され、これに
対して噴口部から比較的離れた位置に配置される
反噴口側セラミツクピースは燃焼特性の向上とい
う観点から通常各種セラミツク材の中でも特に断
熱性に富む材料(例えばジルコニア)で形成され
る。
第1図は、窒化ケイ素からなる噴口側セラミツ
クピース78とジルコニアからなる反噴口側セラ
ミツクピース77とを組合わせてなるセラミツク
製の副燃焼室ブロツク79にステンレス鋼製で且
つ同一肉厚(すなわち同一剛性)のインサートリ
ング81を焼嵌め嵌装してインサートブロツク1
01を組立てる工程を示しており、これを説明す
ると、同図において11の位置にあるのは、常温
(温度Ts)で且つ自由状態(インサートリング8
1による拘束をうけていない状態)にある上記反
噴口側セラミツクピース77と噴口側セラミツク
ピース78とを組合わせてなるセラミツク製副燃
焼室ブロツク79を示し、12の位置にあるのは
同じく常温で且つ自由状態(内部に両セラミツク
ピース77,78を抱持していない状態)にある
ステンレス鋼製のインサートリング81を示して
いる。常温自由状態にある反噴口側セラミツクピ
ース7と噴口側セラミツクピース78の各外径を
それぞれD77S,D78Sとし、同じく常温自由状態に
あるインサートリング81の内径DをD81Sとする
と、D77S,D78S>D81Sとなつている(第1図では
D77S=D78Sとされている)。これらの反噴口側セ
ラミツクピース77及び噴口側セラミツクピース
78にインサートリング81を焼嵌めするには、
同図中13の位置において仮想線81′で示すよ
うに、先ずインサートリング81を加熱(温度
Tu)してその内径を常温時のD81Sから前記D77S
及びD78Sよりも大きいD81uまで拡径させる。
次いで、同図中14の位置に示すように、この
加熱高温状態のインサートリング81′(内径
D81=D81u)を常温状態にある反噴口側セラミツ
クピース77(外径D77=D77S)及び噴口側セラ
ミツクピース78(外径D78=D78S)に嵌合し、
その後所定時間をかけて常温状態まで冷却する。
そうすると、インサートリング81は次第に熱収
縮し、当初のD81Sまで縮径しようとするが、各セ
ラミツクピース77,78の外径D77S,D78Sまで
縮径するとそれ以後は各セラミツクピース77,
78の非圧縮性のために当該径を維持したまま温
度の降下につれて各セラミツクピース77,78
に対する締付力を増大させる。
すなわち、インサートリング81はこの焼嵌め
工程後、常温(温度Ts)に復帰したときには、
本来あるべき内径(自由状態内径)D81Sから各セ
ラミツクピース77,78の外径D77,D78まで
機械的に拡径されることとなり、その拡径歪量
(締め代)δ81はδSである。
このように焼嵌め工程により機械的に拡径され
たインサートリング81から各セラミツクピース
77,78が受ける締付力F77,F78は、この上記
締め代δ81と当該インサートリング81の弾性係
数(剛性)E81との積、すなわち、(F77,F78)=
E81・δ81であらわされる。第2図の場合は、イン
サートリング81の剛性はその全体を通して一定
であるため、上下の各セラミツクピース77,7
8は、常温(温度Ts)では(同径状態であるた
め)、ともにFS=E81S・δ81Sの初期締付力FSをうけ
てインサートブロツク101が形成されている。
ところで、このような材質の異なるセラミツク
ピースを組み合わせこれを全長に亘つて同一剛性
を有する如くした金属製のインサートリング内に
焼嵌めしその焼嵌め締付力FSによつて該各セラミ
ツクピース77,78とインサートリング81を
一体化するようにしたインサートブロツク101
においては、インサートリング81及び各セラミ
ツクピース77,78はその材質がそれぞれ異な
るところから当然その熱膨張率αもそれぞれに異
なり、このインサートブロツク101をエンジン
のシリンダヘツド中に実装した場合には、当該エ
ンジンの運転時の高熱によりそれぞれ独自の熱膨
張態様を示す。
これを第1図及び第2図を併用しつつ説明する
と、第2図において符号X77は常温時外径D77S
有する反噴口側セラミツクピース77を自由状態
(すなわち、インサートリング81で拘束してい
ない状態)で加熱した場合の熱膨張特性線図、
X78は同じく常温時外径D78Sを有する噴口側セラ
ミツクピース78を自由状態で加熱した場合の熱
膨張特性線図、X81は常温時内径D81Sを有するイ
ンサートリング81を自由状態(すなわち、内部
に両セラミツクピース77,78を抱持していな
い状態)で加熱した場合の熱膨張特性線図、
Y81Aは上記反噴口側セラミツクピース77と噴
口側セラミツクピース78とからなる副燃焼室ブ
ロツク79をインサートリング81で焼嵌め嵌合
してなるインサートブロツク101をエンジンの
シリンダヘツド中に実装してエンジン燃焼熱で加
熱した場合のインサートリング81の上半部81
Aにおける熱膨張特性線図、Y81Bは同インサート
リング81の下半部81Bにおける熱膨張特性線
図を示している。
又、第2図中において、符号F77はインサート
リング上半部81Aが反噴口側セラミツクピース
77に対して与える締付力の特性線図、F78はイ
ンサートリング下半部81Bが噴口側セラミツク
ピース81に対して与える締付力の特性線図を示
している。これらの特性線図についてさらに詳し
く説明すると、前述の如く各セラミツクピース7
7,78は機械的締付力に対しては非圧縮性であ
るため、温度変化によりそれらのセラミツクピー
ス77,78が熱変形した場合には、外側を囲繞
するインサートリング81は、その自由熱膨張径
(内径)が内側に抱持するセラミツクピース77,
78の外径よりも小さい間は自己の熱変形特性か
らはなれてそれらの各セラミツクピース77,7
8の熱変形に追随して機械的に変形する。
すなわち、上記インサートリング上半部81A
についていえば、当該部分では反噴口側セラミツ
クピース77の熱膨張率α77(ジルコニアの場合、
α77=10.5〜11.0×10-6/℃)とインサートリング
81の熱膨張率α81(ステンレス鋼SUS403の場合、
α81=9.9〜11.7×10-6/℃)とが近似しているた
めに、両者間の締め代δ81Aは当初(常温時)から
与えられている締め代(δ81S)又は締付力(FS
をほぼ維持したまま同時に熱的及び機械的に変形
する。
これに対して、インサートリング下半部81B
についていえば、当該部分では噴口側セラミツク
ピース78の熱膨張率α78(窒化ケイ素の場合、
α78=3.2×10-6/℃)が上記インサートリング8
1の熱膨張率α81(SUS403でα81=9.9〜11.7×
10-6/℃)よりもかなり小さいために、温度の上
昇とともに両者間の締め代δ81B又は締付力F78
次第に減少し、逐には温度Tnに至つてδ81B=0,
F78=0となる、すなわちインサートリング下部
81Bが噴口側セラミツクピース78に対する焼
嵌め締付力を失うという事態が生じる(このとき
の温度Tnを限界温度という)。この温度Tnがエ
ンジンの常用温度領域内でインサートブロツク1
01に生じる温度であるならば、このインサート
ブロツク101ではエンジンの運転中に噴口側セ
ラミツクピース78の脱落が生じることとなり、
実用に耐えないものとなる。
一方、このような噴口側セラミツクピース78
の脱落を防止しようとして、インサートリング8
1の常温時内径をD81Sよりさらに小さいD81S′にし
た場合は、インサートリング81の熱膨張特性線
図は第2図においてX81からX81′で示す位置まで
低下し(各セラミツクピース77,78に対する
締付力特性線図は、同図においてF77からF77′へ、
又F78からF78′へそれぞれ上昇する)、それに伴つ
てインサートブロツク下判部81Bが噴口側セラ
ミツクピース78に対する焼嵌め締付力を失う温
度(限界温度)もTnからTn′へ上昇するが、そ
のときは噴口側セラミツクピース78の脱落は防
止されるものの、そのかわりに当該噴口側セラミ
ツクピース78あるいは反噴口側セラミツクピー
ス77が限界締付力Fn(第2図)をこえる過大な
締付力(F77′を参照)をうけ、機械的強度面から
実用に耐え得ない事態が生じる。又、インサート
リング81においてヘタリなどの不具合が発生す
るおそれもある。
(考案の目的) 本考案は、熱膨張率の夫々異なる複数個のセラ
ミツクピースを組み合わせてインサートリング内
に焼嵌めしてなるデイーゼルエンジンの副燃焼室
において、各セラミツクピースとインサートリン
グ相互間の締付力をエンジンの全使用温度域を通
し適正値に維持し得るようにすることを目的とし
てなされたものである。
(考案の構成) 本考案は、夫々熱膨張率の異なる材料で形成さ
れた複数個のセラミツクピースを相互に衝合合体
させてなる副燃焼室ブロツクの外側に焼嵌め嵌合
せしめられる金属製のインサートリングの剛性
を、熱膨張率の大きいセラミツクピース側に嵌合
される部分の剛性の方が熱膨張率の小さいセラミ
ツクピース側に嵌合される部分の剛性よりも小さ
くなるように構成し、これによつて各セラミツク
ピースに対する締付力をエンジンの全使用温度域
を通じて適正値に維持し得るようにしたことを特
徴とするものである。
(実施例) 第3図には本考案実施例に係るセラミツク製の
副燃焼室を備えた過流室式デイーゼルエンジンZ
のシリンダヘツド1の要部が示されている。図
中、符号2はシリンダブロツク、3はピストンで
ある。このシリンダヘツド1には、シリンダブロ
ツク2に対する衝合面1a上のしかも主燃焼室1
4に臨む位置から上方に向つてセラミツク製の副
燃焼室ブロツクをもつインサートブロツク21
(後述する)を収容するための受穴17が円形凹
陥状に形成されている。
インサートブロツク21は、内部に副燃焼室6
を形成したセラミツク製の副燃焼室ブロツク9を
後述する金属製のインサートリング11内に嵌装
して構成されている。
副燃焼室ブロツク9は、第1のセラミツクピー
ス(以下第1ピースという)7と第2のセラミツ
クピース(以下第2ピースという)8よりなる上
下2分割構造とされており、両者間に略球形の副
燃焼室6が形成されるようになつている。この副
燃焼室6の上半部分に当る略半球状の凹陥部25
を形成した第1ピース7は、その装着部位がシリ
ンダヘツド1内のウオータジヤケツト22に近く
特に断熱性が要求されるところであるため、この
実施例においては該第1ピース7の材質として各
種セラミツク材の中でも特に断熱性に富むジルコ
ニア(ZrO2)を採用している。尚、この第1ピ
ース7には燃料噴霧口20とグロープラグ嵌挿穴
19が形成されている。
一方、副燃焼室6の下半部分に当る傾斜底状凹
陥部26を有するとともにその傾斜底面26a
(即ち、副燃焼室底面6a)に副燃焼室6と主燃
焼室14とを相互に連通せしめる噴口13を形成
した第2ピース8は、該噴口13部付近が副燃焼
室6の中でも最も高温となるところであり特に耐
熱、耐食性が要求されるところであるため、この
実施例においてはこの第2ピース8の材質として
各種セラミツク材の中でも特に耐熱、耐食性を富
む窒化ケイ素(Si3N4)を採用している。
この第1ピース7と第2ピース8は、相互に正
規位置に位置決めされた状態で金属製(この実施
例においてはステンレス鋼SUS403を使用)のイ
ンサートリング11内に焼嵌めされることにより
インサートリング11とともに一体的に結合さ
れ、インサートブロツク21を構成している。
インサートリング11は、第3図及び第4図に
示す如く鍔付き直筒状に一体形成されており、そ
の内部に副燃焼室ブロツク9を焼嵌め嵌合せしめ
るが、その場合、副燃焼室ブロツク9の第1ピー
ス7の熱膨張率α7と第2ピース8の熱膨張率α8
が異なるため、前述の従来例の如くインサートリ
ング11をその全長に亘つて同一剛性を有する如
く構成した場合には各セラミツクピース7,8相
互間の熱膨張差によつて前述(従来技術の項参
照)の如き種々の不具合が生じることになる。こ
のため、この実施例においては、インサートリン
グ11の内、熱膨張率α7の大きいジルコニア(α7
=11.0×10-6/℃)よりなる第1ピース7側に嵌
合せしめられる上半部11Aの円周方向に等間隔
で適宜大きさの縦溝30,30…を適数条形成
し、これにより該上半部11Aの剛性が熱膨張率
α8の小さい窒化ケイ素(α8=3.4×10-6/℃)よ
りなる第2ピース8側に嵌合せしめられる下半部
11Bの剛性よりも適宜割合だけ小さくなるよう
に該インサートリング11の剛性をその内部に嵌
合せしめられるセラミツクピース7,8の熱膨張
率に応じて筒長方向に変化させている。
このインサートブロツク21の組立工程を第5
図を参照しつつ説明すると、この実施例では、第
1、第2各セラミツクピース7,8は常温自由状
態では、同図中51のところで示されているよう
にそれぞれD7S,D8Sの常温自由状態時外径を有し
ている。一方、インサートリング11は同図中5
2のところで示されているように、その上半部1
1A、下半部11Bとも全体的に同一の常温自由
状態時内径D11Sを有している。
次に、このインサートリング11を同図中53
のところで符号11′で示すように、その内径
D11uが前記D7S,D8Sよりも大きくなるところまで
加熱し、その高温状態のインサートリング11′
を同図中54のところに示すように、常温状態に
ある第1、第2両セラミツクピース7,8に嵌合
し、さらに所定時間をかけて冷却する。そうする
と、インサートリング11は次第に熱収縮し、当
初の内径D11Sまで縮径しようとするが、第1、第
2両セラミツクピース7,8の外径D7,D8まで
縮径すると、それ以後は第1、第2両セラミツク
ピース7,8の非圧縮性のために当該径を維持し
たまま温度の降下につれて各セラミツクピース
7,8に対する締付力を増大させる。
なお、この場合においてインサートリング11
はその上半部11Aと下半部11Bとで剛性が異
なるようにされているため、このインサートリン
グ11はその上半部11Aと下半部11Bとで相
互に異なる初期締付力を示す。なお、本考案の実
施例においてインサートリング11を構成する金
属(たとえば、ステンレス鋼SUS403)の熱膨張
率α11としてはたとえばα11=10.5×10-6/℃程度
のものが好適である。
この実施例のインサートブロツク21をエンジ
ンのシリンダヘツド1中に実装した場合におけ
る、第1ピース7、第2ピース8及びインサート
リング11の各熱膨張特性を第6図を併用して説
明すると、第6図において、符号X7は常温時外
径D7Sを有する第1ピース7を自由状態で加熱し
た場合の熱膨張特性線図、X8は同じく常温時外
径D8Sを有する第2ピース8を自由状態で加熱し
た場合の熱膨張特性線図、X11は常温時内径D11S
を有するインサートリング11を自由状態で加熱
した場合の熱膨張特性線図である。又、Y11A
上記第1ピース7と第2ピース8をインサートリ
ング11で焼嵌め嵌合してなるインサートブロツ
ク21をエンジンのシリンダヘツド1中に実装し
てエンジン燃焼熱で加熱した場合における、上記
インサートリング11の上半部11Aの熱膨張特
性線図、Y11Bはそのインサートリング11の下半
部11Bの熱膨張特性線図を示している。
又、第6図中において、符号F7はインサート
リング上半部11Aが第1ピース7に対して与え
る締付力の特性線図、F8はインサートリング下
半部11Bが第2ピース8に対して与える締付力
の特性線図を示している。同図において符号F7S
は、剛性の小さいインサートリング上半部11A
が第1ピース7に対して常温(温度TS)におい
て与えている初期締付力、同F8Sは、剛性の大き
いインサートリング下半部11Bが第2ピース8
に対して常温において与えている初期締付力を示
しおり、F7S<F8Sとなつている。又、同図におい
て符号Fnは第1ピース7または第2ピース8を
破損に至らしめる限界締付力を示している。
図示実施例中のインサートブロツクにおいて
は、既に説明したように、インサートリング11
の上半部11Aと下半部11Bとで剛性(機械的
変形特性)を異ならしめ、それによつて内部に抱
持する第1ピース7又は第2ピース8に対する焼
嵌め締付力が異なるようにしているため、インサ
ートブロツク21が全体的に同一の温度条件で加
熱されるとしても、その上半部21Aと下半部2
1Bでは相互に異なる変形態様を示す。この変形
態様についてさらに詳しく説明すると、前述の如
く各セラミツクピース7,8は機械的締付力に対
しては非圧縮性であるため、温度変化によりそれ
らのセラミツクピース7,8が熱変形した場合に
は、外側を囲繞するインサートリング11は、そ
の自由熱膨張径(内径)が内側に抱持するセラミ
ツクピース7,8の外径よりも小さい間は自己の
熱変形特性からはなれてそれらの各セラミツクピ
ース7,8の熱変形に追随して機械的に変形す
る。
すなわち、上記インサートリング上半部11A
についていえば、当該部分では第1ピース7の熱
膨張率α7(ジルコニアの場合、α7=10.5〜11.0×
10-6/℃)とインサートリング81の熱膨張率
α11(ステンレス鋼SUS403の場合、(α81=9.9〜
11.7×10-6/℃)とが近似しているために、両者
間の締め代δ11Aまたは締付力F7は当初(常温時)
から与えられている締め代δ11S又は締付力F7Sをほ
ぼ維持したまま同時に熱的及び機械的に変形す
る。
これに対して、インサートリング下半部11B
についていえば、当該部分では第2ピース8の熱
膨張率α8(窒化ケイ素の場合、α8=3.2×10-6
℃)が上記インサートリング11の熱膨張率α11
(SUS403でα11=9.9〜11.7×10-6/℃)よりもか
なり小さいために、温度の上昇とともに両者間の
締め代δ11Bまたは締付力F8は次第に減少し、逐に
は温度Tnに達するに至つてδ11B=0,F8=0と
なる、すなわち、インサートリング下半部11B
が第2ピース8に対する焼嵌め締付力を失うとい
う事態が生じる(このときの温度Tnが限界温度
となる)。ところが、本実施例の場合は、この温
度Tnはエンジンの常用運転温度上限Temaxより
もさらに高温域にあるため、実際にはそのような
事態は生じない。
尚、エンジンの全使用温度域を通じて最適な締
付力を確保するという観点においては、この第1
ピース7とインサートリング上半部11Aの間及
び第2ピース8とインサートリング下半部11B
の間に作用する締付力が、エンジンの全使用温度
域を通じてさほど変化せず(即ち、締付力特性線
図F7と同特性線図F8とがともに水平に近い状
態)、しかもこの両方の締付力の差が少ないほど
よいが、これはインサートリング11の上半部1
1Aと下半部11Bの剛性(弾性)を適宜に変化
させることにより実現可能である。
又、このインサートリング11の剛性(弾性)
をその上半部11Aと下半部11Bとで変化させ
る方法しては、上述の如く同一肉厚を有するイン
サートリング11の上半部11Aと下半部11B
のうち、剛性を低くする必要のある上半部11A
側のみに縦溝30,30…を形成する方法の外
に、例えば第7図及び第8図に示す如く上半部1
1A側の肉厚t1そのものを下半部11B側の肉厚
t2よりも小さくし、これによつて上半部11Aと
下半部11Bの剛性を変える方法もある。尚、上
記各方法のようにインサートリング11に対して
縦溝の形成あるいは肉厚の変更等の剛性調節用の
特別の機械加工を施すことなく、同一肉厚に形成
された筒状体の下端部にただ単に位置決め用の鍔
部を形成しただけのインサートリング(第4図の
インサートリングにおいて縦溝を不形成とした状
態)においても上述の如く機械加工によつて剛性
を積極的に変化させるようにした場合と同様の作
用効果が期待できる。尚、このインサートリング
11は、上記の如く第1ピース7と第2ピース8
の結合固定部材として作用する他に、後述する如
くインサートブロツク21を受穴17内に嵌装す
る場合にセラミツク製の第1ピース7あるいは第
2ピース8が誤つてシリンダヘツド1側に直接当
つて破損するのを防止する保護部材としても作用
するものであり、その形状はこの実施例の如き単
なるリング状のものに限定されるものではなく、
例えば第1ピース7と第2ピース8の外周面を被
覆する筒壁部と受穴17の天井面に対向する第1
ピース7の上側外端面を被覆する天井部とを有す
る略椀状体に形成したり、第9図に示す如く第1
ピース7と第2ピース8の外周面を被覆する筒壁
部11wと2ピース8の下側外端面8aを被覆す
るとともにその中央部に噴口13を形成した底板
部11eとを有する有底筒状体に形成したりする
こともできる。
シリンダヘツド1に形成される受穴17の形状
及び寸法は、該受穴17内にインサートブロツク
21を嵌装した状態で、該インサートブロツク2
1の外周面と受穴17の内面との間に適宜大きさ
の間隙23(即ち、エンジンの冷機時及び作動時
のシリンダヘツド1とインサートブロツク21の
熱膨張差によつても受穴17の内面とインサート
ブロツク21の外周面との非接触状態を維持する
ことができる程度の間隙)を形成することができ
るように適宜に設定される。又、この受穴17の
天井面側には、シリンダヘツド1の上面1b側か
ら該受穴17側に向けて形成した噴射弁取付穴1
5とグロープラグ取付穴16の一端が夫々開口せ
しめられている。この噴射弁取付穴15には燃料
噴射弁4が、またグロープラグ取付穴16にはグ
ロープラグ5が夫々シリンダヘツド上面1b側か
ら取付けられる。
上述の如く構成されたインサートブロツク21
をシリンダヘツド1の受穴17内に嵌装して該シ
リンダヘツド1内に副燃焼室6を形成するのであ
るが、この場合、インサートブロツク21が受穴
17に対して所定位置に正確に嵌合されていない
と、例えばグロープラグ5を取付けた時該グロー
プラグ5の発熱部18が第1ピース7のグロープ
ラグ嵌挿穴19と干渉し該第1ピース7のグロー
プラグ嵌挿穴19付近が局部的に加熱されて破損
したりするおそれがある。このため、この実施例
においては、受穴17の口縁部とインサートリン
グ11の外周縁部にまたがつて形成したピン穴2
4内にセツトピン12を打込み、受穴17とイン
サートブロツク21との周方向における位置決め
を行なうと同時に受穴17の口縁部に形成した肩
部17aとインサートリング11の鍔部11cを
衝合させることにより上下方向における位置決め
を行なうようにしている。
又、上記各実施例においては、副燃焼室6の底
面6aの形状をシリンダヘツド1の衝合面1aに
対して適宜角度に傾斜する傾斜底としたが、本考
案の他の実施例においては第10図に示す如くこ
の底面6aをシリンダヘツド1の衝合面1aに対
して平行な平底に形成することもできる。尚、副
燃焼室6を第3図及び第7図の各実施例の如く傾
斜底とした場合には半失火が起りにくく燃焼特性
が良好であるという利点を有し、また逆に第9図
及び第10図に各実施例のように平底とした場合
には排気中にHCとかスモークとかがあまり発生
せず排気特性が良好であるという利点がある。
さらに、上記各実施例においては、副燃焼室6
をセラミツク材よりなる第1ピース7と第2ピー
ス8で囲繞して形成(即ち、副燃焼室6の室壁を
全てセラミツク材で構成)しているが、本考案の
他の実施例においては前述の第9図に示す如く副
燃焼室6の室壁の一部をインサートリング11等
の金属部材で構成することもできる。
(考案の効果) 本考案のデイーゼルエンジンの副燃焼室は、相
互に衝合合体せしめられる複数個のセラミツクピ
ースを夫々熱膨張率の異なる材料で形成し、さら
に該各セラミツクピースに焼嵌めされるインサー
トリングを、該各セラミツクピースの内の熱膨張
率の大きいセラミツクピース側に嵌合せしめられ
る部分の剛性が熱膨張率の小さいセラミツクピー
ス側に嵌合せしめられる部分の剛性よりも小さく
なるように構成しているため、該各セラミツクピ
ースの熱膨張差に起因する該セラミツクピースと
インサートリング相互間の締付力の不均等な変化
を可及的に抑制することができ、その結果、各セ
ラミツクピースとインサートリング相互間に作用
する締付力をエンジンの全使用温度域を通じて適
正値に維持せしめ得るという実用的効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は従来構造のデイーゼルエンジン用イン
サートブロツクの組立工程説明図、第2図は第1
図図示のインサートブロツクにおける各構成部材
の熱膨張と締付力の特性線図、第3図は本考案の
実施例に係るセラミツク製の副燃焼室を備えた過
流室式デイーゼルエンジンの要部縦断面図、第4
図は第3図に示されたインサートリングの全体斜
視図、第5図は本考案実施例に使用されるインサ
ートブロツクの組立工程図、第6図は第5図図示
のインサートブロツクにおける各構成部材の熱膨
張及び締付力の特性線図、第7図は本考案の他の
実施例で使用され得るインサートブロツクの縦断
面図、第8図は第7図図示のインサートブロツク
に使用されているインサートリングの斜視図、第
9図及び第10図は本考案のさらに他の実施例で
使用され得るインサートブロツクの縦断面図であ
る。 1……シリンダヘツド、2……シリンダブロツ
ク、3……ピストン、4……燃料噴射弁、5……
グロープラグ、6……副燃焼室、7,8……セラ
ミツクピース、9……副燃焼室ブロツク、11…
…インサートリング、11A……インサートリン
グ上半部、11B……インサートリング下半部、
13……噴口、14……主燃焼室、21……イン
サートブロツク、21A……インサートブロツク
上半部、21B……インサートブロツク下半部。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 複数個のセラミツクピースを相互に衝合合体さ
    せた状態で金属製のインサートリング内に焼嵌め
    してなるデイーゼルエンジンの副燃焼室であつ
    て、前記各セラミツクピースは夫々熱膨張率の異
    なる材料によつて形成され、さらに前記インサー
    トリングは熱膨張率の大きいセラミツクピース側
    に焼嵌め嵌合せしめられる部分の方が熱膨張率の
    小さいセラミツクピース側に焼嵌め嵌合せしめら
    れる部分よりもその剛性が小さくなるように構成
    されていることを特徴とするデイーゼルエンジン
    の副燃焼室。
JP5742083U 1983-04-15 1983-04-15 デイ−ゼルエンジンの副燃焼室 Granted JPS59163124U (ja)

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JP5742083U JPS59163124U (ja) 1983-04-15 1983-04-15 デイ−ゼルエンジンの副燃焼室

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JPS59163124U JPS59163124U (ja) 1984-11-01
JPH0138260Y2 true JPH0138260Y2 (ja) 1989-11-16

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