JPH0754580Y2 - エンジンの副室構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、例えばディーゼルエンジン等のような副室
を備えたエンジンの副室構造に関する。

（従来の技術） 従来、例えば実開昭58-175118号公報に記載の如く、燃
焼性を向上させるために副室壁をセラミックで形成する
と共に、この副室壁の外周に金属リング等の金属部材を
焼きばめ手段によって嵌合したエンジンの副室構造が知
られている。

しかし、副室壁を構成するセラミックは熱膨張率が大き
い反面、金属部材は熱膨張率が小さいので、エンジン作
動中に生ずる温度差により、副室壁と金属部材との嵌合
が緩み、副室壁の位置ずれが生ずる問題点を有してい
た。

加えて、上述の金属部材は焼きばめ手段による嵌合であ
るから、副室壁外周寸法および金属部材内周寸法に高精
度の加工が要求される問題点を有していた。

（考案の目的） この考案は、外側の焼結金属体に対して内側の副室壁が
位置ずれしないうえ、これら両者の加工にそれほどの高
精度が要求されないエンジンの副室構造の提供を目的と
する。

（考案の構成） この考案は、セラミック製副室壁の外周に焼結金属体が
嵌合されたエンジンの副室構造であって、上記セラミッ
ク製副室壁の外周面に、該セラミック製副室壁の外形線
上からその周方向および軸方向において他の面より内側
に凹設された被係合部が設けられ、上記セラミック製副
室壁の外周に、焼結時に上記被係合部に係合し、かつ焼
結金属体それ自体による係合部が形成されるところの焼
結金属体が嵌合されたエンジンの副室構造であることを
特徴とする。

（考案の効果） この考案によれば、セラミック製副室壁の外周に凹設さ
れた被係合部に対して焼結金属体が嵌合されるので、該
焼結金属体の焼成時における熱膨張により、その内径が
径方向に収縮（以下単に収縮と称す）し、この収縮によ
り、焼結金属体それ自体の係合部が副室壁に対して強固
に固定されると共に、上述の被係合部で副室壁の回り止
めがなされるから、該副室壁の位置ずれを防止すること
ができる効果がある。

加えて、焼結金属体の嵌合手段であるから、従来の焼き
ばめ手段と比較して、それほどの高加工精度が要求され
ることはなく、そのうえ、副室壁に対して充分な圧縮応
力を与えることができるので、エンジン作動中に付勢さ
れる熱応力に対して強くなる効果がある。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。

図面はエンジンの副室構造を示し、第１図において、１
は上部体２と下部体３とからなる２分割型の副室壁で、
この副室壁１はセラミック、例えば断熱性の大きいジル
コニアによって形成されている。

ここで、上述の上部体２は予熱用のグロープラグ４の先
端を挿入する開口５と、燃料噴射ノズル６からの噴射燃
料を副室７内に導入する開口８とを穿設している。

また前述の下部体３には、副室７と主室（図示せず）と
を連通するファイアリング孔９を傾斜状に穿設してい
る。

このように形成した副室壁１の外周対向箇所には、第２
図乃至第３図に示す如く、円形の副室壁１の外壁をフラ
ットに切削して後述する焼結金属体11を周方向および軸
方向に係合する被係合部10を形成している。

つまり、上部体２においては、該上部体２の下端から上
方に延びるにしたがって次第に中心方向に傾斜した被係
合部10を、また下部体３においては、該下部体３の上端
から下方に延びるにしたがって次第に中心方向に傾斜し
た被係合部10を、前述の副室壁１の外壁にその上下方向
に沿って形成している。つまり、この被係合部10は、セ
ラミック製副室壁１の外周面に、該セラミック製副室壁
１の外形線上からその周方向および軸方向において他の
面より内側に凹設されている。

この副室壁１の外周には金型（図示せず）を用いて焼結
金属体11を嵌合している。この焼結金属体11は下端に圧
入用の鍔12を一体形成しており、該焼結金属体11の内周
はその焼成前においては第２図および第３図に示す仮想
線位置を保持している。

そして、この焼結金属体11を焼成することにより、該焼
結金属体11の内周は第２図乃至第３図に実線で示すよう
収縮して、該焼結金属体11の係合部11aが被係合部10を
含む副室壁１の外周に強固に圧接固定される。

なお、第１図における13は焼結金属体11とシリンダヘッ
ド14との間に形成した側部空間、15は副室壁１上部とシ
リンダヘッド14との間の上部空間に介設したガスケット
である。

図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下作用
を説明する。

ピストンの圧縮行程時において、前述のファイアリング
孔９の位置で、圧縮空気の渦流が生じ、これと同時に燃
料噴射ノズル６から燃料を噴射させると、上述の渦流を
利用して高圧に圧縮された空気と燃料とが副室７内にお
いて最適状態に混合気化して燃焼する。

ところで、前述の副室壁１の外周に形成された被係合部
10には焼結金属体11を焼成手段によって嵌合しているの
で、この焼成時における収縮により、上述の焼結金属体
11は副室壁１に対して強固に固定され、この被係合部10
により副室壁１の軸方向の固定である抜け止め（第２図
のα参照）および周方向の固定である回り止め（第３図
のβ参照）がなされているから、エンジン作動中に温度
差が生じても、上述の副室壁１の位置ずれを防止するこ
とができる。

加えて、焼結金属体11は焼成による嵌合手段であるか
ら、従来の焼きばめ手段と比較して副室壁１外周寸法、
焼結金属体11内周寸法にはそれほどの高加工精度は要求
されず、また副室壁１に対して充分な圧縮応力を与える
ことができる。

第２図乃至第３図の実施例では副室壁１を上下に２分割
したが、第４図乃至第５図に示す如く、一体型の副室壁
１の外周に複数の例えば２つの凹状の被係合部10,10を
形成し、第２図の鍔12に相当する部分にのみ焼結金属体
11を嵌合して、この焼結金属体11を焼成することによ
り、該焼結金属体11を被係合部10,10を含む副室壁１の
外周下部に嵌合してもよい。

この第４図乃至第５図に示す実施例では、副室壁１とし
てセラミックの一種で熱衝撃に強いチッ化硅素を用い
る。この実施例においても焼結金属体11の内周は焼結前
においては第４図乃至第５図に示す仮想線位置を保持し
ているが、焼結後は熱収縮により、同図に実線で示す如
く焼結金属体11の係合部11aが被係合部10を含む副室壁
１の外周下部に強固に圧接固定される。

以下、この実施例においても第２図乃至第３図を参照し
て述べた先の実施例とほぼ同様の作用・効果を奏するの
で、第４図乃至第５図において第２図乃至第３図と同一
の部分には同一番号を付してその詳しい説明を省略す
る。

【図面の簡単な説明】 図面はこの考案の一実施例を示し、 第１図はエンジンの副室構造を示す断面図、 第２図は副室構造の要部の断面図、 第３図は第２図のIII-III線断面図、 第４図は副室構造の他の実施例を示す要部の断面図、 第５図は第４図のＶ−Ｖ線矢視断面図である。 １……副室壁、10……被係合部 11……焼結金属体、11a……係合部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】セラミック製副室壁（１）の外周に焼結金
   属体（11）が嵌合されたエンジンの副室構造であって、 上記セラミック製副室壁（１）の外周面に、該セラミッ
   ク製副室壁（１）の外形線上からその周方向および軸方
   向において他の面より内側に凹設された被係合部（10）
   が設けられ、 上記セラミック製副室壁（１）の外周に、焼結時に上記
   被係合部（10）に係合し、かつ焼結金属体（11）それ自
   体による係合部（11a）が形成される焼結金属体（11）
   が嵌合された エンジンの副室構造。