JPS6115218Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はエンジン、特にデイーゼルエンジンの
シリンダヘツド下部にセラミツク材より成る口金
を挿入して構成したエンジンの断熱副室の改良に
関するものである。

特開昭54−93706号公報や実開昭54−97503号公
報に開示されているように、エンジンの副室をセ
ラミツク材を用いて形成した口金を挿入して構成
することは、冷却水の損失の減少等により圧縮端
温度を上昇せしめ着火遅れの減少をもたらし、騒
音や窒素酸化物（NOX）等の排気有害成分の低
減効果を大ならしめることが知られている。

しかしながら、副室用口金を従来の金属製口金
と同形状としたり、あるいは前記実開昭54−
97503号公報のように、噴口と口金肉厚との関係
を口金自体の温度分布の均一化を考慮することな
く、単にセラミツク材により形成した場合、セラ
ミツク材が熱伝導性が悪いために適宜の部位間、
特に副室の噴孔付近とヘツドガスケツトに載置さ
れる下面部の外側に近い部分との間に、主室や副
室との距離の差や肉厚不均衡等によつて生ずる温
度差が著しいので、その結果生ずる熱応力によつ
て口金が破壊するおそれがあつた。

また、口金とシリンダヘツドの熱膨張係数の差
が大きいので、前記特開昭54−93706号公報にお
けるホツトプラグのように、軟質で熱膨張率の大
きい金属層を被着形成するだけでは、ホツトプラ
グとシリンダヘツドとの熱膨張差を必ずしも補い
きれるものではなく、結合力の低下や熱応力によ
る破壊を確実に防止できないおそれがあるから、
口金をヘツドにすきま嵌めによつて装着しなけれ
ばならないため、口金が脱落し易いという不具合
があつた。

更に、口金の上部にガスケツト部材を介在させ
る場合には、シリンダヘツドに組付ける部品点数
が多くなり、それらの部品の位置決め作業等の相
俟つて組付作業が煩しくなるという欠点があつ
た。

更に前記実開昭54−97503号公報のように副室
をセラミツク等のピーク材で形成し、その外周部
全体を耐熱性金属からなる外殻で被覆した場合に
は、前記ピース材と外殻との間において、熱膨張
率の差によつて両者の結合力の低下や冷却時にお
ける外殻の収縮による大きな圧縮応力が前記ピー
ス材に生ずるおそれがある。

本考案は上述の点に鑑み、セラミツク製口金、
ガスケツト部材等の組付作業や位置決め等も極め
て容易にできるようにし、且つ前記口金の温度差
による熱破壊や保持の確実さによる脱落等を防止
したエンジンの断熱副室を提供せんとするもの
で、その要旨はシリンダヘツド下部に挿入される
セラミツク製口金のヘツドガスケツトに載置され
る側方下部に噴孔に沿つた傾斜を有する切欠き部
を設けてなる断熱副室において、前記切欠き部内
に配設され前記口金を保持する金属製保持部材
と、シリンダヘツドの位置決め用縦溝に嵌合され
る位置決め用バネ部材と、口金上面に配設される
ガスケツト部材とを一体に連結したことにあり、
以下その一実施例を図について説明する。

１は耐熱性に富むセラミツク材から構成された
口金で、内側には副室Ｓの下室部を構成する凹み
１ａと、副室Ｓをピストン２の頂部に形成された
主室２ａ側に連通させる噴孔１ｂが傾斜して設け
られており、更に口金１のヘツドガスケツト３に
載置される側の外周壁１ｃは平面状に形成され、
且つその下方部は口金内部の温度分布をほヾ均一
化するために、前記噴孔１ｂの傾斜に沿つた傾斜
をなす斜面形状部１ｄを有するように構成してそ
の下方を切欠き部としている。

この口金１はシリンダヘツド５の下部に形成さ
れた挿入凹部５ａ内に上面側にガスケツト部材９
を介してすきま嵌めによつて装着される。５１は
前記ピストン２をそのボア内に摺動自在に嵌入し
たシリンダボデーを示している。

４は口金を定位置に保持する金属製保持部材
で、口金１の斜面形状部１ｄに接合する傾斜面４
ａを有し、且つシリンダヘツド５の挿入凹部５ａ
内に口金１とともに挿入されるように構成されて
いる。また、同保持部材４のヘツドガスケツト３
の上面に載置される側の外面部は口金１の外周壁
１ｃと同様に平面形状部４ｂを有し、更に前記傾
斜面４ａの中央部には口金１との間に断熱空間を
形成すべく凹部４ｃが設けられていて、口金１か
ら保持部材４への熱伝達をより低減するように成
つている。上記金属製保持材４の平面形状部４ｂ
には位置決め用バネ部材６が溶接あるいはろう付
け等により連結されている。

前記バネ部材６はその中央部に外方に突出した
凸部６ａを設け、その凸部６ａをシリンダヘツド
５に設けられた位置決め用縦溝５ｂに圧入され、
その弾性押圧力によつて保持されるようになつて
いる。

このバネ部材６は上述のように金属製保持部材
４に連結すると共に、ガスケツト部材９とも溶接
等により連結され、これら三部材は一体化されて
連結部材１０を構成している。

また、７，８はそれらの先端部が副室Ｓに臨む
ようにシリンダヘツド５に配設された燃料噴射ノ
ズルと予熱栓である。

上記実施例における断熱副室は上述のように構
成してなるので、その組付け時においては、位置
形め用バネ部材６と金属製保持部材４とガスケツ
ト部材９とが一体に連結されて連結部材１０とな
し、その連結部材１０内に予め口金１を嵌装して
おいて、それをシリンダヘツド５の挿入凹部５ａ
内に、バネ部材６の凸部６ａを位置決め用縦溝５
ｂ内に圧入しつつ挿入される。挿入後は、バネ部
材６の弾性押圧力によつて、口金１と金属製保持
部材４とは挿入凹部５ａ内周壁に圧着され保持さ
れる。この時、金属製保持部材４はその傾斜面４
ａのくさび作用により口金１を挿入凹部５ａ内周
壁により強固に圧着され、口金１の保持が確実に
なされる。

また、口金１のヘツドガスケツト３に載置され
る側の下方部は噴孔１ｂの傾斜に沿つて傾斜をな
す斜面形状部１ｄを有するように構成したので、
エンジン作動時の口金７の内部の温度分布はほヾ
均一化するから、適宜の部位間、特に、噴口７ｂ
回りとガスケツト３に載置される下面部の外周面
に至るまでの部分との間に主室や副室との距離の
差や肉厚不均衡等によつて生ずる熱応力が著しく
低減される。

以上のように、本考案によるエンジンの断熱副
室はシリンダヘツド下部に挿入されるセラミツク
製口金のヘツドガスケツトに載置される側方下部
に噴孔に沿つた傾斜を有する切欠き部を設けてな
る断熱副室において、前記切欠き部内に配設され
前記口金を保持する金属製保持部材と、シリンダ
ヘツドの位置決め用縦溝に嵌合される位置決め用
バネ部材と、口金上面に配設されるガスケツト部
材とを一体に連結してなるので、次のような効果
がある。

先ず、位置決め用バネ部材と金属製保持部材と
ガスケツト部材とは一体に連結されているので、
組付部においてはその連結された前記部材間に口
金を予め嵌装しておいてシリンダヘツドの口金の
挿入凹部に挿入するのみで組付け作業が終了する
ので、個々の部材を単独に組付ける必要がなくな
り組付けが極めて簡単に行い得る効果がある。

また、前記挿入凹部への前記各部材と口金の挿
入に際しシリンダヘツドの位置決め用縦溝に前記
バネ部材を凸部を圧入しつつ行うことによつて、
前述の口金の組付作業と口金の位置決め作業とが
同時に行い得るので、独立した口金の位置決め作
業工程を設ける必要がなく、作業性が大巾に向上
する効果がある。

更に、前記口金は装着時において前記バネ部材
自体のみならず、斜面を有する切欠き部内に配設
された金属製保持部材を介しても弾性押圧力を受
けるから前記凹部により強固に圧着され、その保
持はより確実になり脱落が防止される効果があ
る。

また、前記口金はヘツドガスケツトに載置され
る側方下部に噴孔に沿つた傾斜を有する切欠き部
を設けてなるので、前記口金の肉厚の不均衡が緩
和され内部の温度分布がほヾ均一化するから、口
金の温度差によつて生ずる熱応力による破壊が防
止され、耐久性、信頼性の向上したセラミツク製
口金を提供できる効果がある。

更に、前記口金を一体に連結された前記位置決
め用バネ部材、ガスケツト部材、金属製保持部材
間に嵌装しておくことにより、シリンダヘツドへ
の組付け前における損傷を防止できる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例を示す縦断面図、第２図
は同実施例における口金の断面図、第３図は同口
金の平面図、第４図は同実施例の連結部材の側面
図、第５図は第４図の−線切断面図、第６図
は同連結部材の正面図、第７図は同実施例のバネ
部材のシリンダヘツドの嵌合状態を示す拡大断面
図である。 １；口金、１ｃ；平面状外周壁、１ｄ；斜面形
状部、４；金属製保持部材、４ａ；傾斜面、４
ｂ；平面状外面部、４ｃ；凹部、６；位置決め用
バネ部材、９；ガスケツト部材、１０；連結部
材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダヘツド下部い挿入されるセラミツク製
   口金のヘツドガスケツトに載置される側方下部に
   噴孔に沿つた傾斜を有する切欠き部を設けてなる
   断熱副室において、前記切欠き部内に配設され前
   記口金を保持する金属製保持部材と、シリンダヘ
   ツドの位置決め用縦溝に嵌合される位置決め用バ
   ネ部材と、口金上面に配設されるガスケツト部材
   とを一体に連結してなるエンジンの断熱副室。