JPH0137257Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、軸封技術に係る密封装置に関するも
のである。

〔従来技術ならびにその問題点〕

従来より各種回転機器のケーシングと該ケーシ
ングの軸孔に挿通したシヤフトの間を該シヤフト
の回転・停止いかんに拘わらず常に密封する手段
として、第３図に示すようなリツプシールａが多
用されているが、このリツプシールａは内径リツ
プ端ｂをシヤフトｃ周面に密接摺動させる、いわ
ゆる接触シールの部類に属するものであり、この
ため該接触に伴う摺動抵抗を原因に消費電力が高
く、前記内径リツプ端ｂやシヤフトｃ周面が摩耗
して密封寿命が短かく、常にシヤフトｃに負荷が
作用してその回転作動に無理がかかる等の問題点
を有している。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の密封装置は以上の点に鑑み、上記問題
点を解消することを目的とするもので、この目的
を達成するため、ケーシングの軸孔に挿通したシ
ヤフトの外周に、該シヤフトに対して従動回転し
かつ軸方向に相対移動可能になる環状の弁座部材
を気密的に外挿し、該弁座部材外径面と前記軸孔
内壁面間に非接触シールを形成するとともに、該
非接触シールに対して接触式シールを連設し、前
記シヤフトの外周面と前記弁座部材間に架設した
ウエイト入りゴム帯等の弁座部材移動制御手段に
より前記シヤフトの定速回転時に前記弁座部材を
軸方向に移動させて前記接触式シールのシール作
動を解除する構成とした。

〔作用〕

上記構成を備える密封装置は、非接触式シール
と上記リツプシール等の接触シールを併有し、シ
ヤフトの停止時と回転時で両シールを分担作動さ
せるもので、すなわちシヤフト停止時には接触シ
ールが密封作動し、シヤフトの回転開始に伴つて
該作動が解除され非接触式シールが交代作動する
ようになる。

〔実施例〕

つぎに本考案の一実施例を第１図および第２図
にしたがつて説明する。

第１図において、ケーシング１と２には互いに
同芯になる軸孔３と４が穿たれ、該両軸孔３，４
に対して１本のシヤフト５が挿通されており、全
体を符号６で示す当該密封装置は、図上左側に存
在する液体Ａの大気Ｂ側への漏洩を阻止するよう
になる。

当該軸封装置６において、符号７は、軸孔８を
備えて前記シヤフト５に遊嵌外挿された環状の弁
座部材を示し、その軸孔８内壁面に軸方向に延び
るキー溝を形成され、該キー溝９にシヤフト５に
突設した平行キー１０を係合してシヤフト５に対
し従動回転し、かつ該シヤフト５に対し軸方向に
移動（スライド）可能に構成されるとともに、同
内壁面に形成した環状溝にＯリング１１を嵌着し
てシヤフト５との間の気密を維持されている。こ
の弁座部材７の外径面と液体Ａ側のケーシング１
の軸孔３内壁面は、液体Ａ側を大径とし大気Ｂ側
を小径とする、互いに平行なテーパ状（円錐面形
状）に形成されるとともに、弁座部材７の外径面
にはネジが刻まれ、該部に非接触式のネジシール
１２が構成される。またこの弁座部材７の一端は
大気Ｂ側のケーシング２内にいたり、該端部外径
面が、該ケーシング２の軸孔４段部に嵌着した接
触式のリツプシール１３の内径リツプ端に対し密
接している。符号１４は、該弁座部材７に固定さ
れ、その動きに従動する後記ウエイト入りゴム帯
１７に対する取付環、１５はセツトスクリユー１
６によりシヤフト５外周に嵌着されたカラーを示
し、該両部材１４，１５外径面に対しウエイト入
りゴム帯１７の両端取付片１８，１９の各一方が
固着されている。このウエイト入りゴム帯１７
は、外径方向に向けてわずかに湾曲形成された中
央作動腕２０の中央に剛球等のウエイト２１を埋
設してなり、シヤフト５の軸線と平行に４本（図
は上下180度対称位置にある２本の断面を示す）
のウエイト入りゴム帯１７が等配状に配設されて
いる。また前記取付環１４とカラー１５の間には
スプリング２２が適宜伸張弾性力をもつて弾装さ
れている。

上記構成の密封装置６は、シヤフト５の停止
時、互いに密接する弁座部材７とリツプシール１
３により液体Ａを密封し、シヤフト５の回転開始
に伴つてその密封作動をネジシール１２に交代さ
せるものである。すなわちシヤフト５が回転する
と、弁座部材７と、取付環１４ならびにカラー１
５を介して各ウエイト入りゴム帯１７がこれに従
動回転し、この各ウエイト入りゴム帯１７の中央
作動腕２０が遠心力により拡径動作するようにな
る。このとき各ウエイト入りゴム帯１７の一方の
取付片１９はカラー１５を介してシヤフト５に固
定されているため、他方の取付片１８が前記スプ
リング２２の弾性に抗してシヤフト５上を液体Ａ
方向へ移動し、取付環１４を介して弁座部材７を
同方向へ移動させ、該弁座部材７とリツプシール
１３を離す一方、弁座部材７の回転によりネジシ
ール１２が密封作動する（第２図）。シヤフト５
の回転が停まると、ウエイト入りゴム帯１７の遠
心力作用が解消して弁座部材７を移動させていた
力がなくなり、該弁座部材７はスプリング２２の
弾発力により第１図の状態に復帰する。

〔考案の効果〕

本考案の密封装置は以上説明したように、非接
触式シールと接触式シールを併有し、該両シール
を形成する弁座部材をウエイト入りゴム帯等の移
動制御手段により移動させることにより、シヤフ
トの停止時は接触式シール、同回転時は非接触式
シールに密封作動を分担させるものであつて、シ
ヤフトの回転に対する抵抗を大幅に削減可能とな
り、消費電力の削減や密封寿命の延長等、所期の
目的を達成し得たものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る密封装置のシ
ヤフト停止時における正断面図、第２図は同シヤ
フト回転時における正断面図、第３図はリツプシ
ールの半裁断面図である。 １，２……ケーシング、３，４，８……軸孔、
５……シヤフト、６……密封装置、７……弁座部
材、９……キー溝、１０……平行キー、１１……
Ｏリング、１２……ネジシール、１３……リツプ
シール、１４……取付環、１５……カラー、１６
……セツトスクリユー、１７……ウエイト入りゴ
ム帯、１８，１９……取付片、２０……中央作動
腕、２１……ウエイト、２２……スプリング、Ａ
……液体、Ｂ……大気。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーシングの軸孔に挿通したシヤフトの外周
   に、該シヤフトに対して従動回転しかつ軸方向に
   相対移動可能になる環状の弁座部材を気密的に外
   挿し、該弁座部材外径面と前記軸孔内壁面間に非
   接触式シールを形成するとともに、該非接触式シ
   ールに対して接触式シールを連設し、前記シヤフ
   トの外周面と前記弁座部材間に架設したウエイト
   入りゴム帯等の弁座部材移動制御手段により前記
   シヤフトの定速回転時に前記弁座部材を軸方向に
   移動させて前記接触式シールのシール作動を解除
   することを特徴とする密封装置。