JPH0135199B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は螺旋状に延在した単一の羽根を備えた
うず巻きポンプ用羽根車に関し、特に使用環境の
変動に対応して自動的に回転釣り合いをとること
ができるうず巻きポンプ用羽根車に関する。

（従来の技術） 単一の羽根を有したうず巻きポンプ用羽根車と
して、特開昭55−160195号公報、特公昭53−
30161号公報等に記載された羽根車が知られてい
る。

羽根車の回転不釣り合いによる振動は騒音や故
障の原因となつている。羽根車の回転釣り合いを
とる方法としてバランスウエイトをつけることが
一般的である。特開昭55−160195号公報に記載さ
れた羽根車はこの方法によつて回転釣り合いをと
つている。バランスウエイトをつける方法は羽根
車の回転釣り合いをとる方法としては簡便な方法
であり多用されている。しかしながらこの方法に
おいては、うず巻きポンプが使用される環境、す
なわち、揚水する流体の密度に合わせてバランス
ウエイトをつけかえなければならないという不具
合もある。この不具合を解消するものが上記した
特公昭53−30161号公報に記載された羽根車であ
る。該羽根車は中空体にされており、羽根車の一
部に羽根車の内部空間と外部とを連通する孔が設
けられている。羽根車の回転釣り合いは羽根車の
内部空間内に孔を介して揚水する流体を充満させ
ることによつてとられている。これによつて、揚
水する流体の密度が変わつても羽根車内部空間の
流体を入れ換えるだけで羽根車の回転釣り合いを
とることができる。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、上記した羽根車を中空体とし、
羽根車の一部に羽根車の内部空間と外部とを連通
する孔を設けた羽根車は使用環境が変動する場合
に、該変動に対応して自動的に回転釣り合いをと
ることができない。例えば、揚水によつて流体の
液面が下降して、羽根車が空気中に露出しても羽
根車内部空間内の流体は孔が空気中に露出するま
では羽根車外部に流出することができず、さら
に、孔が空気中に露出しても羽根車内部空間内の
全流体が流出するのに時間がかかり、その間に回
転不釣り合いが生じ、うず巻きポンプの振動が発
生する。また逆に、液面が上昇してきた場合に
は、液面が孔に達するまで流体は羽根車内部空間
内に流入することができず、さらに液面が孔に達
した後においても、羽根車内部空間内にある空気
が外部へ逃げることができずに内部空間内に閉じ
込められてしまうので、流体は羽根車内部空間内
に流入することができない。そのために羽根車の
回転不釣り合いが生じ、うず巻きポンプの振動が
発生する。

本発明は上記した状況に鑑みてなされたもので
あつて、その目的は、使用環境の変動に対応して
自動的に確実に回転釣り合いをとることができる
羽根車を提供することである。

（問題点を解決するための手段） 本発明による単一の羽根を有するうず巻きポン
プ用羽根車は、前記羽根が、前縁と、後縁と、流
体を内包するための内部空間と、前記流体の密度
が変わつた時に羽根車の釣り合いをとる為に前記
内部空間と前記羽根の外部との間で流体の交換を
許す手段とを有した羽根車において、前記手段が
前記後縁の近くで前記羽根の全高さに沿つて延在
している単一のみぞ孔であつて、前記羽根の内部
空間と外部との間の唯一の連通を形成する単一の
みぞ孔であることを特徴としている。

（作用） 流体の揚水によつて液面が下降して羽根車が空
気中に露出すると、直ちに羽根車内部空間内に充
満していた流体はみぞ孔から外部へ流出し、空気
が内部空間内に流入して羽根車の回転釣り合いが
自動的にとられる。また、液面が上昇して羽根車
に達すると、羽根車内部空間内の空気は内部空間
内に閉じ込められる事なくみぞ孔の上部から外部
へ流出し、流体はみぞ孔下部から羽根車内部空間
内に流体し、羽根車の回転釣り合いが自動的にと
られる。

（実施例） うず巻きポンプ用羽根車１は螺旋状に延在した
単一の羽根４と、単一の羽根４の両端部に互いに
ほぼ平行に設けられた円盤２，３とを有してい
る。羽根４は前縁７と後縁８とを有しており、羽
根４の後縁８の羽根車の回転軸線からの距離は前
縁７のそれよりも大にされていると共に羽根４の
各部の回転軸線からの距離の内で最大にされてい
る。さらに羽根４には内部空間５と、後縁８に隣
接して配置された単一のみぞ孔６とが形成されて
いる。単一のみぞ孔６は羽根４の全高さに沿つて
延在しており、内部空間５と外部との唯一の連通
手段を構成している。みぞ孔６の回転方向の幅は
羽根車の直径と羽根車の回転数とから決定されて
いる。

羽根車１を有したうず巻きポンプが流体の揚水
に使用されると、内部空間５にはみぞ孔６から流
体が流入して、内部空間５は揚水しようとする流
体で充満される。従つて、羽根車１の回転釣り合
いがとられるので羽根車１は振動することなく回
転する。流体が揚水されることによつてその液面
が下降して羽根車１が空中に露出すると、羽根４
の内部空間５中の流体はみぞ孔６を介して直ちに
外部へ流出され、代わりに空気がみぞ孔６から内
部空間５に流入する。これによつて、羽根車１の
空中での回転釣り合いがとられ、羽根車１は振動
することなく回転する。逆に揚水される流体が増
加して液面が上昇した場合には、羽根４の内部空
間５中にあつた空気は内部空間５中に閉じ込めら
れることなくみぞ孔６の上部から直ちに外部へ流
出され、代わりに流体がみぞ孔６の下部から内部
空間内に流入する。これにより羽根車１の流体中
での回転釣り合いがとられ、羽根車１は振動する
ことなく回転することができる。みぞ孔６は回転
軸線からの最大距離を有した後縁８に隣接してい
るので、羽根４の内部空間５にある流体もしくは
空気は遠心力の作用によつて速やかに外部へ流出
される。さらに、みぞ孔６は羽根４の内部空間５
と外部とを連通させる唯一の手段であるので、内
部空間５への流体の流入流れ及び内部空間５から
の流体の流出流れはそれぞれ一方向の流れとな
り、羽根４の内部空間５内に流れの澱み点ができ
ない。したがつて、流体に含まれる固形物質が羽
根４の内部空間５中に堆積する恐れは小さい。ま
た、みぞ孔６はその開口面積が単なる孔に比べて
大きいので流体中の固形物質がみぞ孔６を全高さ
にわたつて閉塞して、流体の交換を阻害する恐れ
も小さい。

（発明の効果） 本発明においては、羽根車内部空間と外部とを
連通する手段が羽根の後縁の近くで羽根の全高さ
に沿つて延在して設けられたみぞ孔であるので、
揚水による液面の下降に際して羽根車内部空間内
の流体が外部へ流出することが出来ると共に液面
の上昇に際しても羽根内部空間内に空気が閉じ込
められることなく流体が羽根内部空間内に流入す
ることが出来る。すなわち使用環境の変動に対応
して自動的に羽根車の回転釣り合いがとられ、有
害な振動の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は羽根車の軸断面図、第２図は第１図の
−線に沿つた断面図。 １……羽根車、４……羽根、５……内部空間、
６……みぞ孔。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 単一の羽根を有するうず巻きポンプ用羽根車
   であつて、 前記羽根が、前縁と、後縁と、流体を内包する
   為の内部空間と、前記流体の密度が変わつた時に
   羽根車の釣り合いをとる為に前記内部空間と前記
   羽根の外部との間で流体の交換を許す手段とを有
   した羽根車において、 前記手段が前記後縁の近くで前記羽根の全高さ
   に沿つて延在している単一のみぞ孔であつて、前
   記羽根の内部空間と外部との間の唯一の連通を形
   成する単一のみぞ孔であることを特徴とするうず
   巻きポンプの羽根車。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の羽根車におい
   て、前記後縁の回転軸線からの距離は前記前縁の
   それより大である羽根車。