JPH0135173B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は絞り弁より上流側の吸気路に生起する
負圧によつて吸気路内を昇降する負圧作動弁を備
えた定真空式気化器に関するものである。従来、
かかる定真空式気化器は例えば特公昭40−12402
号、実公昭43−23922号等で良く知られたもので
あり、吸気路内に昇降自在に配置した負圧作動弁
を絞り弁より上流側の吸気路に生起する負圧の大
きさに応じて吸気路の開口面積を自動的に調節す
ることにより、ニードルジエツトに加わる負圧
（ニードルジエツト部を流れる空気流速）を制御
してニードルジエツトから吸気路内に吸出される
混合気の霧化を良好にするとともに適正な混合気
濃度を保持するものである。そしてかかる定真空
式気化器の負圧作動弁は一般的に円筒形若しくは
板形の何れかの形状によるものであつた。

この円筒形の負圧作動弁によると、負圧作動弁
の底部と吸気路とによつて比較的長いベンチユリ
ー部を形成保持することができるので、この部を
流れる空気流は整流されて安定し、ベンチユリー
部に突出して開口したニードルジエツトに加わる
負圧も安定するので、ニードルジエツトよりベン
チユリー部の負圧に応じた混合気を正確にして且
つ安定して吸出することができるものである。一
方負圧作動弁は気化器本体に吸気路をまたいで穿
設した円弧状のガイド溝及び円筒案内溝内に摺動
自在に配置したので、負圧作動弁が上昇する負圧
作動弁の高開度時において、吸気路の側方にこの
円弧状のガイド溝が残存するものである。これに
よると、吸気路を流下する空気流はこの円弧状の
ガイド溝にて渦流が出じ、機関への空気流入に対
して抵抗となり吸入効率を向上できないものであ
つて機関の高出力化に適合しにくい場合があつ
た。また円筒案内溝の溝径と負圧作動弁の外径と
で摺動を許容する為に当然クリヤランスを有する
ものであるが、機関運転中においては負圧作動弁
は吸気路内の負圧を受けて常に機関側に吸引され
ているものであり、特に吸気路内の負圧が大とな
る機関急減速時においては負圧作動弁は円筒案内
溝の機関側へ吸引され、前述の如く円筒案内溝と
負圧作動弁とにクリヤランスが存在することによ
つて、それらは全周で接触することなく局部的に
接触されるものである。

従つてその接触部における面圧が上昇するので
円筒案内溝、負圧作動弁の材質、表面処理、の選
定は注意深く行なわなければならなかつた。

また負圧作動弁がそれ自体にて気化器本体に穿
設したガイド溝及び円筒案内溝にて案内保持され
るので負圧作動弁の外径は吸気路径よりも大径で
なければならないものであり、この為に気化器本
体の全長を短縮できないものであつた。

一方、板形の負圧作動弁によると吸入効率の向
上は望めるもののベンチユリー部が極めて短い溝
刃オリフイスとなるのでこの部を流れる空気流は
乱流となつて負圧作動弁の近傍に配置したニード
ルジエツトに加わる負圧は不安定となりニードル
ジエツトより正確にして且つ安定して混合気を吸
出し得ないという欠点を有するものであつた。

また特に、負圧作動弁の近傍の吸気路内の負圧
を利用して負圧作動弁に上昇方向の力を付与する
定真空式気化器においては、前述の如く負圧作動
弁の近傍を流れる空気流が乱流となることによつ
て負圧が不安定となり負圧作動弁の上昇リフト特
性を均一にできないものであり、負圧作動弁に一
体的に設けたジエツトニードルと吸気路に突出し
て開口したニードルジエツトによる混合気制御性
が悪化するものであつた。また負圧作動弁の吸気
路に開口する端部の形状に傷等がついた場合にお
いては極めて短いベンチユリー部の一部の形状が
変化することとなるのでそれに伴う負圧の変化は
大となりニードルジエツトからの混合気吸出特性
が大きく変化するものであり、負圧作動弁の製作
を特に慎重に行なわなければならない。

本発明は前記不具合点に鑑み成されたものであ
つて、負圧作動弁を吸気道内にあるベンチユリー
形成部と該ベンチユリー形成部より側方に伸びる
板状のガイド部とにより形成し、このガイド部を
気化器本体に穿設したガイド溝に摺動自在に配置
することによつて、混合気制御性が良好で吸入効
率が秀れ且つ霧化特性の良好な定真空式気化器を
提供することにある。

以下、本発明になる定真空式気化器の一実施例
を図により説明する。１は内部を吸気路２が貫通
し、その機関側には絞り弁３が絞り弁軸４にて回
動自在に拝置されるとともに、前記絞り弁に対応
して図示せぬ低速燃料系に連なるバイパス孔５、
及びパイロツトアウトレツト孔６を備えた気化器
本体であり、この気化器本体１の一側部に対応し
て浮子本体７とによつて浮子室８を形成する。浮
子室８内には浮子９及び図示せぬ燃料流入路に配
置したバルブシート、フロートバルブ、が配置さ
れこれらの協同作用によつて常に一定の液面Ｘ−
Ｘが形成される。

１０は気化器本体の吸気路２に連設された負圧
作動弁案内筒２Ａに摺動自在に案内保持され吸気
路２内を昇降する負圧作動弁であつて、こ負圧作
動弁１０は吸気路２の底とともにベンチユリーＶ
を形成する円筒状のベンチユリー形成部１０Ａと
そのベンチユリー形成部１０Ａの長手軸心方向Ｙ
−Ｙに沿つた側面よりそれぞれ外側方に向つて突
出して設けた板状のガイド部１０Ｂ，１０Ｂとに
より構成されるものであり、ベンチユリー形成部
１０Ａは吸気路２内に配置されるようベンチユリ
ー形成部１０Ａの外径（φA）は吸気路径（φB）
よりり小径となし、その外径（φA）は安定した
ベンチユリー負圧を得ることのできる径及び形状
を適宜に設定するものである。

すなわち、前記実施例においてはベンチユリー
形成部１０Ａを円筒状にしたものについて説明し
たが、ベンチユリー形成部１０Ａの横造面形状
は、吸気路２の長手軸心方向Ｂ−Ｂに対して直交
する方向の外径Ｆと、吸気路２の長手軸心方向に
沿う外径Ｇと、が吸気路２の内径（φB）より小
なるものであればよいものである。（より具体的
には第２図に示される） 一方、板状のガイド部１０Ｂ，１０Ｂはベンチ
ユリー形成部１０Ａの長手軸心方向Ｙ−Ｙに沿つ
た側面より、吸気路２の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直
交する方向に向けてそれぞれ突出して設けられる
ものであり、板状のガイド部１０Ｂ，１０Ｂの吸
気路２の長手軸心方向Ｂ−Ｂに対して直交する方
向の板厚ｔ中心線Ａ−Ａをベンチユリー形成部１
０Ａの中心Ｈを通り吸気路の長手軸心方向Ｂ−Ｂ
に直交する線Ｃ−Ｃの近傍に配置し、さらに板状
のガイド部１０Ｂ，１０Ｂの吸気路２の長手軸心
方向Ｂ−Ｂに直交する側の幅Ｄを吸気路２の内経
φBより大とするものである。

そしてこの負圧作動弁１０は主に気化器本体１
の吸気路２の側方に穿設した負圧作動弁案内筒１
１としてのガイド溝１１Ａ内に板状のガイド部１
０Ｂを摺動自在に配置することによつて吸気路２
内を昇降して吸気路２の面積を可変制御できるも
のである。（尚、ベンチユリー形成部１０Ａもま
たガイド溝１１Ａに連設された円筒状の負圧作動
弁案内筒２Ａに摺動保持される。） また、負圧作動弁１０の上部にはダイヤフラム
あるいはシリンダーのごとき区画体１２が一体的
に配置されるもで区画体１２の中心Ｊはベンチユ
リー形成部１０Ａの中心Ｈの近傍に配置され、こ
の区画体１２と気化器本体１の上側凹部とによつ
て大気室１３Ａが形成され、一方区画体１２とそ
の上部をおおうキヤツプ１４とによつて受圧室１
３Ｂが形成され、この大気室１３Ａは図示せぬ大
気導入路を介して大気と連通され、受圧室１３Ｂ
は例えば負圧作動弁１０のベンチユリー形成部１
０Ａの底部に開口した小孔１０Ｃを介してベンチ
ユリーＶの負圧が導入される。

またベンチユリーＶには浮子室８の一定液面下
にメーンジエツト１５を介して連絡されるニード
ルジエツト１６が開口し、このニードルジエツト
１６内には負圧作動弁１０に支持されるジエツト
ニードル１７が挿入配置され、このジエツトニー
ドル１７はベンチユリー形成部１０Ａの中心Ｈの
近傍の負圧作動弁１０に取着される。そして負圧
作動弁１０の昇降によつてジエツトニードル１７
とニードルジエツト１６とによつて形成される間
隙が調整されて吸気路２内に吸出される混合気量
が制御される。

また１８は負圧作動弁１０に対して下方の力を
付勢するよう一端が負圧作動弁１０に係止され他
端がキヤツプ１４に係止された負圧作動弁戻しス
プリングでありスプリング１８の中心にはベンチ
ユリー形成部１０Ａの中心Ｈの近傍に配置され
る。

本発明においては以上のように、負圧作動弁を
ベンチユリー形成部と、ベンチユリー形成部と一
体的に形成された板状のガイド部と、により形成
し、前記ベンチユリー形成部の横断面形状を、吸
気路の長手軸心方向Ｂ−Ｂに対して直交する方向
の外径Ｆと、吸気路の長手軸心方向Ｂ−Ｂに沿う
方向の外径Ｇと、を吸気路の内径Ｂより小とし、
一方、板状のガイド部をベンチユリー形成部の長
手軸心方向Ｙ−Ｙに沿つた側面より、吸気路の長
手軸心方向Ｂ−Ｂに対して直交する側へそれぞれ
突出させるとともに、板状のガイド部の吸気路の
長手軸心方向Ｂ−Ｂに対して直交する板厚ｔの中
心線Ａ−Ａをベンチユリー形成部の中心Ｈを通り
吸気路の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する線Ｃ−Ｃ
の近傍に配置し、さらに板状のガイド部の吸気路
の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する側の幅Ｄを吸気
路の内径Ｂより大としたので、負圧作動弁１０が
吸気路２を高開度に開放した状態において吸気路
２には板状のガイド溝１１Ａのみが残存するもの
であり、このガイド溝１１Ａは単に負圧作動弁１
０を摺動案内するだけの機能を有すればよいので
薄い溝幅（例ば３ミリメートル程度）でよく、従
つてこのガイド溝１１Ａが吸気路２に残存しても
吸気路２を流れる空気流に渦流が発生することが
極めて少なくなり、さらにベンチユリー形成部１
０Ａを設けたので吸気路２の上流より流入する空
気流はこのベンチユリー形成部１０Ａにて滑らか
に整流されるので板状のガイド溝１１とベンチユ
リー形成部１０Ａとの相乗作用によつて極めて吸
入効率の高い定真空式気化器を得ることができる
ものである。また板状のガイド部１０Ｂは関係な
くベンチユリー形成部１０Ａを設けたことによつ
て、ベンチユリーＶを流れる空気流は整流されて
安定した吸気路負圧を得られるので、ベンチユリ
ーＶに突出して開口するニードルジエツト１６に
作用する負圧も安定し、ニードルジエツト１６を
介して吸気路２内に吸出される燃料量は正確にし
かも安定して供給し得るものである。

また前述の如く、板状のガイド部１１Ｂの中心
線Ａ−Ａをベンチユリー形成部１０Ａの中心Ｈを
通り吸気道２の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する線
Ｃ−Ｃの近傍に配置したので、ベンチユリー形成
部１０Ａの下部において最も吸気路２を絞ること
ができるにで、ベンチユリー形成部１０Ａの中心
Ｈの近傍に配置せるジエツトニードル１７に作用
する吸気道負圧を高めることができ燃料の霧化性
を向上でき機関の燃料性、燃料経済性を大きく向
上できるものである。

また、ベンチユリーＶの吸気道負圧は前述の如
く安定するのでこの部の負圧を受圧室１３Ｂ内に
導入すれば負圧作動弁１０の負圧変化に対する移
動は極めて安定したリフト特性が得られるもの
で、前述の如くニードルジエツト１６に対する吸
気路負圧の安定と受圧室１３Ｂに対する導入負圧
の安定とによつて吸気路２内を流れる燃料量及び
空気量は正確に且つ安定して計量されるので機関
へ供給される混合気濃度は正確に制御されるもの
である。

さらにまた負圧作動弁１０のベンチユリー形成
部１０Ａの中心Ｈの近傍に区画体１２の中心Ｊ及
び負圧作動弁戻しスプリング１８の中心Ｋを配置
するとともに板状のガイド部１０Ｂの中心線Ａ−
Ａをベンチユリー形成部１０Ａの中心Ｈを通り吸
気道の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する線Ｃ−Ｃの
近傍に配置したので、負圧作動弁１０に対する区
画体１２による引上げ力及び負圧作動弁戻しスプ
リング１８の押下げ力が負圧作動弁１０のほぼ中
心部に集中して作用させることができたので負圧
作動弁１０に対するコジリ力が作用することなく
安定した負圧作動弁１０の動特性を得ることがで
きる。

また特に板状のガイド部１０Ｂと別にベンチユ
リー形成部１０Ａを設けたことによつてその製作
時にベンチユリー形成部１０Ａの一部に傷が付い
た際においても充分なベンチユリーＶを形成でき
たのでベンチユリー形成部１０Ａを流れる空気流
の乱れが極めて少なく板型の負圧作動弁に比較し
てその製作は極めて容易なものである。

また、負圧作動弁１０を円筒状のベンチユリー
形成部１０Ａとベンチユリー形成部１０Ａの外径
（φA）を吸気路径（φB）より小径としたことに
よると、従来の円筒形の負圧作動弁に比較して気
化器の全長を短縮できるものである。

また、負圧作動弁１０のガイドを板状のガイド
部１０Ｂとしたことによつて気化器本体１のガイ
ド溝１１との接触は面接触と成ることによつてそ
のガイド部の面下を下げることができるものであ
つて負圧作動弁の材質選定の自由度は増したもの
である。

以上詳述した如く本発明になる定真空式気化器
によると、負圧作動弁案内筒による渦流が発生す
ることなくしかもベンチユリー形成部にて空気流
が整流されるとともにベンチユリーの負圧を効率
よく高められるので、これらの相乗作用によつて
吸入効率が高くしかも霧化特性のよい安定した混
合気制御作用をなす、定真空式気化器を提供でき
るものである。

またベンチユリー形成部を円筒状とすることに
よつて、従来の円筒形の負圧作動弁に比較して気
化器全体をコンパクトにまとめることができるも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明になる定真空式気化器の一実施
例を示す縦断面図であり、第２図は第１図−
線での拡大された横断面図、第３図は第１図−
線での縦断面図である。 ２……吸気路、１０……負圧作動弁、１０Ａ…
…ベンチユリー形成部、１０Ｂ……板状のガイド
部、Ｖ……ベンチユリー、１１……負圧作動弁案
内筒、１１Ａ……ガイド溝、１２……区画体、１
８……負圧作動弁戻しスプリング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絞り弁より上流側の吸気路に負圧作動弁案内
   筒を連設し、該負圧作動弁案内筒内に負圧作動弁
   を昇降自在に配置し、吸気路の有効開口面積を制
   御するとともに負圧作動弁の端部に配置せる区画
   体にて受圧室と大気室とを区分形成し、受圧室内
   に負圧作動弁戻しスプリングを縮設した定真空式
   気化器において、負圧作動弁をベンチユリー形成
   部と、ベンチユリー形成部と一体的に形成された
   板状のガイド部と、により形成し、前記ベンチユ
   リー形成部の横断面形状を、吸気路の長手軸心方
   向に対して直交する方向の外径と、吸気路の長手
   軸心方向に沿う方向の外径と、を吸気路の内径よ
   り小とし、一方、板状のガイド部をベンチユリー
   形成部の長手軸心方向Ｙ−Ｙに沿つた側面より、
   吸気路の長手軸心方向に対して直交する側へそれ
   ぞれ突出させるとともに、板状のガイド部の吸気
   路の長手軸心方向に対して直交する板厚の中心線
   Ａ−Ａをベンチユリー形成部の中心Ｈを通り吸気
   路の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する線Ｃ−Ｃの近
   傍に配置し、さらに板状のガイド部の吸気路の長
   手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する側の幅を吸気路の内
   径より大としてなる定真空式気化器。 ２ 前記ベンチユリー形成部の横断面形状を円形
   とするとともにその直径を吸気路の内径より小と
   してなる請求項第１項記載の定真空式気化器。