JPS6243061B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は気化器本体を貫通する吸気路の一側に
絞り弁案内筒を連設し、該絞り弁案内筒内に吸気
路を昇降する絞り弁を摺動自在に配置した摺動絞
り弁型気化器に関する。

従来、かかる摺動絞り弁型気化器は例えば実公
昭53−1451号公報等でよく知られたものであり、
吸気路を昇降する絞り弁によつて吸気路の開口面
積を調節するとともに絞り弁と同期的に移動する
ジエツトニードルと吸気路に開口するニードルジ
エツトとにより形成される燃料吐出間隙を調節す
ることによつて適正な混合気を機関へ供給するも
のであつた。そしてかかる摺動絞り弁型気化器の
絞り弁は一般的には円筒形若しくは板形の何れか
の形状によるものであつた。

この円筒形の絞り弁によると、絞り弁の底部と
吸気路とによつて比較的長いベンチユリー部を形
成保持することができるので、この部を流れる空
気流は整流されて安定し、ベンチユリー部に突出
して開口したニードルジエツトに加わる負圧も安
定するので、ニードルジエツトよりベンチユリー
部の負圧に応じた混合気を正確にして且つ安定し
て吸出することができるものである。一方絞り弁
は気化器本体に穿設した円弧状のガイド溝及び吸
気路の一側に穿設した円筒状の絞り弁案内筒内に
摺動自在に配置したので、絞り弁が上昇する絞り
弁の高開度時において、吸気路の側方にこの円弧
状のガイド溝が残存するものである。これによる
と、吸気路を流下する空気流はこの円弧状のガイ
ド溝にて渦流が生じ、機関への空気流入に対して
抵抗となり吸入効率を向上できないものであつて
機関の高出力化に適合しにくい場合があつた。

また円筒状の絞り弁案内筒の孔径と絞り弁の外
径とでは摺動を許容する為に当然クリヤランスを
有するものであるが、機関運転中においては絞り
弁は吸気路内の負圧を受けて常に機関側に吸引さ
れているものであり、特に吸気路内の負圧が大と
なる機関急減速時においては絞り弁は絞り弁案内
筒の機関側部へ吸引され、前述の如く絞り弁案内
筒と絞り弁とにクリヤランスが存在することによ
つてそれらは全周で接触することなく局部的に接
触されるものである。

従つてその接触部における面圧が上昇するので
絞り弁案内筒、絞り弁の材質、表面処理、の選定
は注意深く行なわなければならなかつた。

また絞り弁がそれ自体にて気化器本体に穿設し
たガイド溝及び絞り弁案内筒にて案内保持される
ので絞り弁の外径は吸気路径よりも大径でなけれ
ばならないものであり、この為に気化器本体の吸
気路の長手軸心線方向の全長を短縮できないもの
であつた。

一方、板形の絞り弁によると吸入効率の向上は
望めるもののベンチユリー部が極めて短い薄刃オ
リフイスとなるのでこの部を流れる空気流は乱流
となつて絞り弁の近傍に配置したニードルジエツ
トに加わる負圧は不安定となりニードルジエツト
より正確にして且つ安定して混合気を吸出し得な
いという欠点を有するものであり、さらには絞り
弁の吸気路に開口する板状の端部の形状に傷等が
ついた場合においては極めて短いベンチユリー部
の一部の形状が変化することとなるのでそれに伴
なう負圧の変化は大となりニードルジエツトから
の混合気吸出特性が大きく変化するものであり、
絞り弁の製作を特に慎重に行なわなければならな
い。

本発明は前記不具合点に鑑み成されたものであ
つて、絞り弁を円筒形状よりなりその外径が吸気
路径より小径なるベンチユリー形成部と、該ベン
チユリー形成部の長手軸心方向に沿つた側面より
突出する板状のガイド部と、により形成するとと
もに板状のガイド部の中心線をベンチユリー形成
部の中心を通り吸気路の長手軸心方向に直交する
線の近傍に配置し、さらに板状のガイド部を気化
器本体に穿設したガイド溝に摺動自在に配置する
ことによつて、混合気制御性が良好で吸入効率の
秀れた摺動絞り弁型気化器を提供することにあ
る。

以下、本発明になる摺動絞り弁型気化器の一実
施例を図により説明する。１は内部を吸気路２が
貫通し、その側方に絞り弁案内筒３を連設した気
化器本体であり、この気化器本体１の他側部に対
応して配置した浮子本体４とによつて浮子室５が
形成される。浮子室５内には浮子６及び図示せぬ
燃料流入路に配置したバルブシート７、フロート
バルブ８が配置されこれらの協動作用によつて常
に一定の液面Ｘ−Ｘが形成される。９は気化器本
体１の絞り弁案内筒３に摺動自在に案内保持され
吸気路２内を昇降して吸気路２の断面積を制御す
る絞り弁であつて、この絞り弁９は吸気路２の底
部とともにベンチユリーＡを形成する円筒状のベ
ンチユリー形成部９Ａとそのベンチユリー形成部
９Ａの長手軸心方向Ｙ−Ｙに沿つた側面より側方
に突出して設けた板状のガイド部９Ｂとにより構
成されるものであり、ベンチユリー形成部９Ａの
外径（φＡ）は吸気路径（φＢ）より小径とな
し、且つその外径（φＡ）は安定したベンチユリ
ー負圧を得ることのできる径及び形状を適宜に設
定するものである。またＨはベンチユリー形成部
９Ａの中心であつて、板状のガイド部９Ｂの吸気
路２の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する中心線Ａ−
Ａは第２図に示される如く、ベンチユリー形成部
９Ａの中心Ｈを通り吸気路２の長手軸心方向Ｂ−
Ｂに対して直交する線Ｃ−Ｃの近傍に配置され
る。

尚、本実施例のベンチユリー形成部９Ａの下端
部には後述するニードルジエツトに加わる負圧を
制御する為の切抜き９Ｃ及び凹部としてのリセス
９Ｄを設けたものである。そしてこの絞り弁９は
気化器本体１の吸気路２の側方に連設した絞り弁
案内筒３内の板溝状のガイド溝３Ａにて板状のガ
イド部９Ｂが摺動自在に案内保持されるとともに
吸気路２の上側方に連設した絞り弁案内筒３内の
円筒状のガイド孔３Ｂにて円筒状のベンチユリー
形成部９Ａが摺動自在に案内保持され、もつて吸
気路２内を昇降して吸気路２の面積を可変制御す
るものである。尚、本実施例では絞り弁９を板溝
状のガイド溝３Ａと円筒状のガイド孔３Ｂとによ
つて摺動自在に案内保持したが板溝状のガイド溝
３Ａのみにても充分保持できるものである。

またベンチユリーＡには浮子室５の一定液面下
にメーンジエツト１０を介して連絡されるニード
ルジエツト１１が開口し、このニードルジエツト
１１内には絞り弁９に支持されるジエツトニード
ル１２が挿入配置され、絞り弁９の昇降によつて
ジエツトニードル１２とニードルジエツト１１と
によつて形成される間隙が調整されて吸気路２内
に吸出される混合気量が制御される。

また、１３は絞り弁９の機関側の下端部に対応
して開口したスロー噴口であつてこのスロー噴口
はスロージエツト１４を介して浮子室５の一定液
面下に連絡される。

さらにまた１５はトツプ１６を挿通して絞り弁
９に螺着した取付けねじ１７に一端が係合し、他
端が運転者に操作されるアクセルグリツプ（図示
せず）に取着されたアクセルワイヤーであり、１
８は絞り弁９に対して閉方向の力（図において下
方への力）を付勢するスプリングであり、１９は
絞り弁９の板状のガイド部９Ｂの下端部の斜め切
欠き部Ｂに対応しそて配置したストツプスクリユ
ーである。

本発明においては以上のように、絞り弁９をベ
ンチユリー形成部９Ａとベンチユリー形成部９Ａ
の長手軸心方向Ｙ−Ｙの側面より側方に突出する
板状のガイド部９Ｂとにより形成し、そのガイド
部を気化器本体に穿設した板溝状のガイド溝３Ａ
に摺動自在に配置するとともに板状のガイド部の
中心線Ａ−Ａをベンチユリー形成部の中心Ｈを通
り吸気路の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交する線Ｃ−
Ｃの近傍に配置したので、絞り弁９が吸気路２を
高開度に開放した状態において吸気路２には板溝
状のガイド溝３Ａのみが残存するものであり、こ
のガイド溝３Ａは単に絞り弁９を摺動案内するだ
けの機能を有すればよいので薄い溝幅（例えば３
ミリメートル程度）でよく、従つてこのガイド溝
３Ａが吸気路２に残存しても吸気路２を流れる空
気流に渦流が発生することが極めて少なくなり、
さらにベンチユリー形成部９Ａを設けたので吸気
路２の上流より流入する空気流はこのベンチユリ
ー形成部９Ａにて滑らかに整流されるので板状の
ガイド溝３Ａとベンチユリー形成部９Ａとの相乗
作用によつて極めて吸入効率の高い摺動絞り弁型
気化器を得ることができるものである。

また板溝状のガイド部１０Ｂとは関係なくベン
チユリー形成部９Ａを設けたことによつて、ベン
チユリー部Ａを流れる空気流は整流されて安定し
た吸気路負圧を得られるので、ベンチユリー部Ａ
に突出して開口するニードルジエツト１１に作用
する負圧も安定し、ニードルジエツト１１を介し
て吸気路２内に吸出される燃料量は正確にしかも
安定して供給し得るものである。

さらにまたベンチユリー形成部９Ａを格別に設
けることができたのでこのベンチユリー形成部９
Ａには従来一般的に使用されるエヤークリーナー
側に斜めにカツトした切欠き９Ｃ（一般的にカツ
タウエイという）とベンチユリー形成部９Ａを座
ぐつて凹部を形成するリセス９Ｄを容易に設ける
ことが可能となり、これらを変えることによつて
ニードルジエツト１１に加わる吸気道負圧を容易
に制御することが可能となつて気化器セツテイン
グ作業性が著しく向上し機関の性能に合致した気
化器を提供できるものである。

また特に板状のガイド部９Ｂと別にベンチユリ
ー形成部９Ａを設けたことによつててその製作時
にベンチユリー形成部９Ａの一部に傷が付いた際
においても充分なベンチユリー部Ａを形成できた
のでベンチユリー形成部９Ａを流れる空気流の乱
れが極めて少く板型の絞り弁に比較してその製作
は極めて容易なものである。

また、第２の発明のごとく絞り弁９を安定した
吸気路負圧を得る為の円筒状のベンチユリー形成
部９Ａと、気化器本体１へ案内する為の板状ガイ
ド部９Ｂとによつて構成すると、絞り弁９は板状
のガイド部９Ｂにて気化器本体１に案内されベン
チユリー形成部９Ａが気化器本体１に特に摺動案
内される必要がないのでベンチユリー形成部９Ａ
の外径（φＡ）は吸気路径（φＢ）より小径でよ
いものであつて従来の円筒形の絞り弁に比較して
気化器の全長を短縮できるものである。

また、絞り弁９のガイドを板状のガイド部９Ｂ
としたことによつて気化器本体１のガイド溝３Ａ
との接触は面接触と成ることによつてそのガイド
部の面圧を下げることができるものであつて絞り
弁の材質選定の自由度は増したものであり、例え
ばフエノール樹脂の如き合成樹脂材料を絞り弁に
使用できるものである。この合成樹脂材料の使用
によると絞り弁９の重量を金属に比べて大きく軽
量化できるので、気化器全体の軽量化を図ること
ができる。

また前述の如くガイド溝３Ａと絞り弁９との接
触による面圧を下げしかもその圧力分布を円筒絞
り弁の如く比較的接触部が集中するものに比べ均
等化したので機関急減速時の如く吸気路の大負圧
が絞り弁に作用しても絞り弁の動特性が低下する
ことがなく常に円滑な絞り弁の作動特性を得るこ
とができるものである。

以上詳述した如く本発明になる摺動絞り弁型気
化器によると、ガイド溝による渦流が発生するこ
となくしかもベンチユリー形成部にて空気流が整
流されるので、これらの相乗作用によつて吸入効
率が高くしかも安定した混合気制御作用をなす、
摺動絞り弁型気化器を提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明になる摺動絞り弁型気化器の一
実施例を示す縦断面図であり、第２図は第１図
−線での横断面図、第３図は第１図−線で
の縦断面図である。 ３…絞り弁案内筒、３Ａ…板溝状のガイド溝、
３Ｂ…円筒状のガイド孔、９…絞り弁、９Ａ…ベ
ンチユリー形成部、９Ｂ…板状のガイド部、９Ｃ
…切欠き、９Ｄ…リセス。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 気化器本体を貫通する吸気路の一側に絞り弁
   案内筒を連設し、該絞り弁案内筒内に吸気路を昇
   降する絞り弁を摺動自在に配置した摺動絞り弁型
   気化器において、絞り弁を円筒形状よりなり、そ
   の外径（φＡ）が吸気路径（φＢ）より小径なる
   ベンチユリー形成部と、該ベンチユリー形成部の
   長手軸心方向Ｙ−Ｙに沿つた側面より突出する板
   状のガイド部と、により形成するとともに板状の
   ガイド部の中心線Ａ−Ａをベンチユリー形成部の
   中心Ｈを通り吸気路の長手軸心方向Ｂ−Ｂに直交
   する線Ｃ−Ｃの近傍に配置し、さらに板状のガイ
   ド部を気化器本体に穿設したガイド溝に摺動自在
   に配置してなる摺動絞り弁型気化器。