JPH0135095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、ガスケツト付き連結構造に係り、特
に熱膨張係数が互いに異なつた二つの部材間に挾
まれたガスケツトを有する連結構造に係る。

従来の技術 熱膨張係数が互いに異なつた二つの部材間間に
ガスケツトが挾み設けられることはしばしばあ
り、例えば鋳鉄製シリンダブロツクとアルミニウ
ム合金製シリンダヘツドとの互いの接合面間に設
けらるガスケツトの熱膨張係数が互いに異なつた
二つの部材間に挾み設けられることになる。

また前記二つの部材のうちの一方の部材、例え
ば鋳鉄製シリンダブロツクには錆止め用の塗料が
塗布されることがあり、この場合、塗装作業上の
問題からしてガスケツト接合面にも不必要に塗料
が塗布されてしまうことがある。

考案が解決しようとする問題点 上述の如く、熱膨張係数が互いに異なつた二つ
の部材間にガスケツトが挾まれ、その二つの部材
のうちの一方の部材のガスケツト接合面にのみ塗
料が塗布されているガスケツト付き連結構造に於
ては、これが加熱と冷却を繰返されて膨張と収縮
を繰返すと、前記二つの部材の熱膨張係数の差と
前記ガスケツト接合面に塗布されている塗料の塗
膜の温度による粘着力の変化により前記ガスケツ
トが前記二つの部材の接合面間より徐々に外部に
はみ出し、シリンダブロツク用ガスケツトの場合
にはそのはみ出しによつてガスケツトに引張り力
が作用して切れが生じる虞れがある。このガスケ
ツトのはさみ出しは下記の如き原理により生じ
る。即ち、加熱による熱膨張時の初期にはまだ前
記一方の部材のガスケツト接合面に存在する塗膜
が軟化していなくてその密着力が小さく、このた
めこの時にはガスケツトは前記二つの部材の熱膨
張係数の差によつて前記他方の部材の共に前記一
方の部材に対し外側にずれ動き、そしてその後の
冷却による熱収縮時の初期には前記塗膜が熱によ
つて軟化していてその密着力が大きく、このため
この時にはガスケツトはその塗膜によつて前記一
方の部材に恰も接着された状態となつて前記他方
の部材が熱収縮してもそれに従わずに取り残さ
れ、この繰返しによりガスケツトが前記二つの部
材間より外部にはみ出す。

従来、上述の如きガスケツトのはみ出しの対策
は前記ガスケツト接合面にシリコンの如き摩擦低
減剤をデイツピングすることにより行われている
が、これではガスケツトのはみ出し量が低減する
ものも、そのはみ出しの発生を完全に回避するこ
とはできない。

本考案は、従来のガスケツト付き連結構造に於
ける上述の如き問題点を解決した改良されたガス
ケツト付き連結構造を提供することを目的として
いる。

問題点を解決するための手段 上述の如き目的は、本考案によれば、熱膨張係
数が互いに異なつた二つの部材間にガスケツトが
挾まれ、その二つの部材のうちの一方の部材のガ
スケツト接合面にのみ塗料が塗布されているガス
ケツト付き連結構造に於て、前記ガスケツトが前
記二つの部材のうちの他方の部材に接着剤によつ
て接着されていることを特徴とするガスケツト付
き連結構造によつて達成される。

前記ガスケツトを前記他方の部材に接着する接
着剤は一度加熱されるとそれ以降の温度変化によ
つても接着強度を変化しない熱硬化型の接着剤で
あることが好ましく、またガスケツトは前記他方
の部材の熱膨張と熱収縮に追随して膨張及び収縮
する可撓性あるいは弾性ガスケツトであることが
好ましい。

考案の作用及び効果 上述の如き構成によれば、熱膨張時にガスケツ
トが前記他方の部材と共に前記一方の部材に対し
外側にずれ動き、そしてその後の熱収縮時に前記
一方の部材の側の塗膜の粘着力が大きくなつてい
てもガスケツトは前記他方の部材との接着力によ
つて該他方の部材の熱収縮に伴い元の位置に戻
り、この二つの部材間よりガスケツトがはみ出す
ことが確実に回避される。

尚、上述の如き作用がより効果的に得られるよ
う、前記ガスケツトと前記塗膜との間の摩擦抵抗
を軽減すべく、この接合面部に摩擦低減剤が塗布
されているか或いはガスケツト自身に摩擦低減剤
が添加されていることが好ましい。

実施例 以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

添付の図面は本考案によるガスケツト付き連結
構造の一つの実施例を示している。図に於て、１
は一方の部材である例えば鋳鉄製のシリンダブロ
ツクも、２は他方の部材である例えばアルミニウ
ム合金性のシリンダヘツドを各々解図的に示して
いる。

シリンダブロツク１とシリンダヘツド２とは互
いの接合面３と４との間にガスケツト５を挾んで
複数個の締結ボルト６によつて互いに締結されて
いる。またシリンダブロツク１の接合面３を含む
外表面には錆止め用の水性塗料が塗布されてお
り、この外表面はその塗膜７によつて被覆されて
いる。

ガスケツト５は、シリンダヘツド２の熱膨張と
熱収縮に追随して膨張及び収縮し得るよう、アス
ベストをゴムバインダによつて結合して構成され
ている如き可撓性或いは弾性を有するガスケツト
により構成されている。

ガスケツト５は接着剤によつてシリンダヘツド
２の接続面４に接着されており、図に於ては、符
号８によつてその接着剤層が示されている。ガス
ケツト５をシリンダヘツド２に接着する接着剤
は、一度加熱されるとそれ以降の温度変化によつ
ても接着強度を変化しない熱硬化型のものである
ことが好ましく、これは例えばニトロセルロース
と変形アルキド樹脂と可塑剤とからなるものであ
つてよい。

また図示された実施例に於ては、ガスケツト５
のシリンダブロツク１との対向面にはシリコンの
如き摩擦低減剤が塗布されており、その摩擦低減
剤が図にて符号９により示されている。

上述の如き構成によれば、熱膨張時にガスケツ
トがシリンダヘツド２の熱膨張に追随して膨張変
形してこれはシリンダブロツク１に対し外側にず
れ、そしてその後の熱収縮時に塗膜７の粘着力が
大きくなつていてもガスケツト５は接着剤層８に
よる接着力によつてシリンダブヘツド１の熱収縮
に伴ない収縮変形して元の位置に戻る。これによ
りシリンダブロツク１及びシリンダヘツド２が加
熱と冷却を繰返されてもガスケツト５が外部には
み出すことがない。

尚、ガスケツト５のシリンダブロツク１との対
向面に摩擦低減剤層９が設けられていると、ガス
ケツト５のシリンダブロツク１に対する拘束力が
低減され、ガスケツト５がシリンダブロツク１に
対し動き易くなつて上述の如き効果がより顕著に
生じるようになる。

尚、ガスケツト５は摩擦低減材層９を省略され
てそれ自身が摩擦低減剤を含有していてもよい。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案は、これに限定される
ものではなく、本考案の範囲内にて種々の実施例
が可能であることは当業者にとつて明らかであろ
う。

【図面の簡単な説明】

添付の図は本考案によるガスケツトつき連結構
造の一つの実施例を示す縦断面図である。 １……シリンダブロツク、２……シリンダヘツ
ド、３，４……接合面、５……ガスケツト、６…
…締結ボルト、７……塗膜、８……接着剤層、９
……摩擦低減剤層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 熱膨張係数が互いに異なつた二つの部材間にガ
   スケツトが挾まれ、その二つの部材のうちの一方
   の部材のガスケツト結合面にのみ塗料が塗布され
   ているガスケツト付き連結構造に於て、前記ガス
   ケツトが前記二つの部材のうちの他方の部材に接
   着剤によつて接着されていることを特徴とするガ
   スケツト付き連結構造。