JPH0133261Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は兼用型連続鋳造装置の鋳片引抜き装置
に係り、特にブルームの高速鋳造が可能な鋳片引
抜き装置に関する。

従来、スラブ、ブルーム兼用型連鋳装置は基本
的にスラブ連鋳装置がモールドおよびモールド直
下のローラエプロンやタンデイシユ等をスラブ１
ストランド分の連鋳範囲内でブルーム２ストラン
ドを鋳造できるように通常のサイズ替と同様の手
順で交換して鋳造されていた。従つてブルームま
たはビレツトを鋳造する際にも鋳片引抜き装置
は、スラブ鋳造用の装置がそのまま流用適用され
るのが一般的である。

従来の兼用連鋳装置の鋳片引抜き装置には、ピ
ンチロールが鋳造する鋳片の最大幅Ｂと余裕代α
に見合うＢ＋αの長さの第１図上段に示した単一
ピンチロール２の方式と、下段に示したロール径
とロールピツチを縮少することを目的のＢ＋αの
長さを適宜に分割し支持点を増加したいわゆる分
割ピンチロール４の方式がある。最近は高速鋳造
と鋳片品質の観点から分割ロール方式が多く採用
されている。しかし、ロール方式が単一式あるい
は分割式いずれであろうと、引抜き装置は第１図
に示す如くピンチロール軸６が１本に連結され、
駆動モータ８、減速機１０、ユニバーサルジヨイ
ント１２等は片側の１系統にて駆動されている。
ピンチロール２，４はいずれも軸受１４で軸支さ
れ、スラブ１５もしくはブルーム１６を挟持した
ロール間隔Ａはピンチロール軸６と直角方向に取
付けられた油圧シリンダー等によつて適宜調整さ
れる。

上記の如くスラブ鋳造用に構成された鋳片引抜
き装置を用いてブルーム１６を鋳造する場合は、
２ストランドのブルーム１６は単一ピンチロール
２間、もしくは同一回転の２個の分割ピンチロー
ル４間を通過する。従つて２ストランドのブルー
ム１６は鋳造速度が全く同一である。それ故、従
来のスラブ、ブルーム兼用型連鋳装置において、
ブルーム１６を鋳造する際の最大の課題は左右２
ストランドの鋳造速度を同一に維持するようタン
デイシユからモールドへの溶鋼注入量を一定に保
つことである。この作業は甚だ困難で鋳片サイズ
が小さい程、注入量制御のわずかな誤差でも湯面
変動に与える影響が大きいことから、より困難と
なつている。このような理由から現在の鋳造技術
では150mm角ブルームで鋳造速度1m／minがほぼ
限界である。従つてブルーム鋳造時は、スラブ鋳
造時に比べて、鋳片断面の縮少に加えて鋳造速度
の減少により鋳造能力は著しく低下することにな
り、生産性や溶鋼温度低下の面から不利である。

本考案の目的は上記従来技術の問題点を解決
し、ブルームの高速鋳造が可能な兼用型連続鋳造
装置の鋳片引抜き装置を提供するにある。

本考案の要旨とするところは次のとおりであ
る。すなわち、１ストランドのスラブもしくは２
ストランドのブルームを鋳造可能な兼用型連続鋳
造装置の鋳片引抜き装置において、軸受にてそれ
ぞれ軸支された２個の分割ピンチロールと、前記
分割ピンチロールのそれぞれに設けられた駆動装
置と、前記２個の分割ピンチロールの内側端を相
互に連結もしくは分離可能な内側継手と、前記分
割ピンチロール外側端と駆動装置とを連結もしく
は分離可能な外側継手と、を有して成ることを特
徴とする兼用型連続鋳造装置の鋳片引抜き装置で
ある。

通常の４〜８ストランドを有する専用のブルー
ム連鋳装置においては、鋳片サイズ200mm角で
2m／min、150mm角で3m／min程度の鋳造速度で
定常的な操業を維持している。これらの鋳造速度
は従来のスラブ、ブルーム兼用型連鋳装置におい
てブルームを鋳造する場合の３倍近い鋳造能力を
達成していることになる。この最も大きな理由
は、各スタンド毎にタンデイシユからモールドへ
の溶鋼注入量やピンチロールの回転数すなわち、
鋳造速度は勿論、鋳片冷却速度（スプレイ水の制
御）等をそれぞれ独立して制御できるので、鋳込
開始時の同時スタートを必要しない面と合せて、
操業が極めて容易なことである。従つてスラブ、
ブルーム兼用型連鋳装置においても同時の制御が
できれば、ブルームの高速鋳造が可能となるとの
知見に基づいて本考案はなされたものである。

本考案の詳細を図示の実施例により説明する。
本考案の鋳片引抜き装置を第２図に示した。軸受
１４にて軸支された左右の分割ピンチロール４
Ａ，４Ｂが設けられていて、それぞれの分割ピン
チロール４Ａ，４Ｂには駆動装置が設けられてい
る。駆動装置はそれぞれ駆動モータ８Ａ，８Ｂ、
減速機１０Ａ，１０Ｂおよびユニバーサルジヨイ
ント１２Ａ，１２Ｂから構成されている。またそ
れぞれのピンチロール軸６Ａ，６Ｂの内側端には
内側継手１７が設けられ、２個のピンチロール軸
６Ａ，６Ｂは相互に連結もしくは分離が可能であ
る。第３図はピンチロール軸６Ａ，６Ｂが相互に
内側継手１７で接合している状態を示し、第４図
は分離している状態を示している。またピンチロ
ール軸６Ａ，６Ｂの外側端にはユニバーサルジヨ
イント１２Ａ，１２Ｂとそれぞれ連結もしくは分
離が可能な外側継手１８が設けられている。これ
らの内側継手１７および外側継手１８はスプライ
ンを有するフランジカツプリング方式、摺動シヤ
フト方式、電磁クラツチ方式およびギヤカツプリ
ング方式等を使用することができる。

次に上記の如き構成を有する本考案の鋳片引抜
き装置の作用と効果について説明する。まず、ス
ラブ１５を鋳造する時は、内側継手１７により、
２つの分割ピンチロール４Ａ，４Ｂを連結し、両
側の外側継手１８のうち１個を連結し他の１個を
分離すると一方の駆動モータ８、減速機１０およ
びユニバーサルジヨイント１２により連結された
分割ピンチロール４Ａ，４Ｂは同時に回転し、一
般のスラブ専用装置と同等の回転ができる。

次にブルーム鋳造時には内側継手１７を分離
し、外側継手１８をそれぞれ連結すると、２スト
ランドの分割ピンチロール４Ａ，４Ｂはそれぞれ
の駆動モータ８、減速機１０およびユニバーサル
ジヨイント１２により回転し、それぞれ独立のス
トランド制御が可能となる。すなわち、多ストラ
ンドのブルーム専用連鋳装置と同等の各ストラン
ド独立の構成となるので高速鋳造が可能となる。
この時、タンデイシユの注入量制御機構やモール
ドのレベル制御装置等はブルーム専用装置と同等
にストランド別に独立していることは当然であ
る。

本考案の兼用連続鋳造装置の鋳片引抜き装置は
２個の分割ピンチロールと、それぞれの分割ピン
チロールの駆動装置と、２個の分割ピンチロール
を連結もしくは分離可能な内側継手と、分割ピン
チロールと駆動装置とを連結もしくは分離可能な
外側継手とを設けることにより、ブルーム鋳造に
おいてブルーム専用装置と同等の高速鋳造を可能
とする効果をあげることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の兼用型連鋳装置の鋳片引抜き装
置を示す正面図、第２図は本考案の鋳片引抜き装
置を示す正面図、第３図、第４図はいずれも本考
案の内側継手の詳細図で、第３図は連結状態を、
第４図は分離状態を示したものである。 ４，４Ａ，４Ｂ……分割ピンチロール、６，６
Ａ，６Ｂ……ピンチロール軸、８，８Ａ，８Ｂ…
…駆動モータ、１０，１０Ａ，１０Ｂ……減速
機、１２，１２Ａ，１２Ｂ……ユニバーサルジヨ
イント、１４……軸受、１５……スラブ、１６…
…ブルーム、１７……内側継手、１８……外側継
手。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. １ストランドのスラブもしくは２ストランドの
   ブルームを鋳造可能な兼用型連続鋳造装置の鋳片
   引抜き装置において、軸受にてそれぞれ軸支され
   た２個の分割ピンチロールと、前記分割ピンチロ
   ールのそれぞれに設けられた駆動装置と、前記２
   個の分割ピンチロールの内側端を相互に連結もし
   くは分離可能な内側継手と、前記分割ピンチロー
   ル外側端と駆動装置とを連結もしくは分離可能な
   外側継手と、を有して成ることを特徴とする兼用
   型連続鋳造装置の鋳片引抜き装置。