JPH0132812Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、コンバインの穀稈刈取部またはトラ
クタに装着した各種作業機等の昇降位置を検出
し、あらかじめ記憶させた下降位置まで作業機を
自動的に下降させ、作業機の地上高さを常に適正
に保つための移動農機における作業機の下降規制
装置に係るものである。

従来、コンバインにおいては、穀稈刈取部の地
上高さを常に適正に保ち、穀稈の刈取りが円滑か
つ確実に行われるようにするため、穀稈刈取部を
あらかじめ設定した地上高さに維持する自動制御
装置を備えたものが多くなつている。

ところで、上記の自動制御装置として、穀稈刈
取部の上昇は手動昇降機構の手動操作で行い、か
つ穀稈刈取部の下降位置を設定してその下降を自
動的に規制する方式のものを備えたコンバインに
おいては、穀稈刈取部を設定値より下降させる必
要がある場合にはその設定値をいちいち変更しな
ければならないので、刈取り開始時には機体の前
部が上向きとなる、いわゆるヘツドアツプに対処
するため、穀稈刈取部の下降規制設定値をまず低
く設定しておき、安定刈取り走行状態になつてか
ら再び所定の設定値に戻す煩雑な操作を要してい
た。また、圃場の穀稈が部分的に倒伏している場
合に、これを刈取るため穀稈刈取部を一時的に下
降させる際にも、いちいち穀稈刈取部の下降規制
値を設定しなおさなければならないので、穀稈刈
取部を迅速に下降させることができず、これが穀
稈の刈取り作業を停滞させる原因となつていた。

本考案は、上記の如き従来の不都合に鑑み、手
動昇降機構により作業機を昇降させる移動農機に
おいて、作業機の昇降位置を記憶させる記憶回路
と、その記憶回路を作動させ、かつ記憶を解除す
るための操作スイツチを設けたことにより、作業
機の下降を記憶させた記憶値に規制して、作業機
を常に適正な地上高さに維持すると共に、作業機
を一時的に記憶値より下降させる必要がある場合
には、単に操作スイツチを操作して記憶を解除す
るのみで、作業機を手動操作で速かに下降させる
ことができ、作業状態の変化等に追随して、作業
を円滑かつ確実に行うことができる移動農機にお
ける作業機の下降規制装置を提供しようとするも
のである。

本考案の構成を図面に示された一実施例につい
て説明すれば、図面には移動農機としてコンバイ
ンの例が示されており、１は穀稈刈取部、２は脱
穀部であつて、穀稈刈取部１のフレーム３は、そ
の上部がリンク４により、また下部がリフトアー
ム５によつて、それぞれ機体側に上下回動自在に
枢着されている。６，７はそれらの上下回動支点
である。８は油圧シリンダであつて、該油圧シリ
ンダ８は上記リフトアーム５のリンク９と機体側
間に装着されており、油圧シリンダ８によつて穀
稈刈取部１が昇降されるようになつている。１０
は手動昇降レバーであつて、該者動昇降レバー１
０は機体の運転操作位置に設けられている。手動
昇降レバー１０は油圧シリンダ８を手動によつて
作動させるものである。１１は分草体、１２は穀
稈引起体、１３は刈刃である。１４は作業機の昇
降位置検出器（ポテンシヨメータ）であつて、該
昇降位置検出器１４は穀稈刈取部１のリンク４の
枢着部付近に取付けられており、かつその回動軸
はリンク４に突設したピン１５にアーム１６を介
して連動されている。前記穀稈刈取部１を昇降さ
せる油圧シリンダ８は第５図に示すように、油圧
ポンプ１７に油圧弁１８および油圧電磁弁１９を
直列に介して接続されており、油圧弁１８は前記
手動昇降レバー１０によつて操作されるものであ
る。２０はオイルタンクである。２１は操作スイ
ツチであつて運転操作位置に設けられており、ま
た、２２は下降検出スイツチであつて、該下降検
出スイツチ２２は手動昇降レバー１０の下降操作
で閉じるものである。

第６図には穀稈刈取部１の下降位置を規制する
作業機下降規制装置の一例が示されている。この
作業機下降規制装置は、前記昇降位置検出器１
４、油圧電磁弁１９、操作スイツチ２１、下降検
出スイツチ２２その他の回路素子で構成されてい
る。すなわち、２３は記憶回路、２４は比較器
（コンパレータ）であつて、記憶回路２３は昇降
位置検出器１４から検出信号を受けて記憶し、記
憶値信号を比較器２４に送出するものであり、比
較器２４は昇降位置検出器１４の位置検出信号と
記憶回路２３からの記憶値信号とを比較して出力
を送出するものである。操作スイツチ２１は記憶
回路２３を作動させ、かつ記憶を解除する操作を
するものである。比較器２４の出力はアンド回路
２５、インバータ２４、アンド回路２７を経て駆
動回路２８に送られ、該駆動回路２８によつて油
圧電磁弁１９が制御されるようになつている。下
降検出スイツチ２２はアンド回路２７の他方の入
力側に接続されている。２９はオーバーラン補正
回路であつて、穀稈刈取部１が停止するまでの誤
差を補正するため、記憶回路２３の記憶値出力に
あらかじめ一定の補正信号を付加しておくもので
ある。なお、記憶回路２３は、Ａ−Ｄ変換器３
０、Ｄ−Ａ変換器３１、アンド回路３２、カウン
タ３３、シンクロナス・レートマルチプライヤ３
４、発振器３５、単安定マルチバイブレータ３６
等によつて構成されている。

叙上の如く構成されたものにおいて、油圧弁１
８の手動昇降レバー１０を上昇方向に操作すれ
ば、油圧ポンプ１７から油圧シリンダ８へ圧油が
供給され、穀稈刈取部１は上昇する。一方、操作
スイツチ２１により記憶回路２３の記憶作動を解
除しておけば、手動昇降レバー１０を下降方向に
操作することにより、穀稈刈取部１を自在に下降
させることができる。そこで、手動昇降レバー１
０の操作により穀稈刈取部１を適正な地上高さに
調整し、操作スイツチ２１を切換えて記憶回路２
３を作動させれば、その高さにおける穀稈刈取部
１の位置が昇降位置検出器１４で検出され、その
位置検出値が記憶回路２３に記憶される。したが
つて、この状態で手動昇降レバー１０を上昇方向
に操作すれば穀稈刈取部１を上昇させることがで
きるが、その後、穀稈刈取部１を下降させたとき
には、記憶回路２３から比較器２４に記憶信号が
送られ、かつ昇降位置検出器１４からは穀稈刈取
部１の下降位置に応じた信号が比較器２４に送ら
れるので、両信号が等しくなるまでは比較器２４
に出力が発生せず、駆動回路２８は電磁弁１９を
穀稈刈取部１を下降させる方向に作動させる。そ
して、昇降位置検出器１４の信号が記憶値信号と
一致した状態で比較器２４の出力が発生し、この
時点で電磁弁１９は穀稈刈取部１の下降を停止さ
せる方向に作動する。すなわち、穀稈刈取部１は
記憶された位置にその下降が自動的に規制される
ことになる。

一方、穀稈刈取部１を上記の如き記憶値より下
降させる必要がある場合は、操作スイツチ２１を
操作して記憶回路２３の記憶を解除すれば、油圧
電磁弁１９は記憶値による制御が非作動状態とな
るので、手動昇降レバー１０による油圧弁１８の
操作で油圧シリンダ８を作動させ、穀稈刈取部１
を自由に昇降させることができる。したがつて、
圃場に一部倒伏穀稈があつても、穀稈の倒伏状態
等に即応して、その刈取りを円滑かつ確実に行う
ことができる。

これを要するに、本考案は、手動昇降機構によ
り作業機を昇降させる移動農機において、作業機
の昇降位置検出器と、該昇降位置検出器の検出値
を記憶させる記憶回路と、記憶回路を作動させか
つ解除するための操作スイツチと、前記記憶回路
の記憶値と昇降位置検出器の検出値を比較して出
力を送出する比較器と、作業機を昇降させる油圧
機構と、上記比較器の出力により作業機を記憶値
まで下降させる上記油圧機構の制御装置とを設
け、上記記憶回路の解除時には、油圧機構の制御
装置を非作動状態とすべく構成したから、作業機
の下降を記憶させた記憶値に規制して、作業機を
常に適正な地上高さに維持することができると共
に、作業機を一時的に記憶値より下降させる必要
がある場合には、単に操作スイツチを操作して記
憶を解除するのみで、油圧機構の制御装置が非作
動状態となるので、作業機を手動昇降機構の手動
操作で任意の位置に速かに下降させることがで
き、作業状態の変化等に追随して、作業を円滑か
つ確実に行うことができる等、きわめて有用な実
用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る移動農機における作業機の
下降規制装置の一実施例を示すものであつて、第
１図はコンバインの全体側面図、第２図はその要
部の側面図、第３図は昇降位置検出器およびその
関連機構を示す側面図、第４図は同上平面図、第
５図は油圧シリンダの油圧系統図、第６図は下降
位置規制装置のブロツクダイヤグラムである。 図中、１はコンバインの穀稈刈取部、３はその
フレーム、４はリンク、５はリフトアーム、８は
油圧シリンダ、９はリンク、１０は手動昇降レバ
ー、１３は刈刃、１４は作業機の昇降位置検出器
（ポテンシヨメータ）、１７は油圧ポンプ、１８は
油圧弁、１９は油圧電磁弁、２０はオイルタン
ク、２１は操作スイツチ、２２は下降検出スイツ
チ、２３は記憶回路、２４は比較器（コンパレー
タ）、２８は駆動回路である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 手動昇降機構により作業機を昇降させる移動農
   機において、上記作業機の昇降位置検出器と、該
   昇降位置検出器の検出値を記憶させる記憶回路
   と、 記憶回路を作動させてかつ解除するための操作
   スイツチと、前記記憶回路の記憶値と昇降位置検
   出器の検出値を比較して出力を送出する比較器
   と、作業機を昇降させる油圧機構と、上記比較器
   の出力により作業機を記憶値まで下降させる上記
   油圧機構の制御装置とを設け、上記記憶回路の解
   除時には、油圧機構の制御装置を非作動状態とす
   べく構成したことを特徴とする移動農機における
   作業機の下降規制装置。