JPH0132117B2

JPH0132117B2 -

Info

Publication number: JPH0132117B2
Application number: JP58146655A
Authority: JP
Inventors: Shiro Aida
Original assignee: Nippon Oil Corp
Current assignee: Eneos Corp
Priority date: 1983-08-12
Filing date: 1983-08-12
Publication date: 1989-06-29
Also published as: JPS6045183A

Description

【発明の詳細な説明】＜技術分野＞本発明は、石油等の液体を貯留する浮屋根式タ
ンクに関し、特に地震発生時のタンク内液体の吹
出し及び溢流防止を図つたものに関する。

＜背景技術＞従来の浮屋根式タンクの概略を第１図に基づい
て説明する。図において、円筒状のタンク１内に
は石油等の液体が貯留され、その液面を浮屋根２
で覆つてシールしている。浮屋根２は屋根本体２
Ａの外周にポンツーンデツキ２Ｂを連結し、さら
にその外周にタンク１内周壁との間をシールする
シール環２Ｃを連結した構造を有している。尚２
Ｄはデツキサポートである。

かかるタンクにおいては、地震の際、地震波に
よりタンク１内部の液体が励振され、スロツシン
グと呼ばれる現象が生じる。即ち、大型円筒タン
クの場合、内部液体の１次固有周期は２〜10秒程
度と大きく、これに地震波の中の周期の大きな成
分が同調するとタンク内の液面が大きく謡れる。
特に強い地震が発生した場合はこのスロツシング
現象により前記浮屋根式タンクにおいては、第２
図、第３図に示すように浮屋根２とタンク側板１
Ａとの間に隙間ができシール環２Ｃがタンク側板
１Ａの上端を越えて液の吹き出しや溢流を生じ
て、周囲環境の汚染、又、液体が石油等の危険物
である場合は火災等いわゆる二次災害を引き起こ
す可能性もある。かかる事態を防止するため、浮
屋根の周縁に可撓性を有したスカート部材を垂下
して取り付けたものがあり、スロツシング発生時
にスカート部材でシールすることにより液体の溢
出防止を図つている。（特公昭35−3733号参照）。

しかしながら、スカート部材は、タンク内壁と
密着させるための可撓物質で形成されており、ス
ロツシングに順応してスカート部材が容易に変形
するため、スロツシング自体を抑制する機能は乏
しい。そして、特に下端部が高位液面側と低位液
面側とを結ぶ方向に偏平な形（楕円状）に変形す
るため、激しいスロツシング時には、高位液面側
のスカート部材下端部がタンク上端から外れて液
体の溢出を防止できないおそれがある。

また、通常の液面上下揺動時にスカート部材下
端部が可撓性のためまくれ上り易いという難点も
ある。

＜発明の目的＞本発明は、このような従来の問題点に鑑みなさ
れたもので、地震により激しいスロツシング現象
が発生した場合でも、浮屋根のシール性を維持す
ると共に揺動を抑制することによりタンク内容液
の吹出し及び溢流を防止して上記問題点を解決し
た浮屋根式タンクを提供することを目的とする。

＜発明の概要＞このため本発明は、浮屋根の外周縁部に可撓性
を有した筒状の垂れ幕を取り付けると共に、該垂
れ幕の下端部外周に形状保持機能を有したばね鋼
材ワイヤからなるフープを設けた構成とする。

＜実施例＞以下、本発明を図面に示した実施例に基づいて
詳細に説明する。

一実施例を示す第４図において、第１図〜第３
図に示したものと同様の構成を備えた浮屋根式タ
ンクの浮屋根２のシール環２Ｃとポンツーンデツ
キ２Ｂとの間に可撓性材料からなる円筒状の垂れ
幕３が固定して取り付けられている。又、前記垂
れ幕の下端には形状保持機能を有したばね鋼材ワ
イヤ（スプリングワイヤ）で形成されたフープ４
が全周にわたつて取り付けられている。

第５図は垂れ幕３取付部分を拡大して示したも
ので、ポンツーンデツキ２Ｂに取り付けられてい
るシール環取付金具５によつてシール環２Ｃ上端
との間に垂れ幕３の上端フランジを締結して取り
付けている。

ここで垂れ幕３の材料としては耐油性ゴム、軟
質塩化ビニール、金属薄板あるいはこれらと同様
の可撓性（柔軟性及び弾性）材料を使用する。
又、垂れ幕３の耐久性を向上させ、かつ、物理的
性状を調整するために前記材料に布地、ガラスク
ロス、金網又は短冊状の金属薄板等を一種ないし
数種積属して垂れ幕を形成してもよい。さらにこ
れら垂れ幕の形成材料を短冊状としたものをのれ
ん状に並べ、下端相互を連結して垂れ幕を形成し
てもよい。

次に作用を説明する。地震発生により、スロツ
シング現象を生じるとタンク１内の液面が傾く
が、高位液面側では高い液圧によつて垂れ幕３が
タンク側板１Ａ内周壁に圧着するため相互の間に
大きな摩擦抵抗を生じ、一方、低位液面側では垂
れ幕３が高位液面側からフープ４に引つ張られよ
うとするが、この部分の内容液が慣性によつて定
位置に留まろうとすることにより、垂れ幕３に大
きな反作用力を与え、これらの作用が相俟つて浮
屋根２及び垂れ幕３の揺動が効果的に抑制され
る。

又、激しいスロツシング現象を生じて第６図に
示す如くタンク１内の液面が大きく傾き、シール
環２Ｃがタンク側板１Ａ上端より持ち上つた場合
でも、垂れ幕３がタンク側板１Ａに強い摩擦力で
圧着してシール性が保たれる。尚、形状保持機能
を有したフープを備えてない場合は、可撓性を有
した垂れ幕の下端部は、安定状態では真円に近い
状態となつているが、スロツシング発生時は高位
液面側と低位液面側とを結ぶ方向に長軸、これと
直角な方向に短軸をもつような楕円状に変形しつ
つスロツシングを許容してしまう。そして、激し
いスロツシング発生時には、高位液面側の垂れ幕
下端部が長軸方向に延びることにより、タンク上
面から外れ易くなる。

この点、フープ４により形状保持機能を保たせ
れば、前記したようにスロツシング自体を抑制で
き、かつ、同一強さのスロツシングに対しても形
状を保持されたフープ４はタンク１上面から外れ
にくいため内容物の溢出防止効果が相乗的に高め
られるのである。

このように、浮屋根２の揺動自体を抑制でき、
かつ、大きく揺動した場合でもシール性を維持で
きることによつてタンク内容液の吹き出し及び溢
流を効果的に防止でき、これに伴う周囲環境の汚
染、火災等二次災害の発生を良好に防止できるの
である。

又、フープ４は、垂れ幕３下端縁部の伸びを規
制して激しいスロツシング発生時に垂れ幕３がタ
ンク側板１Ａの上端から外れることを効果的に防
止する機能を有する。さらに、重りとしての作用
により通常の浮屋根２の上下作動時に垂れ幕３が
まくれ上がることを防止する機能も有する。この
場合フープ４は環状につながつているため、例え
局部的にまくれ上がり方向の力が作用しても全体
として動きが拘束されるので、それほど重くしな
くても良好なまくれ上がり防止機能が得られる。
なお、フープの重量を十分大きくして浮屋根の移
動を抑制することによつてスロツシング防止機能
を持たせることも可能ではあるが、この場合貯留
液体の浮力との差し引きで重量を嫁ぐ必要がある
ため、相当大型化せざるを得ず、また、重量を大
きくすることは、液体中に沈み易くなることを意
味するから浮屋根の機能が損なわれてしまい実質
的に浮屋根式タンクへの適用は困難なものとな
る。

この点、本発明のフープ４はばね鋼材ワイヤに
よつて形成されており、その強力なばね張力によ
る形状保持機能によつてスロツシング防止機能を
持たせるようにしているため、スロツシング防止
機能を持たせるほどの重量は必要ではなく、した
がつて、浮屋根式タンクに十分適用できるもので
ある。特に、ばね鋼材ワイヤからなる環状のフー
プの場合、ワイヤの軸線と直角方向の曲げ力に対
しては極めて変形しにくいのに対し、環状のなす
面内には、強いばね張力を有しつつもある程度の
弾性変形を許容するものであり、この機能は、後
述するように、浮屋根式タンクへの適用性を高め
るものである。

即ち、浮屋根式タンクの場合上端が開放構造で
あるため、スロツシングの発生に伴い液面傾斜方
向にある程度の変形は免れないが、同様にフープ
４が弾性変形すれば、フープ４の外径をタンク内
壁に近接させてもタンクとの接触を避けられ、若
しくはタンクに接触しても弾性変形するので塑性
変形を防止でき形状保持機能の耐久性にも優れ
る。

さらに、僅かながらも前記のようにして弾性変
形したフープ４が元の形状に復帰しようとすると
きに、生じる液体の流動抵抗によつてもスロツシ
ング抑制機能が得られる。この場合、フープ４は
環状につながつているため、例え局部的にまくれ
上り方向の力が作用しても全体として動きが拘束
されるので、それ程重くしなくとも良好なまくれ
上り防止機能も得られる。

第７図は垂れ幕取付構造の別の実施例を示し、
シール環取付金具６として図示の如くシール環取
付部から分岐させた垂れ幕取付部をシール環２Ｃ
とポンツーンデツキ２Ｂとの間を通し下端部を外
側に折曲した形状のものを用い、該下端部に垂れ
幕３及びこれに連結されたフープ４を取り付ける
ようにしたものである。このものでは垂れ幕３が
タンク側板１Ａに接近するように張り出した構造
であるため予め垂れ幕３及びタンク側板１Ａとシ
ール環２Ｃとの間に存在する液量を少なくするこ
とができるのでこの部分の液体が激しいスロツシ
ングにより押し出された場合でも、その量を最小
限に抑えることができる。

第８図は垂れ幕３をシール環２Ｃのスカーフバ
ンドと一体成形することによりタンク側板１Ａ近
くへ張り出して取り付けるようにしたものであ
る。

尚、以上の実施例において、垂れ幕３下端は通
常時はタンク側板１Ａ内壁から１〜５cm程度離
し、浮屋根２の上下動に支障のない位置に吊り下
げるようにする。

＜発明の効果＞以上説明したように、本発明によれば浮屋根外
周縁部に可撓性を有した垂れ幕を取り付け、か
つ、該垂れ幕の下端部全周にわたつて形状保持機
能を有したばね鋼材ワイヤからなるフープを設け
た構成としたため、地震によるスロツシング現象
の発生時浮屋根の揺動を抑制できると共に浮屋根
とタンク側板とのシール性を維持できることによ
つてタンク内容液の吹出し及び溢流を効果的に防
止でき、ひいては周囲環境の汚染等、二次災害の
発生を可及的に防止できるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の浮屋根式タンクの一例を示す断
面図、第２図は同上タンクのスロツシング発生時
における液体の吹き出し状態を示す断面図、第３
図は同じくスロツシング発生時における液体の溢
流状態を示す断面図、第４図は本発明の第１の実
施例に係る浮屋根式タンクを示す断面図、第５図
は第４図の要部拡大断面図、第６図は同上実施例
においてスロツシングを発生した時の状態を示す
断面図、第７図は本発明の第２の実施例を示す要
部断面図、第８図は本発明の第３の実施例を示す
要部断面図である。１……タンク、２……浮屋根、２Ｂ……ポンツ
ーンデツキ、２Ｃ……シール環、３……垂れ幕、
４……フープ。

Claims

【特許請求の範囲】

１タンク内に貯留した液体の表面を浮屋根で覆
つた浮屋根式タンクにおいて、浮屋根の外周縁部
に可撓性を有した筒状の垂れ幕を取り付けると共
に、該垂れ幕の下端部外周に形状保持機能を有し
たばね鋼材ワイヤからなるフープを設けたことを
特徴とする浮屋根式タンク。