JPH0130661Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、複数の液圧シリンダを有すると共に
パーキングブレーキ等の機械式作動機構を備えた
車両用デイスクブレーキに関するものである。

〔従来の技術〕

この種のデイスクブレーキとしては、フローテ
イングタイプの１個のキヤリパに２個の液圧シリ
ンダを設け、両液圧シリンダの一方にパーキング
ブレーキの機械式作動機構を併設したものがある
が、このデイスクブレーキにおいては、前記パー
キングブレーキの機械式作動機構がキヤリパの中
心位置から外れていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

したがつて、パーキングブレーキを制動操作し
た際には、機械式作動機構がピストンを介して摩
擦パツドの裏板を、その中心から外れた位置で押
動してブレーキデイスクに圧接させて制動を行う
こととなり、その結果摩擦パツドが傾いてブレー
キデイスクと摺接し、摩擦パツドを偏摩耗させる
と共に、摩擦パツドを押動する反力でフローデイ
ングタイプのキヤリパが移動する際に、該キヤリ
パをブラケツトに移動可能に支持している摺動ピ
ンに偏荷重が作用し、摺動部がこじられるため摩
擦抵抗が増大し、キヤリパの円滑な作動が阻害さ
れる等の問題点があつた。

本考案は上記の点に鑑みなされたもので、摩擦
パツドの偏摩耗を防止し、円滑に制動作動する車
両用デイスクブレーキの提供を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するための手段として本考案
は、ブレーキデイスクの外周を跨ぐ一対の摺動ピ
ンに、キヤリパをデイスク軸方向に摺動可能に支
持し、該キヤリパに並設した複数個のシリンダに
液圧発生源より圧液を供給してピストンを駆動
し、該ピストンにて摩擦パツドを押動して回転す
るブレーキデイスクに圧接させ制動を行う車両用
デイスクブレーキにおいて、前記シリンダを３個
以上の奇数個並設し、その中央に位置するシリン
ダは、両翼に位置する他のシリンダよりもブレー
キデイスク外周側でかつその中心を前記両摺動ピ
ンの中心を結ぶ直線の近傍に配置すると共に、こ
の中央に位置するシリンダには、ピストンを機械
的に駆動する機械的作動機構を設けたことを特徴
としている。

〔作用〕

このように構成することにより、パーキングブ
レーキを制動操作すると、摩擦パツドはその中央
において押動され、傾くことなくブレーキデイス
クに圧接して制動を行う。

〔実施例〕

以下、本考案に係る車両用デイスクブレーキの
一実施例を図面に基づき説明する。

キヤリパ１は作用部１ａと反作用部１ｂとこれ
らを結ぶブリツジ部１ｃとからなり、ブリツジ部
１ｃによりデイスク２を跨ぎ、車体側に固定され
たブラケツト３に、デイスク２の外周を跨いで並
設される一対の摺動ピン４，４によりデイスク軸
方向移動可能に設けられている。

そして、前記作用部１ａにはデイスク２側を開
放した第１シリンダ５と第２シリンダ６と第３シ
リンダ７とが、それぞれデイスク軸に平行に設け
られており、前記第１シリンダ５と第３シリンダ
７とはキヤリパ１の作用部１ａの両翼に、デイス
ク軸を中心とした同一円周上にその中心が位置す
るよう離間して配設され、前記第２シリンダ６
は、第１シリンダ５と第２シリンダ６のシリンダ
径よりも小径に形成され、その中心Ｃが、両シリ
ンダ５，６の中間で、該シリンダ５，６の中心を
通る円よりも大径の同心円上に位置し、かつ前記
摺動ピン４，４間の中央で、両摺動ピン４，４の
中心を結ぶ直線ア上に略位置するように配設され
ている。

また、前記第１シリンダ５にはピストン８が第
３シリンダにはピストン９がそれぞれ嵌挿してあ
り、両ピストン８，９の先端は前記デイスク２の
両側面に適切な制動間隙を保持させて配設した摩
擦パツド１０，１１のキヤリパ１の作用部１ａ側
の摩擦パツド１０の裏板１０ａの両翼部に当接さ
せており、また前記第２シリンダ６に嵌挿したピ
ストン１２の先端は、前記摩擦パツド１０の裏板
１０ａに、両翼の前記ピストン８，９の当接位置
間の中央でかつデイスク２の外周側へ若干ずれた
位置において当接するようになつている。

また、前記第２シリンダ６には、該第２シリン
ダ６に嵌挿したピストン１２を、制動間隙自動調
整装置１３およびスリーブピストン１４を介して
機械的に駆動するパーキングブレーキの機械式作
動機構１５が併設してある。

この機械式作動機構１５は、前記第２シリンダ
６の後方に、該第２シリンダ６と直交する方向に
形成した円筒状のカムシヤフト嵌挿部６ａに嵌挿
したカムシヤフト１６と該カムシヤフト１６の回
動により駆動され、前記スリーブピストン１４お
よび制動間隙自動調整装置１３を介してピストン
１２をデイスク２方向に押動するプツシユロツド
１７とカムシヤフト１６の前記カムシヤフト嵌挿
部６ａから延出した部分に取着され、ブレーキワ
イヤ（図示せず）等に引張されて該カムシヤフト
１６を回動駆動する作動レバー１８および回動し
た作動レバー１８を初期位置に復帰させるリター
ンスプリング１９等から構成されている。

尚、２０，２０，２０は第１シリンダ５、第２
シリンダ６および第３シリンダ７にそれぞれ圧液
を供給するブレーキホース（図示せず）を接続す
るボス部、２１，２１，２１はブリユーダプラグ
である。

次に上記のように構成される本実施例の作動を
説明する。

車両走行時にブレーキペダル等を操作して液圧
による制動を行うと、マスタシリンダよりの圧液
がブレーキホースを介してキヤリパ１の第１シリ
ンダ５、第２シリンダ６および第３シリンダ７に
それぞれ供給され、各ピストン８，１２，９がそ
れぞれ駆動されて裏板１０ａを介して摩擦パツド
１０を車輪と一体に回転するデイスク２の一側に
押圧する。この時、シリンダ径を第１シリンダ５
および第３シリンダ７より小径に形成した第２シ
リンダ６が中央に位置しているため、デイスク２
への押圧力は裏板１０ａに左右平均して作用する
こととなる。

摩擦パツド１０がデイスク２の一側に押圧され
ると、キヤリパ１は前記各ピストン５，１２，７
の反力で作用部１ａ側に移動し、該キヤリパ１の
反作用部１ｂが他方の摩擦パツド１１をデイスク
２の他側に押圧し、両摩擦パツド１０，１１間で
デイスク２を挾圧して制動作動を行う。

また、パーキングブレーキによる制動は、ブレ
ーキレバー等の制動操作により、キヤリパ１の中
央に位置する第２シリンダ６の後部に設けたパー
キングブレーキの機械式作動機構１５をそのカム
シヤフト１６に取着した作動レバー１８をブレー
キワイヤ（図示せず）を介して回動駆動し、カム
シヤフト１６に係合したプツシユロツドによりス
リーブピストン１４および制動間隙自動調整装置
１３を介してピストン１２をデイスク２側に押動
する。

機械的に押動されたピストン１２は、摩擦パツ
ド１０の裏板１０ａの中央を押動して、該摩擦パ
ツド１０をデイスク２の一側に押圧すると共に、
その反力で移動するキヤリパ１の反作用部１ｂに
より他方の摩擦パツド１１をデイスク２の他側に
押圧させ、両摩擦パツド１０，１１間でデイスク
２を押圧挾持してパーキングブレーキによる制動
を行う。

この時、機械式作動機構１５を備えた第２シリ
ンダ６がキヤリパ１の中央に位置すると共に、該
第２シリンダ６の中心Ｃ、即ち該第２シリンダ６
に嵌挿したピストン１２の先端押圧中心が、キヤ
リパ１をブラケツト３に移動可能に支持する摺動
ピン４，４の中心を結ぶ直線ア上に略位置するた
め、キヤリパ１に左右方向およびデイスク半径方
向の傾きが生じることなく摩擦パツド１０の裏板
１０ａの中央を押圧することとなり、よつて摺動
ピン４，４に偏荷重が作用して摺動部をこじるこ
ともない。

また、前記第２シリンダ６がデイスク２の周縁
部に位置するため、制動有効径を大径とできるの
で機械的に作動するパーキングブレーキの制動効
率が高くなる。

尚、本実施例においては、中央に位置するシリ
ンダにピストンを嵌挿し、該ピストンを液圧で駆
動すると共に機械的に駆動する機械式作動機構を
設けたが、この中央に位置するシリンダのピスト
ンは、機械式作動機構のみで駆動される型式でも
よい。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案は、１個のキヤリパ
に３個以上の奇数個のシリンダを設け、その中央
に位置するシリンダは、両翼に位置する他のシリ
ンダよりもブレーキデイスク外周側でかつその中
心を前記両摺動ピンの中心を結ぶ直線の近傍に配
置すると共に、該シリンダのピストンを機械的に
駆動する機械式作動機構を設けたので、キヤリパ
が小型・軽量にできると共に、機械的に制動作動
させた際摩擦パツドが傾かず該摩擦パツドの偏摩
耗が防止でき、また、摺動ピンに偏荷重が作用す
ることがないのでキヤリパの移動が円滑になり、
更に、機械的に制動作動させた際の制動有効径が
大径となり、制動効率に優れている等の効果を有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示すも
ので、第１図は一部断面平面図、第２図は正面
図、第３図は断面背面図である。 １……キヤリパ、２……デイスク、３……ブラ
ケツト、４……摺動ピン、５……第１シリンダ、
６……第２シリンダ、７……第３シリンダ、８，
９……ピストン、１０，１１……摩擦パツド、１
０ａ……裏板、１２……ピストン、１５……機械
式作動機構、１６……カムシヤフト、１７……プ
ツシユロツド、１８……作動レバー、Ｃ……第２
シリンダ６の中心、ア……両摺動ピン４，４の中
心を結ぶ直線。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ブレーキデイスクの外周を跨ぐ一対の摺動ピン
   にキヤリパをデイスク軸方向に摺動可能に支持
   し、該キヤリパに並設した複数個のシリンダに液
   圧発生源より圧液を供給してピストンを駆動し、
   該ピストンにて摩擦パツドを押動して回転するブ
   レーキデイスクに圧接させ制動を行う車両用デイ
   スクブレーキにおいて、前記シリンダを３個以上
   の奇数個並設し、その中央に位置するシリンダ
   は、両翼に位置する他のシリンダよりもブレーキ
   デイスク外周側でかつその中心を前記両摺動ピン
   の中心を結ぶ直線の近傍に配置すると共に、この
   中央に位置するシリンダには、ピストンを機械的
   に駆動する機械的作動機構を設けたことを特徴と
   する車両用デイスクブレーキ。