JPH0130272B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は異常温度検出装置を内蔵した誘導加熱
調理器に係り、特に異常温度検出装置に二又は三
以上の異常温度を検出させて、料理の種類に合わ
せた安全な調理ができる誘導加熱調理器を提供す
るにある。

発明の技術的背景 最近、商用周波による電磁誘導加熱方式を利用
した、炎のない調理器が開発され、熱効率が高
く、安全・清潔に調理を行なうことができるとい
うことで好評を博している。これが誘導加熱調理
器と言われるものであり、ガスや石油燃焼形の調
理器と異なり、電気器具なのでその性能や安全装
置において優れた点がある。特に安全装置におい
て特有なものとして異常温度検出装置が挙げられ
る。この異常温度検出装置は鍋等の調理容器の空
焼きで長時間使用する等の危険防止のためと、自
己装置保護のために設けられ例えば、第１図に示
す如く、トツププレート１下の励磁コイル２を支
えるべく配設されたコイル支え３の裏面にそのセ
ンサ、例えばサーマルスイツチ４を具備したもの
である。しかして、このサーマルスイツチ４はト
ツププレート１上に載せられて加熱された鍋（図
示せず）からの熱伝導を受けて間接的に熱せら
れ、その熱による温度が予め設定した異常温度に
達したときに報知ブザーを鳴らし或いは励磁コイ
ル２の励磁電流を遮断させ、もつて温度過昇防止
を計る。かかる異常温度検出は、加熱源である励
磁コイル２がそれ自体で発熱するのではなく鍋の
熱を受けて熱せられるから可能なのであり、ガス
や石油等の燃焼器具のように加熱源自体が発熱す
るものでは不可能である。即ち、燃焼器側から鍋
に熱を加えるので燃焼器側では鍋の温度を検出し
得ず、しかも常に異常温度になつているからであ
る。

背景技術の問題点 ところで、この従来の異常温度検出装置は、そ
の異常温度設定が一種類のみに限られていた。こ
のため、例えば普通の煮物調理に合わせて異常温
度を設定すると、調理温度の高いテンプラ調理時
に誤作動する可能性がある。又、一方テンプラ調
理に支障なきように高い温度に設定すると今度は
普通の低温度調理の時に長時間作動せず空焼きに
なる危険がある。そこで現行のものは後者の高い
異常温度に設定しているものが大半であり、その
ため普通の低温度調理の時に非常に危険性を伴う
ものであつた。

発明の目的 本発明は上記事情を考慮してなされたもので、
その目的とするところは、異常温度検出装置に二
又は三以上の異常温度を設定できるようにさせ、
調理の種類に合わせてその異常温度を自動的に選
択させることによつて安全かつ簡便な誘導加熱調
理器を提供するにある。

発明の概要 本発明はかかる目的を達成すべく、異常温度検
出装置を内蔵した誘導加熱調理器において、上記
異常温度検出装置に複数の異常温度を選択するこ
とができる切換回路を設け、この切換回路を調理
の種類に合わせて切換えるべく、鍋等の調理容器
内の溶液温度を温度検知器によつて測定するとと
もにこの温度と、予め設定され調理の種類に応じ
て決められた所定温度とを比較判定する判定回路
を設けて、低温度調理のときは判定回路をして低
い異常温度に切換え、高温度調理のときは高い異
常温度に切換えるように構成したものである。

発明の実施例 以下本発明に係る誘導加熱調理器の好適一実施
例を添付図面に従つて説明する。

第２図において、５は鉄心に巻かれた励磁コイ
ル、６はレンジカバーの役目をするホツトプレー
ト、７は該ホツトプレート上に載せられた銅・鉄
合板構造の専用鍋であり、励磁コイル５は駆動回
路８を介してコンセント９、電源スイツチ１０か
ら送られて来る商用電源に接続されている。励磁
コイル５の付勢により発生した磁束は鍋７の底部
を通り、電磁誘導作用により渦電流が流れて、鍋
に直接発熱を生じさせる。１１はホツトプレート
６裏面の励磁コイル５間に装着したサーマルスイ
ツチ等の温度センサであり、切換回路１２ととも
に異常温度検出装置を形成する。

切換回路１２は比較器１３と切換リレー接点１
４とからなり、比較器１３の一方の入力は上記温
度センサ１１による温度に応じた検出電圧が入力
されるようになつている。又他方の入力は二又は
三以上の抵抗Ｒがその一端を共通にして接続され
るとともに他端が開放され、リレー接点１４によ
りこれら開放端のいずれか一つが接地されるよう
になつている。各抵抗の抵抗値は接地されたとき
他方の入力に所望の異常温度に相当する基準電圧
が発生するように予め決定される。図示実施例で
は二つの抵抗R_L，R_H接続の場合を示し、リレー
接点１４を抵抗R_L側に倒したときは例えば130℃
の異常温度設定が、又抵抗R_H側に倒したときは
例えば250℃の異常温度設定がなされるものとし、
リレー接点１４は常時は抵抗R_L側に倒れている
ものとする。比較器１３の出力は、上記温度セン
サ１１の検出電圧がリレー接点１４により選択さ
れた基準電圧以上になつたとき異常検出信号とし
て出力され、これにより報知器（図示せず）を鳴
らし又は電源をOFF或いは励磁コイル５の励磁
電流量を減少させる制御信号となる。

１５は判別回路であり、温度検知器としての温
度プローブ１６と比較器１７と主制御回路１８と
からなる。温度プローブ１６は調理の始めから終
りまで、その先端検出部が鍋７に直接触れること
なく鍋７内に満たされている溶液、例えば水又は
油中に浸されるようにセツトされ、常に溶液温度
を検知しその温度に応じた電圧を出力する。この
検知電圧は比較器１７の一方の入力に入力され、
他方の入力である予め設定した基準電圧と一定条
件のもとで比較される。基準電圧は、水を使用す
る普通の煮物低温調理と油を使用するテンプラ高
温調理との境界温度T₁となる温度、例えば120℃
に相当する電圧に設定されている。上記比較器１
７の出力はこの基準電圧に対して温度プローブ１
６の検知電圧が小さいときは、例えば論理レベル
“０”を、又検知電圧が大きいときは論理レベル
“１”を出力する。この出力は一定条件、すなわ
ち温度プローブ１６により検知された溶液温度が
境界温度T₁よりも幾分低い所定温度であつて、
必ずその温度に達することができる温度T₂、例
えば溶液が水の場合には沸騰温度である100℃に
達した時点から所定時間経過後に出力されるよう
になつている。ここで所定時間とは、加熱下にお
ける油が100℃を越えてから120℃に達するまでに
十分な時間であり、かつ沸騰した水の殆んどが残
存している時間である。かかる条件の設定は比較
器１７内に設けたタイマーによつてなし得るもの
とする。なお、比較器１７の初期出力は常に論理
“０”となるようにセツトされている。

比較器１７の出力は主制御回路１８に入力さ
れ、論理“１”のときその出力側に設けたリレー
巻線１９を励磁する。このリレー巻線１９は上記
切換回路１２のリレー接点１４を駆動する駆動巻
線となつている。尚、主制御回路１８は励磁コイ
ル５の励磁電流量を調整するボリユーム２０を有
しており、その操作により駆動回路８を制御し鍋
７の加熱を加減できるようになつている。

以上の構成よりなる本誘導加熱調整器の作用に
ついて説明する。

先ず、水炊きや煮物等の低温調理の場合につい
て述べるに、このとき鍋７には水が満たされる。
電源スイツチ１０ONにより各回路はリセツトさ
れると共に励磁コイル５が付勢され鍋７を加熱し
始める。水が沸騰を始める100℃に達したとき温
度プローブ１６を介して比較器１７に設けたタイ
マーが作動する。所定時間経過後であつても、水
は100℃以上とならないので比較器１７出力はこ
のとき論理“０”を判別する。また水に野菜等を
入れたために沸点が上がつたとしても120℃を所
定時間内で越えることがないから、この場合にあ
つても比較器１７は論理“０”出力となる。この
論理“０”出力を受ける主制御回路１８はそのリ
レー巻線１９を付勢しないゆえ、結局判別回路１
５は調理の種類を低温調理とみなす。この判別回
路１５出力は切換回路１２のリレー接点１４に出
力されるも、リレー接点１４を初期状態である抵
抗R_Lに接続した状態に維持し、異常温度検出装
置の異常温度を低温異常温度130℃に設定するこ
ととなる。なお、かかる設定はこの調理において
変更されるべきでないから、比較器１７又は主制
御回路１８の出力は既知の手段で記憶されるよう
にしておく。従つて判別後は温度プローブ１６を
含む判別回路１５は異常温度検出装置には関与す
ることがなくなるが、もし関与させたい場合には
適宜の箇所にリセツトボタン等を設ければよい。
ここで、水が煮詰つて鍋７の温度が上昇を始めそ
の熱伝導を受けて温度センサ１１が異常温度であ
る130℃に達すると、直ちに比較回路１３が働ら
き異常検出信号を出力する。従つて、長時間の空
焼きが防止出来安全性を確保することができると
共に、調理の失敗も解消する。

次に、天ぷら等の高温調理の場合について述べ
るに、このとき鍋７には油が満たされる。油は水
と異なり沸騰温度が100℃よりもかなり高いので、
100℃を越えてから所定時間経過後の温度プロー
ブ１６による検知温度は120℃を越えることにな
る。このため比較回路１７は論理“１”を出力
し、主制御回路１８はリレー巻線１９を付勢する
ので判別回路１５は調理の種類を高温調理と判別
する。この判別出力は、切換回路１２のリレー接
点１４を抵抗R_H側に切換え、異常温度検出装置
の異常温度を高温異常温度250℃に設定すること
となる。ここで、鍋７が加熱され続け異常温度で
ある250℃に達すると、直ちに比較回路１３が働
らき異常検出信号を出力する。よつて、特に危険
な火災発生を未然に防止することが可能となる。

従つて、異常温度検出装置の異常温度が二段階
に切換え自在に設定されるとともに、温度プロー
ブ１６による溶液温度の監視によつて判別回路１
５を作動させ、この作動によつて自動的に実際の
調理に見合つた異常温度となるように切換回路１
２を切換えるようにしたので、調理時に温度プロ
ーブを鍋７に差し込んでおくという簡単な作業の
みで空焼きを防止することができる。特に普通の
低温調理時には異常温度検出装置の動作点をそれ
に見合つた温度に下げているので、従来のような
長時間の空焼きを放置するようなことがなくなり
安全性が向上する。又、高温調理時にあつても不
用意に動作することもなくなり調理に支障を来た
すことがなく、しかもこれらの異常温度設定は手
動で行なうものではなく自動的になされるので誤
動作をなくすことができる。

尚、異常温度設定を二段階としたがこれを三段
階以上とすることも可能であり、その場合には切
換回路１２における比較器１３の基準電圧発生用
の抵抗を増加させるとともに、リレー接点１４を
これに合わせて多接点形とし、更に判別回路１５
における比較器１７並びに主制御回路１８及びリ
レー巻線１９の複数化又はソフトウエア上の改変
により境界温度を多岐に分けるようにすればよ
い。これによれば温度条件の厳しい調理をも可能
とすることができる。

更に、判別回路１５の判定時期を常時行なうの
ではなく、鍋７の溶液温度が100℃に達したとき
から所定時間経過後に行なうようにさせたので、
異常温度を境界温度（120℃）よりも高い温度、
例えば130℃に設定した場合の低温調理時にあつ
ては、野菜などを入れると異常温度に達する前に
境界温度を通るために、常時判定を行つている
と、初期設定してある低温の異常温度を高温の異
常温度に切り換え、その結果、異常温度検出装置
を不作動にさせ空焼きを助長してしまうのを有効
に防止することができる。また、低温調理におけ
る問題を除去すべく低温調理時の異常温度を境界
温度（120℃）よりも低い温度、例えば110℃に設
定した場合に、高温調理時にあつては境界温度に
達する前に必ず異常温度検出装置が作動して、高
温調理が出来なくなつてしまうという不具合を解
消することができる。

発明の効果 以上、要するに本発明によれば次のような優れ
た効果を発揮する。

(1) 異常温度検出装置の異常温度を調理に応じて
自動的に高低に切換えるようにしたので、調理
の種類にかかわらず一種類の異常温度のみしか
設定出来なかつた従来のものと異なり、高温調
理時には高い異常温度を設定でき、低温調理時
には低い異常温度を設定できるため、高温調理
時に誤動作したり、低温調理時に空焼きになつ
たりすることがなく、極めて安全な調理を行う
ことができる。

(2) 境界温度よりも幾分低い所定温度に達してか
ら所定時間経過した時点の溶液温度を判別する
ことによつて、異常温度の高低の切換えを行う
ようにしたので、溶液温度から高温調理である
か、低温調理であるかの見極めができ、従つて
高低の切換えを間違えたり、調理中誤つて切換
つたりすることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来及び本発明の誘導加熱調理器の異
常温度検出装置における温度センサ装着位置を説
明した要部断面図、第２図は本発明に係る誘導加
熱調理器の好適一実施例を示すブロツク図であ
る。 図中、２，５は励磁コイル、７は鍋等の調理容
器、１２は切換回路、１５は判別回路である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 励磁コイルの付勢による電磁誘導作用により
   鍋などの調理容器を直接加熱すると共にこの調理
   容器からの熱伝導を受けてその異常温度を検出す
   る異常温度検出装置を内蔵した誘導加熱調理器に
   おいて、上記異常温度検出装置に切換自在に設け
   られ異常温度を低温又は高温に切換設定する切換
   回路と、上記調理容器内の溶液と接触して溶液温
   度を検出する温度検知器と、上記異常温度の低温
   及び高温に対応する低温度調理及び高温度調理の
   境界として設定した境界温度よりも上記溶液温度
   が幾分低い所定温度に達してから所定時間経過時
   点で、境界温度に対する溶液温度の高低を判別
   し、その判別に応じて上記切換回路を自動的に切
   換える判別回路とを具備していることを特徴とす
   る誘導加熱調理器。