JPH0129384Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、強制通気式のガス瞬間湯沸器や風呂
釜等に用いられるブンゼン式の高負荷燃焼用ガス
バーナに関するものである。

〔従来の技術〕

近年、この種のガス瞬間湯沸器などにあつて
は、器具が有する燃焼能力が大きいわりには器筐
を小形化したものが要求され、実用化の傾向にあ
る。この種の器具において、本出願人は先に強制
空冷式瞬間湯沸器を提案した（実公昭57−45965
号参照）。しかし乍ら、この瞬間湯沸器のバーナ
では高負荷燃焼時において次のような問題がある
ことを知つた。即ち、送風機などで燃焼に必要な
一次・二次空気がバーナ群に向かつて強制的に送
気されると、単位バーナ端縁の火炎基部に剥離現
象を生起し易く、そのため点火燃焼開始時に並列
状に隣接するバーナへの火移りが悪くなり、バー
ナ群全体の着火燃焼に時間がかかるという問題が
ある。通常バーナ群間の火移りは出来る限り迅速
に行なわれることが望ましい。その理由は、バー
ナ群の着火に時間がかかれば、その間に噴出した
生ガスが器筐内に溜まつて爆発現象を引き起すお
それがあるからである。

（考案が解決しようとする問題点） 上記問題を解決せんとした従来技術に、(イ)各単
位バーナの炎孔の一部へ、これと対設してガス案
内部を備えた火移り板を設けたもの（実公昭61−
4093号、実公昭54−38595号参照）や、本出願人
が先に提案した(ロ)各単位バーナ間を固定すると共
に火移り手段を兼ねる長手の固定杆を貫挿させた
もの（実公昭59−16655号参照）などがあるが、
(イ)のものは、火炎の一部が燃焼中常に火移り板に
接触して加熱しているので、この部の熱的損焼は
避けられないと共に、火炎中の炭素微粒子が出る
所謂イエローチツピングの不完全燃焼を生じ、良
好な高負燃焼が得られない。(ロ)のものは、火炎接
触による燃焼時の問題は回避しているものの、バ
ーナ組立作業において固定杆で複数の単位バーナ
間を串差しして固定させるという手数を必要と
し、それだけコストが上昇するという問題があ
る。また(イ)・(ロ)ともに、火移り手段としての専用
部品をガスバーナとは別に製作する必要があるの
で、その分のコスト高を招くという問題がある。

本考案はこのような従来技術の問題点を改善
し、火移り用の専用部材を別個に製作する必要が
なく、板金プレス加工時に共材にて一体的に形成
できる共に、単位バーナを横方向に並列に組立て
た時には必然的に火移り手段部が構成でき、かつ
火移り手段部が燃焼中の火炎に接触加熱されるこ
ともなく、しかもバーナ火移りに良好な混合ガス
と空気を燃焼し易いように混合せしめ、火移りを
迅速かつ確実に行なうことができるガスバーナを
提供することを目的とする。

（問題を解決するための手段） 本考案は、前述の如き目的を達成するために、
板金プレス加工により、ベルマウスに連なる混合
管と、該混合管の上方で中腹部に整流部を有する
混合気室と、該混合気室の上方に横長手方向に延
びるバーナヘツドに複数個の炎孔を有する単位バ
ーナを形成し、その単位バーナを複数個横方向に
並列させて一体的に構成したガスバーナにおい
て、前記各単位バーナの炎孔の両端部に近い部位
における混合気室上部の側壁に外向きに突出する
火移り促進手段である小凸部を前記プレス加工に
より形成し、各単位バーナを複数個横方向に並列
させてバーナ保持金具により一体的に組付けたと
き、隣接せる各単位バーナが前記小凸部を介して
当接されて各単位バーナ間に間隙が形成されるよ
うにしたことを特徴とする。

〔作用〕

複数個の単位バーナをバーナ保持金具を介して
並列状に組み付けると、隣接する各単位バーナが
火移り促進手段としての小凸部を介して当接され
て両者の間に火移り促進手段を形成することがで
き、その単位バーナ組立体が燃焼を行なう場合
に、各単位バーナの炎孔から噴出する混合ガスに
対して各単位バーナ間の間隙から上方に吹き上が
る送風機からの送気の一部が小凸部に当つてＹ字
状に広げて渦流を生じさせ、先に点火手段で着火
せる点火炎を、これと隣接せる他の単位バーナへ
の火移りを順次にかつ確実に連鎖的に行なうこと
ができる。

〔実施例〕 以下、本考案のガスバーナの実施の一例を第１
図乃至第３図に基づいて説明する。

図において、ｍは扇形部分ａとそれに続く直立
部分ｂが形成された単位バーナで、板金プレス加
工により一枚の金属板を相似状に一体成形もしく
は二枚の金属板を相似成形して互に向き合うよう
にし、その後述するバーナヘツド２以外の周縁を
折曲加工または溶着などにて一体的に接合してな
る中空構造のものである。上記単位バーナｍにつ
いて更に詳しく説明すると、該単位バーナｍの両
対称母材には、上方の前記扇形部分ａに膨出する
混合気室１およびバーナヘツド２と、その混合気
室１の下方の前記直立部分ｂにベルマウス３、混
合管４をそれぞれ膨出形成させ、前記混合管４の
下端に図示しないが一次空気調節部やノズルを備
えたマニホールドに対設するようにしている。前
記混合気室１の上部に横長手方向に延びる前記バ
ーナヘツド２の上面には、複数個の炎孔５が単列
もしくは複列（実施例は単列）は開設されてい
る。更にこの炎孔５の列の両端部に近い部位にお
ける前記混合気室１上部の両側壁６には、外向き
に所定の高さ寸法を有して突出する火移り促進手
段である小凸部７を略対称状に設けている。

また前記混合管４の上方で前記混合気室１の中
腹部には、前記混合管４の中心を略中央とする内
向きに突設した整流部８を設けている。そして、
前記単位バーナｍの左右側縁をバーナ保持金具
ｃ，ｄの上下に設けた折り曲縁へ所要数適宜の間
隔をへだてて設けた複数の切欠部へ横方向に並列
に装着し該各単位バーナｍの前記状凸部７を隣接
せる各単位バーナｍの小凸部に当接させて組付
け、前記小凸部７により後述のように隣接せる各
単位バーナｍの点火炎からの火移りを助勢するよ
うにする。また、該単位バーナｍの組立体を囲む
前記バーナ保持金具ｃ，ｄの両側にねじ孔を設
け、そのねじ孔に取付ねじを介して囲む如くバー
ナ保持金具ｅを固着して、バーナ群Ｍを一体的に
纒めている。

本考案のガスバーナは、前記の如き構成よりな
るので、第２図および第３図に示す如く、混合管
４の下部に取着した一次空気調節部の前方にノズ
ルを備えたマニホールドを配設してガスを供給す
ると、ガスはベルマウス３より混合管４内に噴出
する。この噴出ガスは、エゼクター作用により一
次空気調節部の空気口から導入される空気と混合
される（以下混合ガスという）。この混合管４を
通つた混合ガスは整流部８に当つて分配され、そ
の出口の各炎孔５群より噴出する。この噴出混合
ガスを適宜の点火手段にてバーナ群Ｍ中の予め定
めた単位バーナｍの炎孔５の上端に直接またはパ
イロツトバーナを介して点火し、その単位バーナ
ｍを燃焼させると、これに隣接する他の単位バー
ナｍに順次にかつ確実に火移りが行なわれる。即
ち、第３図に示す如く、各単位バーナｍの間隙部
に突出せる小凸部７の所では、実線矢印に示す如
く直すぐに上方に吹き上がる送風機からの送気の
一部の流れが小凸部７に当つてＹ字状に広がりつ
つ渦流を生ずるため、先に着火されている単位バ
ーナｍの火炎がその渦流の影響で隣接する単位バ
ーナｍの炎孔５より噴出する混合ガスに接近し、
かつ混合ガスも同様に接近するため、その部分の
ガスと空気の割合が燃焼し易い混合気となり、こ
れにより隣接する各単位バーナｍに確実に着火さ
れる。従つて、上記のような着火作用が瞬間にそ
れぞれ順次連鎖的に行なわれ、バーナ群Ｍは燃焼
を始める。

ここでの渦流の炎乱部はバーナ群Ｍの炎孔５群
の端部でのみ行なわれるので、この部での火炎が
互いに干渉してもバーナ全体として何等不完全燃
焼を起さない。

第４図は本考案の他の実施例を示すもので、前
記実施例の単位バーナｍに設けた小凸部７の突出
数とその位置の一部が変つているだけで、基本的
には第１図乃至第３図に示す実施例と同様である
ので、変更した部分についてのみ説明する。

第４図に示す実施例は、バーナヘツド２に開設
した炎孔５の両端部に近い混合気室１の両側壁６
のうち片側壁６ａにのみに前記と同様の火移り促
進手段である小凸部７を設けたものである。従つ
て、第４図の実施例も前述した実施例と同様の作
用効果を奏する。

なお、前述した本考案におけるガスバーナは、
扇形部分ａに形成して、混合気室１の略中央部へ
垂直状に混合管４を膨出形成せさたものとして説
明したが、図示しないが、混合管４の向きは混合
気室１に対して横向きもしくは傾斜方向等のもの
であつても良い。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案のガスバーナは、各
単位バーナのバーナヘツドに設けた炎孔の両端部
に近い部位における混合気室上部に両側壁もしく
は片側壁へ火移り手段である小凸部をバーナの板
金プレス加工時に形成し、その各単位バーナをバ
ーナ保持金具に横方向へ並列状に装着すると、そ
の装着後は小凸部が燃焼中でも加熱損焼を生じな
い位置の各単位バーナ間へ必然的に位置するの
で、従来のこの種の例えば各単位バーナ間へ火移
り手段である専用部材を別個に備えて燃焼中は火
炎に接触して損焼を受けるもの、または各単位バ
ーナ間への専用火移り手段を組み付ける手段を要
するものに比較し、火移り手段としての専用部材
を別個に制作する必要がなくなり、これにより生
産性が向上し、かつ燃焼中でのこの部の火炎によ
る熱的損焼を起すことが避けることができ、さら
に小凸部は隣接せる単位バーナの間隔決めを行な
う他に、各単位バーナ間の両端部で一部の送気に
渦流を起させて炎孔噴出の混合ガスと空気を燃焼
し易いように混合させ、その渦流作用にて点火炎
を着火させるべき隣接バーナ側へ接近させて火移
りを迅速かつ確実に行なわせることができる効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による単位ガスバーナの実施の
一例を示し、同図イは一部欠截正面図、同図ロは
側面図、同図ハは上面図である。第２図は第１図
の単位ガスバーナを複数個横方向に並列して側方
のバーナ保持金具を取り外した状態のバーナ群の
一式の斜視図、第３図は同バーナ群の要部である
上方部分の垂直方向の一部切断面図である。第４
図は本考案の他の実施例を示す要部の上面図であ
る。 ｍ……単位バーナ、１……混合気室、２……バ
ーナヘツド、３……ベルマウス、４……混合管、
５……炎孔、６……混合気室の両側壁、６ａ……
混合気室の片側壁、７……小凸部、８……整流
部、ａ……扇形部分、ｂ……直立部分、ｃ，ｄ，
ｅ……バーナ保持金具、Ｍ……バーナ群。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板金プレス加工により、ベルマウス３に連なる
   混合管４と、該混合管４の上方で中腹部に整流部
   ８を有する混合気室１と、該混合気室１の上方に
   横長手方向に延びるバーナヘツド２に複数個の炎
   孔５を有する単位バーナを形成し、その単位バー
   ナを複数個横方向に並列させて一体的に構成した
   ガスバーナにおいて、前記各単位バーナの炎孔５
   の両端部に近い部位における前記混合気室１上部
   の側壁に外向きに突出する火移り促進手段である
   小凸部７を前記プレス加工により形成し、各単位
   バーナを複数個横方向に並列させてバーナ保持金
   具により一体的に組付けたとき、隣接せる各単位
   バーナが前記小凸部６を介して当接されて、各単
   位バーナ間に間隙が形成されるようにしたことを
   特徴とするガスバーナ。