JPH0129294Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の制動装置であるオートアジヤ
スト付ホイールシリンダとブレーキシユーとの結
合構造に関するものである。

ホイールシリンダによつて拡張するブレーキシ
ユーのライニングの摩耗量に応じてブレーキドラ
ムとのギヤツプを補正するオートアジヤスタ付ホ
イールシリンダは公知である。このオートアジヤ
スタ付ホイールシリンダの構造は第１図に示すよ
うに、ホイールシリンダ１内に摺動自在に嵌装さ
れているピストン２内に、ピストン２と同心のア
ジヤスタナツト３と、このアジヤスタナツト３と
一体的であり、外周に螺旋ネジ５を有するアジヤ
スタスリーブ４とを回転可能に嵌合し、前記アジ
ヤスタナツト３にはブレーキシユー１０の一端の
駒１２と係合して回り止めされたアジヤスタスク
リユー９が螺合され、前記アジヤスタスリーブ４
の螺旋ネジ５に係合し、ホイールシリンダ１にス
プリング８により係合方向に押圧して進退可能に
取付けたアジヤスタピン６よりなり、アジヤスタ
ピン６の先端には前記螺旋ネジ５に係合する鋸歯
状の歯部７が形成された構造となつている。１１
はブレーキライニングである。

上記構造の作動は、制動により液圧がかかると
ピストン２が前進（第１図で左方向）し、アジヤ
スタスクリユー９、アジヤスタナツト３、アジヤ
スタスリーブ４がピストン２と一体に移動してブ
レーキシユー１０を拡張する。ブレーキライニン
グ１１と図略のブレーキドラムとのギヤツプは通
常は極く僅かな隙間であり、正規のギヤツプの場
合はピストン２の前進移動量も極く僅かであつ
て、アジスタスリーブ４の螺旋ネジ５に係合して
いるアジヤスタピン６の歯部７は螺旋ネジ５のネ
ジ山を昇るだけで乗り越えることはないが、ブレ
ーキライニング１１の摩耗によつてブレーキドラ
ムとのギヤツプが大きくなつたときにはネジ山を
乗り越えてアジヤスタピン６の歯部７はアジヤス
タスリーブ４の螺旋ネジ５のネジ山を１ピツチず
れて次のネジ山に係合する。この状態で、液圧が
解除されるとピストン２は後退移動し、このとき
アジヤスタスリーブ４は螺旋ネジ５のリードによ
つて所要角度だけ回転し、アジヤスタナツト３を
回転する。アジヤスタナツト３の回転により、こ
れと螺合しているアジヤスタスクリユー９は駒１
２に係合して回り止めされているために軸方向に
移動して突出し、ブレーキシユー１０を拡張方向
に押圧して螺旋ネジ５の１ピツチ分だけブレーキ
ライニング１１とブレーキドラムとのギヤツプが
適正に自動調整されるのである。

ところが、ブレーキシユー１０とアジヤスタス
クリユー９との結合構造は第２図乃至第４図に示
すように、ブレーキシユー１０の一端面に保持穴
１４とホイールシリンダ１の取付面と平行な方向
に係合溝１６とを設け、駒１２の背面に突出した
突起１５を保持穴１４に嵌合し、駒１２の背面を
係合溝１６に係合して回り止めし、一方、アジヤ
スタスクリユー９の頭部９ａには直径方向に係合
溝１３を設け、この係合溝１３に駒１２を嵌入し
た構造である。この場合、ホイールシリンダ１の
作動方向中心とブレーキシユー１０の中心とが関
連部品の寸法のバラツキによつてずれるため、あ
らかじめ各部品の寸法公差を考慮してアジヤスタ
スクリユー９の頭部９ａに設けた係合溝１３の溝
巾に隙間を有して嵌入するよう駒１２の巾を決め
ていた。その結果、アジヤスタスクリユー９と駒
１２との間にはガタが発生するため、オートアジ
ヤスタ調整量がガタ分だけ設定置より大きくな
る。セリが出るとオートアジヤスタが調整不良を
起す不具合があつた。

本考案は、上記のような不具合を解消した結合
構造を提供するものである。その実施例を第５図
乃至第８図によつて説明する。

駒１２は第７図で示すように、半円板形状と
し、この半円板形状の駒１２の円弧凸面１２ａの
背面側の端面１２ｂに案内突起１８を十字状に交
差して設ける。

また、ブレーキシユー１０の一端面にはホイー
ルシリンダ１の取付面と直角方向の案内溝１７を
凹設し、この案内溝１７に前記駒１２の背面に設
けた案内突起１８を摺動自在に密嵌合する。この
駒１２はアジヤスタスクリユー９の頭部に設けた
係合溝１３に摺動自在に密嵌合して結合したもの
である。

本考案は上記の通りの構造であるから、ホイー
ルシリンダ１の作動中心とブレーキシユー１０の
中心がずれていても駒１２を摺動させることによ
り結合することができ、駒１２とアジヤスタスク
リユー９との係合は密嵌合ができるため、従来の
ようにガタを発生することがなく、オートアジヤ
スタの調整量が正しく得られると共に、アジヤス
タ機能を100％発揮することができる利点がある。

さらに、前記駒１２は、半円板形状とし、この
半円板形状の駒１２の円弧凸面１２ａの背面側の
端面１２ｂに案内突起を十字状に交差して設けた
構成であるから、アジヤスタスクリユー９の頭部
９ａとブレーキシユーの一端との間の限られた狭
いスペース間における係合を可能とする効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はオートアジヤスタ付ホイールシリンダ
の要部断面図、第２図は従来のブレーキシユーと
ホイールシリンダとの結合構造を示す要部断面
図、第３図は駒の取付状態を示す正面図、第４図
は結合部の平面図、第５図は本考案による結合構
造の側面図、第６図は駒の取付状態を示す正面
図、第７図は駒の斜視図、第８図は結合部の平面
図である。 １……ホイールシリンダ、２……ピストン、３
……アジヤスタナツト、４……アジヤスタスリー
ブ、５……螺旋ネジ、６……アジヤスタピン、７
……歯部、８……スプリング、９……アジヤスタ
スクリユー、１０……ブレーキシユー、１２……
駒、１３……係合溝、１７……案内溝、１８……
案内突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン内に、ピストンと同心のアジヤスタナ
   ツトと、このアジヤスタナツトと一体的であり、
   外周に螺旋ネジを有するアジヤスタスリーブとを
   回転可能に嵌合し、前記アジヤスタナツトにはブ
   レーキシユーの一端と駒と係合して回り止めされ
   たアジヤスタスクリユーが螺合され、前記アジヤ
   スタスリーブの螺旋ネジに係合し、シリンダにス
   プリングにより係合方向に押圧して進退可能に取
   付けたアジヤスタピンよりなるオートアジヤスタ
   付ホイールシリンダにおいて、前記駒を半円板形
   状とし、この半円板形状の駒の円弧凸面の背面側
   端面に案内突起を十字状に交差して設け、ブレー
   キシユーの一端面にホイールシリンダ取付面と直
   角方向の案内溝を凹設し、この案内溝に前記駒の
   案内突起を摺動自在に密嵌合すると共に、前記駒
   の円弧凸面を前記アジヤスタスクリユーの頭部に
   直径方向に凹設した係合溝に摺動自在に密嵌合し
   たことを特徴とするオートアジヤスタ付ホイール
   シリンダとブレーキシユーとの結合構造。