JPH0129292Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本件考案は建設機械や農業機械のうち、ホイー
ル走行式車輌に用いられるボールカム式デイスク
ブレーキ装置に関するものである。

ボールカム式デイスクブレーキ装置は固定カム
板とアクチユエーターとの間のカム溝にボールを
介装し、アクチユエーターを回動アームにてオペ
レーターのブレーキ操作により回動させると、カ
ム溝の最深部からボールが押し出されてアクチユ
エーターを固定側・回転側スチールプレートを交
互に挾んだ摩擦板側へ押し出して制動をするもの
である。

この制動に際して、前進時の制動はアクチユエ
ーターが前進回転方向につれ回りさせられるの
で、回動アームを少し回動させればあとはアクチ
ユエーターの自身によるつれ回り回動力で回動す
るので、ブレーキペダル操作力は小さくて済むの
である。

しかし、逆に後進時のブレーキペダルの踏み込
み力は、このつれ回り力による助力が効かなくな
り、逆に押し返す力となるので重くなるのであ
る。即ち回動アームによるアクチユエーターの回
動方向が、アクチユエーターのつれ回り方向に対
して逆となるのである。これは後進の為、車軸が
逆回転であり、これに伴ないスチールプレートが
逆回転していることにより生ずるものである。

このように後進時にプレーキペダルの踏み込み
力が非常に重くなることを解消しようとするもの
である。

その為に本件考案は、回動アームの回動アーム
軸と逆の側を、スチールプレートの突出係合部側
へ延出し後進回転によるスチールプレートの連れ
回り力にて押すことにより、回動アームのアクチ
ユエーター回動部に制動方向の助力を与えてやろ
うとするものである。

本件考案の目的は以上の如くであり、添付の図
面に示した実施例の構成に基づいて、本件考案の
構成を説明すると。

第１図はミツシヨンケース１１の側面に設けた
ブレーキケース部の後面断面図。第２図は同じく
回動アーム部の後面断面図。第３図は非制動時の
回動アームとアクチユエーター及び固定側スチー
ルプレートの配置を示す平面断面図。第４図は同
じく前進時の制動状態の平面断面図。第５図は同
じく後進時の制動状態の平面断面図である。

第１図において、ボールカム式デイスクブレー
キ装置の全体構成を説明すると。

ミツシヨンケース１１の側壁外面にリアアクス
ルハウジングとブレーキケース１２の兼用化され
たものが添設されている。そして、該ブレーキケ
ース１２内にデイスクブレーキ装置が設けられて
いる。

ミツシヨンケース１１内のデフ装置から延設さ
れて、又は減速歯車装置を介して、車軸４が突設
されている。車軸４の外端には車輪が固設されて
いる。そして、車軸４のスプライン４ａに回転側
スチールプレート８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄが係合
されている。そして、回転側のスチールプレート
８ａ，８ｂ，８ｃ，８ｄの外周に重なるように、
固定側スチールプレート９ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄ
が挾持されている。固定側スチールプレート９
ａ，９ｂ，９ｃ，９ｄの外周からは外周数ケ所に
突起係合部が突出し、この突起係合部がブレーキ
ケース１２の係合凹部Ａ内に嵌入し、固定側プレ
ート９が回転不能とされているのである。

そして、これらのスチールプレート８，９の重
複されたものの内側にアクチユエーター３を配置
し、アクチユエーター３はその突起３ａ部に回動
アーム７を当ててブレーキアーム５を回動する
と、回動アーム軸６を介して回動アーム７が回動
され、アクチユエーター３が固定カム板２に対し
て回動することによりアクチユエーターの面と、
固定カム板の面との向き合つた面に刻設されたカ
ム溝の最深部に入つていたボール１が押し出さ
れ、アクチユエーター３がスチールプレート側へ
押圧され、固定側スチールプレートと回転側スチ
ールプレートを摩擦接触させて制動を行なうので
ある。

１０は固定カム板２と、アクチユエーター３の
間を元の位置に戻す戻しバネである。

このような構造において従来は、回動アーム７
がアクチユエーター３を回転側スチールプレート
８の前進方向の回転方向に沿うように回動させて
いたので、前進走行の場合に制動を行なう場合に
は回動アーム７を少し回動すると、ボールが押し
出されアクチユエーター３を回転側スチールプレ
ート８ａの方に押し付けるので、必然的にアクチ
ユエーター３も回転側スチールプレート８の回転
方向、即ち制動方向へ回動しようとする力が働い
ていたのである。これが回動アームの回動力を助
力することとなつていたのである。そして、ひい
てはブレーキペダルの操作力の小ささにつながつ
ていたのである。

しかし、アクチユエーターの回動方向がスチー
ルプレート８の前進回転方向に合わされている
と、逆に後進の場合には反対の現象が発生し、回
転側スチールプレート８の回転が回動アームの回
動方向とは逆であり、ブレーキペダルを踏み込む
とアクチユエーター３は、回動アームの回動方向
とは逆に回動しようとして、回動アームの操作力
に抵抗したり、回動を戻そうとするのである。こ
れは即ブレーキペダルの操作力の大きくする結果
となつていたのである。

本件考案はこの不具合いを失くすべく、回動ア
ームの回動アーム軸と逆の側を延長して、この延
長部７ｂが固定側スチールプレート９ａ，９ｂ，
９ｃの突出係合部と係合すべく構成したのであ
る。

第３図に示す非制動時には回動アーム７は定位
置であり、アクチユエーター３の突起部３ａもボ
ール１が深く嵌入する位置となつている。回動ア
ーム７のアクチユエーター接当側７ａはアクチユ
エーター３の突起部３ａに接当し、逆の延出部７
ｂには固定側スチールプレート９ａ，９ｂ，９ｃ
が接当している。第３図の状態では回転側スチー
ルプレートと固定側スチールプレートは接触せ
ず、それぞれには力がかかつておらず安定してい
る。

これに対して、前進走行時に第４図の如く回動
アーム７がブレーキレバー５により、アクチユエ
ーター３を動かす方向に力が加えられる。すると
アクチユエーター３が回動し、ボール１を押し出
してアクチユエーター１は回転側スチールプレー
ト８の方向へ接触し、アクチユエーター３は更に
制動方向へ助力を受けて回動しようとするのであ
る。

これにより、回動アーム７の回動力、ひいては
ブレーキペダルの踏力は小さくて済むのである。

この第４図の状態において、固定側スチールプ
レート９ａ，９ｂ，９ｃの突起部は、ブレーキケ
ースの係合凹部Ａの回動アーム７とは逆の方へ付
勢されているので、前進走行時のブレーキの場合
には固定側スチールプレートは、回動アーム７の
延出部に対しては何の付勢力も与えないのであ
る。

次に第５図の後進の場合を示すと。

後進の場合にも回動アーム７の制動時の回動方
向は同じである。これでアクチユエーター３の突
起３ａを押すと、ボールが押し出され、アクチユ
エーターは回転側スチールプレート８の方へ押し
付けられる。しかし、後進時には回転側スチール
プレート８は逆に回転しているので、アクチユエ
ーター３は回動アーム７のアクチユエーター接当
部７ａを押し戻す方向に力が加わるのである。こ
の力によりブレーキペダルの踏力が大となるので
ある。

本件考案ではこのアクチユエーター３の突起３
ａの回動アームを戻そうとする力にとつり合う力
を得るべく回動アーム７を固定側スチールプレー
ト９ａ，９ｂ，９ｃの突出係合部の方まで延出部
７ｂを設けたのである。そして、制動時に回転側
スチールプレート８と接当することにより固定側
スチールプレート９は回動アーム７側へ付勢力を
与えられるので、この力を延出部７ｂで受けて、
回動アーム７が後進制動時にも助力が得られるよ
うに構成したものである。

これによりブレーキペダルの踏力を軽減するこ
とができるのである。

以上の如く本件考案はボールカム式デイスクブ
レーキ装置のアクチユエーター回動アーム７を、
アクチユエーター３及び固定側スチールプレート
９、回転側スチールプレート８の回転面に対し直
角に設け、回動アーム軸６に対し、アクチユエー
ター接当側とは逆の側を固定側スチールプレート
９の突出係合部へ向けて延出させ、後進回転制動
時に固定側スチールプレート９の突出係合部が回
動アーム７に接当して、回動アーム７の制動側へ
の回動を助力すべく構成したので従来、後進時の
ブレーキペダル踏力が大となり仲々制動がかから
なかつた点を改善し、後進時にも軽い踏力で制動
を行なうことができるようになつたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図はミツシヨンケース１１の側面に設けた
ブレーキケース部の後面断面図。第２図は同じく
回動アーム部の後面断面図。第３図は非制動時の
回動アームとアクチユエーター及び固定側スチー
ルプレートの配置を示す平面断面図。第４図は同
じく前進時の制動状態の平面断面図。第５図は同
じく後進時の制動状態の平面断面図である。 １……ボール、３……アクチユエーター、６…
…回動アーム軸、７……回動アーム、８……回転
側スチールプレート、９……固定側スチールプレ
ート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボールカム式デイスクブレーキ装置のアクチユ
   エーター回転アーム７を、アクチユエーター３及
   び固定側スチールプレート９、回転側スチールプ
   レート８の回転面に対し直角に設け、回動アーム
   軸６に対し、アクチユエーター接当側とは逆の側
   を固定側スチールプレート９の突出係合部へ向け
   て延出させ、後進回転制動時に固定側スチールプ
   レート９の突出係合部が回動アーム７に接当し
   て、回動アーム７の制動側への回動を助力すべく
   構成したことを特徴とするボールカム式デイスク
   ブレーキ装置。