JPH0127686Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、リングなどの目的物をフツク内に解
除可能に食え込む、プラスチツク製のスナツプフ
ツクに関し、例えばストラツプなどをカバン類に
着脱可能に装着する際に使用される。

（従来の技術） この種のスナツプフツクとしては、種々の提案
があり、例えば実公昭57−24985号公報や実開昭
59−17314号公報に示されたものが周知である。

（考案が解決しようとする問題点） 上記した従来のスナツプフツクにおいて、上記
前者のものは、一端にフツクを備えた基体と、基
体の長手方向に沿つて前後方向に摺動するスライ
ダと、該スライダをフツク先端に向う方向に付勢
するコイルバネとから成り、該スライダはフツク
先端に接離する方向に滑動し、基体のフツク内に
ＯリングやＤリングなどの目的物を解除可能に食
え込む構造となつている。

このため、基体とスライダの他にコイルバネを
必要とするので、部品点数が多くなり、構造も複
雑となつて、組立も厄介であつた。また、基体に
は、長さ方向にスライダの摺動スペースを必要と
するので、基体の長さが長くなり、スナツプフツ
ク全体が大型化してしまう欠点がある。そして、
目的物をフツク内に留め付けるには、スライダに
指を掛けてスライダをフツクから離れる方向に、
一且引戻し、フツクを開いた状態としてから、目
的物をフツク内に嵌入しなければならず、ワンタ
ツチで目的物をフツク内に留め付けることができ
なかつた。

又、上記した後者のものは、一端にフツクを備
えた基体の基部からフツクに向つて一体的に延
び、常時はバネ力で先端をフツクの内面に当接さ
せてフツクを閉状態とする弾性爪片を備えた構造
となつている。

このため、弾性爪片の先端をフツクから接離さ
せてフツクの開閉を行なうため、弾性爪片の先端
寄りの部分を指で押下げれば軽い力でフツクを開
状態とすることができる。しかし、構造上、弾性
爪片の先端とフツクとの間で目的物の出入りを行
なうため、弾性爪片の先端寄りの部分を指で押下
げた状態としておくと、指が目的物の出入りに邪
魔となつてしまう。従つて、弾性爪片の基端寄り
の部分を押下げなければならず、目的物の係脱に
際して強い力を要し、目的物の係脱、特にフツク
から目的物を取出すのに指が邪魔となり目的物を
取出し難かつた。

（問題点を解決するための手段） そこで本考案は、一端に折り返し状に形成した
フツクを備えた基体と、該基体に沿つて上下方向
に摺動可能なスライダとから成り、該スライダの
滑動により基体のフツク内に目的物を解除可能に
食え込むプラスチツク製のスナツプフツクであ
り、上記基体の長さの途中には弾性を有する可撓
片を形成し、上記スライダは前記フツクの先端部
に臨む先端部と、下面で可撓片を常に押圧する操
作部と、該操作部の両端から垂設されて基体の両
側面に摺接する側部とから成り、上記基体とスラ
イダとの摺接面には、互いに嵌り合つて上下動可
能に拘束する係合手段を設け、該係合手段により
スライダを上記フツクを開いた状態と閉じた状態
との間に滑動するようにしたことを特徴とする。

（作用） 従つて本考案によれば、リングなどの目的物を
フツク内に留め付ける際には、スライダの操作部
を指で押下げてフツクを開いた状態とし、フツク
内に目的物を嵌め入れてもよいし、スライダの操
作部に目的物を押し当てゝ、該目的物で操作部を
そのまゝ押下げてフツクを開いた状態とし、フツ
クに目的物を引掛ける様にしてフツク内に目的物
を嵌め入れてもよいが、こゝでは後者の操作方法
による。

即ち、目的物で操作部上面を押下げると、操作
部下面で基体の可撓片を弾性に抗して下向きに弾
縮しながら、スライダが基体との摺接面に設けた
係合手段により、基体の両側面に沿つて下降す
る。このとき、スライダの先端部は、フツクの先
端から下に離れて、フツクを開いた状態とする。

この状態でフツクの先端とスライダの先端部と
の間に生ずる隙間に向つて、目的物を操作部の上
面を滑べらせるようにして、該隙間からフツク内
に嵌め入れゝばよい。

目的物がフツク内に嵌入すると、操作部の押圧
力が解放されるので、操作部下面は可撓片の弾性
力に押圧され、スライダが基体の両側面に沿つて
上昇する。このため、スライダの先端部はフツク
の先端に下からパチンと弾性的に係合するので、
フツクは閉じた状態となる。

一方、フツク内に留め付けられたリングを取外
するには、上記と同じ様にスライダの操作部を指
で押下げてもよいが、目的物をフツク内から取出
すときに、指が邪魔とならないよう、スライダの
両側部を指で挟んで、そのまゝ引下げてやればよ
い。スライダを引下げると、フツクが開いた状態
となり、目的物をフツク内から外し、両側部から
指を離してやればよく、スライダは可撓片の弾性
力により上昇し、フツクを閉じた状態に復帰す
る。

（実施例） 以下、本考案を図示した実施例に基づいて説明
する。

１はスナツプフツクであり、該スナツプフツク
１は一端に折り返し状に形成したフツク２を備え
た基体３と、該基体３に沿つて上下方向に摺動可
能なスライダ４との二部品より成り、各部品はプ
ラスチツクにより一体的に成形されている。

上記基体３は、一端に略Ｊ字状に折り返された
フツク２を有し、該フツク２の基端は板状に長く
延びて他端の略々角柱状の胴部５に連結してい
る。そして、胴部５の両側面５′，５′には縦方向
に長く延び、両端が閉塞された縦溝６を設け、ス
ライダ４の移動範囲を規制する。又、基体３の長
さの途中の上面３′には、フツク２の先端２′に向
つて斜め上向きに延びる可撓片７を形成する。該
可撓片７は実施例のものでは、長さ途中を数段に
折り返し状に屈曲し、略横向きなＭ字状を成して
いるが、折り返し部分を設けていない単なる平板
状であつてもよく、可撓片７の上端部はスライダ
４に下から当接し、スライダ４に上向きな押圧力
を作用させる。

又、実施例のものでは、基体３にスライダ４を
装着した際に、スライダ４が基体３の幅方向に突
出するのを防止するため、スライダ４を装着する
部分に切欠部８′を設け、基体３に幅狭な装着部
８を形成している。

前記したスライダ４は、上記基体３の装着部８
に上から嵌め付けられて装着されるものであり、
下面が開放した断面下向きコ字状を成している。
そしてスライダ４の上部には指を掛け易くするた
め略山形に突出した操作部９を有し、操作部９の
左右両端からは側部１０，１０が垂設されてい
る。そして、操作部９の一端には、フツク２の先
端２′に下から衝接する段状の先端部１１を突設
する。又、両側部１０，１０の内側面には前記し
た基体３の縦溝６内に嵌入する突起１２，１２を
内向きに突設する。

一方、基体３の胴部５の端部は、ベルト、バン
ド類を連結するＤ形リング１３の可動軸部１４に
スナツプ係合で枢着されている。

即ち、胴部５の端面にはアンカー型の脚部１５
を垂設し、該脚部１５は胴部５の端面から延べる
中軸部１６と、該中軸部１６の先端に張設された
円盤状の蓋部１７と、蓋部１７下面から斜め後向
きに延びる一対の弾性片１８，１８とから成る。
又、Ｄ形リング１３の可動軸部１４の中央には上
記脚部１５を嵌入する円筒状の受部１９を形成す
る。

上記した実施例によれば、フツク２を有する基
体３、スライダ４、Ｄ形リング１３の三部品を相
互に組立てゝ、スナツプフアスナ１とする。

まず、基体３にスライダ４を取付けるには、ス
ライダ４の両側部１０，１０を左右外向きに少し
開いてやり、基体３の装着部８に合せて上から被
せるようにして嵌め付ければよい。スライダ４の
両側部１０，１０の突起１２，１２が基体３の縦
溝６内に嵌入すると、弾性力によりスライダ４の
両側部１０，１０が内向きに閉じて、スライダ４
の突起１２が基体３の縦溝６に沿つて上下動可能
に拘束される。

又、スライダ４を被せる際に、操作部９の下面
９′が基体３の可撓片７に当接し、該可撓片７を
少し押下げるので、スライダ４を装着した状態で
は、操作部９の下面９′が可撓片７により常に下
から押圧された状態となり、スライダ４の先端部
１１がフツク２の先端２′に下から弾力的に衝接
し、フツク２は常態で閉じた状態となる。

次いで、Ｄリング１３の受部１９内に基体３の
脚部１５を押し込んで両者を連結する。即ち、受
部１９内には径小な内部突起部（図示せず）が形
成されているので、脚部１５を押し込むと、脚部
１５の弾性片１８，１８が受部１９の孔縁に係合
し、内向きに弾縮して受部１９内に嵌入する。そ
して弾性片１８，１８は、上記内部突起部を通過
すると、受部１９内でパチンと外向きに拡開して
内部突起部の孔縁に係合し、受部１９の孔が蓋部
１７で塞がれた状態となつて、蓋部１７下面との
間で、脚部１５を受部１９内に逆抜不能に拘束
し、基体３は中軸部１６を中心に回転可能に枢着
される。尚、Ｄリング１３と基体３とは、Ｄリン
グ１３の可動軸部１４を中心に上記回転方向に対
して垂直方向にも上下動可能であつて、両者の自
由度は大きく、Ｄリング１３に連結したベルトな
どの捩れを簡単に取除くことができる。

次に、上記したスナツプフツク１に目的物とし
て、例えばＯ形やＤ形のリング部材２０を留め付
けたり、留め付けられているリング部材２０を取
外す場合の作用について説明する。

まず、リング部材２０を留め付ける際には、ス
ライダ４の操作部９を直接指で押下げてフツク２
を開いた状態とし、フツク２内にリング部材２０
を嵌め入れてもよいし、スライダ４の操作部９を
リング部材２０を介して押下げてフツク２を開い
た状態とし、リング部材２０で操作部９を押圧し
たまゝ、フツク２内にリング部材２０を引掛ける
様にして嵌め入れてもよく、こゝでは後者の操作
方法による。

即ち、リング部材２０を操作部９上面に押し当
てゝやり、リング部材２０で操作部９を可撓片７
の弾性力に抗してそのまゝ押下げればよい。操作
部９が押下げられると、操作部９の下面９′で可
撓片７を下向きに押圧し、可撓片７を下向きに折
畳むようにして弾縮する。このとき、スライダ４
の両側部１０，１０の突起１２，１２が基体３の
両側面５′，５′の縦溝に沿つて下向きに移動し、
スライダ４は基体３に対して下降する。スライダ
４が下降すると、スライダ４の先端部１１はフツ
ク２の先端２′から下に離れて、フツク２の先端
２′が解放され、フツク２が開いた状態となる。

この状態では、フツク２の先端２′が開放して
いるので、リング部材２０に下向きの押圧力を加
えたまゝ、リング部材２０をフツク２の先端２′
に向つて操作部９上を滑らせるようにして、素早
くフツク２内に嵌め入れゝばよい。リング部材２
０がフツク２内に入ると、操作部９の下向きな押
圧力が解放されるので、スライダ４は自由とな
り、可撓片７の弾性力により上向きに押圧されス
ライダ４が上昇する。このため、スライダ４の先
端部１１はフツク２の先端２′に下からパチンと
弾性的に衝接し、フツク２を閉じた状態に復帰
し、リング部材２０をフツク２内に逆抜け不能に
留め付ける。

一方、フツク２内に留め付けられたリング部材
２０を取外すには、上記した様にスライダ４の操
作部９を指で押下げてもよいが、こゝではスライ
ダ４の両側部１０，１０を指で挟んで、そのまま
引下げてフツク２を開いた状態とする。

即ち、スライダ４を引下げると、スライダ４が
下降してフツク２が開いた状態となり、リング部
材２０を引き抜くときに指などが邪魔となること
なく、リング部材２０をフツク２の先端２′から
円滑に引き抜くことができる。

そして、リング部材２０を取外したならば、両
側部１０，１０から指を離してやればよく、スラ
イダ４は可撓片７の弾性力により上昇してフツク
２を閉じた状態に復帰する。

尚、上記した実施例では、基体３とスライダ４
との係合手段として基体３側に縦溝６を、スライ
ダ側に突起１２を形成したが、逆に基体側に突起
を、スライダ側に縦溝を形成して、両者を係合さ
せてもよい。

又、スナツプフツク１が基体３とスライダ４と
の二部品から成ることの利点を生かし、スライダ
４を基体３と異なる色のプラスチツクで成形し、
スライダ３の操作部９が一目でわかるようにした
り、装飾効果をあげる様にするとよい。

（考案の効果） 以上の本考案によれば、スナツプフツクは基体
とスライダの二部品より成り、スライダに弾性力
を与える可撓片を基体に一体的に設けているの
で、構造が簡単で、且つ組立が著しく簡単なプラ
スチツク製のスナツプフツクを提供することがで
きる。

又、基体に沿つてスライダを上下方向に摺動さ
せる構造としているので、スライダを基体の長手
方向に沿つて前後に摺動させるものに比べ、基体
の長さを短くでき、スナツプフツク全体を小型化
することができる。

更に、スライダを操作するときには、スライダ
の操作部を指で押下げてもよいし、両側部を指で
挟んでそのまゝ引下げてもよく、前記したように
弾性爪片をそのまゝ指で押下げるものに比べ、操
作が楽くであるばかりでなく、リング部材などの
目的物をフツクから取外す場合であつても、指な
どが邪魔となることがなく、リング部材の係脱を
円滑に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は分解斜視図、第２図は他の方向から見たスライ
ダの斜視図、第３図は組立状態の斜視図、第４図
はリング部材を留め付ける途中の斜視図、第５図
ａ及びｂは動作状態の説明図であつて、ａはフツ
クが閉じた状態を示し、ｂはフツクが開いた状態
を示す。 １……スナツプフツク、２……フツク、２′…
…先端、３……基体、４……スライダ、６……縦
溝、７……可撓片、９……操作部、１０……側
部、１１……先端部、１２……突起、２０……リ
ング部材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 一端に折り返し状に形成したフツクを備えた基
   体と、該基体に沿つて上下方向に摺動可能なスラ
   イダとから成り、該スライダの滑動により基体の
   フツク内に目的物を解除可能に食え込むプラスチ
   ツク製のスナツプフツクであり、 上記基体の長さの途中には弾性を有する可撓片
   を形成し、上記スライダは前記フツクの先端に臨
   む先端部と、下面で可撓片を常に押圧する操作部
   と、該操作部の両端から垂設されて基体の両側面
   に摺接する側部とから成り、 上記基体とスライダとの摺接面には、互いに嵌
   り合つて上下動可能に拘束する係合手段を設け、
   該係合手段によりスライダを上記フツクを開いた
   状態と閉じた状態との間に滑動するようにしたこ
   とを特徴とするプラスチツク製のスナツプフツ
   ク。