JPS6138888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、衣服あるいはカバン等の袋物また
は帽子などの重ね合せ部分の一方に調節ベルト
を、他方に調節ベルトに係合されるスライダーを
取付け、その重合部の重ね具合を調節する締付調
節具におけるスライダーに関する。

従来、この種スライダーとして、例えば実開昭
53−141103号公報に記載されたものが知られてい
る。当該公報の考案は、スライダーを弾性力によ
つて調節ベルトに自動的に係止でき、スライダー
の調節ベルトに対する係合部材が被着物などに干
渉されないこと、及び組立てが容易になることを
目的として、本考案の出願人によつて公開したも
のである。

ところで前記公報に記載されたスライダーは、
調節ベルトにその長手方向に沿つて摺動自在に係
合されるスライダー胴体に、断面コ字形の係止片
を胴体の摺動方向に対し直交する方向に表裏面よ
り挾み込んで限定された範囲内でその差し込み方
向に摺動自在に設け、この係止片の下面に調節ベ
ルトの止歯と係合する突爪を突設し、該係止片に
弾性体で、係止片が押圧され突爪が止歯間より脱
出している状態から復動して突爪が止歯間に係合
する附勢力を附与したものである。

上記従来のスライダーは、前述の如く組立てを
容易化することから、係止片をコ字形に形成して
胴体にその表裏より挾み込んで差し込んだもので
あるから、組立てが容易になる反面、係止片の上
片が胴体の表面に露出して摺動するものであるか
ら、この摺動部に繊維屑や埃が付着し、摺動抵抗
を大きくしたり摺動範囲が狭められ、突爪が止歯
より完全に脱出されない等の問題点が発生した。

この考案は以上の問題点を解決するために開発
したもので、その手段の大要は、前記従来の構成
のうち、係止片を胴体の内部に嵌め込み、係止片
の頭部を胴体の側壁より突出しておけば、胴体の
外表面に摺動部が露出されず、埃による摺動阻害
を避けることが出来る。しかし係止片を胴体の内
部に嵌める際、抜け取れないように、しかも摺動
自在に嵌め込む必要があるが、以上の要件を満た
すには構造が存外複雑になる問題があつた。

この考案の目的は、簡単な組立て操作で胴体の
外表面の摺動部が露出されることのない締付調節
具のスライダーを得ることにある。

そこでこの考案による解決手段は、調節ベルト
を抱えた状態で長手方向に摺動する胴体に、調節
ベルトの止歯間に係合する突起を備えた係止片を
胴体の摺動方向と交差する方向に摺動自在に設
け、且つ係止片に前記突起が止歯より外れた状態
から弾性体により復動して突起が止歯間に係合す
る附勢力が附与してある締付調節具のスライダー
において、前記胴体が上片と下片とを組み合して
形成したこと、下片に調節ベルトを抱え込む摺動
溝を設けたこと、上下両片間に前記係止片を摺動
自在に保持する係止溝を設けると共に、上片の側
壁に係止溝と連通する抜孔を設けたこと、並び
に、抜孔の外側部に係止片の先端部を下方へ屈折
して肉厚に形成してある頭部を嵌め、抜孔の内側
に下方より突出した突爪を係止したことによつて
構成したものである。

以下、この考案による実施例を図面によつて説
明すると、第１図乃至第７図に示され、特に第４
図に示す如く、胴体１は上片２と下片３、係止片
４、線条の弾性体５及び芯金６を互いに組合せた
もので、胴体１の上片２は、前後端を丸く形成し
た平板の裏面に、下片３が収まる凹溝２１を前後
方向に全長に亘つて設け、凹溝２１内の上壁に、
係止片４が嵌まる係合溝２２を前記凹溝２１と直
交して設けると共に、係合溝２２の上壁面に案内
溝２３を設け、また弾性体５が嵌り撓みを許す形
状をもつ弓形溝２４を前記係合溝２２と交差する
ように形成し、更に、上片２の両側壁に、係合溝
２２より延長した状態で抜孔２５，２５を穿設
し、且つ上片２の両側壁の後部に係止孔２６，２
６を設け、また上片２の上壁の後部に一対の通孔
２７，２７が明けてあり、凹溝２１内の上壁に芯
金６を止める一対の突子２８，２８を設けてあ
る。

係止片４は、帯状板の側面に突片４１が突出し
てあり、一端部に帯状板より肉厚の頭部４２を形
成し他端部の裏面に調節ベルト７の止歯７１間に
係合する一対の突起４３，４３を設け、裏面の
ほゞ中央部に凹溝４４を長手方向に対し斜めに交
差するように設け、また、係止片４の表面に前記
案内溝２３に嵌まる凸部４５が設けてある。そし
て前記頭部４２の高さｂが上片２の抜孔２５の高
さａとほぼ等しい寸法に形成してある。また一対
の突起４３，４３のうち一方を断面円形に成し、
他方を長円形に形成してあつて、これらの各突起
４３，４３は、それぞれ調節ベルト７の間隔を保
つて２列に亘つて設けた止歯７１の各列に係合
し、係止片４を移動した際に円形の突起４３が両
止歯７１，７１列間に対応するようになつてい
る。また、前述の係止片４に突片４１が設けてあ
るから、上片２に形成した係合溝２２を、第７図
図示の如く平面的に凸字形に形成してある。

芯金６には天板６２の両側に調節ベルト７を抱
え込む垂壁６３と該垂壁６３より内側へ対向して
延びる折り返し片６４を設けて内部に摺動溝６１
を形成し、且つ一対の止爪６５，６５を天板６２
より上方へ突設し、さらに前後部に上片２の突子
２８，２８が嵌まる小孔６６，６６が明けてあ
る。

胴体１の下片３は、前記芯金６が嵌まる陥没部
３１を設け、側面に上片２の抜孔２５と係止孔２
６に嵌合する突爪３２，３３が設けてある。尚、
抜孔２５に嵌まる突爪３２の肉厚ｄは、係合片４
の頭部４２の高さｂから係合片４の肉厚ｃを引い
た寸法に仕上げてある。

この考案によるスライダーを構成する各部品は
以上の構造であつて、上片２の係合溝２２に係止
片４を嵌め込むと共に、その頭部４２が一方の抜
孔２５より外方に突出した状態で、係止片４の凹
溝４４及び上片２の弓形溝２４に亘つて第７図図
示の如く弾性体５を嵌装し、且つ下片３の陥没部
３１に芯金６を嵌合し、その下片３を上片２の凹
溝２１に嵌めると共に、各突爪３２，３３を抜孔
２５と係止孔２６に嵌合し、更に、芯金６の止爪
６５を上片２の通孔２７に差し通すると共に、小
孔６６に上片２の突子２８を嵌め込んで、各部品
を一体的に組立ててある。

以上のスライダーを使用した締付調節具を保護
カバー８１と組み合せて被着物に取付ける場合、
第８図と第９図に示す如く、調節ベルト７を下生
地８２に止着し、スライダーは胴体１より突出し
た止爪６５，６５を上生地８３に刺し通して固着
し、且つ調節ベルト７とスライダーを覆う保護カ
バー８１を上生地８３に明けた抜孔８４に通し、
上生地８３に圧着された止爪６５の部分を覆つ
て、保護カバー８１が上生地８３の裏面に走通す
る取付けてある。

第１０図図示の場合は、上生地８３の先端部を
下方に折り曲げ、その曲げた部分に前述と同様に
スライダーを止着し、反転部の保護カバー８１を
差し通したものである。

第１１図及び第１２図に示す例は止爪６５，６
５が芯金６′と一体に形成されかつ断面がほゞＬ
形状をなす掛止片６７の先端部に設けられ、該掛
止片６７を胴体１の側面から延出させると共に、
止爪６５，６５を上生地８３に止着し、保護カバ
ー８１を掛止片６７の空間孔６８に挿通させてい
るものである。

第１３図及び第１４図に示す例は、胴体１の後
端よりリング状の掛止片６７′を突設し、その掛
止片６７′に上生地８３を止着したもので、保護
カバーを使用しない例である。

尚、保護カバー８１を使用した例の場合には、
スライダーが保護カバー８１によつて隠されるよ
うになつている。

そこで、スライダーを移動する時には、係止片
４の頭部４２を胴体１内に向つて押せば、両突起
４３，４３が止歯７１より脱出するため、調節ベ
ルト７に沿つて前後何れにでも移動することが出
来、また頭部４２を押えた時、弾性体５が灣曲し
て反発力を内在しているから、適当な位置で頭部
４２より手を放せば、弾性体５の反発力によつて
係止片４が復動し、再び突起４３，４３が止歯７
１間に係合してスライダーの摺動を阻止するもの
である。

以上のように、この考案による締付調節具のス
ライダーは、胴体の内部に係止片を摺動可能に設
け、係止片の頭部を胴体の側面に突出したもので
あつて、胴体の上面に摺動するものが露出してい
ないものであるから、スライダーを保護カバーの
下面において摺動して繊維屑などが落下して来て
も係止片の動きに何んらの障害ともならず、常に
円滑に係止片を摺動してスライダーの機能を遺憾
なく発揮するものである。また、胴体を上片と下
片の組み合せによつて形成し、上下両片間に係止
片を摺動自在に保持したものであるから、組立て
操作が簡単になり、しかも、上片の側壁にあけた
抜孔の外側部に係止片の肉厚に形成した頭部を嵌
め、抜孔の内側部に下片より突出した突爪を嵌め
たものであるから、係止片を組み込んだ後胴体よ
りの脱出が阻止されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による締付調節具のスライダ
ーを示す斜視図、第２図は同じくスライダーを調
節ベルトに嵌装した状態で示す断面図、第３図は
第２図Ａ−Ａ線矢視の断面図、第４図はスライダ
ーを分解して示す斜視図、第５図は係止片を裏返
して示す斜視図、第６図はスライダーの裏面図、
第７図は下片及び芯金を取外した状態で示す裏面
図、第８図はこの考案によるスライダーの使用状
態を示す正面図、第９図は第８図の断面図、第１
０図は他の使用状態を示す断面図、第１１図はこ
の考案による類例のスライダーを使用した状態で
示す正面図、第１２図は第１１図の断面図、第１
３図は他の類例のスライダーを使用した状態で示
す正面図、第１４図は第１３図の底面図である。 １……胴体、２……上片、３……下片、４……
係止片、５……弾性体、６……芯金、６′……芯
金、７……調節ベルト、２１……凹溝、２２……
係合溝、２３……案内溝、２４……弓形溝、２５
……抜孔、２６……係止孔、２７……通孔、２８
……突子、３１……陥没部、３２……突爪、３３
……突爪、４１……突片、４２……頭部、４３…
…突起、４４……凹溝、４５……凸部、６１……
摺動溝、６２……天板、６３……垂壁、６４……
折返し片、６５……止爪、６６……小孔、６７′
……掛止片、６７……掛止片、６８……空間孔、
７１……止歯、８１……保護カバー、８２……下
生地、８３……上生地、８４……抜孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 調節ベルト７を抱えた状態で長手方向に摺動す
   る胴体１に、調節ベルト７の止歯７１間に係合す
   る突起４３を備えた係止片４を胴体１の摺動方向
   と交差する方向に摺動自在に設け、且つ係止片４
   に前記突起４３が止歯７１より外れた状態から弾
   性体５により復動して突起４３が止歯７１間に係
   合する附勢力が附与してある締付調節具のスライ
   ダーにおいて、前記胴体１を上片と下片３の組み
   合わせで形成し、下片３に調節ベルト７を抱え込
   む摺動溝６１を設け、上下両片２，３間に前記係
   止片４を嵌める係止溝２２を摺動溝６１と直交し
   て設けると共に、上片２の側壁に係止溝２２に連
   続する抜孔２５が穿設してあり、該抜孔２５の外
   側部に係止片４の先端を下方へ屈折して肉厚に形
   成した頭部４２を嵌め、抜孔２５の内側部に下片
   ３より突出した突爪３２を係止したことを特徴と
   する締付調節具のスライダー。