JPH0124048B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、タイヤ加硫機における加硫用上下型
の開閉並びに型締めに関する改善された新しい提
案に関する。

開閉自在なかつ加熱源を具備した加硫用上下両
型と、下型中心に配設されたプラダと呼ばれるシ
エーピング用弾性成形体、同成形体を拡縮自在に
変形するための中心機構を具備し、前記弾性成形
体内部へのスチーム等の熱圧媒供給手段を備えた
タイヤ加硫機は周知であり、これらタイヤ加硫機
における前記上下両型の開閉手段、更には閉合さ
れた上下型に対する加圧締付手段としても各種の
提案がなされていることも既知である。この型開
閉、締付け手段として代表的に多用されているタ
イプとしては、上型を支持するトツプリンクを、
クランクギヤ、カムプレート、サイドリンク等の
回動手段によつて上下させることにより下型に対
する開閉と同時に型締付けを兼ねるものであり、
更には上型を支持するトツプリンクを、ガイド
軸、ガイドレール等を介して垂直昇降自在とする
ことによつて下型に対する開閉と同時に型締付け
を兼ねるものであり、更には前記回動開閉タイプ
のものにおいて型締付け装置を分離別設したもの
であるが、これら従来タイプのものには以下の問
題点が存在する。即ち回動開閉タイプのもので
は、上下型における同心度や平行度等において精
度が充分に得難く、締付け兼用のものではトツプ
リンクやベースが締付荷重の構成部材として働く
ため、その撓みの影響が締付け精度に出易く、均
一な締付け力分布が得られないのであり、構成各
部材の大型、大重量化が必要であつて、加硫機全
体の大型化、製作コストの割高が生じるのであ
る。

また垂直昇降方式のものでは、その垂直昇降の
駆動源として流体圧シリンダを用いるので、水圧
にせよ油圧にせよ大力量のシリンダ装置が必要で
あり、配管設備、ポンプ設備とともに、油圧の場
合は生タイヤに対する油分の付着が品質上きわめ
て嫌われるため、油漏れ防止構造その他において
余分なコストが必要であり、同じく均一な型締付
け力分布が得られないとともに、加硫機全体の大
型化、大重量化が不可避である等、何れのタイプ
においても解決すべき問題点がある。

本発明はこれら従来のタイヤ加硫機における上
下型の開閉、型締付け装置に代るものとして、必
要機構の簡単化、軽量化、型閉合、締付けにおけ
る高精度、機械耐用性の向上等を可能とした新し
い型開閉締付け装置を提供するものであり、その
特徴とする処は、開閉自在な上型と下型とから成
りかつ前記下型中心にシエーピング用弾性成形体
並びにその拡縮変形を行なう中心機構を具備する
タイヤ加硫機における前記上下型の開閉締付けに
当り、上型をスクリユ軸並びにスクリユ軸に昇降
自在に螺合するスクリユナツト等の機械的昇降手
段によつて下型に対し開閉自在に設けるとともに
上下両型の各周側等分位置に対応状に配設した上
下クランプロツド組における各ロツド対応端を係
脱自在な連継部材によつて連継するとともに、何
れか一方のクランプロツドに加圧装置を具備する
ことによつて型締め自在に設けた点にある。

以下図示の実施例に基いて本発明を詳述する
と、ツインタイプのタイヤ加硫機に実施した本発
明装置実施例の全体を示す第１図並びに第２図、
更には要部構造を例示する第３図、第４図の各図
において、加硫機ベース１上に下部プラテンサポ
ート２を介して下部プラテン５を設置し、同プラ
テン５上には図示省略してあるが既知の下型が固
定状に載設される。このさい下部プラテン５は従
来のスチームその他の加熱源の供給される熱盤形
式のものを用いることもできる。また下部プラテ
ン５の中心、即ち下型の中心位置を占めて下部プ
ラテンサポート２を介して中心機構３０が昇降自
在に装設される。中心機構３０はいうまでもなく
既知のものであり、図示省略してあるがグリーン
タイヤの内面に沿接装填される拡縮変形自在なブ
ラダと呼ばれる弾性成形体の上下両端を支持する
上下リング、上部リングを単独昇降させる昇降機
構、更には弾性成形体内へのスチームその他の熱
圧媒供給手段が具備されて、弾性成形体の拡縮変
形を行なうもので、第２図に例示するように中心
機構３０におけるリフトシリンダ３０ａには、ノ
ツクアウト装置２２のノツクアウトレバー２２ａ
が係合される。また下部プラテン５の外周にはこ
れまた既知であるが、下型外周を被包する下部ド
ーム２８が設けられる。前記のような下型に対し
て開閉を行なう上型は、第１，２図に示すように
加硫機ベース１と平行状にかつ後述するような機
械的昇降手段によつて垂直昇降自在とされるトツ
プスライド３に、モールド高さ調節装置２３を介
して付設される上部プラテン組位体２４の上部プ
ラテン４に取付けられる。このさい上部プラテン
４に下部プラテン５と同じく熱盤形式のものを用
いることも同様であり、上型も既知の上型と同様
であるため、下型と同様に図示は省略してある。
またモールド高さ調節装置２３および上部プラテ
ン組立体２４も従来のタイヤ加硫機におけるそれ
と同様であり、モールド高さ調節装置２３には調
節用駆動装置２３ａが具備されるとともに、装置
２３，２４の中心部分には既知のように割りモー
ルド用シリンダ装置２１も配備され、またモール
ド高さ調節装置２３を利用して上部プラテン組立
体２４、従つて上型の全周を被包する上部ドーム
２８が下型側の下部ドーム２８と対応状に設けら
れている。第１図においては、トツプスライド３
の半部のみを示しているが、実施例ではツインタ
イプのタイヤ加硫機としては、図示の上下型組に
よるモールドと並んで第１図向つて右方に加硫機
ベース１およびトツプスライド３がそれぞれ延長
形成され、図示と同様の上下型組によるモールド
が設置されるのであり、従つて以下に述べるトツ
プスライド３の垂直昇降のための機械的昇降手段
も、トツプスライド３の長さ方向両端に同一構造
が対称的に設けられることになる。尚第１，２，
３図に示すように、加硫機ベース１の両側には前
後一対のサイドガイド１２，１２、上方にはトツ
プビーム１３がそれぞれ連結状にフレームとして
設けられる。

トツプスライド３の機械的昇降手段として、本
発明では第１，２，３各図に示すように、トツプ
スライド３の長さ方向両端における外方にサイド
ガイド１２と平行する垂直方向に亘り、スクリユ
軸（ボールスクリユ軸を含む）１０が正逆回動自
在にサイドガイド１２を利用して設けた上下の軸
受部３１，２９を介し立設され、下部の軸受部２
９から突出するスクリユ軸１０端は軸継手１５を
介して連結軸１４と連結され、同連結軸１４はウ
オーム減速機１６を介して加硫機ベース１の下部
において水平方向に可回動に軸架される連結軸１
７に可回動に連繋され、連結軸１７に正逆回動自
在な可逆モータ等の電動機１８が減速機１９を介
して連結されるのであり、このさい第１図示のよ
うに１台の電動機１８を共用し、連結軸１７が電
動機１８より減速機１９を介して左右方向に一対
として設けられることにより、トツプスライド３
の長手方向両側に設けた図示のスクリユ軸１０，
１０の一対が同期駆動されることになる。

前記スクリユ軸１０，１０にはトツプスライド
３の長さ方向両端に付設したナツトケーシング１
１ａ内に装設されたスクリユナツト（ボールスク
リユナツトを含む）１１が螺合されるとともに、
ナツトケーシング１１ａが第３図示のようにサイ
ドガイド１２との間にローラガイド２６へスライ
ドガイド２７を介して直進スライド可能に係合さ
れることによつて、一対のスクリユ軸１０，１０
の正逆同期回動によつて、各スクリユナツト１１
はケーシング１１ａと共に直線上下運動を行な
い、これによつてトツプスライド３の同行昇降を
介して、上部プラテン４に取付けられた上型を、
下部プラテン５上に設けられた下型に対して開閉
自在とするのである。このさい機械的昇降手段と
して図例ではスクリユ軸１０とスクリユナツト１
１とによる回転運動を直線運動に変換する形式の
ものを示したが、これはラツクとピニオン軸等に
よるものであつても同効である。

上記のようにして閉合される上下両型の型締め
手段として、本発明では第１，２図および第４図
に例示するようなクランプロツド連継加圧機構を
用いる。即ちトツプスライド３側に上型の周側等
分位置（図例では４等分位置）に４本のクランプ
ロツド６を下垂状に固設してロツド６下端にクラ
ンプ用ボツクス６ａを付設し、これらクランプロ
ツド６に対応して加硫機ベース１側の下部プラテ
ンサポート２に、下型の周側等分位置（図例では
４等分位置）に４本のクランプロツド７を上向状
にかつそれぞれ加硫機ベース１側に設けた加圧用
シリンダ（油圧その他）２０のピストンロツド２
０ａと連結することによつて昇降自在に装設し、
このさいクランプロツド７のラツチヘツド７ａを
有する上端を前記クランプボツクス６ａ内に遊挿
突出させ、前記ラツチヘツド７ａとクランプボツ
クス６ａの底部間に連継部材としてのクランプス
ペーサ８を係脱自在に係合させることによつて上
下のクランプロツド６，７を連継一体化するとと
もに、このさい前記加圧用シリンダ２０のピスト
ンロツド２０ａに下方向の加圧力を働かせること
によつて、上下両型に締付力を発生させるように
したものである。

前記クランプスペーサ８のラツチヘツド７ａと
クランプボツクス６ａの底部間への係脱構造とし
ては、相隣る２個のクランプスペーサ８，８を、
第４図示のように共通のクランプ用シリンダ（エ
アその他）９を用い、同シリンダ９のピストンロ
ツド９ａの進退により、クランプスペーサ８，８
の進退杆３２，３２をそれぞれ同期的に駆動し
て、その係脱を行なうようにしてある。このさい
図例のようなクランプボツクス６ａクランプスペ
ーサ８およびクランプロツド７による構造を用い
るのは安全装置としての働きを兼備させるための
ものである。尚第２図において示した２５は既知
の加硫済みタイヤ搬出装置の１例を示している。

本発明の上下型開閉並びに締付け装置によれ
ば、第１，２図においては何れも上下型の閉合型
締め状態を示しているが、第１図において鎖線で
示したトツプスライド３は上型開放位置を示して
おり、この開放状態から周知のようにタイヤロー
ダ等を介して開放された下型上に、中心機構３０
による弾性成形体の伸展上昇を介し、グリーンタ
イヤが装入セツトされ、次いで中心機構３０によ
る弾性成形体のグリーンタイヤ内面への下降内接
と同成形体内への熱圧媒供給によるプレシエーピ
ング行程が開始されて後、上型の閉合が始まる。
即ち電動機１８の駆動による減速機１９を介する
両連結軸１７，１７の回動、ウオーム変速機１
６，１６を介する各連結軸１４，１４の連動によ
り、一対のスクリユ軸１０，１０の正転により、
各スクリユ軸１０，１０に螺合するスクリユナツ
ト１１，１１ケーシング１１ａ，１１ａの同期下
降により、トツプスライド３は下降して、その下
降行程の中途において上型が既知のように中心機
構３０側の上部リングと係合同行しつつ、上型は
下型に閉合されてシエーピング行程に入り、次い
で上下両型を型締め加圧して加硫行程に移るが、
この型締めに当つては先に述べた上型の下型閉合
とともに上型側のクランプロツド６は図示実線位
置にあり、下型側のクランプロツド７は下降した
クランプロツド６のクランプボツクス６ａ内に、
そのラツチヘツド７を具備した上部が、ボツクス
６ａの底部に開設した切欠６ｂを介して遊挿状に
突入している状態にある。従つてクランプ用シリ
ンダ９を駆動してクランプスペーサ８をラツチヘ
ツド７とボツクス６ａの底部間に進入係合させ、
両クランプロツド６，７が連継一体化されるとと
もに、加圧用シリンダ２０のピストンロツド２０
ａに対し下向きの加圧を行なうことによつて、上
下両型に対する必要な締付力が得られることにな
り、この型締め加圧下に各上下両型の加熱、弾性
成形体内圧の上昇、更には上下ドーム２８，２８
内への熱圧媒供給等を介して、グリーンタイヤの
加硫成形が行なわれるのである。加硫成形終了後
は、加圧用シリンダ２０の加圧を解いて後、クラ
ンプスペーサ８を避退させて後、電動機１８を駆
動して、連結軸１７以下を連動させてスクリユ軸
１０，１０を逆転させることにより、スクリユナ
ツト１１ケーシング１１ａの上昇を介しトツプス
ライド３が上昇して鎖線位置に戻ることにより、
上型の開放避退が得られ、後は中心機構３０のノ
ツクアウト装置２２による上昇を介して加硫済み
タイヤが下型上より剥離され、次いで弾性成形体
の上部リング上昇によるタイヤ内面よりの離脱と
伸展、タイヤアンローダによる加硫済みタイヤの
搬出装置２５側への搬出が既知のように行なわれ
るのである。

本発明における上下型の開閉、型締め装置にお
いては、先ず型の開閉機構と型締め機構とを分離
し、型の開閉機構として一対のスクリユ軸１０，
１０、同軸上を昇降するスクリユナツト１１，１
１による機械的昇降手段によつてトツプスライド
３を垂直昇降させて行なうようにしたので、トツ
プスライド３は上型側重量を支持するに足る程度
の剛強性を保持するのみで足り、従来のような大
重量トツプリンクの必要なく軽量化され、大力量
のシリンダ駆動を必要とせず、型開閉が確実容易
に得られる。このさいスクリユ軸１０，１０自体
がガイドとしても働くとともに左右均衡した昇降
行程により、上下型の同心度、平行度が精度よく
確保できるのである。更にその型締付けに当つて
も、上下両型側から派出した相対応する上下のク
ランプロツド６，７のクランプ連継によつて、一
方のロツド７側に設けた加圧シリンダ２０による
加圧としたので、上下型に掛る締付力分布がきわ
めて均一化され、締付力の偏寄等を生じるおそれ
なく、シリンダ２０の締付けに必要なストロー
ク、力量は何れも小さくて足りるのであり、図例
のクランプボツクス６ａクランプスペーサ８によ
れば、加硫中、万一流体圧が漏れても、ピストン
ロツド２０ａ、クランプロツド７はクランプボツ
クス６ａによつて上昇を阻止できるので、上型が
開放するおそれも１〜２mm程度のきわめて僅少な
ものに止まるので、安全性も大であり、更に本発
明の大きな特徴は、その型開閉機構および型締め
機構の両者において、何れも装置の小型コンパク
ト化が可能であり、加硫機全体の軽量化、コンパ
クト化を可能とする点である。

即ち型開閉機構におけるトツプスライド３、ス
クリユ軸１０スクリユナツト１１の各部材は何れ
も軽量な素材で足り、大きな軸受やプツシユ等を
必要とすることがないので、構造が著しく簡単化
され型締付け機構においても小力量、短衡程の加
圧用シリンダ２０と上下のクランプロツド６，７
のみを主要部材とするのみで、これまたコンパク
トな構成が容易であり、加硫機全体を軽量化で
き、その据付面積も小さくて足り、従来のような
大重量、大型化を生じないので、機械製作コスト
も著しく低減できることになり、タイヤ加硫機に
おける上下両型の開閉並びにその型締めを行なう
ものとして優れたものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明装置実施例を示すタイヤ加硫機
の半部を示す要部縦断正面図、第２図は同半部縦
断側面図、第３図は第１図Ａ―Ａ線より見た平面
図、第４図は第１図Ｂ―Ｂ線よりの半部横断平面
図である。 １……加硫機ベース、２……下部プラテンサポ
ート、３……トツプスライド、４……上部プラテ
ン、５……下部プラテン、６，７……クロンプロ
ツド、８……クランプスペーサ、９……クランプ
用シリンダ、１０，１０……スクリユ軸、１１，
１１……スクリユナツト、１１ａ，１１ａ……ナ
ツトケーシング、１２……サイドガイド、１３…
…トツプビーム、２０……加圧用シリンダ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 開閉自在な上型と下型とから成りかつ前記下
   型中心にシエーピング用弾性成形体並びにその拡
   縮変形を行なう中心機構を具備するタイヤ加硫機
   における前記上下型の開閉締付けに当り、上型を
   スクリユ軸並びにスクリユ軸に昇降自在に螺合す
   るスクリユナツト等の機械的昇降手段によつて下
   型に対し開閉自在に設けるとともに、、上下両型
   の各周側等分位置に対応状に配設した上下クラン
   プロツド組における各ロツド対応端を係脱自在な
   連継部材によつて連継するとともに、何れか一方
   のクランプロツドに加圧装置を具備することによ
   つて型締め自在に設けたことを特徴とするタイヤ
   加硫機における型開閉締め付け装置。