JPH0123511B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は、着色材として顔料を用いた筆記具用
水性顔料インキに関し、更に詳しく云えば、貯蔵
中あるいは筆記具中に於て安定な顔料分散性を有
し、更にペン先が乾燥しても、キヤツプをするこ
とにより再筆記可能となる筆記具用水性顔料イン
キに関するものである。 （従来の技術及びその問題点） 従来フエルトペン、サインペン、ボールペン、
筆ペン等のインキとしては染料インキが使用され
ているが、染料インキは耐光性や耐水性が劣るた
めに、顔料タイプの筆記具用水性インキが提案さ
れるようになつた。しかしながら水性顔料インキ
は使用している着色材の顔料が溶剤に不溶の為に
顔料を如何に微粒子にし、安定に分散させるかが
重要な課題であり、特に筆記具に使用した場合ペ
ン先の毛細管を自由に通過する顔料粒子径である
ことが望しく、更に長期保存の際インキ中の顔料
が凝集したり安定した分散がこわれたりして、ス
ムースに筆記できなくなる問題点を有していた。 また長期間ペン先を、キヤツプをはずしたまま
放置することによつて、ペン先でインキが固化
し、再度キヤツプをかけても、筆記できない場合
もあつた。 このような問題点を解決するために特公昭55−
35434の如く、顔料の分散剤として疎水性付加重
合性モノマーとカルボキシル基またはスルホン基
などの親水性付加重合性モノマーの共重合体を使
用する試みや、更に特開昭58−80368の如く乾燥
防止剤として尿素などを添加する試みも提案され
ているが完全に改良されるところ迄いつていない
のが実情である。 （問題点を解決する為の手段） 本発明は上述せる問題点を解決すべく鋭意研究
した結果、水性顔料インキの分散剤として、特定
の水溶性樹脂を使用することにより顔料の分散安
定性を向上させると共に、ペン先などで、ドラ
イ・アツプし難い水性顔料インキを得ることが可
能となり、本発明に至つたものである。 すなわち本発明は顔料、分散剤および水性媒体
からなる筆記具用水性顔料インキにおいて、分散
剤が疎水性付加重合性モノマーとα・βエチレン
性不飽和カルボン酸および下記一般式（）で示
されるアクリルアミドまたはメタクリルアミドか
らなる共重合体の水溶性アミン塩若しくはアンモ
ニウム塩であることを特徴とする筆記具用水性顔
料インキを要旨とするものである。 一般式 （式中Ｒは水素、メチル基である） （発明の構成） 次に本発明を詳細に説明する。 本発明で使用する着色材は、従来から公知であ
る無機顔料および有機顔料が使用でき、その形態
も粉末、水性ペーストなど問題なく使用すること
ができる。これらの顔料の使用量はインキ全量に
対して３〜20重量％が望ましい。 本発明の分散剤は、疎水性付加重合性モノマー
とα・βエチレン性不飽和カルボン酸に第三成分
としてアクリルアミドまたはメタクリルアミドを
加えて共重合させたものであり、共重合体中の疎
水性付加重合性モノマーの割合は40重量％以上、
α・βエチレン性不飽和カルボン酸の割合は40重
量％以下、第三成分のアクリルアミドまたはメタ
クリルアミドの割合は１〜20重量％が望ましく、
使用にあたつては、水溶性アミン若しくはアンモ
ニウム塩として使用する。 第三成分が１重量％以下の場合は、共重合体の
溶解性がよくなく、PHの変化に弱い上にペン先
での耐ドライアツプ性が悪く、20重量％以上の場
合は顔料インキの耐水性が低下することと、分散
剤の効果が失なわれる。 疎水性付加重合性モノマーとしては、アクリル
酸およびメタクリル酸、またはエタクリル酸の各
種エステル、スチレン、スチレン誘導体、エチレ
ン、イソブレン、ブタジエン、塩化ビニルなどで
あり、α・βエチレン性不飽和カルボン酸として
はアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イ
タコン酸、フマール酸、（無水）マレイン酸など
である。 第三成分としてはアクリルアミド、メタクリル
アミドが使用できる。 以上の如き各種モノマーの共重合はいずれの場
合も公知の方法−例えば塊状重合、懸濁重合、溶
液重合、乳化重合の各種重合法によつて容易に実
施できる。こうして得られた共重合体はアンモニ
ウム塩やアミン塩として使用するのが望ましく、
本発明における分散剤はインキ全量に対して３〜
30重量％使用され、約５〜15重量％が好ましい。 また必要に応じて市販のエチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド付加型のノニオン界面活性
剤を任意に使用できる。 本発明で使用する水性媒体は水が主成分である
が、必要に応じてエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ンなどの不揮発性水溶性有機溶剤が使用でき、イ
ンキ全量に対して５〜30重量％使用できる。 その他必要に応じて、尿素や尿素誘導体などの
吸湿性物質や防錆剤、防カビ剤なども任意に使用
できる。 本発明の筆記具用水性顔料インキは、上述せる
各成分からなり、その製造方法は公知の方法例え
ばボールミル、ホモミキサー、サンドグラインダ
ー、スピードラインミル、ロールミルなどの分散
機により混合磨砕することにより容易に得られ
る。 以上の如くして得られた本発明の筆記具用水性
顔料インキは、インキ単独および筆記具内におい
て十分な分散安定性を有する為に、顔料粒子の沈
降や凝集が発生せず、ペン先をつまらせることは
ない。また長い間ペン先を露出したまま放置して
ペン先がドライアツプしてもキヤツプをすること
により再筆記可能となる。これは、本発明で使用
している分散剤は、その共重合体中に第三成分と
してアクリルアミドまたはメタクリルアミドを含
有している為に吸湿性があり、ドライアツプして
もインキ溶剤により吸湿→膨潤→再溶解すること
により再筆記可能となるものと思われる。 （実施例） 次に実施例により、本発明を具体的に説明する
が、実施例中「部」とあるのは「重量部」を表わ
すものとする。 実施例 １ スチレン−メタクリル酸−アクリルアミドの共
重合体（重量比50：40：10）のモノメチルアミ
ン塩 10部 エチレングリコール 30部 カーボンブラツク 10部 防錆剤 １部 水 49部 上記成分をボールミルに加えて100時間分散し、
粗大な顔料粒子を遠心分離することにより顔料分
7.5重量％の黒色の筆記具用水性顔料インキを得
た。 比較例 １ 実施例１で使用した分散剤の代りに、スチレン
メタクリル酸共重合体（重量比56：44）のモノメ
チルアミン塩を同量使用して実施例１の操作をく
り返し黒色の筆記具用水性顔料インキを得た。 実施例 ２ アクリル酸ブチル−アクリル酸−メタクリルア
ミドの共重合体（重量比45：40：15）のアンモ
ニウム塩 ８部 エチレングリコール ８部 プロピレングリコール ８部 銅フタロシアニン水性ペースト（顔料分20重量
％） 60部 水 16部 上記成分をサンド・グラインダーにて10時間処
理した後、粗大粒子を除去することにより顔料分
７重量％の青色の筆記具用水性顔料インキを得
た。 比較例 ２ 実施例２に使用したアクリル酸ブチル−アクリ
ル酸−メタクリルアミド共重合体の代りに同量の
アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体（重量比
61：39）のアンモニウム塩を使用して青色の筆記
具用水性顔料インキを得た。 実施例 ３ スチレン−ブチルメタクリレート−アクリル酸
−アクリルアミドの共重合体（重量比25：25：
35：15）のアンモニウム塩 10部 ノニルフエノールエチレンオキサイド付加ノニ
オン活性剤 ５部 エチレングリコール 20部 グリセリン ５部 キナクリドン・レツド 15部 水 45部 上記成分をロールミルで分散し、粗大粒子を除
去することにより、顔料分13.5重量％の赤色の筆
記具用水性顔料インキを得た。 比較例 ３ 実施例３のスチレン−ブチルメタクリレート−
アクリル酸−アクリルアミドの共重合体のアンモ
ニウム塩の代りに、同量のスチレン−ブチルメタ
クリレート−アクリル酸の共重合体（重量比30：
30：40）のアンモニウム塩を使用して赤色の筆記
具用水性顔料インキを得た。 （発明の効果） 実施例１〜３および比較例１〜３の各々の水性
顔料インキを、ポリエステル製吸蔵体ポリアクリ
ロニトリル加熱成形ペン先（0.5mmφ）を有する
サインペンに充填し、各種の性能テストを行なつ
た結果を表−１に示す。

【表】

【表】 以上の如く、本発明の筆記具用水性顔料インキ
は顔料分散性、ペン先耐乾燥性に優れたものであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 顔料、分散剤および水性媒体からなる筆記具
   用水性顔料インキにおいて、分散剤が疎水性付加
   重合性モノマーとα・βエチレン性不飽和カルボ
   ン酸および下記一般式（）で示されるアクリル
   アミドまたはメタクリルアミドからなる共重合体
   の水溶性アミン塩若しくはアンモニウム塩である
   ことを特徴とする筆記具用水性顔料インキ。 一般式 （式中Ｒは水素、メチル基である）