JPH0122930Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スターリングサイクル機関用軸封
装置に関する。

スターリングサイクル機関は、作動流体（ヘリ
ウム、水素、チツソ或いはそれらの混合気体の一
つ）を、等温圧縮、等容変化、等温膨張をくり返
し、発動機、ヒートポンプ、或いは冷凍機とし
て、又は、冷凍機と原動機の両機能を兼ねさせる
ことができる。このスターリングサイクル機関の
出力或いは熱効率の低下を防止する上で要要なこ
とは、作動流体の閉回路を構成する圧縮部から、
高圧の作動流体を漏洩させないようシールさせる
ことにある。実際、閉回路内の作動流体の漏洩
は、機関の出力や熱効率の低下のみならず、機関
の停止を招き、長期間の安定した運転維持の妨げ
となる。

一方、スターリングサイクル機関は、一般に、
一端がクロスヘツド或いは斜板と協働する往復動
可能なピストンロツドをシリンダ内に延在させ且
つ該シリンダ内のピストンと連結させ、さらに、
その内部に背圧室を構成するハウジングとピスト
ンとの間に圧縮部空間を画定させる構成となつて
いる。背圧室の両端部にはピストンロツドを軸封
する種々なシールを配し、圧縮部空間内の高圧作
動流体が、背圧室を介して、クロスヘツドや斜板
の納められる低圧クランク室に漏洩するのを防止
させている。

背圧室の後端部、即ち、クランク室側に位置す
る軸封装置としては、従来、ロールソツクス等の
種々のタイプの軸封装置の採用が試みられている
が、背圧室内の流体圧が高い状態で使用されるス
ターリングサイクル機関にあつては、背圧室から
クランク室へのガス漏れを防止するに有効な実用
的な軸封装置は末だ提案されていない。

この考案は、上記に鑑み、背圧室からのガス漏
れを効果的に防止するとともに、耐久性の良好な
実用的な軸封装置を提供することを目的としてな
されたものである。

以下、図示の実施例により本考案の詳細を説明
する。

シリンダ１内で往復動するピストン２にはピス
トンロツド３が連結されていて、該ピストンロツ
ド３はシリンダ内の端部に設けられたハウジング
４を通してクランク室５に延在する。

ここで、ハウジング４の両端部には前段軸封装
置であるシールリング６と後段軸封装置７が設け
られていて、その間に背圧室８が形成される。

背圧室８は逆止弁９を通して圧縮室１０に連通
する。

上記構成において、行程中、圧縮室１０内で圧
力変動する高圧ガスは前段軸封装置から漏れて背
圧室８に侵入し背圧室の気圧を上昇させるが、行
程中で圧縮室１０内の気圧が背圧室８の気圧より
低くなると背圧室内の気体は逆止弁９を介して圧
縮室に戻される。

従つて、背圧室内の気圧は圧縮室の行程中の最
低値に近い値に維持されている。

しかしながら、スターリング機関においては、
背圧室内の気圧はクランク室内、即ち低圧側の圧
力に比べればなお相当に高い値に維持されている
ので、高圧側である背圧室内の気体は後段軸封装
置を通してクランク室に漏れ、機関の性能の劣化
の原因となる。

本考案は、背圧室８からクランク室５へのガス
漏れを防止するに有効な軸封装置を提供するもの
で、ピストンロツド３の外周面に対接摺動してそ
の間を封止する合成樹脂製のシールリング本体１
１と、シールリング本体１１の外周に対接してシ
ールリング本体１１を保持する金属製ホルダーリ
ング１２と、金属製ホルダーリング１２の周囲と
ケーシングとの間をシールするｏ−リング１３と
で構成されていて、シールリング本体１１は、ピ
ストンロツド３の外周面に対接する主軸方向巾Ｗ
が２〜3.5mmの内周面１４と、高圧側から低圧側
に向け、且つ径方向内方に40゜〜60゜の角度をなし
て傾斜した外周傾斜面１５と、高圧側に対向する
内側面１６及び低圧側に対向し径方向巾Ｔが0.1
mm〜１mmの外周面１７とでなる断面台形をなす。

また、金属製ホルダーリング１２は、前記シー
ルリング本体１１の外周傾斜面１５に対応した傾
斜角をもつて傾斜した内周傾斜面１８を有し、外
周はケーシングとの間に位置するｏ−リング１３
により封止される。

ここで、シールリング本体１１の内周面の軸方
向巾Ｗが3.5mmを越えて大きくなると摩擦損失が
増大し、機関効率の低下を招くので好ましくな
く、また、巾Ｗが２mmより狭くなると背圧室の高
圧ガスの作用によりシールリング本体が第２図に
破線で示す如く変形し、シール性能が劣化する。

また、低圧側に対向する側面１７の径方向巾Ｔ
が１mmを越えると高圧ガスの作用によりシールリ
ング本体の変形が多くなり、シール性能が劣化す
るとともにリング本体の破損が生じ易くなり、径
方向巾Ｔが0.2mmより狭くなるとシールリング本
体の外側端部の強度が不足し、該部分が破損し、
ひいてはシールリング本体の破損を招く。

更に、外周傾斜面１５の傾斜角度を60゜を越え
て大きくすると、シールリング本体とピストンロ
ツド３の外周面との圧接力が不足しシール性が劣
化し、また、40゜より小さくするとシールリング
本体１１が、ピストンロツド３の外周と金属製ホ
ルダーリング１２の内周傾斜面１８とで形成され
楔状空間に強力に喰い込まれるために、摩擦損失
の増大を招き、ひいてはシールリング本体の破損
の原因となる。

スターリングサイクル機関用軸封装置を上記本
考案に従つて構成する場合、シールリング本体１
１が背圧室のガス圧によりピストンロツド３と金
属製ホルダーリングとで構成される楔状空間に適
度に圧縮保持されピストンロツドの軸封効果が効
果的に発揮される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例である軸封装置を有す
るスターリングサイクル機関の要部断面図。第２
図は軸封装置に使用されるシールリング本体の装
着状態を示す。第３図はシールリング本体の縦断
面図。 図中；１……シリンダ、２……ピストン、３…
…ピストンロツド、４……ハウジング、８……背
圧室、１０……圧縮室、１１……シールリング本
体、１２……金属製ホルダーリング、１３……ｏ
−リング、１４……シールリング本体の内周面、
１５……シールリング本体の外周傾斜面、１６…
…内側面、１８……金属製ホルダーリングの内周
傾斜面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製のシールリング本体と、該シールリ
   ング本体の外周に対接してシールリング本体を保
   持する金属製ホルダーリングと、該ホルダーリン
   グの外周に位置してホルダーリングとケーシング
   との間をシールするＯ−リングとでなるスターリ
   ングサイクル機関のピストンロツドの軸封装置で
   あつて、前記シールリング本体がピストンロツド
   の外周に対接する主軸方向巾が２〜3.5mmの内周
   面と、低圧側に対向し径方向巾が0.2〜1.0mmの外
   側面と、高圧ガス側に対向する内側面と、高圧側
   から低圧側へ且つ径方向内方に40゜〜60゜の角度を
   もつて傾斜した傾斜外周面とでなる断面台形状を
   なし、前記金属製ホルダーリングが前記シールリ
   ング本体の傾斜外周面に対接する内周傾斜面を有
   し、前記ケーシング内に位置し且つその内部に逆
   止弁を介して圧縮室に通じる背圧室を有するハウ
   ジングにより前記ホルダーリングを前記ケーシン
   グ内に固定させ、前記シールリング本体の内側面
   が前記背圧室の高圧ガスを受けることを特徴とす
   るスターリングサイクル機関用軸封装置。