JPH0544549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、スターリングサイクルを利用したエ
ンジンや冷凍機、或いは、圧縮機等のクランク室
内の高圧流体をシールドする装置に関する。

〔従来技術〕

スターリングエンジンは、ヘリウム等の作動ガ
スの等容、等温変化により、作動ピストンを往復
動させ、この往復動を回転運動に変換可能とさせ
る構成を有す。このスターリングエンジンの作動
ピストンの往復運動は、クランク或いは斜板を介
して出力軸により回転運動として機械的に取出さ
れている。この出力取出機構を備えるクランクケ
ース内には、スターリングエンジンの圧縮室と膨
脹室とを有する閉ガス回路から導入された高圧作
動ガスが封入される。このクランクケース内から
の機関外部へのガス漏れは、作動ガスの平均流体
圧を下げ、スターリングエンジンの出力を低下さ
せることから、クランクケース内の高圧流体をシ
ールさせることはきわめて重要である。

では第１図を参照して従来のシール機構を中心
に説明すると、スターリングエンジンの膨脹室と
圧縮室を画定する作動ピストン（図示なし）に連
結されたガイドピストン４をコンロツド３を介し
てクランクシヤフト２に連結し、クランクシヤフ
ト２により作動ピストンの往復動を回転運動に変
換し、回転軸２′を回転させる。クランク室１３
は高圧流体の容器の一種となつており、同様に該
高圧流体は潤滑油とともにコロ軸受５部を通り高
圧油室１２へも流れ込む、更に該高圧油室１２に
はクランクシヤフト２と回転軸２′の内部の潤滑
油供給穴１５を通りオイルポンプより冷却用のオ
イルが噴射される。

そのクランクケース１に軸支され且つクランク
室１３内を延出する回転軸２′を有し、その外周
面がＯ−リング１１を介してクランクケース１の
左端面に固設したケーシング７の内壁面に密封さ
れ且つ支持された金属ホルダーリング８を備え、
前記ホルダーリング８の内周傾斜面８′と対接す
る外周傾斜面６′を有し且つその内周面６″が回転
軸２′の外周面２″に密接する断面略台形の樹脂製
のシールリング本体６を有し、前記シールリング
本体６をホルダーリング８にスプリングリテーナ
ー９を介してスプリング１０等で押圧させる構造
を成し、シールリング本体６の内側面側にクラン
ク室１３内の流体圧を作用させ、ホルダーリング
８の内周傾斜面８′と回転軸２′の外周面２″で形
成される楔状空間へシールリング本体６が押し込
まれ、長期間安定したシール性能が維持できる機
構を有している。

通常シールリング本体６は基本的には四フツ化
エチレンやポリイミド等の柔軟性に富んだ樹脂を
用いる。

このような従来の回転軸シールで高圧流体をシ
ールすると、回転軸２′の回転運動に伴い、該回
転軸と対接するシールリング本体６の内周面６″
とホルダーリング８の内周傾斜面８′と対接する
シールリング本体６の外周傾斜面６′がそれぞれ
密封摺動面となる。

〔本考案が解決しようとする課題〕

ところがクランク室１３内の流体が高圧にな
り、シールリング本体６に作用する圧力が高く
（約Ｐ＝5MPa以上）なると、第２図に示す様に
シールリング本体６の特に先端部分２２が低圧側
への変形（クリープ）が大きくなり耐久性が著し
く劣化する問題があつた。

一方変形を押えるためにシールリング本体６の
断面形状を大きくして剛性を向上させることも考
えられるが、高圧流体の圧力が作用する軸方向断
面積S′が大きくなるため、シールリング本体６に
作用する荷重が増大し、摩擦損失が増加する問題
があつた。

そこで本考案はシールリング本体６に作用する
圧力荷重を小さくすることにより、シールリング
本体６の変形を防止し、耐久性の向上を図ること
をその技術的課題とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための技術的手段） ホルダーリングの内周傾斜面と、それに対接す
るシールリング本体の外周傾斜面の何れか一方の
傾斜面の一部を２段階にして両者間に背面空間を
形成したことである。

（作用） 高圧流体は背面空間に流入し、両傾斜面の対接
面で高圧流体圧を受けるため、実質的軸方向受圧
断面積は小さくなり、従つてシールリング本体１
６に作用する荷重は小さくなり、シールリング本
体の低圧側への変形がなくなり、耐久性が向上す
る。

（実施例） 本考案を具体化、実施例を第３〜６図に基づい
て説明する。

前述の従来技術として説明した第１図と、構
造・機能の大部分が同一であるため、特に従来技
術のシールリング本体６に相当する本件実施例の
シールリング本体１６の相違点を中心として説明
する。

本シール装置の一例を作る合成樹脂製のシール
リング本体１６を組込んだ状態は第３図で示す
が、その拡大図を第４図で示す。すなわち回転軸
２′の外周に対接する内周面１７と低圧側に対向
する外側面１８と高圧側に対向する内側面１９
と、高圧側から低圧側へ且つ径方向内方に２段の
角度をもつて傾斜した傾斜外周面２０，２１とで
なる断面略台形状をなし、クランクケース１に固
定されるケーシング７側の金属ホールダーリング
８が、シールリング本体１６の傾斜外周面２０に
対接する内周傾斜面２８を有し、該ホルダーリン
グ８の外周に位置してホルダーリング８とケーシ
ング７との間をシールするＯ−リング１１とから
なり、更にシールリング本体１６の高圧側内側面
１９をスプリングリテーナー９を介して、スプリ
ング１０で予圧し、金属製ホルダーリング８の内
周傾斜面２８（第５図で示す）と回転軸２′の外
周面２″に予かじめ密着するような構造とする。

該シールリング本体１６は基本的には四フツ化
エチレンやポリイミド等の樹脂製である為非常に
柔軟性に富み追従性が良好であるとともに、低摩
擦係数の為に機械損失の低減が可能である。

ここでシールリング本体１６は、スプリング１
０の付勢力と、クランク室１３内の高圧流体圧に
より、回転軸２′の外周面２″に沿つて滑動して、
ホルダーリング８の内周傾斜面２８と回転軸２′
の外周面２″で形成される楔状空間へと押込まれ
るが、シールリング本体１６は、高圧流体がスプ
リングリテーナー９の外周部隙間等から容易に２
段角度で傾斜した傾斜外周面２０，２１と、ホル
ダーリング８の内周傾斜面２８とで、形成される
背面空間２３内に流入し、クランク室１３内の流
体圧と同圧になるため、シールリング本体１６に
作用する高圧流体の圧力を受ける実質的軸方向断
面積はＳとなり、第２図に示す断面積S′より小さ
く押えることができる。

従つてシールリング本体１６に作用する荷重Ｗ
＝Ｐ×Ｓを小さくすることができるため、シール
リング本体１６の低圧側への変形がなくなり、耐
久性が向上する。

第６図には他の実施例を示すが、２段階の角度
を持つて傾斜した内周傾斜面２４，２５をホルダ
ーリング８側に設けて、シールリング本体１６の
外周傾斜面２７との間に、背面空間２６を形成
し、シールリング本体１６に作用する荷重Ｗ＝Ｐ
×Ｓを小さくした。

〔考案の効果〕

以上の説明で明らかな様に、シールリング本体
自身の大きさを大きくすることなく、及び剛性を
あげることなく、シールリング本体に作用する圧
力荷重を小さくすることができ、シールリング本
体の変形を防止し、耐久性が著しく向上すると共
に、シールリング本体の柔軟性も損なうことな
く、シール性も維持され摩擦損失も減少させるこ
とができる等実用効果多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の中央縦断面図、第２図は第
１図のシールリング部分の拡大図、第３図は本案
装置の実施例を示す要部拡大中央部分縦断面図、
第４図は第３図中のシールリング部分のシールリ
ング本体を拡大して示した断面図、第５図は第３
図中のシールリング部分の拡大断面図、第６図は
第５図の実施例を示す拡大断面図である。 １……クランクケース、２′……回転軸、７…
…クランクケース、８……ホルダーリング、１１
……Ｏ−リング、１６……シールリング本体、１
７……内周面、２０，２１，２７……外周傾斜
面、２２，２４，２５……内周傾斜面、２３，２
６……背面空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高圧流体を封入したクランク室を画定するクラ
   ンクケース、該クランクケースに軸支され且つク
   ランク室内を延出する回転軸、その外周面がＯ−
   リングを介してクランクケースの内壁面に密封支
   持され、内周傾斜面を備えたホルダーリング、該
   回転軸に対接する内周面及び前記ホルダーリング
   の内周傾斜面と対接する外周傾斜面を有するシー
   ルリング本体とを有し、前記内周傾斜面及び外周
   傾斜面の何れか一方の傾斜面の一部を２段階にし
   て両者間に背面空間を形成した事を特徴とする高
   圧流体用回転軸シール装置。