JPS6314043Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、スターリングサイクル機関用軸封
装置に関する。

スターリングサイクル機関は、作動流体（ヘリ
ウム、水素、チツソ或いはそれらの混合気体の一
つ）を、等温圧縮、等容変化、等温膨張をくり返
し、発動機、ヒートポンプ、或いは冷凍機とし
て、又は冷凍機と原動機の両機能を兼ねさせるこ
とができる。このスターリングサイクル機関の出
力或いは熱効率の低下を防止する上で重要なこと
は、作動流体の閉回路を構成する圧縮部から、高
圧の作動流体を漏洩させないようにシールさせる
ことにある。実際、閉回路内の作動流体の漏洩
は、機関の出力や熱効率の低下のみならず、機関
の停止を招き、長期間の安定した運転維持の妨げ
となる。

一方、スターリングサイクル機関は、背圧室の
後端部、即ち、クランク室側に位置する軸封装置
として、従来、ロールソツクス等の種々のタイプ
の軸封装置の採用が試みられているが、背圧室内
の流体圧が高い状態で使用されるスターリングサ
イクル機関にあつては、背圧室からクランク室へ
のガス洩れを防止する有効な実用的な軸封装置は
末だ提案されていない。

この考案は、上記に鑑み、背圧室からのガス洩
れを効果的に防止する改善された軸封装置を提供
することを目的としてなされたものである。

以下、図示の実施例により本考案の詳細を説明
する。

シリンダ１内で往復動するピストン２にはピス
トンロツド３が連結されていて、該ピストンロツ
ド３はシリンダ内の端部に設けられたハウジング
４を通してクランク室５に延在する。

ここで、ハウジング４の両端部には前段軸封装
置６と、後段軸封装置７が設けられていて、その
間に背圧室８が形成される。

背圧室８は逆止弁９を通して圧縮室１０に連通
する。

上記構成において、機関の行程中に圧縮室１０
内で圧力変動する高圧ガスは前段軸封装置から漏
れて背圧室８に侵入し背圧室の気圧を上昇させる
が、圧縮室１０内の気圧が行程中で背圧室８内の
気圧より低くなると背圧室内の気体は逆止弁９を
介して圧縮室に戻される。

従つて、背圧室８内の気圧は圧縮室内圧の最低
値に近い値に維持されている。

しかしながら、スターリングサイクル機関にお
いては、背圧室内の気圧はクランク室内、即ち低
圧側の気圧に比べればなお高圧に維持されている
ので、高圧側である背圧室内の気体は後段軸封装
置を通してクランク室に漏れ、機関の性能劣化の
原因となる。

本考案は、背圧室８からクランク室５へのガス
洩れを防止するに有効な軸封装置を提供するもの
で、ピストンロツド３の外周面に対接摺動してそ
の間を封止する合成樹脂製のシールリング本体１
１と、シールリング本体１１の外周に対接してシ
ールリング本体１１を保持する金属製ホルダーリ
ング１２と、金属製ホルダーリング１２の外周と
ケーシングとの間を封止するＯーリング１３とで
構成されていて、該シールリング本体１１は、ピ
ストンロツド３の外周面に対接摺動する内周面１
４と、高圧側に対向する内側面１５と、低圧側に
対向する外側面１６と、高圧側から低圧側に向
け、且つ、径方向内方に傾斜した外周傾斜面１７
とでなり、一方、金属製ホルダーリング１２は、
前記シールリング本体１１の外周傾斜面１７に対
応して傾斜する内周傾斜面１８を有していて、シ
ールリング本体１１の外周傾斜面１７と金属製ホ
ルダーリング１２の内周傾斜面１８との対接面間
に弾性シールリング１９を装着させてなる。

スターリングサイクル機関用軸封装置を上記本
考案に従つて構成する場合には、合成樹脂製のシ
ールリング本体１１はピストンロツド３の外周面
と金属製ホルダーリング１２の内周傾斜面１８と
で断面楔状に形成された空間に背圧室内の高圧ガ
スにより押し込まれるので、シールリング本体と
ピストンロツドとの間の軸封が効果的になされ
る。また、シールリング本体の外周傾斜面と金属
製ホルダーリングの内周傾斜面との対接面間は合
成ゴム等でなる弾性シールリング１９により封止
されている。

したがつて、シールリング本体の周囲を介して
背圧室からクランク室側への気体の漏洩を阻止す
ることができ、スターリングサイクル機関の効率
低下を防止することができる。

なお、シールリング本体としては、四弗化エチ
レン樹脂等の合成樹脂が採用され、また、シール
リング本体に形成される外周傾斜面の傾斜角とし
ては、40゜〜60゜の範囲とする場合、特に良好な効
果が得られる。

第３図は、本考案の別の実施例を示し、シール
リング本体１１はその外側面１６は高圧側から低
圧側に向け、且つ、径方向外方に向けて傾斜する
傾斜面１６′で構成されている。

シールリング本体を上記の如く構成する場合、
シールリング本体の外側端縁部の破損を防止する
効果が得られ、耐久性を向上させる上で有効であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例である軸封装置の部分
を示すスターリングサイクル機関の要部断面図。
第２図、第３図は本考案の実施例を示す断面図。 図中：１……シリンダ、２……ピストン、３…
…ピストンロツド、５……クランク室（低圧側）、
６……前段軸封装置、７……後段軸封装置、８…
…背圧室（高圧側）、１０……圧縮室、１１……
シールリング本体、１２……金属製ホルダーリン
グ、１３……Ｏーリング、１４……内周面、１５
……内側面、１６……外側面、１７……外周傾斜
面、１８……内周傾斜面、１９……弾性シールリ
ング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製のシールリング本体と、該シールリ
   ング本体の外周面に対接してシールリング本体を
   保持する金属製ホルダーリングと、該金属製ホル
   ダーリングの外周に設けられるＯーリングとでな
   るスターリングサイクル機関用軸封装置であつ
   て、前記シールリング本体がピストンロツドの外
   周面に摺接する内周面と、高圧側に対向する内側
   面と、低圧側に対向する外側面と、高圧側から低
   圧側に向け、且つ、径方向内方に傾斜した外周傾
   斜面とでなり、前記金属製ホルダーリングが前記
   シールリング本体の外周傾斜面の傾斜角に対応し
   た傾斜角度をもつて傾斜した内周傾斜面を有して
   いて、前記シールリング本体の外周傾斜面と前記
   金属製ホルダーリングの内周傾斜面との対接面間
   に弾性シールリングを装着させたことを特徴とす
   るスターリングサイクル機関用軸封装置。