JPH0122811Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は断熱材の外壁を利用してコンクリート
打設を行うコンクリート型枠断熱パネルに関して
いる。

（従来の技術） コンクリート建造物の断熱工法としては、断熱
材をコンクリート躯体の外側に設ける外断熱法
と、内側に設ける内断熱法とが知られている。こ
れら工法のうち、内断熱法では昼間ならびに夜間
の温度差によつて壁体の内部結露が生じるなどの
問題があり、内断熱よりも外断熱の方が断熱効果
は優れているといわれている。

そして断熱材を建造物の外側に装着する外断熱
工法において、断熱パネルをコンクリート打設時
の型枠として利用する従来の技術は、実公昭59−
15320号、実開昭58−44313号公報によつて紹介さ
れている。

前記公報のうち前者は、断熱パネルにねじ筒を
有する支承板を当接し、支承板のねじ筒にコンク
リート側は型枠間隔保持杆を螺合し、パネルの外
側には型枠締付用の接続螺杆を螺合したものであ
る。又、後者は、断熱パネルに埋込んだナツトに
アンカーをねじ込み、アンカーを突出させた方に
コンクリートを打設して外壁を形成するものであ
る。

（考案が解決しようとする問題点） 断熱パネルは表面に硬質仕上板を、内側に発泡
ステロールのような軟質断熱板を貼り合せたもの
が多く使用されている。又、断熱パネルがコンク
リート躯体とねじ軸などにより一体に形成されて
いないと、火災などが発生した際に断熱パネルの
軟質断熱板が溶けてしまい、このため建物表面の
硬質仕上板が落下するといつた危険があつた。

従来技術のうち前者は、コンクリートを打設し
た後はコンクリート躯体と断熱パネルとがねじ軸
などによつて連結されていないので前記事項を満
足することができず、又、後者は断熱パネルとコ
ンクリート躯体と結合されてはいるが、公報第７
図を参照するとアンカーはパネルに埋込んだナツ
トに単にねじ込まれているだけなので、コンクリ
ート打設時にコンクリートが投入される衝撃によ
つてアンカーに無理な荷重が加わり、このためア
ンカーが傾斜して断熱パネルを損傷するといつた
技術的課題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は従来技術の問題点を解決するためにな
されたもので、ガラス繊維強化セメントのような
硬質外装板と発泡スチロールのような軟質断熱板
を貼り合せたパネルに透孔を穿設し、アンカーを
螺合するねじ筒の端部に座金を固定し、該ねじ筒
を前記透孔の軟質断熱板側から挿入して軟質断熱
板に喰込せる係合歯を設けた座金を軟質断熱板に
接合し、さらに透孔の硬質外装板から既に挿入さ
れているねじ筒に接続ねじを装着し、型枠として
使用するときに、ねじ筒にアンカーを装着して軟
質断熱板を内側にしてコンクリート型枠を組立て
るものである。

（作用） 断熱パネルの外装板とコンクリート部分がねじ
筒の両端に結合するねじ、アンカーにより一体に
形成されることの他、ねじ筒の端部に固定した座
金を断熱パネルの軟質断熱板に強固に装着したか
ら、ねじ筒に螺合したアンカーを内側に向けてコ
ンクリートの打設を行うとき、アンカーにコンク
リート投入時の衝撃が加えられてもアンカーが傾
斜するのを防止し、これにより軟質断熱板の損傷
を防止する。

（実施例） 断熱パネル１は、ガラス繊維強化セメントのよ
うな硬質外装板２と、発泡スチロールのような軟
質断熱板３とを貼り合せた複合型のパネルであつ
て、アンカーを取付けるのに必要な間隔で透孔４
を穿設し、該透孔４の硬質外装板２には座ぐり部
５が形成されている。

前記透孔４に挿入し、アンカーを装着するため
のねじ筒６には端部に円板で周縁に軸方向に向い
た鋸歯状の係合歯８，８を設けた座金７が固定さ
れている。９は硬質外装板２を介してねじ筒６に
螺合する頭付の接続ねじ、１０はねじ筒６に装着
するアンカーで、先端にフランジ１１が形成され
ている。

本考案のパネルを型枠に組立ててコンクリート
打設を行うには、まず、断熱パネル１の透孔４に
軟質断熱板３側からねじ筒６を挿入し、（第２図
Ａ，Ｂ）、座金７の係合歯８，８を軟質断熱板３
に喰込ませて座金７を固定し、硬質外装板２側か
らは接続ねじ９を挿入して既に挿入されているね
じ筒６に螺合する。そして硬質外装板２の座ぐり
部５にパテ１２を充填して表面に金属性の接続ね
じ９の頭部が露出しないようにする（第２図Ｂ）。

次いでねじ筒６にアンカー１０を螺合してアン
カーを内側にして断熱パネル１を型枠として組立
て、軟質断熱板３側にコンクリート１３を打設す
る（第２図Ｃ）。

実施例では断熱パネル１にアンカー１０を装着
してコンクリート躯体と断熱パネルの硬質外装板
２とを結合した状態のみを説明したが、当該断熱
パネル１をコンクリートの型枠として利用するの
で、図示しない何れかのねじ筒と、コンクリート
打設部を挟んで対向するもう１つのねじ筒とを連
結螺杆で連結し、硬質外装板２側のねじ筒６には
接続ねじの代りに型枠締付用螺杆をねじ込み、断
熱パネルに縦、横方向にばた材を装着し、型枠を
締付固定してコンクリート打設を行う。

又、本考案のパネルはアンカーを取付ける作業
のみを現場で行うようにし、ねじ筒ならびに接続
ねじの取付は工場出荷の際に組付けて出荷すれば
作業能率を向上させることができる。

（考案の効果） コンクリート躯体内に埋込んだアンカーは、ね
じ筒を介して硬質外装板と接続ねじで結合されて
いるから、軟質断熱板が火災などによつて溶けた
場合でも硬質外装板は落下しない効果がある。

又、コンクリート躯体内に埋込むアンカーを螺
合するねじ筒には、軟質断熱材に喰込せる係合歯
を有する座金が設けられているので、コンクリー
ト打設の際にアンカーにコンクリートが衝突して
もアンカーが傾斜することなく、さらに座金と断
熱材との間にコンクリートが侵入するのを防止す
るので、このため軟質の断熱材を損傷しない効果
もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は断熱パネルとパネルに取付ける部材の
側面図、第２図Ａ，Ｂ，Ｃは断熱パネルを型枠に
使用してコンクリート打設を行うときの作業順を
表わす説明図。 １……断熱パネル、２……硬質外装板、３……
軟質断熱板、４……透孔、５……座ぐり部、６…
…ねじ筒、７……座金、８……係合歯、９……接
続ねじ、１０……アンカー、１１……フランジ、
１２……パテ、１３……コンクリート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 硬質外装板と軟質断熱板を貼り合せた複合型断
   熱パネルに透孔を穿設し、該透孔の軟質断熱板側
   から円板の周縁に軸方向に向う鋸歯状の係合歯を
   形成した座金を有するねじ筒を挿入して軟質断熱
   板に前記座金の係合歯を喰込せてねじ筒を固定
   し、透孔の硬質外装板側からねじ筒に対して接続
   ねじを装着し、さらに前記ねじ筒に軟質断熱板か
   ら突出させたアンカーを装着し、前記軟質断熱板
   を内側にしてコンクリート打設を行うことを特徴
   とするコンクリート型枠断熱パネル。