JPH0121559Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、光の不使用時にランプの放射光を遮
光板で遮るようにした光源装置に関するものであ
る。

〔従来技術とその問題点〕

ランプの放射光は産業上において巾広く利用さ
れ、例えば、光加熱装置や紫外線硬化装置、照明
装置などがよく知られている。これらは、いずれ
にしてもランプの放射光を被照射領域に放射する
ものであるが、１回の照射時間は比較的短時間で
あり、これを短いサイクルで繰返して照射するこ
とが行われる。このとき、ランプが放電灯であれ
ば通電後に安定点灯するまでに数分間を要するた
め、短いサイクルで点灯と消灯を繰返すことは不
可能である。従つて、ミラーの前方に遮光板を配
置し、ランプは常時点灯しておいて、光の不使用
時にランプの放射光を遮光板で遮ぎり、照射する
ときに遮光板を開けることが行われる。

ところで、この遮光板は、閉じているときには
ランプの放射光を受けるので加熱されて昇温す
る。ことに最近は、ランプの大容量化や装置の小
型化のために遮光板の昇温が著しく、例えば電気
入力が単位アーク長あたり160W／cmの大容量の
水銀灯の前面にアルミニウム製の遮光板を配置し
て使用した場合に、遮光板の温度は450℃以上と
なり、遮光板が酸化されるとともに著しく変形
し、再使用が不可能な損傷を受ける。遮光板が変
形して損傷すると遮光能力が低下して漏光し、紫
外線硬化用光源装置の場合などは安全上も問題と
なる。

このため、遮光板の冷却が必要となるが、冷却
風を遮光板に当てる風冷方式は構造が簡単ではあ
るが、冷却能力が十分ではなく、一方、遮光板に
水路を設けて冷却水を循環させる水冷方式は、冷
却能力は大きいが、左右に移動する遮光板に冷却
水を循環させるために構造が非常に複雑となる問
題点がある。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、これらの事情にかんがみてな
されたものであり、簡単な構造で遮光板の冷却能
力が大きく、遮光板の昇温に伴う問題点を解消で
きる光源装置を提供することを目的とするもので
ある。

〔考案の構成〕

本考案の構成は、ランプと、このランプの放射
光を所定の被照射領域に指向させるミラーと、光
の不使用時にミラーからの反射光を遮る遮光板
と、この遮光板の放熱部を冷却する冷却手段と、
遮光板を開閉する駆動手段とを備え、該遮光板に
密閉空間を形成してこれに液体の伝熱媒体を封入
し、この遮光板を水平面に対して傾斜して配置す
るか、一端を上方に屈曲するなどしてその上端部
を放熱部としたことを特徴とする。

また、遮光板の放熱部に放熱フインを付加形成
すると冷却能力を更に向上することができる。

〔実施例〕

以下に図面に示す実施例に基いて本考案を具体
的に説明する。

第１図は半導体ウエハー表面のレジストハード
ニングに使用される光源装置の断面図を示すが、
試料室筐体１１の上方に光源部筐体１２が連設さ
れ、両者の間に石英ガラス製の照射窓１３が形成
されている。光源部筐体１２内に高圧水銀灯の光
源ランプ２が配置され、その背部にはランプ２を
取り囲むようにミラー３が配置され、ランプ２の
放射光はミラー３で反射し、照射窓１３を通つ
て、試料台１４に載置された半導体ウエハーＷに
照射される。ランプ２の前方４〜５cmの位置に２
枚引戸式の遮光板４，４が配置され、この遮光板
４は、第２図に示すように、エンドレスワイヤー
からなる駆動手段５に連結され、ワイヤーが移動
することにより、開閉する。そして、遮光板４が
閉じたときはランプ２の放射光はこれによつて遮
ぎられ、半導体ウエハーＷには到達しない。

この遮光板４は２枚の薄いアルミニウム板を貼
り合せたものであるが、その間に一本の扁平な通
路である密閉空間４１が蛇行状に形成されてい
る。この密閉空間４１内は減圧されているが、こ
の内部に水やフロン液の伝熱媒体Ｌが幾分空間を
残して封入されている。伝熱媒体Ｌは水やフロン
液に限られないが、蒸発潜熱の大きな液体が好ま
しい。

遮光板４は外側の端部が上方に屈曲されてお
り、水平部分がランプ２の放射光を受けてこれを
遮る集熱部４２であり、屈曲された上方部分が放
熱部４３として機能する。そして、放熱部４３に
は放熱フイン４４が付加形成され、この部分に冷
却フアン６によつて冷却風が送風される。

なお、遮光板４は必ずしも一端を上方に屈曲す
る必要がなく、平板状の遮光板４を、第５図に示
すように、水平面に対して所定の角度θだけ傾斜
して配置してもよい。このとき、下方の光を遮る
部分が集熱部４２であつて、上方が放熱部４３と
して機能するが、要するに、密閉空間４１に高低
が生じるようにすればよく、この高い部分が放熱
部４３として機能する。

しかして、ランプ２を点灯し、遮光板４を開く
と放射光は半導体ウエハーＷに照射され、ハード
ニング処理が行れ、処理が完了すると遮光板４が
閉じる。遮光板４が閉じると、集熱部４２にラン
プ２の放射光が照射されて昇温し、内部の伝熱媒
体Ｌも昇温する。そして、昇温によつて密度が低
下するため、高温になつた伝熱媒体Ｌは放熱部４
３の方向に対流して移動し、放熱部４３内の空間
で蒸発する。このとき、放熱部４３は冷却されて
いるので、蒸発した伝熱媒体Ｌは大量の潜熱を放
出して再び液化し、集熱部４２の方向に対流す
る。この様に、伝熱媒体Ｌは集熱部４２と放熱部
４２との間で対流し、放熱部４２内で気化と液化
を繰返すので、密閉空間４１がヒートパイプと同
じ役目をし、集熱部４２の熱が放熱部４３に移動
してそこで放熱する。従つて、冷却効果が大き
く、遮光板４が過度に昇温して酸化したり歪んだ
りすることがなく、遮光板４の寿命が長くなり、
漏光の問題も解消される。

なお、本実施例では半導体のハードニング処理
を例にあげて説明したが、これに限られるもので
はなく、遮光板を内蔵するあらゆる光源装置に適
用できることは明らかである。

〔考案の効果〕

以上説明した様に、本考案は、遮光板に密閉空
間を形成してこれに液体の伝熱媒体を封入し、こ
の密閉空間に高低差を設けて高い部分を放熱部と
し、この放熱部を冷却するようにしたので、密閉
空間がヒートパイプとして機能し、ランプの光を
遮る集熱部の熱が放熱部に移動してそこで放散さ
れるので冷却効果が著しく大きい。そして、従来
の水冷方式の様に、冷却水を移動する遮光板に強
制循環しないので構造も非常に簡単になる。従つ
て、簡単な構造で遮光板の冷却能力が大きく、遮
光板の昇温に伴う問題点を解消できる光源装置と
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面図、第２図は遮光
板の斜視図、第３図と第４図は同じく断面図、第
５図は他の実施例の断面図である。 ２……ランプ、３……ミラー、４……遮光板、
４１……密閉空間、４２……集熱部、４３……放
熱部、４４……放熱フイン、５……駆動手段、６
……冷却フアン、Ｌ……伝熱媒体、Ｗ……半導体
ウエハー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ランプと、このランプの放射光を所定の被照
   射領域に指向させるミラーと、光の不使用時に
   ミラーからの反射光を遮る遮光板と、この遮光
   板の放熱部を冷却する冷却手段と、遮光板を開
   放する駆動手段とを備え、 該遮光板に密閉空間を形成してこれに液体の
   伝熱媒体を封入し、この遮光板を水平面に対し
   て傾斜して配置するか、一端を上方に屈曲する
   などしてその上端部を放熱部としたことを特徴
   とする光源装置。 ２ 前記放熱部に放熱フインを付加したことを特
   徴とする実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   光源装置。