JPH08211353A - 画像表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表示画像の解像度が高く、画質の低下を防止
する画像表示装置を提供する。 【構成】 冷媒槽１２は液晶パネル１１の上面側を覆う
部分が平坦で、フィン１５の設置されている両側が液晶
パネル１１に対して盛り上がった凹状に形成されてい
る。冷媒２０は冷媒槽１２によって封入され、液晶パネ
ル１１の上面に直接接している。冷媒槽１２に封入され
ている冷媒層の厚さは、光透過部１３、つまり液晶パネ
ル１１を覆う領域では薄く、フィン１５近傍の対流循環
部１４では厚くなっている。このため、液晶パネル１１
の中央付近で液晶パネル１１の熱を吸収した冷媒２０が
対流循環部１４で冷媒流れを妨げることなくフィン１５
に熱を伝達するので、液晶パネル１１の冷却効率が高
い。また、液晶パネル１１を覆う冷媒槽の厚みが薄いの
で、投影画像の解像度が高くなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、画像表示装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、画像表示装置として、例えば
透過型液晶パネルに光源から照射された光を透過させる
ことによりスクリーン上に画像表示を行っている画像投
影装置がある。このような画像表示装置では、スクリー
ン投影照度を向上させるために高輝度な光源を用いる
と、光源からの発熱や光源から照射する光線に含まれる
赤外線等により液晶パネルが加熱され、液晶パネルの温
度が上昇することにより液晶の特性劣化が生じ、画像の
コントラストが低下するという問題がある。このような
熱による画質低下の問題は、液晶パネルだけに限らず、
ＣＲＴ、プラズマディスプレイ等を用いた画像表示装置
についても言及できる。

【０００３】このような問題を解決するため、特公平６
−５８４７４号公報に開示されている画像表示装置が知
られている。このものでは、プロジェクタなどほぼ垂直
に液晶パネルが設置されている表示装置において、冷媒
を封入した冷却器を液晶パネルに密着させている。液晶
パネルの熱を吸収し、自然対流により上昇した冷媒は熱
をフィンに伝達し、このフィンから熱を放出することに
より液晶パネルの温度上昇が防止される。吸熱されて冷
却された冷媒は、上昇してくる冷媒流れを妨げないよう
に冷却器内の上部で左右に別れてから下降する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
６−５８４７４号公報に開示されている表示装置の冷却
方法は、液晶パネルを垂直に近い状態で用いる表示装置
に適したものであり、図４に示すオーバヘッドプロジェ
クタ（以下、「ＯＨＰ」という）１００のように、液晶
パネル１１０が水平に設置される表示装置には適さな
い。次に、特公平６−５８４７４号公報に開示されてい
る冷却方法を図４に示す表示装置の構成に採用すること
が適さない理由について述べる。

【０００５】図４に示す表示装置は、光源１０１．ａか
ら照射され、またリフレクター１０１．ｂにより反射さ
れた光線を集光レンズ１０２で絞り、さらに集光レンズ
１０３で絞り込んで液晶パネル１１０に照射している。
液晶パネル１１０を透過した光線は、冷媒１１４、光透
過性の冷媒槽１１１を通過して、図示しないスクリーン
に画像を投影する。液晶パネル１１０は照射される光線
の赤外線等により加熱されるが、冷媒槽１１１により封
入された冷媒１１４の自然対流により液晶パネル１１０
の熱がフィン１１２に伝達される。フィン１１２に伝達
された熱はファン１１３により強制的に大気中に放出さ
れている。

【０００６】ここで、冷媒槽１１１により封入されてい
る冷媒１１４の自然対流による熱伝達を良好に促進させ
るため、封入された冷媒１１４が形成する層にはある程
度の厚みが必要である。しかし、冷媒層の厚みを増すと
冷媒１１４に斜めに入射する液晶パネル周辺部の収差が
大きくなるため、投影像の解像度が低下してしまう。一
方、投影像の解像度を向上させるために冷媒層の厚みを
薄くすると自然対流の循環が損なわれるため、液晶パネ
ルからフィンへの熱伝達が低下し、液晶パネルの冷却効
果が減少する。すると、液晶の特性劣化が生じ、コント
ラストが低下してしまうという問題がある。

【０００７】本発明はこのような問題を解決するために
なされたものであり、表示画像の解像度が高く、画質の
低下を防止する画像表示装置を提供することを目的とす
る。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の請求項１記載の画像表示装置は、ほぼ水平に
設置された画像表示部と、前記画像表示部の上面側また
は下面側に前記画像表示部を覆うように設置され、冷媒
を封入する光透過部を有する冷媒槽と、前記冷媒槽周囲
に設置され、前記冷媒槽により封入された冷媒の熱を放
出する放熱手段とを備える画像表示装置であって、前記
冷媒槽により封入された冷媒層の厚さは、前記画像表示
部領域は薄く、前記放熱手段近傍は厚くなるように前記
冷媒槽が形成されていることを特徴とする。

【０００９】本発明の請求項２記載の画像表示装置は、
請求項１記載の画像表示装置において、前記冷媒槽は、
凹状または逆凹状に形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項３記載の画像表示装置は、請求項１また
は２記載の画像表示装置において、前記画像表示部は液
晶表示パネルであること特徴とする。

【００１０】

【作用および発明の効果】本発明の請求項１項記載の画
像表示装置よると、ほぼ水平に設置された画像表示部の
上面側または下面側に冷媒槽によって冷媒が封入され、
この冷媒層の厚みを画像表示部領域は薄く、放熱手段近
傍は厚くなるように冷媒槽を形成することにより、画像
の解像度を損なうことなく画質の低下を防止することが
できる。

【００１１】本発明の請求項２項記載の画像表示装置よ
ると、画像表示部で加熱された冷媒が、凹状に形成され
た冷媒槽の両端部で上昇後、放熱手段により冷却されて
下降することにより、対流による冷媒流れが冷媒槽の形
状に案内されて良好に循環する。本発明の請求項３項記
載の画像表示装置よると、熱により特性劣化を生じやす
い液晶パネルを本発明の画像表示装置の構成により良好
に冷却できるので、特に効果的である。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説
明する。 （第１実施例）本発明の第１実施例による画像表示装置
を図１に示す。画像表示装置１０は例えばＯＨＰ用とし
て用いられるものであり、画像表示部は水平に設置され
た光透過型の矩形の液晶パネル１１で構成されている。
液晶パネル１１の下方の光源から照射された光線が、液
晶パネル１１、冷媒２０、冷媒槽の光透過部１３を通過
し、図示しないスクリーン上に液晶パネル１１の画像を
投影する。冷媒２０は純水が使用され、液晶パネル１１
の上面側に冷媒槽１２により封入されている。冷媒２０
は直接液晶パネル１１の上面に接している。通常、液晶
パネル１１はガラス等により表面を覆われているため、
冷媒２０が直接液晶パネル１１に接しても液晶パネル１
１が破損することはない。冷媒槽１２の両側にはアルミ
で形成された板状のフィン１５が冷媒槽と直接接触して
設置されている。

【００１３】冷媒槽１２は光透過部１３および対流循環
部１４からなり、液晶パネル１１を覆う部分が平坦で、
後述するフィン１５の設置されている両側が液晶パネル
１１に対して盛り上がった凹状に形成されている。図１
に示すａで囲まれた光透過部１３は透明なアクリルで形
成され、その両側に形成された対流循環部１４は、アク
リルで光透過部１３と一体成形してもよいし、金属で成
形してもよい。対流循環部１４は、液晶パネル１１の上
側で光透過部１２と連結し、外周に向けて斜め上方に斜
面を形成する案内部１４ａと、液晶パネル１１と接合す
る接合部１４ｂとからなる。冷媒槽１２に封入されてい
る冷媒層の厚さは、光透過部１３、つまり液晶パネル１
１を覆う領域では薄く、フィン１５近傍の対流循環部１
４では厚くなっている。フィン１５の一方の側にファン
１６が設置されており、液晶パネル１１に送風してい
る。ファンガイド１７は、ファン１６から送られる風を
両側のフィン１５に案内するものである。

【００１４】次に、画像表示装置１０の冷却作動につい
て説明する。 (1) 図示しない光源が発生する熱や光源から照射される
光線に含まれる赤外線等により液晶パネル１１が加熱さ
れると、液晶パネル１１に接している冷媒２０が液晶パ
ネル１１の熱を吸収して加熱されることにより自然対流
が生じ、図１の（Ｂ）に示すように、液晶パネル１１の
中央付近で冷媒２０が上昇する。

【００１５】(2) 上昇した冷媒２０は冷却部であるフィ
ン１５に向けて光透過部１３の内壁に沿って流れるた
め、矢印３０で示したように、液晶パネル１１の中心部
からフィン１５に向けて冷媒２０の自然対流が生じる。 (3) フィン１５に向けて対流してきた温度の高い冷媒２
０は、対流循環部１４の内壁斜面に案内されて上昇し、
フィン１５により熱を奪われて冷却される。吸熱された
冷媒２０は対流循環部１４の上方から鉛直下向きに下降
するので、冷媒２０の滑らかな循環が促進される。フィ
ン１５に伝達された熱はファン１６により大気中に放出
される。冷媒槽１２の両側に設置されたフィン１５は、
ファンガイド１７に案内されて送られるファン１６の風
により常に冷却されている。

【００１６】(4) 対流循環部１４で下降した冷却された
冷媒２０は、液晶パネル１１の上面に沿って液晶パネル
１１の熱を吸収しながら液晶パネル１１の中央部に向か
う。上記(1) 〜(4) の過程を繰り返すことにより、液晶
パネル１１に常に冷却された冷媒２０が接触することに
なるため、液晶パネル１１は良好に冷却されるので、液
晶パネル１１の温度上昇を低下させ、液晶の特性劣化を
防止できる。

【００１７】次に、本実施例と図４に示す従来の画像表
示装置において、液晶パネル部における冷媒層の厚さと
液晶パネルの発熱温度比を比較した結果を図２に示す。
環境温度は３５℃に設定し、フィンの放熱面積および液
晶パネルの大きさは、本実施例と従来例とで同じにして
測定している。液晶パネル発熱温度比は、冷媒層の厚さ
が１０mmである従来例の液晶パネルの発熱温度に対する
温度比を表す。つまり、発熱温度比が１より小さければ
液晶パネルの温度が低いということである。

【００１８】図２に示す結果より、冷媒層の厚さが同じ
ものでは、本実施例の方が液晶パネルの発熱温度が低
く、冷却性能が２０％向上している。また、同程度の発
熱温度を実現する冷媒層の厚さは本実施例のほうが浅く
なるということが判った。つまり、図４に示す従来例に
比べ、本実施例の画像表示装置は冷却性に優れ、投影解
像度が高くなることが判った。

【００１９】第１実施例では、ファン１６を設置して冷
却効果を向上させたが、本発明ではフィンの放熱面積を
増加することにより、ファンを使用しなくても所望の冷
却効果を得ることができる。また本発明では、クロスフ
ローファンに代えて、軸流ファン、シロッコファン等を
用いてもよい。 （第２実施例）本発明の第２実施例を図３に示す。

【００２０】画像表示装置２０の冷媒槽２１は、光透過
部２２および対流循環部２３とからなり、対流循環部２
３の角部２３ａ、２３ｂ、２３ｃは曲面状に形成され、
液晶パネル１１との接続部２３ｄはテーパ状に形成され
ている。これにより、自然対流する冷媒２０の循環がさ
らに滑らかになるので、液晶パネル１１の冷却効果が向
上する。

【００２１】また、フィン２４は板状フィンであり、空
気中に設置されている放熱用の外側フィン２４ａだけで
なく冷媒中にも吸熱用の内側フィン２４ｂが設置されて
いるので、対流循環部２３に流れてきた冷媒２０の温度
をより効果的に大気中に放出することができる。内側フ
ィン２４ｂは、冷媒２０の自然対流を妨げないように自
然対流と同じ向きに板状のフィンを形成することが望ま
しい。

【００２２】以上の実施例では、ＯＨＰに本発明を適用
した実施例について説明したが、本発明では、ＯＨＰに
限らず液晶パネルが水平に設置されるものであれば、ど
のような画像表示装置に本発明を適用してもよい。ま
た、画像表示部が完全に水平でなく僅かに傾斜していて
もほぼ水平に設置されていると認められれば、本発明の
冷却効果を得ることができる。

【００２３】また本実施例では、画像表示部として液晶
パネルを用い、この液晶パネルに光を透過させて画像を
投影したが、本発明では、画像表示部にＣＲＴ、プラズ
マディスプレイ等を用い、画像表示部を直接目視する表
示装置としてもよい。ただし、本実施例のように、熱に
より特性劣化し易い液晶パネルに本発明を適用するとさ
らに効果的である。

【００２４】さらにまた本実施例では、冷媒槽の光透過
部をアクリルで成形したが、本発明では、光透過性があ
り、ある程度の耐熱性があればどの様な材質を用いるこ
とも可能であり、ガラスで光透過部を成形することもも
ちろん可能である。また本実施例では、液晶パネルの上
面側に画像表示部を覆う冷媒槽を設置したが、本発明で
は、画像表示部である液晶パネルの下面側に液晶パネル
を覆う冷媒槽を設置し、液晶パネルの下面を冷却する構
成にしてもよい。

【００２５】さらにまた本実施例では、液晶パネルに直
接冷媒が接触する構成であるが、本発明では、密閉タイ
プの冷媒槽に冷媒を封入し、冷媒槽を液晶パネルに密着
させて画像表示部である液晶パネルを冷却することも可
能である。さらにまた本実施例では、フィンに板状フィ
ンを用いたが、本発明では、コルゲートルーバーフィン
を用いてもよい。また本実施例では、冷媒として純水を
用いたが、本発明では、水道水、エチレングレコール
（ＬＬＣ）、シリコンオイルまたはフロリナート等を用
いてもよいし、冷媒に防腐剤を添加してもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例による画像表示装置を示す
図であり、（Ａ）は平面図であり、（Ｂ）は（Ａ）のＩ
−Ｉ線断面図である。

【図２】冷媒層の厚さと液晶パネルの発熱温度比との関
係を示す特性図である。

【図３】本発明の第２実施例による画像表示装置を示す
断面図である。

【図４】従来の画像表示装置を示す模式図である。

【符号の説明】

１０ 画像表示装置 １１ 液晶パネル（画像表示部） １２ 冷媒槽 １５ フィン（放熱手段） １６ ファン（放熱手段） ２０ 冷媒

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ほぼ水平に設置された画像表示部と、 前記画像表示部の上面側または下面側に前記画像表示部
   を覆うように設置され、冷媒を封入する光透過部を有す
   る冷媒槽と、 前記冷媒槽周囲に設置され、前記冷媒槽により封入され
   た冷媒の熱を放出する放熱手段とを備える画像表示装置
   であって、 前記冷媒槽により封入された冷媒層の厚さは、前記画像
   表示部領域は薄く、前記放熱手段近傍は厚くなるように
   前記冷媒槽が形成されていることを特徴とする画像表示
   装置。
2. 【請求項２】 前記冷媒槽は、凹状または逆凹状に形成
   されていることを特徴とする請求項１記載の画像表示装
   置。
3. 【請求項３】 前記画像表示部は液晶表示パネルである
   こと特徴とする請求項１または２記載の画像表示装置。