JPH0120371Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエレベータのカゴ内においてその制御
指令を音声で行なうことのできる装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

一般に、乗客を収容して上昇下降する乗客用エ
レベータは、自動運転のモードに於いては、乗客
がカゴ内に乗つてから先行階の指示ボタンを押し
たり触れたりすることにより、行先階の指令が駆
動源の制御部に供給されるようになつている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、最近になつていわゆる超高層の建物が
多くなり、又、このような建物では一台で相当多
くの乗客の運搬能力を持つエレベータが設置され
るようになつてきたため、多くの先乗員が乗込ん
でいるエレベータのカゴ内では行先指示ボタンが
押しにくいし、又、すでに指示されている階が確
認しにくいということは、日常的によく経験する
ところである。

又、このようなエレベータでは、建物が高層で
あるため、自分の行先階の指示ボタンを、カゴ内
に配設された操作盤面上で直ちには捜し出しにく
いという難点もある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記のような従来の難点に鑑み、エレ
ベータ内での行先階の指示を音声により行うこと
ができ、又、その指示が受入れられたことを適宜
手段を以つて表示することができるようにしたエ
レベータのカゴ内における制御指令装置を提供す
ることを目的としてなされたもので、その構成
は、エレベータカゴ内の壁、天井を含む複数個所
に設けられたマイクロホンのような複数の音声検
出器であつて、該エレベータの入口付近に配設さ
れた物体検出器により検出された乗込者をテレビ
カメラで促え、その映像信号を処理して前記乗込
者を連続的に監視するようにプログラムされたマ
イクロコンピユータにより選択的に導通される前
記複数の音声検出器と、該音声検出器により検出
された音声信号の中から行先階を表わす数字音声
のみを選択的に予め定められたパターン信号に形
成する数字パターン形成部と、予め各停止階を表
わすパターン信号が形成され記憶されている数字
パターン記憶部と、該数字パターン記憶部と前記
数字パターン形成部とのパターン信号を比較する
と共に両者が一致しているときにのみ前記数字パ
ターン記憶部における当該数字のパターン信号或
はそれに対応する信号を出力する比較部と、該比
較部からの信号により停止階を表わす信号を形成
する停止階信号形成部と、該停止階信号形成部か
らの信号を逐次入力してこれを停止順に並べかえ
て記憶し、該記憶した信号をエレベータの昇降駆
動源の制御部へ逐次供給する停止階指令部と、該
停止階指令部からの前記信号によつて未だ停止し
ていない階を表わす信号を形成する残り信号形成
部と、該残り信号形成部の出力する信号により該
当する停止階に関する案内、表示のための出力を
する表示案内部と、前記マイクロコンピユータの
出力により選択されると共に、前記表示案内部の
出力により作動されるカゴに設けた複数のスピー
カや表示灯による表示部とからなることを特徴と
するものである。

〔実施例〕

次に本考案の実施例を図に拠り説明する。

１はエレベータカゴ内の側壁等複数の個所に設
けた無指向性のマイクロホン、２はエレベータの
カゴに乗込んでくる乗客のみを検出するセンサ
で、前記マイクロホン１はカゴに乗り込んだ乗客
が発声する行先階の音声を音声信号で取出すため
の音声検出器として作用するものであり、前記セ
ンサ２が乗込んでくる乗客を検出した場合にのみ
複数のもののうちいくつかが選択的に導通され適
宜時間経過後に切断されるようにセンサ２に関連
付けられている。尚、音声検出器は音声のように
空中を伝播する信号を遠隔的に検知するものであ
れば足りる。

而して、前記センサ２の構造としては種々ある
が、例えば第２図に示したように、エレベータ
（カゴ）の出入口において相前後して設けた光や
超音波、熱等を利用した物体検出器２ａ，２ｂ
を、外部に近いもの２ａと内部に近いもの２ｂと
の間において、２ａ，２ｂの順に検出作動したと
きのみ出力を発生するよう電気的に接続すると共
に、エレベータ（カゴ）の出入口に焦点を合せて
乗込んで来た者のカゴ内の移動に追従するテレビ
カメラを設け、該テレビカメラを、その映像信号
の中で出入口から内部に向つて動く物体、即ち乗
込んでくる乗客のみを連続的に監視するようにプ
ログラムされたマイクロコンピユータ（共に図示
せず）により制御するように形成されてなるもの
である。

３は前記の選択されたマイクロホン１を経由し
た音声信号の中から行先階を表わす数字音声を識
別摘出すると共に、予め定めておいた適宜種類の
数字音声パターンに形成する数字パターン形成
部、４は予め前記数字パターン形成部３が形成す
るパターンに対応すると共に当該エレベータの運
行範囲内における各停止階を表わす数字パターン
を形成し且つ記憶する数字パターン記憶部、５は
前記数字パターン形成部３の出力する数字音声パ
ターンと数字パターン記憶部４の出力する数字パ
ターンとを比較するための、電気的にパターン化
された信号同士を比較演算する能力を具えた比較
部で、これら各回路部３，４，５は、前記数字音
声パターンと前記数字パターンとを比較部５にお
いて比較し、それらが一致している場合にのみ当
該数字パターンを出力するか、或は、それに対応
する信号を出力するように接続されている。

尚、上記回路構成は、人間の発する音声にはそ
れぞれ固有の周波数パターンがあり、これは数字
音声についてもあてはまることであるから、人間
の音声を検出すると共に、必要に応じて適宜のフ
イルターを通過させ、これを予め形成しておいた
前記固有のパターンと比較すれば、音声全体から
数字音声のみを識別し且つ該数字の種類を認識す
ることができるという原理に基くものである。

６は前記比較部５の出力する信号により当該エ
レベータの停止階を表わす停止階信号を形成する
停止階信号形成部、７はエレベータの昇降駆動源
Ｍの制御部８に制御信号を送る停止階指令部で、
該停止階指令部７は前記停止階信号形成部６の出
力する停止階信号を入力して停止順に並べかえて
記憶すると共に、該記憶した停止階信号を停止順
に逐次出力したり制御部８からの上下信号８ａに
より上昇下降を決定する機能とを具えていて、従
つて押しボタンスイツチ９及び指令信号形成部１
０からなる指令回路を配設してその出力を、適宜
の論理回路１１を介して供給すれば、従前のエレ
ベータと同様に手動でこれを制御することもでき
るようになつており、又、この停止階指令部７は
後述する残り信号形成のため、前記記憶した信号
の全てを、停止階順の出力に連動して出力するよ
うになつている。

１２は前記停止階指令部７の出力する停止階信
号を受け、未だ停止していない階を表わす残り信
号を形成記憶する残り信号形成部、１３は該残り
信号形成部１２の出力する残り信号によつて該当
する停止階に関する案内や表示のための信号を出
力する表示出力部で、前記残り信号形成部１２の
構成としては、例えば停止階指令部７から停止階
信号が入力されるたびにその内容をクリアして新
たな停止階信号を残り信号として記憶し出力する
回路や、新旧の停止階信号同士を論理積に処理
し、これを記憶出力する回路等があり、又、表示
出力部１３には前記残り信号の内容に応じ、カゴ
内に配設した停止階表示灯１４を点灯したり、同
じくカゴ内に配設した複数のスピーカ１５により
音声を用いて案内するようにした回路を採用すれ
ばよい。

又、１６は前記残り信号形成部１２や停止階信
号形成部６等の出力と前記表示出力部１３との間
に挿入した論理回路で、現在の階数を表示した
り、すでに指示され記憶されているものと同一の
行先階が指示された場合でも、例えば前記スピー
カー１５により案内する等して当該階に停止する
ことを知らせるためのものであり、以上１乃至１
６により本考案制御指令装置の一例を構成する。

而して、上記構成の本考案装置は次のようにし
てエレベータを制御指令する。

まず、乗客が外部から当該エレベータのカゴ内
に乗り込んでくると、その動きはセンサ２，２
ａ，２ｂやカメラにより検出され、該センサ２の
出力によりバケツト内の側壁等複数の個所に設け
た複数のマイクロホン１が選択されて適宜時間導
通し、乗り込んできた乗客が行先階を発声し指示
するのを待つことになる。

次いで、乗客が行先階を発声すると、前記マイ
クロホン１がその音声を音声信号として検出する
と共に数字パターン形成部３に入力し、該数字パ
ターン形成部３は入力された音声信号から希望す
る行先階を表わす数字音声のみを識別摘出し、且
つ該数字音声を予め定めておいた適宜種類の数字
音声パターンに形成して比較部５に出力し、該比
較部５は該数字音声パターンと、予め数字パター
ン記憶部４に形成しておいた数字パターンとを比
較し、両者が一致した場合にのみ当該数字パター
ンか或はそれに対応する信号を停止階信号形成部
６に出力し、該停止階信号形成部６は当該エレベ
ータの停止階を表わす停止階信号を形成して停止
階指令部７に出力する。

停止階指令部７においては、上記停止階信号若
しくは押しボタンスイツチ９及び指令信号形成部
１０により形成された指示信号の少くとも一方が
入力されると、それらを停止順に並べかえて記憶
すると共に、エレベータが運行を始めると、前記
停止階信号のうち次の停止階を表わすものを逐次
制御部８に出力し、該制御部８はその停止階信号
に従つてエレベータの駆動源Ｍを制御することに
なるので、結局本考案を採用したエレベータは、
マイクロホン１が検出した音声中の数字に従つて
順に停止することになる。

一方、このようにして指示された停止階は、停
止階指令部７に形成記憶された停止階信号が、制
御部８にその一部が出力されるのに連動して、全
体として残り信号形成部１２に供給され、該残り
信号形成部１２はそれを残り信号に変換し、表示
出力部１３を介して停止階表示灯１４やスピーカ
ー１５により案内するようになつているし、仮に
既に指示されている階と同一の停止階が指示され
た場合でも、論理回路１６の働きにより少くとも
選択されたスピーカーから当該階に停止する旨の
案内がされるようになつている。

〔考案の効果〕

従つて、乗客はエレベータのカゴ内に乗り込ん
だ後、希望する行先階を唯発音するだけで当該エ
レベータに該行先階を指示記憶させることがで
き、又、その行先階は停止階表示灯や選択された
スピーカにより表示されるので、行先階の指示及
びその確認をすることができる。このため、従来
のように先乗者がいて行先指示ボタンが押しにく
かつたり、すでに先乗者が指示した階の押しボタ
ンが確認しずらいということは皆無であるし、多
数の行先表示ボタンが配設された操作盤面上で希
望する行先階のものを捜し出すという煩わしさを
完全に払拭することができるものである。

特に、本考案装置では、センサ２に前述したテ
レビカメラとマイクロコンピユータを組合せたも
のを用い、該センサが検出した乗客の位置に最も
近いマイクロホン１を導通するように関連付け、
また、スピーカ１５もその指向性を選択したり、
或は、作動すべきスピーカを乗込んで来た者に近
いものを作動するようにするので、先乗者の会話
等があつてもそれを遮断し後から乗り込んできた
乗客の指示に対する選択性を増すことができると
共に、後から乗込んだ者に停止階に関する案内の
聞きもらし等を防止することができるという特有
の効果をもたらすのである。

本考案は以上の通りであるからエレベータのカ
ゴ内での制御指令装置として極めて実用性が高
い。

【図面の簡単な説明】

第１図を本考案の一例の回路図、第２図は本考
案の一例を採用したエレベータの平面図である。 １……マイクロホン、２……センサ、３……数
字パターン形成部、４……数字パターン記憶部、
５……比較部、６……停止階信号形成部、７……
停止階指令部、８……制御部、１２……停止階信
号処理部、１３……停止階表示出力部、１４……
停止階表示灯、１５……スピーカ、Ｍ……駆動
源。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エレベータカゴ内の壁、天井を含む複数個所に
   設けられたマイクロホンのような複数の音声検出
   器であつて、該エレベータの入口付近に配設され
   た物体検出器により検出された乗込者をテレビカ
   メラで促え、その映像信号を処理して前記乗込者
   を連続的に監視するようにプログラムされたマイ
   クロコンピユータにより選択的に導通される前記
   複数の音声検出器と、該音声検出器により検出さ
   れた音声信号の中から行先階を表わす数字音声の
   みを選択的に予め定められたパターン信号に形成
   する数字パターン形成部と、予め各停止階を表わ
   すパターン信号が形成され記憶されている数字パ
   ターン記憶部と、該数字パターン記憶部と前記数
   字パターン形成部とのパターン信号を比較すると
   共に両者が一致しているときにのみ前記数字パタ
   ーン記憶部における当該数字のパターン信号或は
   それに対応する信号を出力する比較部と、該比較
   部からの信号により停止階を表わす信号を形成す
   る停止階信号形成部と、該停止階信号形成部から
   の信号を逐次入力してこれを停止順に並べかえて
   記憶し、該記憶した信号をエレベータの昇降駆動
   源の制御部へ逐次供給する停止階指令部と、該停
   止階指令部からの前記信号によつて未だ停止して
   いない階を表わす信号を形成する残り信号形成部
   と、該残り信号形成部の出力する信号により該当
   する停止階に関する案内、表示のための出力をす
   る表示案内部と、前記マイクロコンピユータの出
   力により選択されると共に、前記表示案内部の出
   力により作動されるカゴに設けた複数のスピーカ
   や表示灯による表示部とからなることを特徴とす
   るエレベータのカゴ内における制御指令装置。