JPH0119234Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、銀行カード、定期券、預金通帳等に
用いられる磁気記録媒体の磁気層の色を完全に隠
蔽し、磁気層上に所望の着色を行い、デザインを
付することができる着色磁気記録媒体に関する。

磁気カード等の磁気記録媒体に関しては茶褐色
の磁気層を穏蔽するための考案が種々案出される
に至つている。

これは第１に、磁気層をこれ以外の部分と略同
色とすることにより美感を向上させるためであ
り、特に近年デジタル磁気記録が出来る銀行カー
ドや預金通張、さらにはPOSカード、クレジツ
トカード等の磁気記録媒体が増加し、これらの磁
気層の部分を着色して、磁気層の存在によりデザ
イン的制限を受けることを排除して、デザインを
多様化し企業イメージを高めんとするためであ
り、又第２には、磁気層を着色層で隠蔽し改ざん
を困難にすることにより、不正使用を防止するた
めである。

かかる磁気層を隠蔽するための従来の公知技術
としては、たとえば特開昭53−118104号の発明の
ように単一金属の非磁性金属による蒸着膜層を設
けたものや、特開昭55−12512号の発明のように
同じく単一金属の非磁性金属酸化物による蒸着膜
層を設けたもの、または特開昭56−54634号の発
明のように着色層と磁気層との間にCr層を設け
たもの、あるいは磁性金属合金等の蒸着膜層によ
り磁気層を隠蔽し、さらに上記各蒸着膜層表面上
に着色層を形成するものなどが知られる。

しかしながら磁気カード類をはじめとした各種
の磁気記録媒体は上衣の内ポケツト内に入れて携
行される等その使用環境を考慮すると体温、発汗
水分等による高湿度の影響をうけ、あるいは各種
暖房設備等による環境温度の高低による繰り返し
により想像以上の苛酷な条件下において使用され
るために、上記した特開昭53−118104号の発明の
ようにAl，Mg，Zn等のほか、とりわけSnのよ
うな酸化によつて変色のおこりにくい金属、ある
いは特開昭56−54634号の発明のように比較的耐
腐蝕性に優れ、しかも隠蔽作用が比較的高いとさ
れるCrを用いて蒸着膜層を形成したとしても長
期の使用により高湿度雰囲気下で磁気層を形成す
る酸化鉄と反応を生じ、次第に金属薄膜層が腐蝕
して黒ずんでくるのを避けられない。

また上記のCrを用いる場合においてはその層
厚を少なくとも1000Å以上としないと低反射率の
ためにCr層特有の黒光りが優先し、白色系の好
ましい金属発色が得られない。

これは単一金属による蒸着膜層の機能上におけ
る限界をあらわすものである。また特開昭55−
12512号の発明のように非磁性金属酸化物を利用
した場合、例えばAl₂O₃やTiO₂等の非磁性酸化物
を薄膜層として利用した場合にはその薄膜形成の
方法がスパツタ、イオンプレート等の特殊な方法
のみに限られ、これに伴う設備費用が高価であ
り、さらにはラインスピードが遅くコスト高にな
つてしまうという欠点を有する（金属酸化物は、
蒸着法を用いることができない）。

又磁性金属を薄膜層として利用した場合におい
ては、実際には下層の酸化鉄からなる磁性層の記
録特性を変えてしまうため性能を変化せしめると
いう欠点がある。

しかして本考案にいては、前記諸欠点を有する
従来技術に代るものとして案出されたものであ
り、製造に際しては蒸着、スパツタ、イオンプレ
ート、メツキ等、如何なる方法によつても行い
得、したがつて低コストにて生産し得るととも
に、製品自体に関しても耐蝕性を低下させたり、
隠蔽層の層厚化に伴う磁性層の記録特性あるいは
出力特性の劣化等の品質を低下を伴うことなく、
磁気層を隠蔽し任意の色により着色することを可
能にする着色磁気記録媒体を提供することを目的
とする。

すなわち本考案は磁気層上に50〜500Åの金属
クロム層を、さらに該金属クロム層上に100〜
1000Åのアルミニウム層をそれぞれ介在させて着
色層を形成したことを特徴とする着色磁気記録媒
体に関するものであり、また必要に応じて上記金
属クロム層とアルミニウム層との間にはアンカー
剤（又はプライマー）層を介在させたものであつ
て、以下これについて図面に示した一実施例に従
つて説明する。

本実施例は磁気カードに利用した場合であり、
各々１はカード基板を、２は磁気層を示す。

３は金属クロム層であり、磁気層２上にこれを
隠蔽するために薄膜状に設けたものである。すな
わちこの金属クロム層３は、蒸着法により金属ク
ロム薄膜を50〜500Åの厚味で磁気層２上に直接
形成したものである。

４はアルミニウム層であり、前記金属クロム層
３上に設けられている。すなわちアルミニウム層
４は金属クロム層３と同様蒸着法にてアルミニウ
ム薄膜を300〜1000Åで直接形成したものであり、
これによつて金属クロム層３を形成しているクロ
ムがもつている黒色系の金属光沢がさらに隠蔽さ
れ、アルミニウム層４を形成しているアルミニウ
ムのもつている白色系の金属光沢にかわる。

５は、着色層であり、アルミニウム層４上に通
常の着色インキまたは着色顔料の含有料を増加さ
せた着色インキで１〜3μの厚味により完全に着
色することができる。

なお、金属クロム層３と、アルミニウム層４と
が、製法（例えば別々の真空系で形成する）や物
性等の相違から着合性が好ましくない場合は、両
層間にアンカー剤（又はプライマー）として塩化
ビニールー酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、エポキシ樹脂
等の樹脂の他にシランカツプリング剤、アルキル
チタネート等を0.1〜1.0μの厚さで介在させるこ
とにより、両層の着合性を向上させることができ
る。

以上のように本考案は、磁気層上に金属クロム
層を、さらに該金属クロム層上にアルミニウム層
をそれぞれ所定の厚さにて設けたものであり、蒸
着法により金属クロム薄膜を50〜500Åの厚さで
磁気層上に直接形成することにより、従来のAl、
Sn，Zn等の単一金属による蒸着膜層を形成した
場合に見られた湿気中での劣化（イオン化反応等
による劣化）が無くなり、その他の耐薬品性が向
上するのみならず、磁気層に対する密着性も又向
上する。

又磁気層とアルミニウム層は金属クロム層で隔
離されていることから、磁気層の安定性及び耐食
性は著しく向上する。

さらにクロム単体を利用した着色法では、クロ
ム層を相当厚く（1000Å以上）しないと白色系の
金属発色をせず又、同じ金属発色でもアルミやス
ズに比べると黒光かりするため着色効果が充分得
られない、という欠点があつたのに対し、本考案
においてはクロム層上にさらにアルミニウム層を
設けることから、クロム層を厚くすることなく少
量のクロム、アルミニウムにより所望の着色効果
が得られ、又従来のAl₂O₃，TiO₂，ZnO等の非磁
性金属酸化物を利用した着色法に比べ特性を劣化
させずに生産性が一段と向上し生産コストの低廉
化を図ることができる等多くの効果を奏するもの
である。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の一実施例を示す断面図。 ２…磁気層、３…金属クロム層、４…アルミニ
ウム層、５…着色層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 磁気層上に50〜500Åの金属クロム層を、さ
   らに該金属クロム層上に100〜1000Åのアルミ
   ニウム層をそれぞれ介在させて着色層を形成し
   たことを特徴とする着色磁気記録媒体。 (2) 金属クロム層とアルミニウム層との間にはア
   ンカー剤（又はプライマー）層を介在させた実
   用新案登録請求の範囲第(1)頁に記載の着色磁気
   記録媒体。