JPH0117656B2 - - Google Patents
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- JPH0117656B2 JPH0117656B2 JP56074933A JP7493381A JPH0117656B2 JP H0117656 B2 JPH0117656 B2 JP H0117656B2 JP 56074933 A JP56074933 A JP 56074933A JP 7493381 A JP7493381 A JP 7493381A JP H0117656 B2 JPH0117656 B2 JP H0117656B2
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Landscapes
- Dairy Products (AREA)
Description
本発明は液状発酵乳の製造法の改良に関するも
のである。但しここで液状発酵乳とは、乳及び乳
製品の成分規格等に関する厚生省令において定義
された発酵乳のうち、均質化された液状のものを
意味する。 一般に乳酸発酵による凝乳の均質化物から作ら
れた飲料はその物性的性状が不安定であつて、保
存中に、懸濁している微細な凝固乳蛋白質粒子が
凝集するため、ホエー分離や粘度上昇など、好ま
しくない変化を起こし易い。もつとも、液状発酵
乳の場合、ホエー分離は製品中の無脂乳固形分濃
度が高ければ起こりにくく、濃度を約12％以上に
すればほとんど起こらない。しかしながら、固形
分濃度を上げれば、当然製品の粘度も上昇し、飲
料としては好ましくない口当りのものになつてし
まう。このように液状発酵乳においては、製品の
安定性及び官能評価の二つの観点から、固形分濃
度（したがつて粘度）に関して相反する要請があ
り、いずれか一方が妥協を強いられることにな
る。普通には、外観上顕著で商品価値を下げるこ
との多いホエー分離の防止に重点を置いて無脂乳
固形分濃度を十分高くし、官能評価面からはやや
高すぎる粘度の製品としている。このため、安定
性が良く、しかも粘度が低い液状発酵乳を製造す
る方法の開発が望まれていた。 本発明は上記要望に答えることに成功したもの
で、常法による液状発酵乳の製造に当り、原料の
乳として、乳をＡ型又はＣ型のリン脂質分解酵素
で処理したものを用いることを特徴とする。 リン脂質分解酵素としてはＡ型、Ｂ型、Ｃ型及
びＤ型の４種類が知られているが、本発明におい
て使用することができるのは、Ａ型及びＣ型の２
種類に限られ、Ｂ型やＤ型で処理しても効果はな
い。但しＢ型は、Ａ型と併用するとＡ型酵素によ
る処理効果を若干高める傾向があるから、Ａ型と
一諸にならば使用することができる。 ここで上記４種類のリン脂質分解酵素につき簡
単に述べると、Ａ型はリン脂質の１位と２位のい
ずれかの脂肪酸を切断してリゾ型のリン脂質に変
換する酵素であり、Ｂ型はリゾ型のリン脂質に作
用して残る１、２位どちらかの脂肪酸を遊離させ
る酵素である。またＣ型は３位のリン酸基を切断
し、リン酸基に結合しているコリン、セリン等の
残基も同時に遊離させる酵素であり、Ｄ型は、そ
のリン酸基は切断せずに、コリン、セリン等の残
基のみを遊離させる酵素である。このような酵素
活性の相違が、なんらかの形で本発明の効果発現
の有無に関与するものと考えられる。 以下、単に「酵素」というときは本発明の製造
法において使用するＡ型又はＣ型のリン脂質分解
酵素を意味する。 本発明の製造法において、原料乳の酵素処理は
次のようにして行う。 処理する原料乳は、無脂乳固形分濃度８〜30％
（重量％、以下同じ）程度のものであれば特に濃
度調整を行う必要はない、PHも、通常の原料乳の
場合、無調整でよい。 用いる酵素の量は原料乳中のリン脂質の量等に
応じて適宜決定するが、通常好ましい酵素使用量
は無脂乳固形分８％の乳１Kg当り25〜500単位で
ある（但しその酵素の至適PH及び至適温度におい
てα−ホスフアチジルコリンより１分間に1μM
の水溶性リン又は脂肪酸を遊離させる酵素量を１
単位とする。）。 処理温度は30〜45℃が適当である。 このような条件で原料乳を処理することによ
り、リン脂質の量を無脂乳固形分に対して0.17％
以下、望ましくは0.1％以下とする。 なお用いる酵素がＡ型又は一部のＣ型酵素のよ
うに毒性を有するものの場合は、任意の手段で固
定化した酵素として処理終了後に酵素と原料乳と
を完全に分離できるようにするか、処理後の無毒
化処理が必要である。したがつて、普通にはバチ
ルス・セレウス菌から作られたＣ型酵素のように
毒性のないものを用いることが望ましい。 以上のような酵素処理は、原料乳の加熱殺菌
（乳酸発酵のための）の前に行なつてもよく、ま
た後になつてもよい。 毒性のない酵素を用いた場合も、酵素処理終了
後は、加熱して酵素を失活させることが望まし
い。 本発明による液状発酵乳の製造法は、上述のよ
うな酵素処理を施した乳を原料とすること以外、
常法と異なるところはない。すなわち、乳酸菌等
のスターターを接種して発酵させ、得られた凝乳
を破砕し、ホモゲナイザーで均質化する。この
際、発酵の前又は後の任意の段階で、甘味料、香
料、果汁、希釈水等を添加してもよい。 本発明の方法による製品は、原料乳の酵素処理
を行わない従来の方法で作られた同じ乳固形分濃
度の製品と比べると、ほぼ同等の安定性と著しく
低い粘度を持つ。したがつて、本発明により、高
固形分濃度であつても低粘度の、飲料として高い
官能評価が得られる液状発酵乳を製造することが
可能になつたのである。更に本発明の方法は、乳
固形分濃度を下げることなしに、また薬品添加な
どの方法によらずに、前記の目的を達成するもの
であるから、製品の風味や栄養価値を低下させる
こともなく、また安全性の点でも心配がないな
ど、多くの特長を有するものである。 以下実施例を示して本発明を説明する。 実施例 １ 脱脂粉乳（リン脂質含有量0.25％）90Kg、砂糖
80Kgを水830Kgに溶解し、これにＣ型リン脂質分
解酵素15万単位（PH6.5の0.1M酢酸緩衝液１に
溶解したもの）を添加し、37℃で30分間静置し
た。この処理により、リン脂質の45％が分解し
た。次いで加熱殺菌した後、乳酸菌スターター
（ストレプトコツカス・サーモフイラス及びラク
トバチルス・ブルガリクス）を接種して37℃で培
養し、PHが4.4になつた時点でタンクを冷却して
発酵を止めた。この後、得られたカードを破砕し
てから均質圧力100Kg／cm2で均質化して液状発酵
乳を得た。 別に、乳酸発酵をPHが4.0になる迄行なつたほ
かは上記と同様にして液状発酵乳を製造した。 更に上記２例の対照品として、各例の製法から
酵素処理のみを省略した製法により液状発酵乳を
製造した。 これらの発酵乳について、５℃における静置保
存試験を行い、ホエー分離及び粘度の経時変化を
調べた結果は第１表のとおりであつた。なお同表
における粘度の値は、東京計器製昨所のＢ型粘度
計でNo.１のローターを使用して測定したもので、
ローターを12rpmで10回転させたときの粘度計の
目盛をそのまゝ表示してある。
のである。但しここで液状発酵乳とは、乳及び乳
製品の成分規格等に関する厚生省令において定義
された発酵乳のうち、均質化された液状のものを
意味する。 一般に乳酸発酵による凝乳の均質化物から作ら
れた飲料はその物性的性状が不安定であつて、保
存中に、懸濁している微細な凝固乳蛋白質粒子が
凝集するため、ホエー分離や粘度上昇など、好ま
しくない変化を起こし易い。もつとも、液状発酵
乳の場合、ホエー分離は製品中の無脂乳固形分濃
度が高ければ起こりにくく、濃度を約12％以上に
すればほとんど起こらない。しかしながら、固形
分濃度を上げれば、当然製品の粘度も上昇し、飲
料としては好ましくない口当りのものになつてし
まう。このように液状発酵乳においては、製品の
安定性及び官能評価の二つの観点から、固形分濃
度（したがつて粘度）に関して相反する要請があ
り、いずれか一方が妥協を強いられることにな
る。普通には、外観上顕著で商品価値を下げるこ
との多いホエー分離の防止に重点を置いて無脂乳
固形分濃度を十分高くし、官能評価面からはやや
高すぎる粘度の製品としている。このため、安定
性が良く、しかも粘度が低い液状発酵乳を製造す
る方法の開発が望まれていた。 本発明は上記要望に答えることに成功したもの
で、常法による液状発酵乳の製造に当り、原料の
乳として、乳をＡ型又はＣ型のリン脂質分解酵素
で処理したものを用いることを特徴とする。 リン脂質分解酵素としてはＡ型、Ｂ型、Ｃ型及
びＤ型の４種類が知られているが、本発明におい
て使用することができるのは、Ａ型及びＣ型の２
種類に限られ、Ｂ型やＤ型で処理しても効果はな
い。但しＢ型は、Ａ型と併用するとＡ型酵素によ
る処理効果を若干高める傾向があるから、Ａ型と
一諸にならば使用することができる。 ここで上記４種類のリン脂質分解酵素につき簡
単に述べると、Ａ型はリン脂質の１位と２位のい
ずれかの脂肪酸を切断してリゾ型のリン脂質に変
換する酵素であり、Ｂ型はリゾ型のリン脂質に作
用して残る１、２位どちらかの脂肪酸を遊離させ
る酵素である。またＣ型は３位のリン酸基を切断
し、リン酸基に結合しているコリン、セリン等の
残基も同時に遊離させる酵素であり、Ｄ型は、そ
のリン酸基は切断せずに、コリン、セリン等の残
基のみを遊離させる酵素である。このような酵素
活性の相違が、なんらかの形で本発明の効果発現
の有無に関与するものと考えられる。 以下、単に「酵素」というときは本発明の製造
法において使用するＡ型又はＣ型のリン脂質分解
酵素を意味する。 本発明の製造法において、原料乳の酵素処理は
次のようにして行う。 処理する原料乳は、無脂乳固形分濃度８〜30％
（重量％、以下同じ）程度のものであれば特に濃
度調整を行う必要はない、PHも、通常の原料乳の
場合、無調整でよい。 用いる酵素の量は原料乳中のリン脂質の量等に
応じて適宜決定するが、通常好ましい酵素使用量
は無脂乳固形分８％の乳１Kg当り25〜500単位で
ある（但しその酵素の至適PH及び至適温度におい
てα−ホスフアチジルコリンより１分間に1μM
の水溶性リン又は脂肪酸を遊離させる酵素量を１
単位とする。）。 処理温度は30〜45℃が適当である。 このような条件で原料乳を処理することによ
り、リン脂質の量を無脂乳固形分に対して0.17％
以下、望ましくは0.1％以下とする。 なお用いる酵素がＡ型又は一部のＣ型酵素のよ
うに毒性を有するものの場合は、任意の手段で固
定化した酵素として処理終了後に酵素と原料乳と
を完全に分離できるようにするか、処理後の無毒
化処理が必要である。したがつて、普通にはバチ
ルス・セレウス菌から作られたＣ型酵素のように
毒性のないものを用いることが望ましい。 以上のような酵素処理は、原料乳の加熱殺菌
（乳酸発酵のための）の前に行なつてもよく、ま
た後になつてもよい。 毒性のない酵素を用いた場合も、酵素処理終了
後は、加熱して酵素を失活させることが望まし
い。 本発明による液状発酵乳の製造法は、上述のよ
うな酵素処理を施した乳を原料とすること以外、
常法と異なるところはない。すなわち、乳酸菌等
のスターターを接種して発酵させ、得られた凝乳
を破砕し、ホモゲナイザーで均質化する。この
際、発酵の前又は後の任意の段階で、甘味料、香
料、果汁、希釈水等を添加してもよい。 本発明の方法による製品は、原料乳の酵素処理
を行わない従来の方法で作られた同じ乳固形分濃
度の製品と比べると、ほぼ同等の安定性と著しく
低い粘度を持つ。したがつて、本発明により、高
固形分濃度であつても低粘度の、飲料として高い
官能評価が得られる液状発酵乳を製造することが
可能になつたのである。更に本発明の方法は、乳
固形分濃度を下げることなしに、また薬品添加な
どの方法によらずに、前記の目的を達成するもの
であるから、製品の風味や栄養価値を低下させる
こともなく、また安全性の点でも心配がないな
ど、多くの特長を有するものである。 以下実施例を示して本発明を説明する。 実施例 １ 脱脂粉乳（リン脂質含有量0.25％）90Kg、砂糖
80Kgを水830Kgに溶解し、これにＣ型リン脂質分
解酵素15万単位（PH6.5の0.1M酢酸緩衝液１に
溶解したもの）を添加し、37℃で30分間静置し
た。この処理により、リン脂質の45％が分解し
た。次いで加熱殺菌した後、乳酸菌スターター
（ストレプトコツカス・サーモフイラス及びラク
トバチルス・ブルガリクス）を接種して37℃で培
養し、PHが4.4になつた時点でタンクを冷却して
発酵を止めた。この後、得られたカードを破砕し
てから均質圧力100Kg／cm2で均質化して液状発酵
乳を得た。 別に、乳酸発酵をPHが4.0になる迄行なつたほ
かは上記と同様にして液状発酵乳を製造した。 更に上記２例の対照品として、各例の製法から
酵素処理のみを省略した製法により液状発酵乳を
製造した。 これらの発酵乳について、５℃における静置保
存試験を行い、ホエー分離及び粘度の経時変化を
調べた結果は第１表のとおりであつた。なお同表
における粘度の値は、東京計器製昨所のＢ型粘度
計でNo.１のローターを使用して測定したもので、
ローターを12rpmで10回転させたときの粘度計の
目盛をそのまゝ表示してある。
【表】
【表】
(注) −：全く認められない
＋：上層に僅かに認められる。
＋：上層に僅かに認められる。
Claims (1)
- １ 乳を乳酸菌で発酵させ、得られた凝乳を均質
化して液状発酵乳（ただし、乳及び乳製品の成分
規格等に関する厚生省令第52号にいうところの、
無脂乳固形分が８％以上の発酵乳）を製造するに
当たり、原料の乳として、乳をＡ型またはＣ型の
リン脂質分解酵素で処理したものを用いることを
特徴とする液状発酵乳の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7493381A JPS57189638A (en) | 1981-05-20 | 1981-05-20 | Production of liquid fermented milk |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7493381A JPS57189638A (en) | 1981-05-20 | 1981-05-20 | Production of liquid fermented milk |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS57189638A JPS57189638A (en) | 1982-11-22 |
| JPH0117656B2 true JPH0117656B2 (ja) | 1989-03-31 |
Family
ID=13561643
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7493381A Granted JPS57189638A (en) | 1981-05-20 | 1981-05-20 | Production of liquid fermented milk |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS57189638A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020022406A (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-13 | 株式会社明治 | 液状発酵乳の製造方法 |
Families Citing this family (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2858875B2 (ja) * | 1990-05-23 | 1999-02-17 | サントリー株式会社 | 酒類の製造方法 |
| DE69941364D1 (de) | 1998-11-27 | 2009-10-15 | Novozymes As | Varianten eines lipolytischen enzyms |
| CN100429981C (zh) * | 1999-03-16 | 2008-11-05 | 诺维信公司 | 干酪的生产方法 |
| WO2001083559A2 (en) | 2000-04-28 | 2001-11-08 | Novozymes A/S | Production and use of protein variants having modified immunogenecity |
| US20040063184A1 (en) * | 2002-09-26 | 2004-04-01 | Novozymes North America, Inc. | Fermentation processes and compositions |
| MX2007007257A (es) * | 2004-12-21 | 2007-08-14 | Novozymes As | Metodo para producir fracciones de una composicion lactea. |
| EA202091476A1 (ru) * | 2018-01-15 | 2020-10-27 | Кхр. Хансен А/С | Кисломолочный продукт и его приготовление с использованием фосфолипазы |
Citations (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5674932A (en) * | 1979-11-22 | 1981-06-20 | Hitachi Ltd | Semiconductor device and preparation method thereof |
-
1981
- 1981-05-20 JP JP7493381A patent/JPS57189638A/ja active Granted
Patent Citations (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5674932A (en) * | 1979-11-22 | 1981-06-20 | Hitachi Ltd | Semiconductor device and preparation method thereof |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020022406A (ja) * | 2018-08-08 | 2020-02-13 | 株式会社明治 | 液状発酵乳の製造方法 |
| US12082594B2 (en) | 2018-08-08 | 2024-09-10 | Meiji Co., Ltd. | Method for producing liquid fermented milk |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS57189638A (en) | 1982-11-22 |
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