JPH0115459B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は巻取軸上でフリクシヨントルク駆動に
より紙やフイルム等のウエツブを巻取る巻取軸、
特に同軸上に多数のウエツブをそれぞれ各別にフ
リクシヨンにより巻取るのに有効な巻取軸に関す
るものである。

従来この目的に用いられている軸としては、特
公昭40−9542号公報および特公昭51−32789号公
報等に開示されたものがあつたが、これらはすべ
てフリクシヨントルクを得るための方法として多
数の部品または組合わせ部分の全体に軸端からス
ラスト圧力を加え、各部分相互間に加わる側圧に
より摩擦力を生じさせていた。そのため各部分の
加工誤差による回転時の側面の振れが累積し各部
分単位の１回転中のトルクむらが大きいことや、
側圧が多くの部分に均一に伝わらないため、各部
分間のトルクむらが極めて大きいなどの欠点を有
していた。

特に特公昭51−32789号公報に記載されたもの
はコアー（ウエツブを巻付ける紙管などの巻心）
を止めるのに空気圧を用いているが、その空気圧
を高くするほどフリクシヨンカラーのボス面に作
用する空気圧によつて側圧が打消されて減少する
といつた欠点があつた。

さらに、実開昭54−9284号公報に記載の装置も
知られている。この装置は巻取軸本体の中空部の
圧力を増減することにより拡縮するチユーブの外
側に摩擦部材を巻取軸の半径方向に移動可能に設
けるとともに摩擦部材の外側に摺接して巻芯保持
用チヤツクを軸芯方向に付勢させて設け、このチ
ヤツク上にウエブ巻取用巻芯を装着するようにし
たものである。チヤツクは円周方向に３分割され
ており、圧縮空気によつてチユーブが半径方向へ
拡張してウエブ巻取用巻芯を保持するようになつ
ている。

この公知の装置では、空気圧により各チヤツク
を拡張させて巻取用巻芯に摩擦トルクを伝達する
ようになつているが、チヤツクは３分割されてい
るのでチヤツクが拡張されると分割スリツトも広
がりチヤツクの内外周面は真円とならずスムース
な摩擦トルクの伝達が困難であり偏心のないスム
ースな回転を得ることができない欠点がある。

本発明は、これら従来の欠点を完全に解消した
上、空気圧に比例したフリクシヨントルクが得ら
れ、しかもどの様にトルクを変えてもコアーの拘
止力もそれに応じる構成の巻取軸を提供するもの
で、軸上に軸方向に所定の間隔をおいてこの軸と
ともに回転可能な複数の固定円板を軸方向および
回転方向に不動に固定配置するとともに、前記固
定円板の隣り合う各一対の間において各固定円板
の側面に対面した摩擦面を有する回転可能な一対
のフリクシヨンリングを前記軸上に軸方向に所定
の間隔をおいて、かつ、軸方向に摺動可能に配置
し、各一対のフリクシヨンリングを外接包囲しこ
れらフリクシヨンリングの軸方向の摺動を許容し
つつ回転方向にはこれらフリクシヨンリングと係
合して一体に回転するコアー止めカラーを設け、
各コアー止めカラー内にゴムチユーブを配備して
各一対のフリクシヨンリング間に気密室を形成
し、前記軸を通して各気密室への圧縮空気の導入
路を設けるとともに、各コアー止めカラーの周壁
の円周方向複数個所に穿設した窓から出没自在な
爪を配備して複数のコアーホルダーを形成し、各
コアーホルダーの前記ゴムチユーブ内の気密室に
圧縮空気を導入しその空気圧によつて前記爪を前
記窓から押出しコアー内面に圧接させてコアーを
前記コアー止めカラーに拘止するとともに、同じ
空気圧によつて前記各一対のフリクシヨンリング
を前記軸上で軸方向に押し拡げその摩擦面を前記
固定円板の側面に押圧してフリクシヨントルクを
各コアーホルダーにおいて他のコアーホルダーか
ら独立して発生させるよにしたことを特徴とする
ものである。

以下図示実施例を詳細に説明する。

１は回転軸で、この軸１上に多数の固定円板３
が固定カラー２によつて所定の間隔を隔てて配置
され、軸１の一端はフランジで止められ、他端は
ねじとナツトなどで強固に締付けて固定される。
各一対の固定円板３の間にはコアーホルダー１５
が軸上（実施例では軸１に固定された固定カラー
２上）を自由に回転し得るよう装着されている。

コアーホルダー１５の構成を詳しく説明すると
フリクシヨンリング６は一つのコアーホルダーに
２個対称的に設けられており、それぞれが各一対
の固定円板３の対向する側面（軸方向端面）に対
面した摩擦面を有し、固定カラー２上で自由に回
転し得るとともに軸方向に摺動可能に遊嵌合され
ている。

フリクシヨンリング６はその外径に近い所でゴ
ムチユーブ１３の一端をくわえ込み、カラー７に
よつてゴムチユーブ１３の端のリブを押えて空気
の漏れが無いように固定している。またフリクシ
ヨンリング６はその固定円板３に対面した内径に
近い所にシールカラー４とＯリング５を備えメカ
ニカルシールを構成して空気の漏れを防いでい
る。

一つのコアーホルダー内でそれぞれフリクシヨ
ンリング６、カラー７、シールカラー４、Ｏリン
グ５からなる一対の集合体はゴムチユーブ１３で
繋がつているだけで軸方向には拘束されていな
い。

各コアーホルダーの軸方向両端は軸１に円周
（回転）方向および軸方向に不動に固定された固
定円板３によつて軸方向への移動を制限され、従
つて各コアーホルダーは他のコアーホルダーと完
全に独立して動作する。ゴムチユーブ１３は空気
圧の加わつていない時でも軸方向の長さには多少
の余祐を持たせてある。

各フリクシヨンリング６は外周にラグ１６を有
する。これらのラグは、実施例ではフリクシヨン
リングの円周方向に等間隔をおいた３ケ所に凸状
に形成されており、これらラグは共に一つのコア
ー止めカラー１４の両端のキー溝１４′に係合し、
この係合により上記部品の組立体であるコアーホ
ルダー１５は回転方向には一体となつて回転す
る。

コアー止めカラー１４には外周等分３ケ所に窓
１９が穿設され、各窓の中に爪１２が皿ビス８で
ボス１１に固定されており、このボス１１は板バ
ネ１０にリベツト９で取付けられている。この板
バネ１０は空気圧が加わつていないときは爪１２
の先端がコアー止めカラー１４の外周よりも内に
沈むように戻しばねの働きをし、空気圧が加わつ
た場合はゴムチユーブ１３を介してその受圧面に
空気圧を受け大きな力で爪１２を押し出す働きを
する。

今この軸１の中空軸孔１８′より孔１８と固定
カラー２の中心付近の内径のぬすみ及び孔を通じ
て空気圧をゴムチユーブ１３の内側へ導くと、第
２図のAA′断面に示す状態よりBB′断面に示す状
態の如く、空気圧がゴムチユーブ１３を介して板
バネ１０を押し上げ、コアー１７がコアー止めカ
ラー１４の外周に嵌つていない場合は、板バネ１
０の大部分がコアー止めカラー１４の内面に当る
まで爪１２が突出する。

ここでコアー１７がコアー止めカラー１４の外
周に嵌つている場合は、爪１２はコアー１７の内
面に強く圧接し、コアー１７が紙管などの場合は
爪１２が紙管の内面に喰い込み回転トルクを十分
に伝えることができる。

一方、同じ空気圧は左右一対のフリクシヨンリ
ング６を軸方向外側へ押し拡げ、その固定円板３
に対面する摩擦面を固定円板３に押しつけて摩擦
力を発生させる。この押し付け力はゴムチユーブ
１３の内径（空気によりチユーブが拡張した時は
そのチユーブの拡張した所の内側）と、Ｏリング
５の外径（Ｏリング５の嵌つている所のフリクシ
ヨンリング６の内径）の間の面積（それぞれの面
積の差）に空気圧を乗じたものである。

同様にシールカラー４にもＯリング５の外径と
シールカラー４の内径との間の僅かな面積に応じ
た空気圧による力とＯリング５の軸方向に圧縮さ
れた反発力との力が加わりシールカラー４を固定
円板３に押しつけて空気の漏れを防ぐ。

シールカラー４の材質は例えばカーボンや固形
潤滑材入り樹脂等とし、固定円板３の材質は精密
で平滑な仕上げを施した鋼等とし、両者間の摩擦
係数が極めて低く、平滑精度を保ち易いものにし
てシールの効果を上げているが、その摩擦力は空
気圧に比例し、フリクシヨンリング６の摩擦力と
合わせ、コアーホルダー１５のフリクシヨントル
クは全体として空気圧に比例したトルクが発生す
る。

本発明の構成の特徴を要約すると次のとおりで
ある。

(1) 回転軸１上に軸方向に所定の間隔をおいて、
かつ、この軸に対して軸方向および円周方向に
不動に固定円板３が固定配置されている。

(2) 一つのコアーホルダー１５は隣り合う一対の
固定円板３の間に配置され、一つのコアーホル
ダーは他のコアーホルダーとは構造的かつ作用
的に完全に独立している。

(3) 各コアーホルダー内において、一対のフリク
シヨンリング６が軸方向に間隔をおいてかつ軸
方向に摺動可能に対称的に配置されている。

(4) 各コアーホルダー内において、一対のフリク
シヨンリング６の間に空気室を形成し、これに
圧縮空気を導入してフリクシヨンリング６を両
側の固定円板３に押圧してフリンクシヨントル
クを得るとともに、同じ空気圧によつてコアー
拘止爪を押し出してコアー拘止トルクをも得る
構成になつている。

上記のような構成の巻取軸を装備して巻取りを
行なうときは、軸１を所要巻取回転数よりも早い
回転数で積極的に駆動し、コアーホルダー１５上
に爪１２で拘止されたコアー１７上に紙などのウ
エツブを巻付けて巻取るのであるが、送り出され
るウエツブの速度に応じたコアー１７の回転数と
これより早く駆動される軸１の回転数の差だけコ
アー１７と一体となつたコアーホルダー１５が軸
１上でスリツプし、そのとき発生するフリクシヨ
ントルクによりウエツブを引張りながら巻取るこ
とになり、この引張る力が巻取り張力となる。

ここでコアー１７をコアーホルダー１５に拘止
する拘止トルクは、板バネ１０の受圧面積（板バ
ネの全面積より少ない有効受圧面積）、空気圧、
爪１２とコアー１７間の摩擦係数、コアー１７の
内半径、爪１２の数（本実施例では３個）のすべ
ての積になるのに対し、フリクシヨントルクは、
前述の受圧面積、空気圧、固定円板３とフリクシ
ヨンリング６との摩擦係数、フリクシヨンリング
６の摩擦面の平均半径、摩擦面の数（本実施例で
は２）のすべての積になる。但し、本実施例では
後者のフリクシヨントルクには更に巻取りロール
の自重がフリクシヨンリング６を介して固定カラ
ー２に加わるため、その間の摩擦係数、ロール重
量、固定カラー２の外半径の積であるトルクが加
わる。

以上、各部の寸法、数、材質（摩擦係数）の選
択によりフリクシヨントルクよりもコアーの拘止
トルクの方が十分に大きくなるよう容易に設計す
ることができる。

このように構成された巻取軸では、空気圧によ
り全く任意なフリクシヨントルクが得られ、いか
なるトルクのときでもコアーの拘止トルクの方が
十分に大きく、コアーがスリツプしたり横方向に
ずれたりするおそれがない。

また、巻取運転終了後、新旧コアーの脱着時に
は空気回路を切れば、爪１２は板バネ１０により
コアーホルダー１５の外周より内側に沈み脱着操
作を容易に行なうことができる。

本発明による巻取軸では、一つのコアーホルダ
ーで一条のウエツブを巻取るときにも、トルクむ
らの極めて少ないスムースなフリクシヨン巻取り
を行なうことができるが、本発明の構成より明ら
かな如く、あくまで一つのコアーホルダーのすべ
ての作用が完全に独立しており、固定された円板
内で効果が発揮されているため同じものを数多く
同一軸上に連ねて設けても互いに隣りのコアーホ
ルダーの影響を受けることなく、それぞれ均一で
スムースなしかも独立したフリクシヨントルクを
得ることができるので、本発明の巻取軸はスリツ
ターの如き同一軸上に多条のウエツブを同時に巻
取る各個独立のフリクシヨン駆動には特に優れた
効果を発揮する。

さらに本発明によれば空気圧により巻取りトル
クが自由に調節できるため遠隔調節や運転中にも
自由にトルクが調節できるほか、任意のトルク特
性に自動制御しながら巻取る用途にも利用でき
る。

本発明は図示実施例に限定されないこともちろ
んである。例えば前述のロール自重によるラジア
ル荷重がフリクシヨントルクに加わる点について
は、より高度なトルク制御を行なう場合には、図
のフリクシヨンリング６が固定カラー２に嵌合し
ている部分にボールベアリングを設け、その部分
の固定カラーを切り取つてボールベアリングの内
輪をはさみ込み固定円板３などと共に締付けるよ
うにすれば、荷重によるフリクシヨントルクは無
視出来る位小さくなり、正確なトルク制御を空気
圧によつて行なうことができる。図示例のように
固定円板の軸の近くでシールしておけば、上記の
ように固定円板間の軸上に何を挿入しても空気漏
れの心配はない。

また図示例では軸１として中空軸を用いその中
から空気を供給するようにしているが、中空軸が
使えない構造の場合は軸１の外側に細いキー溝の
如き溝を設けても上記メカニカルシールの構造に
より空気漏れはなく、空気圧を各コアーホルダー
内に供給することができる。その他、ゴムチユー
ブの形状やフリクシヨンリングへの係合の仕方は
本実施例以外に任意の方法を採り得ることはいう
までもない。

さらに、爪の先端の形状も図示の如きものはコ
アーの材質に紙管を用いた場合は有効であるが、
爪の表面にゴム板を埋込んだものなどを用いれば
金属管やプラスチツクパイプなどのコアーにも適
用することができる。

１個のコアーホルダーの軸方向の長さを大きく
して全体にもつと大きなコアー拘止トルクとフリ
クシヨントルクを得たい場合は、板バネの受圧面
積は大きくとり得るがフリクシヨントルクも大き
くするには固定円板３の間に軸１と回転方向に係
合する円板とコアー止めカラー１４と回転方向に
係合するフリクシヨン板とを増設すればいくらで
もトルクを増すことができる。

以上のように、本発明によれば、 (1) 冒頭に記載した従来の欠点が完全に解決さ
れ、 (2) 同じ空気圧によつてコアーの拘止とフリクシ
ヨントルクの調節という全く異なる機能を行な
わせることができ、 (3) フリクシヨントルクが大きくてもコアーがス
リツプせず、 (4) 空気圧に完全に比例したトルクが得られ、 (5) 各コアーホルダーが互いに完全に独立してい
るので均一スムースで正確なフリクシヨントル
クが得られ、 (6) 運転中にもトルクの自動制御が可能であると
いつた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の一部を軸方向断面
で示した正面図、第２図は第１図のＡ−A′，Ｂ
−B′およびＣ−C′断面を示す図である。 １……軸、３……固定円板、６……フリクシヨ
ンリング、１２……爪、１３……ゴムチユーブ、
１４……コアー止めカラー、１５……コアーホル
ダー、１７……コアー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 軸上に軸方向に所定の間隔をおいてこの軸と
   ともに回転可能な複数の固定円板を軸方向および
   回転方向に不動に固定配置するとともに、前記固
   定円板の隣り合う各一対の間において各固定円板
   の側面に対面した摩擦面を有する回転可能な一対
   のフリクシヨンリングを前記軸上に軸方向に所定
   の間隔をおいて、かつ、軸方向に摺動可能に配置
   し、各一対のフリクシヨンリングを外接包囲しこ
   れらフリクシヨンリングの軸方向の摺動を許容し
   つつ回転方向にはこれらフリクシヨンリングと係
   合して一体に回転するコアー止めカラーを設け、
   各コアー止めカラー内にゴムチユーブを配備して
   各一対のフリクシヨンリング間に気密室を形成
   し、前記軸を通して各気密室への圧縮空気の導入
   路を設けるとともに、各コアー止めカラーの周壁
   の円周方向複数個所に穿設した窓から出没自在な
   爪を配備して複数のコアーホルダーを形成し、各
   コアーホルダーの前記ゴムチユーブ内の気密室に
   圧縮空気を導入しその空気圧によつて前記爪を前
   記窓から押出しコアー内面に圧接させてコアーを
   前記コアー止めカラーに拘止するとともに、同じ
   空気圧によつて前記各一対のフリクシヨンリング
   を前記軸上で軸方向に押し拡げその摩擦面を前記
   固定円板の側面に押圧してフリクシヨントルクを
   各コアーホルダーにおいて他のコアーホルダーか
   ら独立して発生させるよにしたことを特徴とする
   巻取軸。