JPH0113766Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、内燃機関においてメインギヤラリ通
路から動弁機構のカム軸内部のオイル通路に間欠
的に給油する間欠給油装置に関し、特にカム軸側
の油溝の形状に関する。

〔従来の技術〕

一般に、OHC型動弁機構のカム軸は、クラン
ク軸のクランクプーリとカム軸のドリブンプーリ
がタイミングベルトにより連結されて常時回転
し、そのカム軸のカムによりロツカアームを揺動
して吸、排気弁の開閉動作を行うように構成され
ている。そして、上記カム軸の軸受、カムとロツ
カアームの接触部に給油して潤滑する潤滑機構と
して、クランクケース側のメインギヤラリ通路
が、カム軸のジヤーナル部でカム軸内部のオイル
通路に連通している。

ところで、カムとロツカアームは間欠的に接触
する等の点を考慮し、常に該接触部へ連続給油し
た場合の潤滑油圧の低下、ロツカ室へのオイル排
出量の増大に伴う不具合を防ぐため、連続給油に
代つて間欠給油方式が採用されている。この間欠
給油方式の一例として、カム軸のジヤーナル部に
おいてメインギヤラリ通路と対向する位置に、全
周の一部に一様に切欠いた油溝を形成し、この油
溝をメインギヤラリ通路に断続的に連通させて間
欠給油するのが提案されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかるに、上述の構成によると、カム軸ジヤー
ナル部の油溝へ断続的に連通するメインギヤラリ
通路の端部開口が周期的に急開閉を繰り辺すた
め、急激な給油の圧力変動を発生する。即ち、間
欠給油が開始、終了する都度にメインギヤラリ通
路内で油圧の急上昇に伴う油撃を生じ、これによ
り特にアイドリング時に振動、騒音を招くという
問題があつた。

本考案は、このような事情に鑑み、動弁機構の
カム軸への間欠給油潤滑に伴う上記油撃の発生を
抑制、緩和して、騒音を低減するようにした内燃
機関の間欠給油装置を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため本考案は、メインギヤ
ラリ通路からカム軸のジヤーナル部周面に開口す
る連通孔を介して、カム軸内部のオイル通路に間
欠的に給油する間欠給油装置において、上記ジヤ
ーナル部周面上に、上記連通孔をほぼ中心として
上記カム軸の回転方向および反回転方向に向つて
有効容積が徐々に連続して減少する油溝を形成し
たことを特徴とするものである。

ところで実開昭57−103311号公報には、クラン
ク軸への給油装置が開示されているが、これは、
シリンダブロツクに設けた給油通路から該ブロツ
クに固着した上部メタルの全周に設けた油溝を介
して、クランク軸に貫通して設けた給油孔に連続
的に給油するものにおいて、クランク軸の回転に
伴つて上記給油が、上記油孔の両側端から一側端
からのみ行われるようになつた際に、下部メタル
の表面に発生するキヤビテーシヨンを防止して、
クランク軸の主軸受の耐久性を向上するものであ
り、従つて、本考案とは課題ひいては構成を異に
するものである。

〔実施例〕

以下、図面を参照して本考案の一実施例を具体
的に説明する。第１図において、本考案の概略に
ついて説明すると、符号１はカム軸であり、この
カム軸１の一端にタイミングベルトと噛合うドリ
ブンプーリ２を有し、カム軸１の両端及び中間の
３個所のジヤーナル部１ａないし１ｃが、カムケ
ース３と図示しないボルトでカムケース３に締結
されているカムキヤツプ４とで支持され、複数の
カム５がロツカアーム６に摺接している。

また、間欠給油潤滑系としてカム軸１の１つの
ジヤーナル部１ａにおいて、カムケース３側にメ
インギヤラリ通路７が設けられ、この通路７と一
致するジヤーナル部１ａ側の位置に、全周の一部
を切欠いた油溝８が形成され、油溝８は、連通孔
９、カム軸１内部中心のオイル通路１０を介して
カム５のリフト部等に開口する給油孔１１に連通
している。

そして本考案によると、第２図ａ，ｂに示すよ
うに、上記カム軸ジヤーナル部１ａの油溝８は、
連通孔９を略中心としてカム軸１の回転方向およ
び反回転方向に向つて、幅及び深さ共にテーパを
付けて有効面積及び容積が徐々に連続して減少す
るようなテーパ溝８ａ，８ｂを有するように形成
される。ここで特に、油溝８の回転方向と反対の
閉じ側テーパ溝８ｂは長目になつている。

本考案は、上記のように構成されることによ
り、カム軸１の回転時にメインギヤラリ通路７
は、先ず油溝８の回転方向進み側のテーパ溝８ａ
で徐々に開いて、オイルをそのテーパ溝８ａから
油溝８，連通孔９を介してオイル通路１０に供給
し、次いで油溝８により直接所定の量のオイルを
供給して、カム５とロツカアーム６との接触部等
に給油する。その後、油溝８の回転方向遅れ側の
テーパ溝８ｂにより再びメインギヤラリ通路７を
徐々に閉じて給油を中断するのであり、このよう
なことが周期的に繰り返えされることで、間欠給
油する。

なお、本考案は、上記実施例のみに限定される
ものではなく、第３図ａ，ｂに示すように油溝８
の円周方向両端に幅の狭い溝８ｃを連続的に付加
しても良い。

〔考案の効果〕

以上の実施例から明らかなうに、本考案によれ
ば、カム軸ジヤーナル部１ａの周面上の油溝８
は、連通孔９を略中心として回転方向および反回
転方向に向つて有効容積が徐々に連続して減少す
るように形成し、メインギヤラリ通路７の油溝に
対する前段の開放、後段の閉鎖が共に緩やかに行
われるようにしたので、前段の開放時のメインギ
ヤラリ通路７の圧力変動を抑制し、後段でのメイ
ンギヤラリ通路７の閉鎖時の油圧の急上昇に伴う
油撃の発生が確実に抑制、緩和されて、振動、騒
音が低減する。また、既存の油溝の周方向両端に
テーパ溝部等を付加したものであるから、構造も
簡単である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用される内燃機関の動弁機
構潤滑系を示す断面図、第２図ａは本考案による
装置の一実施例を示す要部の正面図、ｂは同ｂ−
ｂ断面図、第３図ａ，ｂは他の実施例を示す要部
の正面図とｂ−ｂ断面図である。 １……カム軸、１ａ……ジヤーナル部、７……
メインギヤラリ通路、８……油溝、８ａ，８ｂ…
…テーパ溝、８ｃ……幅の狭溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 メインギヤラリ通路からカム軸のジヤーナル部
   周面に開口する連通孔を介して、カム軸内部のオ
   イル通路に間欠的に給油する間欠給油装置におい
   て、 上記ジヤーナル部周面上に、上記連通孔をほぼ
   中心として上記カム軸の回転方向および反回転方
   向に向つて有効容積が徐々に連続して減少する油
   溝を形成したことを特徴とする内燃機関の間欠給
   油装置。