JPH0113689Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は外壁版、特に軽量コンクリート版の
建込み装置をなす壁版取付装置に関するものであ
る。

従来、鉄骨構造建築物において軽量コンクリー
ト版をカーテンウオールとして建込む場合に、壁
版を締結するために壁版間に鉄筋やモルタルを挿
入したり、壁版を貫通するボルト等で取付けてい
る。しかし、この様な締結手段では現場における
モルタル作業等が生じ、作業の複雑化やモルタル
凝結時間等によつて作業所要時間がかゝり、全体
における費用が割高となる。また、カーテンウオ
ールの様にフアスナー方式で取付けを行う場合に
は、埋込ボルトの位置変更が現場で出来ず、長さ
方向の調整すなわち建込み現場での長さ方向の壁
の切断が出来ない等の欠点がみられる。

従つて、この考案の目的は、この様な従来の欠
点を除去するために、現場におけるモルタル充填
作業をなくすと共に溶接作業を少なくして作業所
要時間を短縮し、特殊な長尺溝形金物と中間取付
金物と押え金物とから成る簡単な構成によつて壁
版の取付が容易で、且つ壁版の長さ方向の調整が
できるようになつた壁版取付装置を提供すること
にある。

この考案は前述の目的を達成するために、相隣
接して鉄骨躯体に建込まれる任意の２枚の軽量コ
ンクリート版において相対向する端面の夫々に、
面内方向外側の向きに向かつて開口して埋込まれ
る一対の長尺溝形金物であつて、しかも前記面内
方向と直交する方向において前記鉄骨躯体側を向
いて開口する差込口と摺動口を有する金物と、 前記鉄骨躯体に固定される定規金物と、 前記長尺溝形金物と定規金物の間に設けられ
て、前記差込口を通して隣接する軽量コンクリー
ト版の長尺溝形金物内に挿入して嵌合される頭部
と、隣接する軽量コンクリート版の長尺溝形金物
間に形成される前記摺動口から突出する棒状端部
とを有する中間取付金物と、 前記中間取付金物に取付けて前記定規金物を挟
んで締着する押え金物と、 を組合わせて成る壁版取付金物を採用する。

尚、こゝで面内方向とは前述の軽量コンクリー
ト版において四つの端面以外の面、すなわち最も
広い面に相当する表面または裏面を意味し、面内
方向外側の向きとは同面内方向において、軽量コ
ンクリート版の中心から外方を向く方向を意味す
る。

以下に、頭部がほゞ長尺溝形金物の横断面形状
をなす本体を構成し、この本体に固定されたボル
トが棒状端部を構成する中間取付金物を使用する
態様でこの考案を具体化した実施例を第１図、第
２図、第３図に基いて説明する。

図面の第１乃至第３図にはこの考案の壁版取付
装置の第１の実施例が示されており、図示される
様にこの考案の壁版取付装置は、多数枚の外壁
版、例えば軽量コンクリート版１を連結して外壁
を形成して建物の鉄骨躯体２に支持する建込み装
置をなすもので、軽量コンクリート版１の下部に
埋込まれて端面側に開口した切欠き１１並びにこ
の切欠き１１の上部にて内側に開口した差込口１
２を有する長尺溝形金物１０と、隣接する軽量コ
ンクリート版１，１間に隣り合う長尺溝形金物１
０，１０により形成される横断面形状に対応する
横断面形状の本体１７に固着されたボルト１８を
有する中間取付金物１６と、鉄骨躯体２に取付け
られた定規金物３および支持金物４と、定規金物
３および支持金物４に支持される軽量コンクリー
ト版１を固着するよう隣接する軽量コンクリート
版１の長尺溝形金物１０，１０に差込まれる中間
取付金物１６に取付けて定規金物３を締着する押
え金物２２とから構成されている。

図示される様に、長尺溝形金物１０は例えば角
形鋼材を適宜な長さに切断してつくられ、軽量コ
ンクリート版１の端面側が開口し且つ内側面に切
欠き１１が設けられ、切欠き１１の上部に差込口
１２が形成されていて、隣接する軽量コンクリー
ト版１間に中間取付金物１６の棒状端部をなすボ
ルト１８部分が上下に移動できる摺動口を形成し
ている。この長尺溝形金物１０は第１，３図に示
される様に軽量コンクリート版１の下部に端面側
が図示の様に開口し、差込口１２が内側に位置す
るように適宜埋込まれるのが好適で、特にしつか
り固定するようアンカー部材１４を設けるのが一
層好適である。この様にして軽量コンクリート版
１に予め埋込まれた長尺溝形金物１０の差込口１
２から建込み時に差込まれる中間取付金物１６は
第１，２図に示される様に隣接する軽量コンクリ
ート版１，１間に隣り合う長尺溝形金物１０，１
０により形成する横断面形状に対応する横断面形
状を有した頭部をなす本体１７と、この本体１７
に例えば溶接によつて固着された棒状端部をなす
ボルト１８とを有している。また、第１図に示さ
れるこの横断面形状を有する長尺溝形金物１０に
使用できる中間取付金物１６の変形例が第１Ａ，
１Ｂ図に示されており、図示の如く本体１６ａ，
１６ｂの形だけが夫々異つているのみである。ま
た、この様な軽量コンクリート版１を所定位置に
支持するために適宜なアングル材や鋼から造られ
る定規金物３や支持金物４が通常の様に例えば溶
接によつて鉄骨躯体２に固着されている。

この様に構成されたこの考案の壁版取付装置に
おいては、第１乃至３図に示される様に鉄骨躯体
１に例えば溶接によつて固着された定規金物３に
適宜取付けられた支持金物４に対し、長尺溝形金
物１０が埋込まれた軽量コンクリート版１の下端
縁を載せて支持し、次いで中間取付金物１６の本
体１７を長尺溝形金物１０の上部の差込口１２か
ら差込んでボルト１８を隣り合う軽量コンクリー
ト版１の長尺溝形金物１０の切欠き１１の間の間
〓にて形成される摺動口から内側に突出させ、こ
の突出したボルト１８に押え金物２２を取付けて
座金１９を介してナツト２０を締め付け、定規金
物３を長尺溝形金物１０に対して押え金物２２に
より挟んで締着する。この様にして、長尺溝形金
物１０が予め埋込まれた軽量コンクリート版１を
中間取付金物１６と、座金１９やナツト２０等を
含む押え金物２２とによつて簡単且つ確実に鉄骨
躯体２にしつかりと取付けることができる。座金
１９やナツト２０を含む押え金物２２は、隣接す
る軽量コンクリート版１間に長尺溝形金物１０の
切欠き１１によつて形成される摺動口を被う大き
さをなしておれば、単独で用いて中間取付金物１
６に取付けて定規金物３を挟んで締着して軽量コ
ンクリート版１を取付出来る。

第４図および第５図にはこの考案の壁版取付装
置の更に別の実施例が示されており、第４図の実
施例は長尺溝形金物３０の横断面が半円形をなし
ていて軽量コンクリート版１に埋込み固定すべく
アンカー部材３４を有しており、この長尺溝形金
物３０に対応する中間取付金物３６の横断面は円
形をなした本体３７から成り、ボルト３８が設け
られている。また、この半円形の長尺溝形金物３
０に使用できる別の例が第４ａ図に示されてお
り、中間取付金物３６ａは半円形の本体３８ａか
ら成り、この本体３８ａにボルト３８ａが固着さ
れている。更にまた、第５図に示される別の例で
は軽量コンクリート版１にアンカー部材４４の助
けをかりて埋込固着される長尺溝形金物４０は横
断面がほゞ三角形状をなし、この形状に対応する
三角形の横断面の本体４７を有し且つこの本体４
７にボルト４８が設けられた中間取付金物４６が
用いられている。

この様に、この考案に依れば、軽量コンクリー
ト版に予め埋込固定された長尺溝形金物の隣接相
互間に形成される溝空所に中間取付金物を差込
み、押え金物によつて鉄骨躯体の定規金物を締着
するだけで、外壁版である軽量コンクリート版を
簡単、容易に且つ短時間に取付けることができ、
壁版取付現場においてモルタルを使用しないため
にモルタル凝結時間の無駄がなく、また予め長尺
溝形金物が壁版に埋込まれているために壁版と金
物が一体となり取付強度を向上させることができ
ると共に、壁版と鉄骨躯体の取付においてはボル
ト付の中間取付金物を用いて締着するために確実
に締付けでき、長尺溝形金物の切欠きによつて形
成される摺動口に基づいて壁版取付現場における
面内方向の寸法調整に容易に追従させることがで
きる。また、中間取付金物は長尺溝形金物の上部
の差込口から容易に差込でき、隣接する長尺溝形
金物の横断面の形状に対応する適宜な形状の中間
取付金物を使用でき、且つこれによつて中間取付
金物の共廻りが防止できる等の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の壁版取付装置の長尺溝形金
物が埋込まれた隣接する軽量コンクリート版を説
明のため離して示す横断面図、第１Ａ，１Ｂ図は
第１図の長尺溝形金物に使用できる中間取付金物
の変形例を示す横断面図、第２図はこの考案の壁
版取付装置により鉄骨躯体に軽量コンクリート版
を建込んだときの側断面図、第３図は軽量コンク
リート版の下部に予め埋込まれた長尺溝形金物を
示す斜視図、第４図は横断形状の異なる長尺溝形
金物が埋込まれた軽量コンクリート版と中間取付
金物の横断面図で、第４Ａ図は第４図の長尺溝形
金物に使用される中間取付金物の変形例を示す横
断面図、第５図は更に別の形状の異なる長尺溝形
金物が埋込まれた軽量コンクリート版と中間取付
金物の横断面図である。図中、１：軽量コンクリ
ート版、２：鉄骨躯体、３：定規金物、４：支持
金物、１０，３０，４０：長尺溝形金物、１６，
１６ａ，１６ｂ，３６，３６ａ，４６：中間取付
金物、１７，１７ａ，１７ｂ，３７，３７ａ，４
７：本体、１８，１８ａ，１８ｂ，３８，３８
ａ，４８：ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 相隣接して鉄骨躯体に建込まれる任意の２枚の
   軽量コンクリート版において相対向する端面の
   夫々に、面内方向外側の向きに向かつて開口して
   埋込まれる一対の長尺溝形金物であつて、しかも
   前記面内方向と直交する方向において前記鉄骨躯
   体側を向いて開口する差込口と摺動口を有する金
   物と、 前記鉄骨駆体に固定される定規金物と、 前記長尺溝形金物と定規金物の間に設けられ
   て、前記差込口を通して隣接する軽量コンクリー
   ト版の長尺溝形金物内に挿入して嵌合される頭部
   と、隣接する軽量コンクリート版の長尺溝形金物
   間に形成される前記摺動口から突出する棒状端部
   とを有する中間取付金物と、 前記中間取付金物に取付けて前記定規金物を挟
   んで締着する押え金物と、 を組合わせて成る壁版取付金物。