JPH0113653Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車の乗降用ステツプに関する。

一般に大型車両においては、そのフロアパネル
が路面よりもかなり高い位置に設けられているた
めに、その乗降を容易にする目的で乗降用ステツ
プが設けられている。この乗降用ステツプは車両
の側面であつて、しかもドアの下側に設けられて
いる。このようなステツプは、乗降動作の際には
なるべく外側に張出していることが好ましいが、
しかしあまり外側へ張出すようにすると、走行の
際に危険を生じて好ましくない。とくにダブルキ
ヤブ型のトラツクや消防車においては、ダブルキ
ヤブの後部座席の側面に設けられているドアの下
側のステツプは、車体よりもかなり内側に入つて
いるために、降車時における車内からのステツプ
の視認性が悪く、このために足を踏外す可能性が
あつた。そこで従来は、例えば視認性を向上させ
るために、フロアパネルを内側に切欠いたりして
いたが、フロアパネルを内側に切欠くと、キヤブ
の内部空間が実質的に狭くなるという不都合を生
ずる。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたも
のであつて、乗降の際にはステツプ板が外側へ回
動されてその乗降動作を容易にするとともに、走
行時においては内側へ収納されて安全性を高める
ようにした乗降用ステツプを提供することを目的
とするものである。

上記目的を達成するために本考案では、下端を
外側に張出すように傾斜した状態で上端をキヤブ
の側部下面に固定した左右一対のフレームの間に
車体の外側方向ほぼ水平な張出し位置とほぼ直立
した格納位置との間で起伏回動される複数枚のス
テツプ板をかけ渡し枢着し、前記ステツプ板の一
つと車体側の部材とをエアシリンダを介して枢支
結合している。また前記ステツプ板を相互に枢支
連結して回動位相を一致させるリンクを設けると
ともに、前記ステツプ板を格納位置方向に回動付
勢させる戻しばね及びドアの開閉を検出して信号
を出力するドアスイツチを設けている。そして前
記ドアスイツチからドアが開かれている旨の信号
が出力されているときに前記ステツプ板を前記戻
しばねに抗して張出し位置まで倒伏回動させる一
方、前記ドアスイツチからドアが閉じられている
旨の信号が出力されているときに前記ステツプ板
を格納位置まで起立回動させるよう前記エアシリ
ンダを制御する手段を設けて自動車の乗降用ステ
ツプを構成している。

このように構成された自動車の乗降用ステツプ
においては、自動車が走行に供される場合のよう
にドアが閉じられているときは、ドアスイツチか
らの信号に基づいてエアシリンダがステツプ板を
格納位置に起立回動保持させている。またステツ
プ板を戻しばねによつて格納位置方向に回動付勢
させているために、ステツプ板の枢着部分などに
遊びを設けてその回動の円滑性を確保した場合に
も、自動車の走行振動などによつてステツプ板が
自由に運動することがなく、異音の発生が予防さ
れる。

一方、乗員の乗降などにともなつてドアが開け
られると、ドアスイツチからの信号によつてエア
シリンダが作動してステツプ板を倒伏回動させ
る。従つてドアが開いているときはフレームに装
着されているステツプ板が車体外方に水平状態に
張出し回動保持されるために、ステツプ板の視認
性が高くなり、乗降の安全性が確保される。

以下に本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図および第２図は本実施例に係るステツプ
１を備えたダブルキヤブ型の消防車を示すもので
あつて、キヤブ２は前後にそれぞれ座席を備えた
ダブルキヤブから構成されている。そして後ろ側
の座席の側面側にはドア３が設けられており、こ
のドア３によつて後部座席への乗降を可能として
いる。そしてドア３の下部に上記ステツプ１が設
けられている。

ステツプ１は第３図に示すように、左右一対の
フレーム４と、上下一対のステツプ板５，６とか
ら構成されている。フレーム１は、その上端がフ
ロアパネル７の下面に固着されて車体に取付けら
れている。なおフレーム４は、下端がやや外側に
張出すように傾斜した状態でフロアパネル７に取
付けられている。そして上記一対のステツプ５，
６はそれぞれピン８，９によつてフレーム４に回
動可能に支持されている。またステツプ板５，６
はリンク１０によつて互に連結されており、これ
によつてステツプ板５，６、フレーム４および上
記リンク１０が４節のリンク機構を構成してい
る。またフレーム４には、その側面側に上下一対
のストツパ１１が折曲げて連設されており、この
ストツパ１１によつて一対のステツプ板５，６が
外側へ回動したときにおける倒伏姿勢が第３図に
実線で示すようにほぼ水平となるようにしてい
る。また上記ピン９とステツプ板５に取付けられ
たピン１２との間には、戻しばね１３が掛渡され
ており、これによつて一対のステツプ板５，６は
それぞれ第３図において鎖線で示すように格納方
向へ回動付勢されている。

さらに上側のステツプ板５は、エアシリンダ１
４を介してフロアパネル７と連結されるようにな
つている。すなわちフロアパネル７の下面には、
ブラケツト１５を介してエアシリンダ１４が取付
けられており、このエアシリンダ１４のピストン
ロツド１６は、ステツプ板５に植設されたピン１
７と連結されている。エアシリンダ１４は、電磁
弁１８を介してエアタンク１９と接続されてい
る。またエアタンク１９からエアシリンダ１４へ
の圧縮空気の供給を制御する電磁弁１８のコイル
は、バツテリ２０と、ドアスイツチ２１を介して
接続されている。ドアスイツチ２１は、上記キヤ
ブ２の後ろ側のドア３の開閉を検出するようにな
つており、ドア３が開かれるとスイツチ２１が閉
じるように構成されている。

以上のような構成において、ドア３が閉じられ
ている場合には、ドアスイツチ２１は開成されて
おり、バツテリ２０から電磁弁１８のコイルへ電
流が流れることはなく、このために電磁弁１８は
閉じた状態にある。従つてエアタンク１９からエ
アシリンダ１４への圧縮空気の供給も行なわれ
ず、エアシリンダ１４の内部の圧力は、電磁弁１
８の排気口によつて大気圧と等しい圧力になつて
いる。従つてこのエアシリンダ１４のピストンロ
ツド１６と連結されているステツプ板５は、戻し
ばね１３の弾性復元力によつて第３図において鎖
線で示すようにピン８を中心として時計方向に回
動され、フロアパネル７の下側に収納されるよう
になつている。そしてこのステツプ板５とリンク
１０を介して連結されている下側のステツプ板６
も、同様にピン９を中心として時計方向に回動さ
れて格納位置にある。

このような状態において、ドア３を開くとドア
スイツチ２１が閉成され、この結果バツテリ２０
から電磁弁１８のコイルに電流が流れ、電磁弁１
８が開かれることになる。従つてエアタンク１９
内の圧縮空気は電磁弁１８を通つてエアシリンダ
１４内に供給される。従つてこのエアシリンダ１
４のピストンロツド１６が引込まれることにな
り、上側のステツプ板５は戻しばね１３に抗して
ピン８を中心として第３図において反時計方向に
回動される。そしてこのステツプ板５とリンク１
０を介して連結されている下側のステツプ板６も
同様にピン９を中心として反時計方向に回動さ
れ、第３図において実線で示すように、車両の側
方側へ突出することになる。なお一対のステツプ
板５，６の外側へ回動されたときの回動位置は、
ストツパ１１によつて規制されることになり、一
対のステツプ板５，６はそれぞれほぼ水平な状態
に維持されることになる。

このように本実施例のダブルキヤブ型の消防車
においては、ドア３が開かれると、これに連動し
てステツプ１のステツプ板５，６がそれぞれ外側
へ回動されるようになつているために、その乗降
の動作が非常に安全になる。とくにキヤブ２の中
にいる人が下へ降りる場合においては、キヤブ２
の上からステツプ板５，６を容易に目視によつて
確認することができるために、降車時にステツプ
１から足を踏外す危険性もなくなる。

そして乗降動作が終了し、キヤブ２のドア３が
閉じられると、これに伴つて第３図に示すドアス
イツチ２１が開かれ、これによつて電磁弁１８が
閉じられるために、エアシリンダ１４内の圧縮空
気は電磁弁１８の排気口を通つて外部に排出され
ることになる。従つて一対のステツプ板５，６は
それぞれ戻しばね１３によつて第３図において鎖
線で示すように、ピン８，９を中心としてそれぞ
れ時計方向に回動されてフロアパネル７の下側へ
格納されることになる。このようにステツプ１を
使用しない場合には、このステツプ１のステツプ
板５，６がそれぞれキヤブ２の下側へ格納されて
収納されるようになつており、側方へ突出するこ
とがないために、この消防車の走行時において、
ステツプ板５，６が歩行者や障害物、あるいは他
の車両と接触することがなく、このために安全性
も非常に高くなる。また本実施例によれば、ステ
ツプ板５，６を回動式としているために、フロア
パネル７を切欠く必要がなく、このためにキヤブ
２の実質的なスペースが狭くなることはない。

以上本考案を図示の一実施例につき述べたが、
本考案は上記実施例によつて限定されることな
く、本考案の技術的思想に基づいて各種変更が可
能である。例えば上記実施例はダブルキヤブ型の
消防車に係るものであるが、本考案はその他各種
の車両の乗降用ステツプに適用可能である。また
上記実施例ではステツプ板とキヤブのフロアパネ
ルとをエアシリンダを介して枢支結合している
が、キヤブのフロアパネルに代えて車体フレーム
とステツプ板との間をエアシリンダを介して枢支
結合することもできる。また上記実施例におい
て、ドア３は回動式に構成されているが、スライ
ド式のドアを備えた車両にも本考案は適用可能で
ある。

以上に述べたように本考案は、ステツプ板とフ
レームとから成り、ステツプ板を回動可能にフレ
ームによつて支持するとともに、フレームを車体
に取付け、さらにステツプ板を回動させるアクチ
ユエータを設け、ドアを開くとアクチユエータに
よつてステツプ板が外側に回動されるようにした
ものである。従つて本考案によれば、ドアが開か
れるとアクチユエータによつてステツプ板が外側
に回動され、乗降の動作を安全に行なうことが可
能になる。またドアが閉じられると、これに伴つ
てステツプ板が格納されるようになるために、走
行時における安全性も向上することになる。また
フロアパネルを切欠いたりする必要がなくなるた
めに、車内の有効スペースが狭くなることもなく
なる。さらにリンクを介して相互に枢支連結され
たステツプ板を戻しばねによつて格納位置方向に
回動付勢させている。従つてステツプ板の枢着部
分などに遊びを設けてその回動の円滑性を確保し
た場合においても、前記戻しばねの張力でステツ
プ板の自由運動が阻止されるために、自動車の走
行振動などに伴なつて異音が発生することもな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るステツプを備
えたダブルキヤブ型の消防車の正面図、第２図は
同要部側面図、第３図はこの消防車のステツプの
取付け構造を示す要部拡大背面図である。 なお図面に用いた符号において、１……ステツ
プ、３……ドア、４……フレーム、５，６……ス
テツプ板、８，９……ピン、１４……エアシリン
ダ、２１……ドアスイツチである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下端を外側に張出すように傾斜した状態で上端
   をキヤブの側部下面に固定した左右一対のフレー
   ムと、これらフレームの間にかけ渡し枢着されて
   車体の外側方向ほぼ水平な張出し位置とほぼ直立
   した格納位置との間で起伏回動される複数枚のス
   テツプ板と、該ステツプ板の一つと車体側の部材
   とを枢支結合するエアシリンダと、前記ステツプ
   板を相互に枢支連結して回動位相を一致させるリ
   ンクと、前記ステツプ板を格納位置方向に回動付
   勢させる戻しばねと、ドアの開閉を検出して信号
   を出力するドアスイツチと、該ドアスイツチから
   ドアが開かれている旨の信号が出力されていると
   きに前記ステツプ板を前記戻しばねに抗して張出
   し位置まで倒伏回動させる一方、前記ドアスイツ
   チからドアが閉じられている旨の信号が出力され
   ているときに前記ステツプ板を格納位置まで起立
   回動させるよう前記エアシリンダを制御する手段
   とを備えてなる自動車の乗降用ステツプ。