JPH0113636Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は反転式座席の反転時に要する持ち上げ
力を軽減させる反転力軽減機構に関するものであ
る。

一般に、レクリエーシヨン・カーや列車の座席
には、背当て部を座り部の前後縁の間で反転でき
るようにして、座席そのものの向きを変えなくて
も着座する人が向きを変えて座れるようにしたも
のがある。このような反転式座席の背当て部は、
座り部の下の台枠に設けた枢着点を中心として座
り部の上を横切つて回転させることにより反転さ
れるものであるが、反転させようとするときは背
当て部を若干持ち上げ気味にするなどして操作し
なければならないので、重量のある、例えば二人
掛け用座席の背当て部などでは相当な労力を必要
とし、婦人子供などには操作しにくい難点があ
る。

このため従来座席の下方空間に前後回動用のコ
イルスプリングを配して回動を補助するようにし
たもの（実開昭56−128068）や、シートバツクの
側部に流体圧往復機構と共にコイルスプリングを
並設したもの（実公昭50−13604）が知られてい
る。

しかし、前者はシートの幅方向の中心からずれ
た両側にそれぞれ前転用及び後転用のコイルスプ
リングを配してあり、中心からずれた片側でしか
前転又は後転のための補助力を得られないため、
操作性が劣るという不具合があることに加え、シ
ート下方にコイルスプリング伸縮のための空間を
必要とし、シートクツシヨンの高さが制約を受け
るという不具合がある。

また、後者はシートバツクの一側部にだけコイ
ルスプリングを配設してあるため、その側部にだ
けバネの付勢力が作用し、シートバツクがねじれ
てしまうという操作性の悪さを露呈し、またコイ
ルスプリング収容のための空間をシートバツク側
部に要するため、その分シート幅が制約を受ける
という不具合があり、いずれにしても満足すべき
回転力軽減機構はこれまで得られていない。

本考案はこれらの事情に鑑みてなされたもの
で、背当て部の反転方向に常時弾性偏倚力を背当
て部両側部においてほぼ均等に作用させ、しかも
設置のために大きなスペースを要さず、座席の寸
法に制約を与えることのない、操作性の優れた反
転力軽減機構を提供することを目的とする。

図面を参照して本考案の実施例について説明す
る。第１図は本考案を応用した反転式座席の構成
概略を示す側面図、第２図は反転力軽減機構を詳
細に示す斜視図である。

図において、１は台枠で、その両側部１ａに枢
着した一対のリンク２，２及び３，３が連結金具
４を介して背当て部５の両側部に枢着され、背当
て部５を反転可能に支持している。背当て部５の
下端に縁部６ａ又は６ｂを圧下されるようにして
座り部６が台枠１上に載置されている。７は座り
部６の枢支部である。第１図の左側に実線で示す
背当て部５を右側に鎖線で示す位置へ反転させる
と、座り部６も鎖線で示すように反対に傾く。

本考案に係る反転力軽減機構は、第２図に示す
ように、台枠１の上面に横断的に配置したトーシ
ヨンバー１０から成る。トーシヨンバー１０は、
これにねじり弾性力を与えるための、２種の屈曲
部１０ａ，１０ｂを、その長さ方向の異なる位置
に自然状態で互いに異なる平面内に形成されてい
る。中間部に形成された屈曲部１０ａは台枠１の
上面クロスバー１ｂ上に固定される。両端の屈曲
部１０ｂは、荷重を加えない自然状態で例えば屈
曲部１０ａに対し約90゜開いた平面内に横たわる
ように形成される。両端の屈曲部１０ｂ，１０ｂ
のそれぞれ根元付近を適宜ブラケツトにより両側
の台枠側部１ａのそれぞれ上面にトーシヨンバー
の回動を許すように固定する。背当て部５の両側
部の一対のリンク２，２及び３，３にはそれぞれ
一対のピン１１，１２が突設され、このピン対の
間にトーシヨンバーの両端屈曲部１０ｂ，１０ｂ
を挾む。

以上の構成において、第１図実線の位置に背当
て部５があるとき、トーシヨンバー１０の両端屈
曲部１０ｂは、自然状態（ほぼ直立状態）から
90゜近く倒されてリンク２とリンク３との各ピン
１２にそれぞれ係合し、トーシヨンバー１０の主
体部に第１図で時計回り方向の弾性偏倚力を発生
させる。この弾性偏倚力は背当て部５の両側部に
ほぼ均等に作用している。このため背当て部５を
反対側（鎖線位置）へ反転させようとするとき
は、この蓄積された弾性偏倚力が背当て部５の両
側部で均等に働いて、その重量の一部を担い、背
当て部をねじれさせたりすることなく、その持ち
上げに要する人力を軽減させるから、軽易に反転
操作を行うことが可能となる。背当て部５が反対
側（第１，２図で１点鎖線で示す位置）へきたと
きは、第２図に示すように両端屈曲部１０ｂ，１
０ｂが同じく自然状態から約90゜倒された状態で
ピン１１に係合するから、今度は反時計回りの弾
性偏倚力が蓄積され、これが再び背当て部を反転
させようとするときの持ち上げ力を軽減させるこ
とになる。

以上説明のように本考案によれば、トーシヨン
バーを台枠上面と座り部底面との間に配設し、ト
ーシヨンバー両端の屈曲部を背当て部の左右両側
に均等に作用させるようにしたから、反転に際し
背当て部にねじれ力などが作用せず、婦人子供に
も軽く簡単に動かすことのできる操作性の優れた
反転式座席を設けることができる。トーシヨンバ
ーは、体積の小さいものであるから、設置に特別
大きなスペースを要さず、座席の高さや幅に制約
を与えるようなことがない有利さに加え、１本の
連続した材質であるから、仮に経年変化により弾
性力が劣化したとしても全長ほぼ均等に変化する
ため、背当て部の左右両側部において弾性偏倚力
に差異を生じないという効果がある。また反転操
作の最後の段階においてはねじり弾性力を印加さ
れつつあるトーシヨンバーが緩衝作用を果すの
で、力を抜いて背当て部を落下させても大きな衝
撃音を発することが比較的少なく、軽易安全静穏
に反転式座席を操作しうるようになる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る反転力軽減機構を備えた
反転式座席の構成概略を示す側面図、第２図は反
転力軽減機構の詳細を示す斜視図であつて座席は
鎖線で示してある。 主要符号、１……台枠、１ａ……側部、２，
２，３，３……一対のリンク、５……反転式背当
て部、６……座り部、１０……トーシヨンバー、
１０ａ，１０ｂ……屈曲部、１１，１２……一対
のピン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 台枠上に載置された座り部と、自身の両側部を
   該台枠に対してそれぞれ一対のリンクを介して支
   持し反転可能に連結された背当て部とを有する反
   転式座席において、 前記台枠上面と座り部底面との間に、異なる平
   面内に形成された２種の屈曲部を有するトーシヨ
   ンバーを横断的に配置し、 前記屈曲部の一方は前記トーシヨンバーのほぼ
   中央部に形成されて前記台枠上に固定され、他方
   の屈曲部は前記背当て部の両側部に延設された前
   記トーシヨンバーの両端部にそれぞれ形成され、
   前記リンク対に係合させて前記トーシヨンバーに
   弾性偏倚力を発生させるようにしたことを特徴と
   する反転式座席の反転力軽減機構。