JP7846935B1 - 基材への付着性が良好な塗料組成物 - Google Patents
基材への付着性が良好な塗料組成物Info
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Abstract
【解決手段】水酸基含有成分(a)とイソシアネート含有成分(b)を含むウレタン塗料組成物であって、前記水酸基含有成分(a)が水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)を含み、前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)は、ガラス転移温度が85℃以下であり、かつ、水酸基価(固形分換算)Xが10mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、数平均分子量Yが2,000以上20,000以下であり、前記Xと前記Yの比率によって表される「X/Y×100」が、0.10以上5.00以下であることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
なお、前記非特許文献1では表面張力が示されているが、ここでは数値の大小を比較して議論するために、等価な次元単位として表面自由エネルギーに置き換えている。以下においても同様に、表面自由エネルギーにて議論する。
一般に、ポリオール成分の平均水酸基価を低くすると、密着性を向上できるものの、耐薬品性および耐擦傷性が低下する傾向がある。また、ポリオール成分のガラス転移温度を低くすると、密着性および耐擦傷性を向上できるものの、耐薬品性が低下する傾向がある。しかしながら、前記コーティング剤によって得られる塗膜は、密着性、耐薬品性および耐擦傷性のバランスが取れている。この理由について、明細書にて次のように考察されている。
ポリイソシアネート成分とポリオール成分(アクリルポリオール)との反応が進むと、ネットワークが形成されるが、アクリルポリオールのガラス転移温度が高いと、このネットワークが剛直になり、反応後のアクリルポリオールの運動が抑制される。そうすると、アクリルポリオールの反応性が低下し、反応に預からない官能基が増え(すなわち、ネットワークを形成しないアクリルポリオールが増える)、その結果、剛直でありながらも、比較的緩いネットワークが形成される。そのため、剛直さに起因して、耐薬品性および耐擦傷性が向上し、緩いネットワークに起因して、密着性が向上する。
よって、将来的に、加飾フィルムによって加飾層が形成された自動車外装材の補修が求められることが予想される。ただし、加飾技術によって、損傷箇所をスポット的に補修するのは難しく、時間的および経済的観点から、従来の補修用塗料を用いた方法を採用する必要がある。しかしながら、塗膜と比較して、硬度や伸びの点で異なる加飾フィルムに対しては、従来の補修用塗料をそのまま適用できない可能性がある。特に、付着性や仕上がり性の点で懸念がある。
このように、加飾フィルムとして使用されているフィルムの種類まで特定して、最適な補修用塗料を選定することは、塗装者にとって負担が大きい。
より具体的には、前記水酸基含有成分(a)は、水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)を含み、前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)が次の各条件を全て満たす場合に、基材に対する付着性に有利に作用することを見出した。
第1の条件:ガラス転移温度が85℃以下であること。
第2の条件:水酸基価(固形分換算)Xが10mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であること。
第3の条件:数平均分子量Yが2,000以上20,000以下であること。
第4の条件:前記Xと前記Yの比率によって表される「X/Y×100」が、0.10以上5.00以下であること。
なお、前記基材には、加飾フィルムによって形成される加飾層も含むものとする。また、前記塗料組成物は、加飾フィルムが貼られた加飾物品(以下、単に「加飾物品」と略記する)の損傷箇所の補修に適用することができる。
また、車両補修、特に部分補修においては、補修部位とその周囲の非補修部位との間に色味の差異が生じないように、補修部位をピンポイントで塗装するのではなく、「ぼかし塗装」という手法が用いられる。図2~5における補修塗膜は曲面で示されているが、前記ぼかし塗装が施されたことを表している。
さらに、加飾フィルムは、複数のフィルムが積層されたものであるが、図4および図5では各層の詳細や層構成には触れず、単に「加飾物品」として簡易的に示し、加飾物品の損傷の程度によって場合分けして議論している。
本発明の水酸基含有成分(a)は、少なくとも、水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)を含む。前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)は、ガラス転移温度が85℃以下であり、かつ、水酸基価(固形分換算)Xと数平均分子量Yの比率によって表される「X/Y×100」(以下、「水酸基指数」と定義する)が、0.10以上5.00以下であることを特徴とする。
特許文献1として示した特開2014-019714号公報では、プラスチック素材への付着性、耐汚染性(耐オレイン酸性及び耐乳酸性)と仕上り性に優れる塗膜を得ることができるプラスチック用塗料組成物について、硬化塗膜の架橋間分子量が一定の値以下であることを規定している。このような架橋間分子量は、硬化塗膜を動的粘弾性測定装置によって評価し、理論式を適用して算出される。一方、前記水酸基指数は、塗料組成物の基材への付着性に関する水酸基含有成分による寄与を示した指標であるという点で異なる。本発明によれば、前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)と前記イソシアネート含有成分(b)の反応をさせることなく基材への付着性の予測が可能となるので、反応温度やNCO/OHといった反応条件に影響を受けない。
また、特許文献2として示した特開2021-011544号公報では、アクリルポリオールのガラス転移温度が高く、ポリイソシアネート成分との反応によって形成されるネットワークが剛直になるにもかかわらず、密着性が向上することについて考察している。前記考察では、ネットワークを形成しないアクリルポリオールが増えることで、比較的緩いネットワークが形成されるとしているが、前記水酸基指数の考え方とは異なるものである。
本発明における水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)は、既報に従って合成してもよいし、既製品を使用してもよい。既報に従って合成する場合、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを必須成分とし、カルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー、その他の重合性モノマーを併せて用いることができる。
これらは単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
これらは単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
これらは単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
ガラス転移温度が0℃未満の場合には、塗膜にタックが生じやすい。
ガラス転移温度が85℃を超える場合には、基材への付着性が不十分となるおそれがある。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・+Wi/Tgi (1)
ここで、添え字の1,2,3,・・・iは構成単量体成分を示し、Wiは構成単量体成分iの重量分率、Tgiは構成単量体成分iのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)を表す。
水酸基価(固形分換算)Xが10mgKOH/g未満の場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との反応によって得られる塗膜について、1分子当たりの架橋点が少なくなるので、耐水性が悪化するおそれがある。
水酸基価(固形分換算)Xが180mgKOH/gを超える場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との反応によって得られる塗膜について、1分子当たりの架橋点が多くなるので、基材への付着性が不十分となるおそれがある。
数平均分子量Yが2,000未満の場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との反応によって得られる塗膜について、十分な耐水性が得られないおそれがある。
数平均分子量Yが20,000を超える場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との相溶性が悪化するおそれがある。
水酸基指数が0.10未満または5.00を超える場合には、基材への付着性が不十分となるおそれがある。
本発明における水酸基含有(メタ)アクリル成分(a2)は、前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)とは異なる成分である。より具体的には、ガラス転移温度が85℃を超える、および/または、水酸基指数が5.00を超える成分である。前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)と同様に、既報に従って合成してもよいし、既製品を使用してもよい。
水酸基価(固形分換算)Xが40mgKOH/g未満の場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との反応によって得られる塗膜について、1分子当たりの架橋点が少なくなるので、耐水性が悪化するおそれがある。
水酸基価(固形分換算)Xが180mgKOH/gを超える場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との反応によって得られる塗膜について、1分子当たりの架橋点が多くなるので、基材への付着性が不十分となるおそれがある。
数平均分子量Yが2,000未満の場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との反応によって得られる塗膜について、十分な耐水性が得られないおそれがある。
数平均分子量Yが20,000を超える場合には、後述するイソシアネート含有成分(b)との相溶性が悪化するおそれがある。
本発明における他の水酸基含有成分(a3)は、(メタ)アクリル成分以外の水酸基含有成分である。既報に従って合成してもよいし、既製品を使用してもよい。
このような成分としては特に制限はないが、例えば、ポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリウレタンポリオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。また、ポリエステルポリウレタンポリオールのように、これらの組み合わせであってもよい。
本発明におけるイソシアネート含有成分(b)は、前記水酸基含有成分(a)中の水酸基と反応し得る成分であり、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、芳香族イソシアネートの3種から選ばれる少なくとも1種である。また、塗膜の耐水性の観点から、分子内にイソシアネート基を2つ以上有する化合物であることが好ましい。これらは単独で用いることもできるが、2種以上を併用することもできる。
前記脂環族イソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香族イソシアネートとしては、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、等が挙げられる。
また、これらのビウレット体、アロファネート体、イソシアヌレート体、ウレトジオン体、アダクト体等の多量体を用いることもできる。さらに、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変性したものを用いることもでき、既報に従って合成してもよいし、既製品を使用してもよい。
ただし、分子量が極端に大きなイソシアネート含有成分(b)を用いると、硬化塗膜における前記イソシアネート含有成分(b)の寄与が大きくなり、前記水酸基含有成分(a)の水酸基指数による基材への付着性の指標がうまく機能しない場合がある。本発明においては、分子量が2,000以下のものが好ましく、1,000以下のものがより好ましい。
当量比NCO/OHが0.5未満の場合、十分な塗膜硬度が得られない可能性がある。
当量比NCO/OHが2.0より大きい場合、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
本発明においては、必要に応じて、その他の成分(c)を含むことができる。
例えば、分散剤、粘性調整剤、表面調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、触媒、シランカップリング剤等の一般的な塗料に用いられる添加剤を含むことができる。
また、顔料、着色剤、艶消し剤を含むことができる。さらに、希釈溶媒によって希釈することもできる。
着色顔料としては、例えば、アンスラキノン系、ジケトピロロピロール系、キナクリドン系、ペリレン系、ジオキサジン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、フタロシアニン系、スレン系などの有機系顔料や、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、アゾメチン銅錯体、バナジン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、カーボンブラック等の無機系顔料が挙げられる。また、アルミニウム(蒸着アルミニウムを含む)、亜鉛、ニッケル、銅、銀、およびこれらの合金;酸化アルミニウム、雲母、金属酸化物で表面被覆された雲母等の光輝性顔料を用いることもできる。
体質顔料としては、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、水酸化カルシウム、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、タルク、カオリン、クレー等の無機系顔料が挙げられる。
防錆顔料としては、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、トリポリリン酸アルミニウム等のリン酸塩系;亜リン酸亜鉛、亜リン酸カルシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸塩系;モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム等のモリブデン酸塩系;メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸カルシウム、メタホウ酸バリウム等のメタホウ酸塩系;カルシウムイオン等のカチオンをイオン交換によって結合させたイオン交換シリカ;ケイ酸カルシウム;雲母状酸化鉄(MIO);亜鉛末等が挙げられる。
本発明における塗料組成物は、貯蔵安定性やポットライフを踏まえて、前記水酸基含有成分(a)を含むA液と、少なくとも前記イソシアネート含有成分(b)を含むB液を混合して調製することが好ましい。前記A液および前記B液は、それぞれ公知の方法を用いて混合することによって得ることができる。また、本発明の実施に際しては、前記A液と前記B液とは何れが主剤であっても硬化剤であっても構わないし、他の第3液を付加して多液塗料組成物として実施しても構わない。
前記A液および前記B液は、使用前に混合して、通常の塗装方法により塗装することができる。例えば、刷毛、コテ、ヘラ、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、カーテンフローコーター、ロールコーター、ダイコーター等の一般に用いられている塗装方法等を挙げることができる。また、被塗物を塗料に浸漬させて仕上げることもできる。
本発明における塗料組成物は、各種基材への付着性が良好であるが、Fowkesの式の拡張(北崎・畑理論)によって算出される表面自由エネルギーが40mJ/m2未満であるポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系基材;ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系のプラスチック基材に対しては、付着性が不十分となる場合がある。よって、このような基材に対しては、専用のプライマーを塗装する、または、表面処理を施すことが好ましい。
一方、本発明における塗料組成物は、Fowkesの式の拡張(北崎・畑理論)によって算出される表面自由エネルギーが40mJ/m2以上であるプラスチック基材に対しては、専用のプライマーを塗装する、または、表面処理を施すことなく良好な付着性を示す。このようなプラスチック基材としては、例えば、ポリスチレン、アクリル、塩化ビニル、ABS、ポリカーボネート、ウレタン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む)、ポリアミド、ナイロン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、繊維強化プラスチック等が挙げられる。
金属基材としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム等を用いることができる。また、これらの金属を含む合金を用いることができる。さらに、メッキが施されたものや表面処理が施されたものも用いることができる。
[工程1-1]:基材を準備する工程
[工程1-2]:前記基材に本発明の塗料組成物を塗装して、塗膜を得る工程
[工程1-3]:前記塗膜を乾燥して塗装物品を得る工程
まず、被塗物である基材として用いられるABS樹脂パーツを準備する。前記ABS樹脂パーツは、そのまま用いることもできるが、脱脂や洗浄によって表面を清浄な状態にすることが好ましい。また、表面を研磨してから用いてもよい。研磨には、例えば、サンドペーパーを使用した手作業による方法や、ディスクサンダー等の電動工具を使用する方法を採用することができる。また、研磨後は、水洗や脱脂によって塗膜表面を清浄にすることが好ましい。以下、研磨~洗浄の一連工程については同様の方法を採用することができ、単に「研磨・洗浄」と略記する。
次に、前記工程1-1で準備した基材に、エアスプレーガンを用いて、本発明の塗料組成物を乾燥膜厚が10~100μm、好ましくは30~70μmとなるように塗装し、塗膜を形成する。
次に、前記工程1-2で得られた塗膜を乾燥させる。例えば、10~100℃、好ましくは40~80℃の温度、5~90%、好ましくは10~70%の相対湿度にて、10~180分間、好ましくは20~120分間乾燥させる。
なお、前記工程1-2で形成する塗膜の上に、さらにクリヤー塗膜を形成することもできる。その場合、前記工程1-2で形成する塗膜を流動性がなくなる程度に乾燥させた後に、クリヤー塗装をすることができ、複層塗膜としてまとめて乾燥させることができる。
[工程2-1]:補修対象となる塗装物品を準備し、前処理する工程
[工程2-2]:損傷箇所に本発明の塗料組成物を塗装して、補修塗膜を得る工程
[工程2-3]:前記補修塗膜を乾燥して補修塗装物品を得る工程
まず、補修対象となる塗装物品を準備する。補修の対象となる損傷箇所には傷や凹みが生じているので、対象箇所およびその周辺を研磨・洗浄する。必要に応じてパテで凹凸を埋め、再度、研磨・洗浄して表面を一様にする。なお、パテを塗装する場合、事前にプライマーを塗装しておくことが好ましい。
次に、プライマーやプライマーサーフェーサーを塗装して、例えば、10℃以上100℃以下で、10分から180分間乾燥させることで下塗り層を形成する。なお、補修塗膜の仕上がり性の観点から、前記下塗り層を研磨・洗浄することが好ましい。研磨・洗浄する場合は、研磨・洗浄後の乾燥膜厚が10~150μmとすることが好ましい。
次に、前記工程2-1で前処理した損傷箇所に、本発明の塗料組成物を塗装して、補修塗膜を形成する。前記工程1-2と同様の操作とすることができる。
次に、前記工程2-2で得られた補修塗膜を乾燥させる。前記工程1-3と同様の操作とすることができる。
[工程3-1]:補修対象となる加飾物品を準備し、前処理する工程
[工程3-2]:損傷箇所に本発明の塗料組成物を塗装して、補修塗膜を得る工程
[工程3-3]:前記補修塗膜を乾燥して補修塗装物品を得る工程
まず、補修対象となる加飾物品を準備する。補修の対象となる損傷箇所には傷や凹みが生じているので、対象箇所およびその周辺を研磨・洗浄し、プライマーを塗布する。
ここで、前記工程2-1とは異なり、研磨に起因する熱や応力によって、加飾フィルムの構成フィルムが伸びやすいので、旧フィルムの端部が際立たないように注意する必要がある。また、プラスチック用プライマーを塗布することが好ましい。
必要に応じてパテで凹凸を埋め、再度研磨・洗浄して表面を一様にする。
次に、プライマーやプライマーサーフェーサーを塗装して、例えば、10℃以上100℃以下で、10分から180分間乾燥させることで下塗り層を形成する。なお、補修塗膜の仕上がり性の観点から、前記下塗り層を研磨・洗浄することが好ましい。研磨・洗浄する場合は、研磨・洗浄後の乾燥膜厚が10~150μmとすることが好ましい。
ここで、旧フィルムの端部のシール性を高めるために、本発明の塗料組成物をクリヤー塗料として塗装する工程を含めてもよい。
前記前処理を施した損傷箇所に、本発明の塗料組成物を塗装して、補修塗膜を形成する。前記工程1-2と同様の操作とすることができる。
前記工程3-2で得られた塗膜を乾燥させる。補修塗膜を乾燥させる。前記工程1-3と同様の操作とすることができる。
[水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)]
水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)を合成する場合は、構成するモノマーとして以下の表1に示す原料を用いた。
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、「機能性モノマーの選び方・使い方 事例集」(発行者:技術情報協会、発刊日:2017年7月31日)を参照した。記載がないものについては、メーカーのカタログ値を参照した。
水酸基含有(メタ)アクリル成分(a2)を合成する場合は、前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)と同様に、構成モノマーとして表1に示す原料を用いた。
・b-1:デュラネートE405-70B(旭化成(株)製、HDIのアダクト体)
・b-2:デュラネートTPA-100(旭化成(株)製、HDIのイソシアヌレート体)
・b-3:デュラネート24A-100(旭化成(株)製、HDIのビウレット体)
・b-4:デュラネートD201(旭化成(株)製、HDIの2官能型変性体)
・b-5:タケネートD-140N(三井化学(株)製、IPDIのトリメチロールプロパンアダクト体)
・b-6:デスモジュールZ4470BA(住化コベストロウレタン(株)製、IPDIのイソシアヌレート体)
・b-7:スタビオD-370N(三井化学(株)製、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)
なお、デュラネート、タケネート、デスモジュール、スタビオは、いずれも登録商標である。
(アクリルフィルム)
・テクノロイS001G(住友化学株式会社製、125μm、以下の表では「アクリル S001G」と略記する)
・アクリプレンHBS010P(三菱ケミカル株式会社製、75μm、以下の表では「アクリル HBS010P」と略記する)
(ウレタンフィルム)
・エスマーURS PX98(日本マタイ株式会社製、50μm、以下の表では「ウレタン PX98」と略記する)
(塩ビフィルム)
・スミライトVSS-6702(住友ベークライト株式会社製、60μm、以下の表では「塩ビ 6702」と略記する)
(ポリカーボネートフィルム)
・パンライトPC1151(帝人化成株式会社製、300μm、以下の表では「ポリカ PC1151」と略記する)
(易接着PETフィルム)
・コスモシャインA4360(東洋紡株式会社製、125μm、以下の表では「PET A4360」と略記する)
なお、テクノロイ、アクリプレン、エスマー、スミライト、パンライト、コスモシャインは、いずれも登録商標である。
(合成例1)
本発明の水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)は、既報に従って合成した。
まず、温度計、撹拌器、還流管、滴下ロート、窒素導入管を備えた反応容器中に、モノマーとして、酢酸ブチル(56.9重量部)を仕込み還流させた。次に、4-HBA(4.9重量部)、MMA(24.6重量部)、i-BMA(23.4重量部)、t-BMA(14.9重量部)、2-EHA(15.6重量部)、CHMA(15.6重量部)、AA(1.0重量部);重合開始剤として、Trigonox(登録商標) BPIC-C75(化薬ヌーリオン(株)製、5.2重量部)を4時間かけて滴下した後、4時間熟成させた。冷却後、酢酸ブチルで固形分を50%に調整して水酸基含有(メタ)アクリル成分a1-1を得た。
表2に示す組成に変更した以外は合成例1と同様に合成し、水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)としてa1-2~a1-13、水酸基含有(メタ)アクリル成分(a2)としてa2-1~a2-3を得た。
一実施態様として、少なくとも水酸基含有成分(a)を含むA液と、少なくともイソシアネート含有成分(b)を含むB液を混合して調製する方法を示す。
[A液]
水酸基含有成分(a)、必要に応じて、その他の成分(c)を混合し、ディスパーを用いて均一に撹拌した。固形分は30%以上70%以下が好ましい。例えば、固形分50%に設計したものを用いることができる。
[B液]
イソシアネート含有成分(b)、必要に応じて、その他の成分(c)を混合し、ディスパーを用いて均一に撹拌した。固形分は50%以上100%以下が好ましい。例えば、固形分70%に設計したものを用いることができる。
A液およびB液を混合し、前記水酸基含有成分(a)に含まれる水酸基(OH)、前記イソシアネート含有成分(b)に含まれるイソシアネート基(NCO)の当量比:NCO/OHが0.5以上2.0以下の範囲となるように、ディスパーを用いて均一に撹拌し、塗料組成物を得た。
ここでは、一実施態様としてA液とB液の2液塗料組成物としての実施を示したが、本発明の実施に際しては、前記A液と前記B液とは何れが主剤であっても硬化剤であっても構わない。また、他の第3液を付加して多液塗料組成物として実施しても構わない。
[付着性]
塗料組成物中の添加剤等による付着性への寄与を排除するために、水酸基含有成分(a)およびイソシアネート含有成分(b)のみの混合による試験サンプルにて、基材への付着性を評価した。なお、添加剤の有無による基材への付着性の傾向は同様であった。
前記水酸基含有成分(a)およびイソシアネート含有成分(b)を、当量比:NCO/OHが1.0となるように、ディスパーを用いて均一に撹拌して試験サンプルを得た。
上述の各種基材に対して、アプリケーターを用いて、前記試験サンプルを乾燥膜厚が50μmとなるようにそれぞれ塗布し、60℃にて1日間乾燥させて試験体を作製した。なお、フィルムの厚さが100μmに満たない基材に対しては、補強フィルムとして無延伸ポリプロピレンフィルム(60μm)を接着剤で貼り付けて、試験サンプルの乾燥過程でフィルムの変形が生じないようにした。
JIS K 5600-5-6:1999に準拠して、前記試験体の塗膜表面にカッターナイフで切り込みを入れて、2mm角の碁盤目を100マス設けた。その上に試験用テープを貼り付け、素早く剥がした後のマス目の残存量から、以下に示す基準で評価した。
・合格基準
〇:100/100で付着している。
△:80/100~99/100で付着している。
×:80/100未満である。
上述の調製方法に従い、塗料組成物を得た。前記水酸基含有成分(a)およびイソシアネート含有成分(b)の当量比:NCO/OHは1.0となるように混合した。
ガラス板に対して、アプリケーターを用いて、乾燥膜厚が50μmとなるようにそれぞれ塗布し、60℃にて1日間乾燥させて試験体を作製した。
JIS K 5600-6-1:2016に準拠して、前記試験体を20℃の水に3日間浸漬し、塗膜表面のフクレの程度を目視で判断し、以下に示す基準で評価した。
・合格基準
〇:フクレなし。
△:わずかにフクレあり。
×:フクレあり。
水酸基含有成分(a)としてa1-1、イソシアネート含有成分(b)としてb-1を用いて試験サンプルを得て、各種基材に対する付着性について評価した。
水酸基含有成分(a)として、表4に示す成分に変えた以外は、実施例1と同様に実施した。
一方、アクリルフィルムに対しては、前記水酸基含有成分(a)のガラス転移温度や水酸基指数によって、付着性に差異が認められた。ここで、アクリルフィルムの種類によって付着性の傾向に差異が認められたが、前記水酸基含有成分(a)のガラス転移温度が85℃以下であり、かつ、水酸基指数が0.10以上5.00以下であるa1の場合には、アクリルフィルムの種類によらず、いずれも良好な付着性を示した。
次に、イソシアネート含有成分(b)の種類を表5に示すように変更した以外は、実施例1と同様に試験サンプルを調製し、「アクリル S001G
フィルムに対する付着性について評価した。
次に、水酸基含有成分(a)として、a1-1およびa2-1を混合して使用した以外は、実施例1と同様に実施した。
水酸基含有成分(a)として、水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)と水酸基含有(メタ)アクリル成分(a2)を表6に示す重量比で混合した以外は、実施例1と同様に実施した。
次に、水酸基含有成分(a)としてa1-1(49.81重量部)、その他の成分(c)として分散剤DISPERBYK(登録商標)-2000(0.18重量部)、顔料TIPAQUE(登録商標) CR-95(24.91重量部)、酢酸ブチル(25.09重量部)を混合し、ディスパーを用いて均一に撹拌し、固形分50%のA液を得た。
イソシアネート含有成分(b)としてb-1を希釈せずに用いて、固形分70%のB液を得た。
当量比:NCO/OH=1.0となるように、A液およびB液を混合し、ディスパーを用いて均一に撹拌し、塗料組成物を得た。前記塗料組成物を用いて、耐水性を評価したところ、〇評価であった。
水酸基含有成分(a)として、表7に示す成分に変えた以外は、実施例32と同様に実施した。
2:本発明の塗料組成物によって形成された塗膜
3:クリヤー塗膜
4:既存塗膜
5a:浅い傷
5b:浅い傷(跡)
6:プライマーサーフェーサー塗膜
7a:深い傷
7b:深い傷(跡)
8:パテ
9:加飾物品
Claims (7)
- 水酸基含有成分(a)とイソシアネート含有成分(b)を含むウレタン塗料組成物であって、
前記水酸基含有成分(a)は、水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)および前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)とは異なる水酸基含有(メタ)アクリル成分(a2)を含み、
前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)は、
ガラス転移温度が85℃以下であり、
水酸基価(固形分換算)Xが10mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、
数平均分子量Yが2,000以上20,000以下であり、
水酸基指数が、0.25以上3.50以下であり、
前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a2)は、
前記Xが40mgKOH/g以上180mgKOH/g以下であり、
前記Yが2,000以上20,000以下であり、
ガラス転移温度が85℃を超える、および/または、水酸基指数が、5.00を超えるものであり、
前記水酸基含有成分(a)の合計固形分100重量部に対して、前記水酸基含有(メタ)アクリル成分(a1)の固形分が、10重量部以上であり、
前記水酸基指数は、前記Xと前記Yの比率によって表される「X/Y×100」で求められる指数であることを特徴とする、
ウレタン塗料組成物。 - 前記水酸基含有成分(a)に含まれる水酸基(OH)と前記イソシアネート含有成分(b)に含まれるイソシアネート基(NCO)の当量比:NCO/OHが0.5以上2.0以下であることを特徴とする、
請求項1記載のウレタン塗料組成物。 - 物品に形成された既存塗膜の損傷箇所の補修用塗料として用いられることを特徴とする、
請求項1記載のウレタン塗料組成物。 - 加飾フィルムが貼られた加飾物品の損傷箇所の補修用塗料として用いられることを特徴とする、
請求項1記載のウレタン塗料組成物。 - 少なくとも以下の工程:
補修対象となる塗装物品を準備し、前処理する工程、
補修箇所に請求項3記載の塗料組成物を塗装して、補修塗膜を得る工程、
前記補修塗膜を乾燥して補修塗装物品を得る工程、
を含むことを特徴とする、前記塗装物品の補修塗装方法。 - 少なくとも以下の工程:
補修対象となる前記加飾物品を準備し、前処理する工程、
補修箇所に請求項4記載の塗料組成物を塗装して、補修塗膜を得る工程、
前記補修塗膜を乾燥して補修塗装物品を得る工程、
を含むことを特徴とする、前記加飾物品の補修塗装方法。 - 補修対象である塗装物品と、
前記塗装物品の補修箇所に形成された、塗装および乾燥済みの補修塗膜とを備え、
前記補修塗膜が、請求項3または4記載のウレタン塗料組成物による塗膜であることを特徴とする、
補修塗装物品。
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