JP7841716B2 - 発光素子の製造方法及び発光素子 - Google Patents

発光素子の製造方法及び発光素子

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Description

本発明は、GaN系半導体からなる発光素子の製造方法、及び発光素子に関する。
GaN系半導体からなる発光ダイオード等の発光素子として、量子井戸構造を有するInGaNからなる発光層を備えた発光素子が知られている。
InGaNは、GaNとInNとの混晶であり,その組成比を調整することによって、バンドギャップエネルギーを変えることができ、これにより、発光波長を制御することができる。しかしながら、青色領域においては、高い発光効率が達成されているが、それ以外の領域では、発光効率が著しく低いのが現状である。
発光効率を向上させるためのアプローチとして、表面プラズモン共鳴を利用した方法が提案されている(非特許文献1)。この方法は、InGaN発光層の近傍に、GaN層(キャップ層)を挟んで金属薄膜を形成するもので、InGaN発光層内に発生した電子・正孔対が、再結合によって発光する際に,金属薄膜とGaN層の界面に生じる表面プラズモンと共鳴することによって、発光速度が増加し、これにより、発光効率が向上する。
Applied Physics Letters、87巻、7110、2頁、2005年
表面プラズモン共鳴を利用した方法は、発光層からの光が、金属薄膜によって吸収にされるため、光損失が大きく、また、緑色領域に適した金属材料がないという課題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、GaN系半導体で構成された発光素子において、発光効率を向上させることが可能な発光素子の製造方法、及び発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る発光素子の製造方法は、GaN系半導体で構成された発光素子の製造方法であって、基板上に量子井戸構造を有する発光層を形成する工程と、発光層上にGaNからなるキャップ層を形成する工程と、キャップ層上に酸化膜を形成する工程と、を備え、酸化膜は、GaNで構成されたキャップ層内に存在するGa空孔に拡散侵入可能な元素の酸化物からなる。
本発明に係る発光素子は、GaN系半導体で構成された発光素子であって、量子井戸構造を有する発光層と、発光層上に形成されたGaNからなるキャップ層と、キャップ層上に形成されたZnO膜とを備えている。
本発明によれば、GaN系半導体で構成された発光素子において、発光効率を向上させることが可能な発光素子の製造方法、及び発光素子を提供することができる。
本発明を説明するために作成した試料の構造を模式的に示した断面図である。 GaN層(キャップ層)上にSiO膜を形成した試料に、励起光を照射してフォトルミネセンス(PL)を測定した結果を示したグラフである。 黄緑色発光の試料に対して、発光強度の温度依存性を測定した結果を示したグラフである。 黄緑色発光の試料に対して、レーザの照射時間を変えたときの発光強度の変化を測定した結果を示したグラフである。 レーザの照射時間に対して、発光強度をプロットしたグラフである。 SiO膜の表面をレーザ照射した後、SiO膜を除去した試料に対して、フォトルミネセンス(PL)を測定した結果を示したグラフである。 GaN層(キャップ層)上にZnO膜を形成した試料に対して、励起光を照射して、フォトルミネセンス(PL)を測定した結果を示したグラフである。 レーザの照射時間を変えたときの発光強度の変化を測定した結果を示したグラフである。 レーザの照射時間に対して、発光強度をプロットしたグラフである。 GaN層(キャップ層)上にSiO膜を形成した試料に対して、時間分解発光プロファイルを測定した結果を示したグラフである。 GaN層(キャップ層)中のSi濃度を測定した結果を示したグラフである。 (A)~(C)は、GaN層(キャップ層)の厚みを変えたときの発光強度を、レーザの照射時間に対してプロットしたグラフである。 GaN層(キャップ層)上にSiO膜を形成したとき、SiO膜14を形成しなかったときの発光強度比を、GaN層(キャップ層)厚みを変えた試料に対して測定した結果を示したグラフである。 本発明の発光素子の構成を模式的に示した断面図である。 本発明の発光素子の他の構成を模式的に示した断面図である。 本発明の発光素子の変形例を示した断面図である。
本願発明者等は、InGaN発光層の表面に形成したGaN層の表面に、金属薄膜を形成する代わりに、特定の材料からなる酸化膜を形成することによって、発光効率が著しく向上するという驚くべき現象を見出した。
(SiO膜を用いた発光増強)
図1は、上記現象を検証するために作製した試料の構造を模式的に示した断面図である。
図1に示すように、サファイア基板10上に、厚さ3μmのGaN層11を形成し、GaN層11の上に、厚さ3nmの量子井戸構造を有するInGaN層(発光層)12を形成した。さらに、InGaN層12上に、厚さ10nmのGaN層(キャップ層)13を形成し、GaN層13の上に、厚さ5nmのSiO膜14を形成した。さらに、SiO膜14の表面に、He-Cdレーザ(波長:325nm;強度:200mW)を、10分間照射した。なお、作製した試料は、後述するフォトルミネセンス(PL)で、試料の発光を調べるために、GaN層11、GaN層(キャップ層)13は、それぞれノンドープとした。なお、LED等の発光素子を形成する場合は、GaN層11をn型、GaN層(キャップ層)13をp型とすればよい。
ここで、InGaN層(発光層)12は、青色(470nm)、緑色(510nm)、及び、黄緑色(540nm)の光が発光するように、それぞれ、In組成比を調整した。また、GaN層11、InGaN層12、及びGaN層13は、それぞれ、有機金属気相成長法を用いて形成し、SiO膜14は、スパッタリング法を用いて形成した。
図2は、GaN層(キャップ層)13の上に、SiO膜14を形成した試料と、SiO膜14を形成しなかった試料に対して、He-Cdレーザ(波長:325nm;強度:200mW)の励起光を照射して、フォトルミネセンス(PL)を測定した結果を示したグラフである。ここで、実線のA、B、及びCで示したグラフは、それぞれ、SiO膜14を形成した試料で、青色、緑色、及び、黄緑色の発光を持った試料である。また、破線のA’、B’、及びC’で示したグラフは、それぞれ、SiO膜14を形成しなかった試料で、青色、緑色、及び、黄緑色の発光を持った試料である。
図2に示すように、SiO膜14を形成した試料の発光強度は、SiO膜14を形成しなかった試料の発光強度よりも、青色発光の試料で、約1.5倍、緑色発光の試料で、約2.5倍、黄緑色発光の試料で、約13倍に増強していることが分かる。
図3は、最も発光強度が増強した黄緑色発光の試料に対して、発光強度の温度依存性を測定した結果を示したグラフである。ここで、黒丸で示したグラフが、SiO膜14を形成した試料で、黒四角で示したグラフが、SiO膜14を形成しなかった試料である。
図3に示すように、発光強度は低温になるほど増加し、極低温では一定の値を示す。これは、低温になるほど励起子の熱による運動が低下し、励起子が不純物や転位・欠陥などの非発光サイトに捕獲されにくくなり、発光効率の低下を引き起こす熱失活が抑えられるためである。よって、極低温で発光強度が一定になった時の発光の内部量子効率はほぼ100%であると考えられ、この値と比較することで各温度における発光の内部量子効率の値を見積もることができる。これにより、SiO膜14を形成しなかった試料では、内部量子効率が1.3%であったの対し、SiO膜14を形成した試料では、内部量子効率が22%まで高くなっているのが分かる。
図4は、黄緑色発光の試料に対して、レーザの照射時間を変えたときの発光強度の変化を測定した結果を示したグラフである。ここで、A、A、A、A、Aで示したグラフは、それぞれ、レーザ照射時間を、0分(照射なし)、1分、3分、5分、8分としたときの発光強度を示す。なお、Bで示したグラフは、SiO膜14を形成しなかった試料である。また、図5は、レーザの照射時間に対して、発光強度をプロットしたグラフである。
図4に示すように、レーザの照射時間が長くなるほど、発光強度が増加しているのが分かる。また、図5に示すように、一定時間、レーザ照射すると、発光強度が飽和しているのが分かる。なお、レーザを照射しない場合(Aで示したグラフ)でも、SiO膜14を形成しなかった試料に比べて、発光強度は、約5倍に向上していた。
図6は、SiO膜14の表面をレーザ照射した後、フッ酸で、SiO膜14をGaN層(キャップ層)13から除去した試料に対して、フォトルミネセンス(PL)を測定した結果を示したグラフである。ここで、Aで示したグラフが、SiO膜14を除去した試料で、Bで示したグラフが、元々SiO膜14を形成していなかった試料である。
図6に示すように、SiO膜14を除去した試料においても、SiO膜14の表面をレーザ照射した試料と同程度の高い発光強度を維持していることが分かる。
(ZnO膜を用いた発光増強)
GaN層(キャップ層)13上に形成する酸化膜14として、SiO膜の代わりに、厚さ5nmのZnO膜を形成した試料を作成した。ZnO膜は、スパッタリング法で形成し、ZnO膜以外は、図1に示した試料と同じ構成にした。InGaN層(発光層)12は、黄緑色(540nm)の光が発光するように、In組成比を調整した。また、ZnO膜の表面に、He-Cdレーザ(波長:325nm;強度:200mW)を、10分間照射した。
図7は、GaN層(キャップ層)13の上に、ZnO膜を形成した試料と、ZnO膜を形成しなかった試料に対して、He-Cdレーザ(波長:325nm;強度:200mW)の励起光を照射して、フォトルミネセンス(PL)を測定した結果を示したグラフである。ここで、Aで示したグラフは、ZnO膜を形成した後、レーザ照射を行わなかった試料、Aで示したグラフは、ZnO膜を形成した後、レーザ照射を行った試料、Bで示したグラフは、ZnO膜を形成しなかった試料である。
図7に示すように、ZnO膜を形成した後、レーザ照射を行った試料の発光強度は、ZnO膜を形成しなかった試料の発光強度よりも、約7倍に増強していることが分かる。
図8は、レーザの照射時間を変えたときの発光強度の変化を測定した結果を示したグラフである。ここで、A、A、A、Aで示したグラフは、それぞれ、レーザ照射時間を、0分(照射なし)、1分、3分、5分、8分としたときの発光強度を示す。なお、Bで示したグラフは、ZnO膜を形成しなかった試料である。また、図9は、レーザの照射時間に対して、発光強度をプロットしたグラフである。
図8に示すように、レーザの照射時間が長くなるほど、発光強度が増加しているのが分かる。また、図9に示すように、一定時間、レーザ照射すると、発光強度が飽和していることが分かる。なお、レーザを照射しない場合(Aで示したグラフ)でも、ZnO膜を形成しなかった試料に較べて、発光強度は、約3倍に向上しているのが分かる。
また、レーザ照射後に、ZnO膜を除去した試料においても、ZnO膜の表面をレーザ照射した試料と同程度の高い発光強度を維持していた。
以上の結果から、GaN層(キャップ層)13の上に、特定の酸化膜(SiO膜またはZnO膜)14を形成することによって、発光効率が向上し、さらに、酸化膜(SiO膜またはZnO膜)14の表面をレーザ照射することによって、発光効率が顕著に向上することが判明した。また、レーザ照射後に、酸化膜(SiO膜またはZnO膜)14を除去しても、高い発光効率を維持していることが分かった。
(発光効率が向上するメカニズム)
GaN層(キャップ層)13の上に、SiO膜またはZnO膜を形成することによって一定の発光効率が向上し、さらに、SiO膜またはZnO膜の表面をレーザ照射することによって、発光効率が顕著に向上する理由は定かではないが、以下のようなメカニズムにより、このような現象が生じたものと考えられる。
図10は、GaN層(キャップ層)13の上に、SiO膜14を形成した試料と、SiO膜14を形成しなかった試料に対して、時間分解発光プロファイルを測定した結果を示したグラフである。ここで、Aで示したグラフが、SiO膜14を形成した試料で、Bで示したグラフが、SiO膜14を形成しなかった試料である。
図10に示すように、SiO膜14を形成した試料では、発光寿命が短くなっており、これは、InGaN層(発光層)12内に発生した電子・正孔対の再結合速度が増加していることを意味する。この再結合速度が増加した要因として、InGaN層(発光層)12上に形成したGaN層(キャップ層)13の結晶性が改善したことが考えられる。
上述したように、GaN層(キャップ層)13上に、酸化膜14としてSiO膜やZnO膜を形成することにより、一定の発光効率の向上が得られ、さらに、SiO膜やZnO膜の表面に、波長が325nmのレーザを照射することにより、発光効率の顕著な向上が得られたのに対し、GaN層(キャップ層)13上に、他の酸化膜として、Al膜を形成しても、発光効率の向上は得られなかった。
通常、GaN層13にはGa空孔が存在し、このGa空孔が、InGaN層(発光層)12の発光効率に影響を与えるが、表1に示すように、Si、Zn、及びAlの共有結合半径は、Gaの共有結合半径以下であるため、SiO膜、ZnO膜、及びAl膜中に存在するSi、Zn、及びAlは、GaN層13中に存在するGa空孔に拡散することが可能である。
一方、発光効率の顕著な効果は、波長が325nmのレーザを照射することによって得られるが、この波長は、3.8eVのエネルギーに相当し、このエネルギーは、表2に示すように、SiとO(酸素)との結合エネルギー(3.1eV)、及び、ZnとO(酸素)との結合エネルギー(2.2eV)より高く、AlとO(酸素)との結合エネルギー(5.3eV)よりも低い。
このことから、SiO膜やZnO膜の表面に、波長が325nmのレーザを照射することによって、SiやZnとOとの結合が切れて、SiまたはZnが、GaN層(キャップ層)13の結晶内に存在するGa空孔に拡散侵入し、これにより、GaN層(キャップ層)13の結晶性が改善したものと考えられる。その結果、InGaN層(発光層)12の内部量子効率が向上し、発光効率が向上したものと考えられる。
加えて、GaNのバンドギャップに相当する波長は365nmであるため、これよりも波長の短い325nmのレーザをSiO膜やZnO膜の表面に照射すると、SiO膜やZnO膜を透過した光が、GaN層(キャップ層)13で吸収されて、GaN層(キャップ層)13が発熱し、温度が上昇する。これにより、SiO膜やZnO膜から拡散してきたSiまたはZnは、GaN層(キャップ層)13の結晶内の拡散が促進されるため、GaN層(キャップ層)13の結晶内に存在するGa空孔への侵入がより促進される。その結果、GaN層(キャップ層)13の結晶性がより改善し、InGaN層(発光層)12の内部量子効率が向上し、発光効率が向上したものと考えられる。
上記に説明したメカニズムを検証するために、GaN層(厚さ:10nm)13の上に、SiO膜(厚さ:5nm)を形成した後、SiO膜の表面をレーザ照射した試料に対して、GaN層(キャップ層)中に存在する元素を、二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定した。なお、測定は、GaN層13上のSiO膜を除去した後行った。
図11は、その結果を示したグラフで、GaN層の表面から、深さ方向に、発光に関係する量子井戸のある20nmまでの領域において、1018~1019atoms/cmの濃度のSiが分布していることが確認できた。
これに対して、Al膜の表面に、波長が325nmのレーザを照射しても、AlとOとの結合が切れることはないため、GaN層(キャップ層)13の結晶性が改善されず、発光効率が向上する効果が得られなかったものと考えられる。
なお、レーザ照射による発光効率の向上効果を得るには、GaN層(キャップ層)13上に形成したSiO膜やZnO膜の表面に、SiまたはZnとO(酸素)との結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長のレーザを照射することが好ましい。また、GaN層(キャップ層)13上に形成したSiO膜やZnO膜の表面に、GaNのバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長のレーザを照射することが好ましい。
なお、GaN層(キャップ層)13の表面近傍には、Ga空孔だけでなくN空孔も存在するため、このN空孔に、SiやZnと結合の切れたOが拡散することによって、GaN層(キャップ層)13の結晶性が改善されることも考えられる。
また、GaN層(キャップ層)上に、スパッタリング法を用いてSiO膜やZnO膜を形成しただけでも一定の発光効率の向上が得られたのは、SiO膜やZnO膜を形成した際、スパッタリング時に、一定数のSiやZnが、GaN層(キャップ層)13の表面近傍に存在するGa空孔に拡散侵入し、これにより、GaN層(キャップ層)13の結晶性が改善されたものと考えられる。
図12(A)~(C)は、GaN層(キャップ層)13の上に、厚み5nmのSiO膜を形成した試料において、GaN層(キャップ層)13の厚みを変えたときの発光強度を、レーザの照射時間に対してプロットしたグラフである。(A)、(B)、及び(C)は、それぞれ、GaN層(キャップ層)13の厚みが、5nm、25nm、及び40nmの試料である。
図12(A)~(C)に示すように、GaN層(キャップ層)の厚みが厚くなるほど、発光強度が飽和するまでの時間が長くなっていることが分かる。これは、レーザ照射によって、GaN層(キャップ層)13内に拡散したSiが、InGaN層(発光層)12まで到達する時間が長くなり、その結果、GaN層(キャップ層)13の結晶性が改善されるまでの時間が長くなったためと考えられる。
(キャップ層の厚み)
図13は、図1に示した試料において、GaN層(キャップ層)13上にSiO膜14を形成したときの発光強度と、SiO膜14を形成しなかったときの発光強度との比(発光強度比)を、GaN層(キャップ層)13の厚みを変えた試料に対して測定した結果を示したグラフである。
図13に示すように、GaN層(キャップ層)13の厚みが大きくなるほど、発光強度比が向上しているのが分かる。なお、GaN層(キャップ層)13の厚みは、5nm以上が好ましい。GaN層(キャップ層)13の厚みが5nm未満だと、SiO膜14形成時のスパッタリングによるダメージをInGaN層(発光層)12が受けるため、発光効率の向上効果が得られず、好ましくない。
また、GaN層(キャップ層)13の厚みは、150nm以下が好ましい。GaN層(キャップ層)13の厚みが150nmを超えると、InGaN層(発光層)12と、SiO膜14との距離が大きくなりすぎ、InGaN層(発光層)12近くまでSiが拡散しないため、発光効率の向上効果が得られず、好ましくない。さらに、GaN層(キャップ層)13の厚みは、100nm以下がより好ましい。波長が325nmのレーザが、GaN層(キャップ層)13に侵入できる距離は約100nmであるため、GaN層(キャップ層)13の厚みが100nmを超えると、GaN層(キャップ層)13の発熱による温度上昇が十分に得られないため、発光効率の有効な向上効果が得られず、好ましくない。
(酸化膜の厚み)
本発明において、GaN層(キャップ層)13上に形成する酸化膜(SiO膜、ZnO膜)14の厚みは、1nm未満だと、薄膜を形成するのが困難であるため、1nm以上であることが好ましい。
(発光素子の製造方法)
本発明における発光素子の製造方法は、基板10上に、量子井戸構造を有する発光層12を形成する工程と、発光層12上に、GaNからなるキャップ層13を形成する工程と、キャップ層13上に、酸化膜14を形成する工程とを備え、酸化膜14は、GaNで構成されたキャップ層13内に存在するGa空孔に拡散侵入可能な元素の酸化物からなる。
酸化膜14は、SiO膜またはZnO膜からなり、スパッタリング法により形成されることが好ましい。
また、キャップ層13上に形成された酸化膜14の表面に、酸化膜14を構成する元素(SiO膜の場合はSi、ZnO膜の場合はZn)と酸素との結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長の光を照射する工程をさらに備えることが好ましい。
また、キャップ層13上に形成された酸化膜14を除去する工程をさらに備えていてもよい。
また、キャップ層13内には、酸化膜14を構成する元素、または酸素の少なくとも一方、または両方が存在している。
本発明における発光素子の製造方法によれば、GaN系半導体で構成された発光素子において、発光効率の向上した発光素子を得ることができる。特に、緑色(510nm)や黄緑色(540nm)の波長領域において、高い発光効率を有する発光素子を実現することができる。
(発光素子の構造)
図14は、本発明における発光素子の製造方法により製造した発光素子(発光ダイオード)の構成を模式的に示した断面図である。
図14に示すように、発光素子1は、基板10上に形成されたn型GaN層11と、n型GaN層11上に形成された量子井戸構造を有する発光層12と、発光層12上に形成されたp型GaNからなるキャップ層13と、キャップ層13上に形成されたZnO膜14とを備えている。
ここで、ZnO膜14は、スパッタリング法で形成された膜であることが好ましい。また、ZnO膜14の表面は、亜鉛(Zn)と酸素(O)との結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長の光による照射処理が施されていることが好ましい。
ZnO膜14は、導電性を有するため、ZnO膜14上に透明電極膜15を形成して、透明電極膜15上、及び、n型GaN層11上に電極20、21を形成することにより、発光層12に電流を注入して、発光層12からの光を取り出すことができる。
一方、キャップ層13上にSiO膜を形成した場合、SiO膜は絶縁膜であるため、図15に示すように、キャップ層13上に形成したSiO膜を除去した後、キャップ層13上に透明電極膜15を形成し、透明電極膜15上、及び、n型GaN層11上に電極20、21を形成することにより、発光層12に電流を注入して、発光層12からの光を取り出すことができる。なお、キャップ層13上に形成したSiO膜を除去しても、発光効率の向上効果は維持されるので、高い発光効率を有する発光素子を得ることができる。
(発光素子の変形例)
図16は、本発明における発光素子の変形例を示した断面図である。
図16に示した発光素子1は、図14に示した発光素子1において、ZnO膜14上に、発光層12から放出された光とプラズモン共鳴を起こすプラズモン層30がさらに形成されている。ここで、プラズモン層30は、Ag、Al、Au、Cu等の材料からなる金属薄膜または金属微粒子で構成されている。
InGaN発光層12の上に形成したp型GaN層13の表面に、プラズモン層30を形成することによって、プラズモン効果により発光効率が向上することが知られているが(非特許文献1)、プラズモン層30を構成する金属薄膜または金属微粒子から、金属原子が、p型GaN層13内に拡散し、プラズモン層30の構造が、時間の経過とともに破壊され、プラズモン効果が低下するという問題がある。
本変形例における発光素子1は、図16に示すように、p型GaN層(キャップ層)13の上に、ZnO膜14を介して、プラズモン層30を形成することによって、プラズモン層30を構成する金属薄膜等から、金属原子が、p型GaN層13内に拡散するのを防止することができる。これにより、プラズモン層30の構造が安定し、プラズモン効果を維持することができる。
本変形例における発光素子1は、p型GaN層13の上に、ZnO膜14を形成することによって、発光効率の向上が発揮されることに加え、ZnO膜14の上にプラズモン層30を形成することによって、発光効率の向上がさらに発揮されるため、より高い発光効率を有する発光素子1を実現することができる。
なお、本変形例においては、ZnO膜14の膜厚が大きすぎると、プラズモン層30の電場が、InGaN発光層12に届かず、プラズモン効果が発揮されなくなるため、ZnO膜14の膜厚は、10nm以下が好ましい。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、p型GaN層(キャップ層)13の上に、SiO膜やZnO膜からなる酸化膜14を形成したが、Si膜などの窒化膜を形成してもよい。この場合、例えば、Si膜の表面に、SiとN(窒素)との結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長のレーザを照射することによって、SiとNとの結合が切れて、Siがp型GaN層(キャップ層)13内のGa空孔に拡散侵入し、これにより、p型GaN層(キャップ層)13の結晶性が改善される。
また、上記実施形態では、発光層12として、単一量子井戸構造を有するInGaN層を例示したが、これに限定されず、多重量子井戸構造を有するInGaN層を用いてもよい。また、発光層12は、InGaN層に限定されず、AlGaN層などを用いてもよい。
また、上記実施形態では、発光素子1として、発光ダイオードを例示したが、これに限定されず、例えば、半導体レーザ等にも適用することができる。
1 発光素子
10 基板
11 (n型)GaN層
12 InGaN層(発光層)
13 (p型)GaN層(キャップ層)
14 酸化膜(SiO膜、ZnO膜)
15 透明電極膜
20、21 電極
30 プラズモン層

Claims (3)

  1. GaN系半導体で構成された発光素子の製造方法であって、
    基板上に、量子井戸構造を有する発光層を形成する工程と、
    前記発光層上に、GaNからなるキャップ層を形成する工程と、
    前記キャップ層上に、SiO膜またはZnO膜を形成する工程と、
    前記キャップ層上に形成された前記SiO膜またはZnO膜の表面に、該SiO膜またはZnO膜を構成するシリコンまたは亜鉛と酸素との結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長の光を照射する工程と、
    前記SiO膜またはZnO膜の表面に、前記発光層から放出された光とプラズモン共鳴を起こすプラズモン層を形成する工程と
    を備え、
    前記光を照射する工程において、前記SiO膜またはZnO膜を構成するシリコンまたは亜鉛は、前記光の照射により前記酸素との結合が切れて、前記キャップ層内に存在するGa空孔に拡散侵入する、発光素子の製造方法。
  2. 前記プラズモン層は、金属薄膜または金属微粒子で構成されている、請求項に記載の発光素子の製造方法。
  3. GaN系半導体で構成された発光素子の製造方法であって、
    基板上に、量子井戸構造を有する発光層を形成する工程と、
    前記発光層上に、GaNからなるキャップ層を形成する工程と、
    前記キャップ層上に、ZnO膜を形成する工程と、
    前記キャップ層上に形成された前記ZnO膜の表面に、亜鉛(Zn)と酸素(O)との結合エネルギーよりも大きなエネルギーを有する波長の光を照射する工程と、
    前記ZnO膜上に、透明電極を形成する工程と、
    を備え、
    前記光を照射する工程において、前記ZnO膜を構成する亜鉛(Zn)は、前記光の照射により酸素(O)との結合が切れて、前記キャップ層内に存在するGa空孔に拡散侵入する、発光素子の製造方法。
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