JP2022179037A - 紫外半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部量子効率を高めることができ、高効率かつ高出力な紫外半導体発光素子を提供する【解決手段】単結晶AlNからなる基板と、基板上に、n型AlGaN層、活性層、Mgドープのp型AlY1Ga1-Y1N層(0.5≦Y1≦1.0)及びMgドープのp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、活性層の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にあり、活性層への電流印加によって発光スペクトルにメインピーク及びMg由来のサブピークを呈し、駆動電流密度20mA/mm2におけるサブピークの強度のメインピークの強度に対するピーク強度が3~15%である、紫外半導体発光素子。【選択図】図4

Description

本発明は、紫外半導体発光素子、特に紫外光を放出する窒化物半導体発光素子に関する。
近年、細菌やウイルスの不活化作用及び殺菌効果を有する光源として深紫外領域を発光波長帯域とする半導体発光素子が注目されている。
例えば、特許文献1には、発光層と他の半導体層との界面におけるドーパント濃度を制御することで外部量子効率を向上させる窒化物半導体発光素子について開示されている。
特表2016-098632号公報
従来の紫外半導体発光素子においては、半導体層の積層構造、組成や不純物濃度、層厚などについての各層の検討がなされてきたものの、十分に高効率かつ高出力な素子を実現することが困難であった。
特に、特許文献1に記載のように、発光波長スペクトルにおけるサブピーク発光強度の増加にしたがい主ピーク発光強度が減じる場合、非発光遷移の増加による発光効率の低下が示唆されていた。
本願の発明者は、発光波長スペクトルにおけるサブピーク発光強度を単純に低減するだけでは発光効率を十分に高めることが困難であるとの知見を得た。本願発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、外部量子効率を高めることができ、高発光効率かつ高出力な紫外半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明の1実施形態による紫外半導体発光素子は、
単結晶AlNからなる基板と、
前記基板上に、n型AlGaN層、活性層、Mg(マグネシウム)ドープのp型AlY1Ga1-Y1N層(0.5≦Y1≦1.0)及びMgドープのp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、
前記活性層の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にあり、
前記活性層への電流印加によって発光スペクトルにメインピーク及びMg由来のサブピークを呈し、駆動電流密度20mA/mm2における前記サブピークの強度(S)の前記メインピークの強度(M)に対するピーク強度(S/M)が3~15%である。
また、本発明の他の実施形態による紫外半導体発光素子は、
単結晶AlNからなる基板と、
前記基板上に、n型AlGaN層、活性層、Mg(マグネシウム)ドープのp型AlY1Ga1-Y1N層(0.5≦Y1≦1.0)及びMgドープのp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、
前記活性層の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にあり、
前記p型AlY1Ga1-Y1N層のMg濃度は3.0×1019cm-3~5.0×1019cm-3の範囲内であり、前記p型AlY2Ga1-Y2N層のMg濃度は2.0×1019cm-3~1.0×1020cm-3の範囲内であり、
前記p型AlY1Ga1-Y1N層の層厚は4~10nmの範囲内である。
本発明の1実施態様による紫外半導体発光素子10の構造を模式的に示す断面図である。 紫外LED10のバンドダイアグラムを模式的に示す図である。 スペーサ層13S及びp型AlGaN層15のMg濃度が異なるウエハから得られた紫外LEDの特性を纏めて示した表である。 各ウエハから得られた紫外LEDの発光効率(EQE:外部量子効率)及びスペーサ層13Sの濃度をプロットしたグラフである。 1実施態様による紫外LED素子10(実施例:EMB)及び比較例(CMP)の紫外LEDの発光スペクトルの一例を示す図である。 実施例1のウエハ(EX1)と、実施例2のウエハ(EX2)とから得られた紫外LED10の発光効率(EQE:外部量子効率)及びS/M比(%)をプロットしたグラフである。 実施例(EMB)及び比較例(CMP)のLED素子のSIMSプロファイルの一例を示す図である。 実施例(EMB1,EMB2)及び比較例(CMP)における、S/M比と発光効率又はキャリア注入量との関係を説明するための概念図である。
以下においては、本発明の好適な実施例について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[紫外半導体発光素子の構造]
図1は、本発明の1実施態様による紫外半導体発光素子10の構造を模式的に示す断面図である。紫外半導体発光素子10は、紫外発光ダイオード(以下、LED素子10とも称する)であり、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)により製造される。
LED素子10は、基板11上に、順次、n型AlGaN層12、活性層13、p型AlGaN層14、p型AlGaN層15及びp型GaN層16がエピタキシャル成長によって積層されて形成されている。
図2には、LED素子10のバンドダイアグラムが模式的に示されている。図1及び図2を参照してより詳細に説明する。
基板11は、転位密度が108cm-2以下の単結晶AlN基板であり、以下、AlN基板11と称する。本発明の紫外発光素子を構成するAlGaN系半導体材料では、例えば、OPTICS EXPRESS Vol.25 No.16 A639(2017)に記載されているように、転位密度が107~108cm-2を上回ると発光効率が急激に低下することが知られている。そのため、単結晶AlN基板の転位密度は低いほど好ましく、具体的には106cm-2以下、さらに好ましくは104cm-2以下である。このような低転位密度のAlN基板11を用いることで、後述する活性層13における転位密度を、発光効率が低下しない107cm-2以下にすることができる。
本発明のAlN基板11の成長面(表面)は、特に限定されるものではなく、C面、M面などの成長面とすることができるが、AlGaN系材料の成長面として一般的に用いられているC面であることが好ましい。さらに、C面を結晶成長面とする場合は、AlN基板11上に成長されるAlGaN層の平滑性を向上させるなどの目的により、C面から微傾斜したOFF基板であることが好ましい。C面からの傾斜角度は特に限定されるものではなく、平滑なAlGaN層が得られるように適宜決定すればよいが、通常は0.1~1.0°の範囲で選択される。また、C面からの傾斜方向も、特に限定されるものではなく、A軸方向、M軸方向などを適宜選択すればよいが、ステップ端の直線性が高くなるM軸方向を選択することが好ましい。
また、AlN基板11の表面粗さが大きいと、基板上に成長するAlGaN層の異常成長などの要因となるため、表面粗さ(RSM)は1.0nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5nm以下である。このような平滑面を得るため、または基板の製造過程で基板表面に形成されたダメージ層を取り除くため、基板表面は化学機械研磨(CMP)処理が施されていることが好ましい。
また、活性層から放射される紫外光に対する基板の吸収係数が大きいと、外部へ取り出せる紫外光の総量が減少して発光効率の低下を招く懸念がある。そのため、AlN基板およびAlNテンプレートのAlN層の吸収係数は、好ましくは20cm-1以下であり、さらに好ましくは10cm-1以下である。10cm-1以下にすることで、例えばAlN基板11の板厚が100μmであっても、90%以上の直線透過率を確保することができる。
n型AlGaN層12は、Si(シリコン)ドープされたn型導電層である。紫外半導体発光素子において、発光層から放出された紫外光は、通常n型AlGaN層12と基板11を透過して外部に放出される。n型AlGaN層はAl組成が大きくなるにつれて、n型AlGaN層のバンドギャップは大きくなり、それに応じて、より短波長の紫外光を透過することができるようになるため、n型AlGaN層のAl組成は、所望とする紫外光の発光波長に対して十分な透過性が得られるように適宜決定すればよい。また、n型AlGaN層はAl組成の異なる複数の層から形成されていてもよく、さらに積層方向にAl組成が傾斜する組成傾斜層とすることもできる。例えば、第1のn型AlX1Ga1-X1N層12A及び第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bからなる積層構造が挙げられる。第1のn型AlX1Ga1-X1N層12Aは、例えば、積層方向(成長方向)にAl組成X1が1.0から0.75に減じる組成傾斜層であり、第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bは、例えば、Al組成X2が0.75から0.70に減じる組成傾斜層である。なお、第1のn型AlX1Ga1-X1N層12A及び第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bの界面におけるAl組成は等しいことが好ましい。
また、n型AlGaN層の膜厚は特に限定されるものではなく適宜決定すればよいが、n型AlGaN層の膜厚が厚くなりすぎると、AlN基板11とn型AlGaN層12が格子緩和を起こして転位が発生しやすくなるため、n型AlGaN層12の総膜厚は0.5~2.0μmの範囲に設定することが好ましい。例えば、n型AlGaN層12が、上述した第1のn型AlX1Ga1-X1N層12A及び第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bからなる積層構造の場合は、第1のn型AlX1Ga1-X1N層12Aは200nmの層厚を有し、第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bは1000nmの層厚を有している積層構造を用いればよい。当然のことながら、これらの第一、および第二のn型AlGaN層の膜厚は例示した数字に限定されるものではなく、総膜厚が2.0μm以下になるように適宜決定すれば良い。
また、ドーピングするSi濃度は、所望のn型導電性が得られるように適宜決定すればよいが、n型AlGaN層の抵抗値を下げる観点からは、1×1018~1×1020cm-3であることが好ましく、更には5×1018~5×1019cm-3であることが好ましい。またSiドーピング濃度は、n型AlGaN層内の膜厚方向で一定であってもいいし、膜厚方向でSi濃度の異なる変調ドーピングにすることもできる。なお、Si濃度、および後述するMg濃度は、公知のSecondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)分析により測定することができる。また、本願におけるSi濃度、およびMg濃度は、AlN層、AlGaN層、GaN層について、それぞれAlN、Al0.65Ga0.35N、GaNの標準試料を用いた定量値を採用している。
活性層(ACT)13は、AlA1Ga1-A1N層からなる障壁層13BとAlA2Ga1-A2N層からなる井戸層13Wで構成される量子井戸構造である。また、活性層13は、後述するスペーサ層13Sを有する。活性層13の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にある。活性層13から放出される光の波長は井戸層のAl組成と膜厚によって決まるため、Al組成と膜厚は、上記の波長範囲において所望の発光波長が得られるように適宜決定すすることができる。
例えば、井戸層の膜厚は2~10nmの範囲で設定し、所望の発光波長が得られるようにAl組成を決定することができる。また、障壁層のAl組成と膜厚についても、特に限定されるものではないが、例えば、Al組成はA2<A1≦1.0、膜厚は2~15nmの範囲内で設定することができる。また、井戸層や障壁層は、Siがドープされたn型層とすることもできる。井戸層と障壁層ともにSiドーピング層であってもよいし、井戸層のみ、もしくは障壁層のみにSiがドーピングされた構造であってもよい。ドーピングされるSi濃度は、特に限定されるものではないが、1×1017~5×1018cm-3の範囲が好ましい。また、量子井戸の層数も特に限定されるものではなく、複数の井戸層が形成された多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造であってもいいし、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)であってもよい。井戸層の数は、1~5の範囲で適宜決定することが好ましい。
図2に示すように、活性層13において、n型AlGaN層12の端部から量子井戸層13Wのうち最も上層の量子井戸層13W(すなわち、後述するp型AlY1Ga1-Y1N層14に最も近い量子井戸層13W)の端部までを量子井戸構造層13Qとして説明すると、スペーサ層13Sは、当該最上層の量子井戸層13Wと、p型AlY1Ga1-Y1N層14との間に設けられている。
スペーサ層13SのAl組成は、発光波長に応じて、または発光効率を向上させる過程において、以下のように最適に選択し得る。量子井戸構造の障壁層13Bと同一組成であってもよいし、障壁層13B及びp型AlY1Ga1-Y1N層14の中間組成を有していても良い。あるいは、スペーサ層13Sは、障壁層13Bと同一組成の層と、その上層として形成された当該中間組成の層とから構成されていてもよい。さらに、スペーサ層13Sは、傾斜組成層又は組成が段差状に変化する段差組成層であってもよい。
本発明の実施形態を例に具体的に示すと、SiドープされたAl0.6Ga0.4N層を障壁層(バリア層)13BとしアンドープのAl0.5Ga0.5N層を量子井戸層(ウエル層)13Wとする3層の多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造において、スペーサ層13Sは障壁層13Bと同一組成を採用しているが、活性層13Wへのキャリアの注入効率を高めるためには、スペーサ層13SのAl組成(Y)は、Y=0.55~0.65が好ましく、Y=0.57~0.62であることがより好ましい。
また、スペーサ層13Sの膜厚は特に限定されるものではないが、膜厚が厚くなると、p型層と井戸層13Wとの物理的な距離が離れてしまうため、活性層13Wへのキャリアの注入効率が低下する傾向がある。そのため、スペーサ層13Sの膜厚は2~15nmの範囲であることが好ましく、4~10nmの範囲の層厚を有することがさらに好ましい。
スペーサ層13Sは、上記で説明した障壁層と同様に、Siがドーピングされた構造であってもよい。ドーピングされるSi濃度は、特に限定されるものではないが、1×1017~5×1018cm-3の範囲が好ましい。
また、スペーサ層13SにはMgが含まれている。スペーサ層13Sに含まれるMgは、後述するp型AlY1Ga1-Y1N層14層からの拡散による拡散ドーピングによるものであってもいいし、または意図的にMgをドーピングしたものであってもよい。本発明者らは、スペーサ層13に含まれるMg濃度の増加にともなって、発光効率は向上する傾向を示すことを見出した。この効果は、スペーサ層13Sがp型ドーパントであるMgを含むことによって、実質的にp型層と活性層の距離が近き、その結果、キャリアの注入効率が向上したためだと考えられる。具体的には、スペーサ層13Sに含まれるMg濃度は、5.0×1017~5.0×1018cm-3であることが好ましく、さらに好ましくは7.0×1017~3.0×1018cm-3、最も好ましくは1.0×1018~2.5×1018cm-3である。
なお、上述したMg濃度を求めるために行うSIMS分析では、サンプルに1次イオン(酸素)を照射し、資料からはじき出された2次イオン(Mg)の検出量を求めることで定量評価を行う。一般的に、SIMS分析では、1次イオンによる不純物の試料内への押し込み、試料の表面粗さによって均一な1次イオンの照射が困難などの理由により不純物濃度が深さ方向にテールを持つ傾向があり、また試料の材質の違い(本願の例ではAlGaN層のAl組成)によってエッチングレートが異なるため、数ナノメートルオーダーでの深さ方向の精度を得ることが困難である。そのため、上記のスペーサ層のMg濃度は、p型AlY1Ga1-Y1N層14のMg濃度のピーク位置から活性層13側に20nmの位置(評価位置)におけるMg濃度で定義した。
活性層13上のp型AlY1Ga1-Y1N層14は、活性層13に注入された電子が後述するp型AlY2Ga1-Y2N層15へオーバーフローすることを抑制するための電子ブロック層(EBL:Electron Blocking Layer)として機能する。そのため、AlY1Ga1-Y1N層14は、活性層13、およびp型AlY2Ga1-Y2N層15よりも大きなバンドギャップを有し、AlY1Ga1-Y1N層14のAl組成Y1は0.8<Y1≦1.0の範囲で決定される。発光波長の短波長化に伴って、基板11上にエピタキシャル成長するAlGaN層のAl組成は高くなり、発光波長が270nmよりも短い場合では、電子ブロック層としての機能を十分に発現させるため、Al組成Y1は0.9≦Y1≦1.0であることが好ましい。なお本実施例においては、AlY1Ga1-Y1N層14としてAlN(Y1=1)を用いている。
また、AlY1Ga1-Y1N層14は、電子ブロック層としての機能を発現できる限りは、アンドープ層であってもよく、またはp型ドーパントがドーピングされていてもよい。AlY1Ga1-Y1N層14におけるp型のドーパント材料としてはMg(マグネシウム)、Zn(亜鉛),Be(ベリリウム)、C(炭素)等を用いることができる。特に、AlGaN層のp型ドーパント材料として一般的に用いられているMgを用いることが好ましく、後述する本発明の実施例においてもMgを用いている。p型ドーパント材料は、AlY1Ga1-Y1N層14の積層方向において、一様にドーピングされていてもよいし、積層方向でドーパント材料の濃度を変えることもできる。例えば、活性層と接する側から、アンドープのAlN層14A(Y1=1)及びMg(マグネシウム)ドープされたp型AlN層14Bからなる積層構造などとすることもできる。AlY1Ga1-Y1N層14におけるp型ドーパント濃度は、電子ブロック層としての機能が得られ、発光層へのキャリアの注入効率を高められるという観点から、1.0×1019~8.0×1019cm-3であることが好ましく、さらに好ましくは3.0×1019~5.0×1019cm-3、特に好ましくは、3.0×1019~4.0×1019cm-3である。
また、p型AlY1Ga1-Y1N層14は、p型AlY1Ga1-Y1N層14は、4~10nmの範囲の層厚を有することが好ましい。4nm未満であると、トンネリング効果によって電子ブロック層としての効果が小さく、10nm以上であると、正孔(ホール)の注入効率の低下を生じるからである。
p型AlY2Ga1-Y2N層15は、p型AlY1Ga1-Y1N層14上に形成され、Mgがドーピングされたp型クラッド層として機能する。p型ドーパント材料には上述した材料を制限なく用いることができるが、AlY1Ga1-Y1N層14と同様にMgを用いることが好ましい。本発明の紫外発光素子においては、p型AlY2Ga1-Y2N層15中のMg濃度は、2.0×1019~1.0×1020cm-3であることが好ましく、さらに好ましくは2.0×1019~5.0×1020cm-3である。p型AlY2Ga1-Y2N層15中のMg濃度を上述の範囲にすることによって、S/Mが3~15%となり、高い発光効率を得ることができる。
p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2は、積層方向でY2が一定の値である構造の場合、活性層の障壁層のAl組成を超え、かつAlY1Ga1-Y1N層14のAl組成Y1以下であることが好ましい。p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2を上記の範囲にすることにより、紫外発光素子の注入電流量が多い場合においても、高いキャリアオーバーフローの抑制効果が得られる。より高い効果を得るためには、活性層の障壁層のAl組成とp型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2の差が、0.5~1.0であることが好ましい。また、p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2は、n型AlGaN層のAl組成よりも大きいことが好ましく、これによってp型層へのキャリアオーバーフローの抑制効果が高まり、紫外発光素子の発光効率を高めることができる。
また、p型AlY2Ga1-Y2N層15は、Al組成Y2が積層方向で変化する組成傾斜層であってもよい。特に、AlY1Ga1-Y1N層14に接する側から、Al組成Y2が積層方向に小さくなる構造であることが好ましい。これによって、p型AlY2Ga1-Y2N層15内で分極ドーピング効果が得られるため、より高いホール濃度が得られやすくなり、その結果、活性層へのホールの注入効率が高くなる。例えば、発光波長が270nm以下の場合、AlY1Ga1-Y1N層14に接する側のAl組成は0.95~1.0であることが好ましく、反対側のp型AlY2Ga1-Y2N層15の表層におけるAl組成は0.60~0.85であることが好ましい。このような構造を採用することで、上述した分極ドーピング効果を高め、かつ発光波長に対して透明性を維持できるため、高い発光効率が得られやすくなる。
また、p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚は、特に制限されるものではないが、10~150nmの範囲で適宜決定すればよい。p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚が10nm未満になると、上述したキャリアオーバーフローの抑制効果が得られにくくなり、一方で、膜厚が厚くなり、150nmを超える場合、p型AlY2Ga1-Y2N層15の抵抗値が大きくなり、結果として紫外発光素子の動作電圧の上昇を招いてしまう。このような観点から、p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚は、40~120nmであることが好ましく、特に好ましくは50~100nmである。本発明の実施形態においては、Al組成Y2がp型AlY1Ga1-Y1N層14のAl組成から成長方向に減じる(Al組成Y2が1.0から0.8に減じる)組成傾斜層を採用している。また、p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚は、60nmとしている。
p型AlY2Ga1-Y2N層15上には、電極との接触抵抗を下げる目的で、p型ドーパントがドーピングされたp型GaN層16が形成されていてもよい。p型ドーパント材料としては上述した公知のp型ドーパント材料を用いることができるが、同様の理由によりMgを用いることが好ましい。p型GaN層16中のMgドーピング濃度は、特に制限されるものではないが、p型GaN層中の抵抗値を下げ、かつ接触抵抗を下げるためには、1×1018~2×1020cm-3であることが好ましい。また、p型GaN層16の膜厚も特に制限されるものではなく、5~500nmの範囲で適宜決定すればよい。
なお、p型GaN層16を除き、AlGaN層12,13,14,15の全ての層はAlN基板11と格子整合した状態で結晶成長されているため、AlN基板11と同等の低い転位密度を有している。具体的には、105cm-2以下の転位密度を有している。
なお、LED素子10が発光ダイオード(LED)である場合について説明するが、半導体レーザ素子(LD:Laser Diode)として構成されていてもよい。
次に、上記で説明した構造の紫外LEDの製造方法について説明する。本発明の紫外LED10は、有機金属気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(MBE)法などの公知の結晶成長法によって製造することができる。中でも、生産性が高く、工業的に広く採用されているMOCVD法が好ましい。本発明で使用するIII族(Al、Ga)原料ガス、V族(N)原料ガスには、特に制限なく公知の原料ガスを使用できる。
例えば、III族原料ガスとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等のガスを使用できる。またV族原料ガスとしては、通常アンモニアが用いられる。
また、Mg、Siのドーパント原料ガスも、公知の材料が制限なく使用でき、例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム、モノシラン、テトラエチルシランなどを使用できる。
以上の原料ガスを、水素/および又は窒素などのキャリアガスと共に基板11上に供給することで紫外LED10の素子層を成長させる。
III族原料ガスとV族原料ガスの供給量比(V/III比)は、所望の特性が得られるように適宜決定すればよいが、500~10000の範囲内で設定することが好ましい。
また、紫外LED10を構成する素子層の成長温度については、特に制限されるものではなく所望とする、各層の特性、および紫外LED10の特性が得られるように適宜決定すればよいが、1000~1200℃で成長することが好ましく、より好ましくは1000~1150℃である。
以下で、発光波長265nmの紫外LEDを作製した実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[LED素子の作製]
紫外LED素子層を成長する基板にはApplied Physics Express 5 (2012)122101に記載の方法により作製されたAlN単結晶基板を用いた。具体的には、物理気相輸送(PVT)法により作製されたC面AlN種基板とハイドライド気相成長(HVPE)法で成長したAlN厚膜を備えた積層基板である。このAlN基板の転位密度は105cm-2以下であり、5×5μm2の範囲での方面粗さ(RMS)は0.1nmであった。
このAlN基板上に、MOCVD装置によって、AlN層(100nm)、第一のn型AlGaN層(200nm)、第二のn型AlGaN層(1000nm)を成長させた。第一、および第二のn型AlGaN層はいずれも組成傾斜層であって、第一のn型AlGaN層では、AlN層と接する側からAl組成が1.0から0.75に減じ、第二のn型AlGaN層では、第一のn型AlGaN層と接する側から、Al組成が0.75から0.70に減じている。また、n型AlGaN層におけるSi濃度は1×1019cm-3になるように制御した。
次いで、n型Al0.6Ga0.4N(7nm)からなる障壁層と、Al0.5Ga0.5N(4nm)からなる井戸層とからなる、3重量子井戸層を成長させた。障壁層のSi濃度は1×1018cm-3になるように制御した。
次いで、AlN(10nm)からなる電子ブロック層14を成長させた。障壁層と接する側の電子ブロック層はアンドープ層14A(2nm)とし、残りの電子ブロック層14Bには4±1×1019cm-3のMgがドーピングされている。
次いで、p型AlGaN層15(60nm)を成長させた。p型AlGaN層15は電子ブロック層と接する側からAl組成が1.0から0.8に減じる組成傾斜層である。p型AlGaN層15のMg濃度は、2×1.0×1019cm-3~1.0×1020cm-3の範囲で変化させた数種類のウエハを作製した。
次いで、p型GaN層16(270nm)を成長し、深紫外LED素子層の成長を完成させた。p型GaN層中のMg濃度は5×1019cm-3とした。
次いで、ICPドライエッチングにより、第二のn型AlGaN層が露出するまでエッチングした後、Ti/Auからなるn型電極を形成し、窒素雰囲気中、900℃の条件で熱処理を行った。次いで、p型GaN層上にNi/Auからなるp電極を形成し、酸素雰囲気中、500℃の条件で熱処理を行った。
次いで、HVPE法AlN厚保膜が露出するまでAlN基板の裏面(紫外LED素子層とは反対側)を機械研磨して、紫外LEDを完成させた。次いで、ダイシングによって0.75mm×0.95mmのチップ形状に切断した後、セラミックサブマウント上へフリップチップボンディングして紫外LED素子を完成させ、スペクトル及び特性評価を行った。
図3Aは、作製したウエハのスペーサ層13S及びp型AlGaN層15のMg濃度及びそれらのウエハから得られたLEDの素子特性を示す表である。なお、以下においては、べき乗、例えば1.0×1019を1.0E19のように表記する場合がある。
なお、図中の各欄の上段及び下段には、ウエハの成長温度の違いに応じた素子特性を区分けして示している。具体的には、上段には、p型AlN層14及びp型AlGaN層15の成長温度がそれぞれ1115℃及び1090℃の場合(成長温度条件:GT1)、下段には、成長温度条件GT1よりも僅かに(20℃)温度が低い、それぞれ1095℃及び1070℃の場合(成長温度条件:GT2)の素子特性を示している。
また、各欄には、各ウエハから得られた素子のうち最大のEQE(外部量子効率)と、当該最大EQEが得られた素子のS/M比を括弧内に示している。
図3Bは、図3Aの上段に示す各ウエハから得られた素子の最大のEQE(外部量子効率)をスペーサ層13Sの濃度を横軸としプロットしたグラフである。
[素子評価(発光スペクトル)]
図4は、本発明の1実施態様による紫外LED素子10(実施例:EMB)及び比較例(CMP)の紫外LEDの発光スペクトルの一例を示す図である。なお、駆動電流密度Jが20mA/mm2における発光スペクトルを示している。
実施例(EMB)の発光スペクトルには活性層13からの発光ピークであり、強度がMのメインピークMAINと、強度がSのサブピークSUBが観測された。以下、説明及び理解の容易さのため、強度とピークとに同符号を用い、メインピークM又はサブピークSとも表記する。
サブピークSはメインピークMから約30nm長波側に観測された。一方、比較例(CMP)の発光スペクトルには明確なサブピークSは観測されなかった。
実施例(EMB)の発光スペクトルにおいて観測されたサブピークSは、その波長からp型の不純物準位を介した発光、すなわちMgに由来する発光と解される。また、電流密度が大きくなると活性層での発光が支配的になり、当該Mg由来の発光は小さくなるため、メインピークの発光強度Mに対するサブピークの発光強度Sの比(以下、S/M比と称する。)は小さくなる。
従って、検出感度の点から低い電流密度におけるS/M比を評価の基準とした。具体的には、駆動電流密度Jが20mA/mm2におけるS/M比(%)を評価の基準とした。
[素子評価(発光特性及びS/M比)]
図5は、スペーサ層13SのMg濃度が2.0E18cm-3で、p型AlGaN層15のMg濃度が4.0E19cm-3のウエハ(実施例1:EX1)と、スペーサ層13SのMg濃度が1.0E18cm-3で、p型AlGaN層15のMg濃度が1.0E20cm-3のウエハ(実施例2:EX2)とから得られた紫外LED10の発光効率(EQE:外部量子効率)及びS/M比(%)をプロットしたグラフである。
実施例1及び実施例2のウエハ(EX1、EX2)のいずれにおいても、S/M比の増大に伴って発光効率が増加している。
実施例1(EX1)の場合では、S/M比が4.0%で発光効率(EQE)が最大値3.4%を示し、その後S/M比の増大に伴い、発光効率は緩やかに減少している。
実施例2(EX2)の場合では、S/M比が10.9%で発光効率(EQE)が最大値2.8%を示し、その後S/M比の増大に伴い、発光効率は減少している。
実施例1及び実施例2(EX1、EX2)の結果を参照すると、S/M比が3~15%において、サブピークが見られない場合に比べて高い発光効率が得られることがわかる。また、実施例1(EX1)の結果を参照すると、S/M比が3~6%において、極めて高い発光効率が得られることがわかる。
再度、図3A及び図3Bを参照すると、上記したスペーサ層13S及びp型AlGaN層15のMg濃度が異なる各ウエハのLED素子10について、発光効率(EQE)の最大値EQEmax(%)及びS/M比(%)が示されている。
これらの結果から、スペーサ層13SのMg濃度は、5.0E17~5.0E18cm-3の範囲内であり、p型AlGaN層15のMg濃度は、2.0E19cm-3~1.0E20cm-3の範囲内であれば、高い発光効率(EQE)が得られることが分かる。
特に、スペーサ層13SのMg濃度が、7.0E17~3.0E18cm-3の範囲内であり、p型AlGaN層15のMg濃度は、2.0E19cm-3~5.0E19cm-3の範囲内であることが好ましい。
[S/M比と発光特性の関係]
発光強度に関し、例えば特許文献1には、活性層における非発光遷移の増加は、サブピーク強度の増加によること、およびサブピーク強度の増加にともなって主ピーク発光強度が低下し、その結果、外部量子効率が低下することが記載されている。
また、量子井戸層とEBL層(AlN層)との間の層であるスペーサ層のMg濃度の低下に伴ってサブピーク強度が低下することが示されており、スペーサ層中のMg濃度の好ましい範囲が1E17cm-3以下であることが記載されている。
ところで、LED半導体層の発光効率(内部量子効率)は、下記の式で決定される。なお、上述したEQE(外部量子効率)は、内部量子効率とLED半導体層からの光取り出し効率の積で現される。
内部量子効率 = 活性層における再結合確率 × 活性層へのキャリア注入効率
上記したように、従来の構造では活性層近傍のp層のMg濃度が高くなると発光効率が低下することが知られていた。これは、Mg不純物準位が物理的に活性層に近くなるため、キャリアがMg不純物準位間を介した遷移過程で消費されて活性層に注入されるキャリアが減少するためであると解されていた。
本願の発明者らは、紫外LEDの発光効率を向上させるべく、p-AlN層14及びp-AlGaN層15の構造と成長条件(Mg供給流量、成長温度)、及び、これらの成長条件の結果を反映して決定されるスペーサ層13SのMg濃度の検証を行った。
具体的には、p-AlN層14やp-AlGaN層15のMg濃度について検討を行った結果、サブピーク強度を単純に低下させただけでは発光効率を十分に高めることが困難であり、サブピーク強度の低下に伴って発光効率も低下する傾向があることが分かった。
そして、p-AlN層14およびp-AlGaN層15の構造、特にp-AlN層14の層厚、及びp型AlGaN層15のMg濃度と、スペーサ層13Sの拡散ドープ濃度との関係に着目し、紫外LEDの発光効率を向上させることについて知見を得た。
(スペーサ層のMg濃度)
図6は、本発明の実施例(EMB)のLED素子10及び比較例(CMP)のLED素子のSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)測定の結果の一例を示している。具体的には、LEDの深さ方向(横軸)に対するMg濃度を示している。また、SIMSプロファイルの上欄には半導体層の各層の位置を示している。なお、横軸の深さは、上述の通り、各層の膜厚を正確に反映できないため、Al0.65Ga0.35N標準試料のエッチング深さを示している。
実施例(EMB)のLED素子10のプロファイル(実線)を参照すると、スペーサ層13S中にMgが拡散しているのが分かる。一方、比較例(CMP)のLED素子のプロファイル(破線)を参照すると、スペーサ層13SにおいてMg濃度は急峻に低下し、Mgの拡散が少ないことが分かる。
より詳細には、p-AlN層14およびp-AlGaN層15が同一の層厚を有し、成長温度及びMg濃度を変化させたLED素子を作製した。そして、これらのLED素子についてp-AlN層14のMg濃度のピーク位置から活性層13側に20nmの位置(評価位置)におけるMg濃度を測定した。また、これらのLED素子の発光効率を測定し、当該評価位置におけるMg濃度との相関関係を調べた。
その結果、スペーサ層13SのMg濃度と発光効率に相関があることがわかった。具体的には、スペーサ層13Sの当該評価位置におけるMg濃度が5.0E17~5.0E18cm-3で高い発光効率が得られ、さらに、7.0E17~3.0E18cm-3でより高い発光効率が得られた。一方、Mg濃度が8.0E16cm-3では、S/M比は1%以下であり、高い発光効率は得られなかった。また、Mg濃度が7.0E18cm-3では、S/Mが80%以上となり、高い発光効率は得られなかった。
つまり、スペーサ層13中に拡散しているMg濃度が少なくとも7.0E17cm-3以上で高い発光効率が得られ、さらに、少なくとも1.0E18cm-3以上でより高い発光効率が得られた。
また、p-AlN層14の層厚が10nm以下とし、p-AlN層14中のMg流量を増やし、成長温度を上げることで発光効率が向上することが分かった。
(発光効率とS/M比の関係)
上記のLED素子のスペーサ層13中のMg濃度及び発光効率の評価結果と、図5のS/M比及び発光効率の評価結果に示したように、スペーサ層13へのMgの拡散と発光スペクトル中にサブピークが見られることとは等価と考えられる。
換言すると、スペーサ層13にMgが拡散した結果、発光スペクトル中にサブピークが発現し、一定範囲のMgの拡散、すなわち一定強度のサブピークが発現する場合に高い発光効率が得られることが分かった。これは、活性層13の近くのスペーサ層13のMg濃度が高くなることで、活性層13へのキャリア注入効率が高くなったためだと考えられる。
図7は、本発明の実施例(EMB1,EMB2)及びスペーサ層のMg濃度が低い比較例(CMP)における、S/M比と発光効率又はキャリア注入量との関係を説明するための概念図である。
上記したように、p-AlN層14及びp-AlGaN層15のMg濃度の検討において、S/M比と発光効率の関係性から、発光効率を高める上で、最適なS/M比の範囲があることが分かった。
これから、発光遷移量とキャリア注入量とにはトレードオフの関係があることが推測された。まず、サブピーク強度の増大はキャリアの消費(活性層でのメインピークの発光遷移の減少)を意味するから、S/M比の増加に従い発光遷移量は減少する(実線)。一方、S/M比の増加(スペーサ層13へのMgの拡散)によってキャリア注入量は増大する(EMB1,EMB2:一点鎖線,及びCMP:破線)。
発光効率は、発光遷移確率とキャリア注入効率との積であるため、S/M比には最適値(発光遷移確率とキャリア注入効率との交点)がある。また、実施例EMB1よりもMg流量及び成長温度を増加させた実施例EMB2の場合では、S/M比はより低い最適値をもつ。一方、比較例(CMP)の場合では、スペーサ層のMg濃度が低く、キャリア注入量が小さいため、サブピーク強度の低下に伴って発光効率は向上するが、発光効率は実施例(EMB1,EMB2)の場合よりも小さい。
上記したように、スペーサ層13S、p-AlN層14、及びp-AlGaN層15のMg濃度の検討によって、S/M比と発光効率の関係性から、S/M比が3~15%において発光効率が最大となることが分かった。また、S/M比が3~6%において、さらに高い発光効率が得られることが分かった。
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、活性層へのキャリア注入効率が高く高効率かつ高出力な紫外半導体発光素子を提供することができる。
10:紫外半導体発光素子、11:基板、12:n型AlGaN層、12A:第1のn型AlX1Ga1-X1N層、12B:第2のn型AlX2Ga1-X2N層、13:活性層、13Q:量子井戸構造層、13S:スペーサ層、14:p型AlY1Ga1-Y1N層、15:p型AlY2Ga1-Y2N層、16:p型GaN層

Claims (7)

  1. 単結晶AlNからなる基板と、
    前記基板上に、n型AlGaN層、活性層、Mg(マグネシウム)ドープのp型AlY1Ga1-Y1N層(0.5≦Y1≦1.0)及びMgドープのp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、
    前記活性層の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にあり、
    前記活性層への電流印加によって発光スペクトルにメインピーク及びMg由来のサブピークを呈し、駆動電流密度20mA/mm2における前記サブピークの強度(S)の前記メインピークの強度(M)に対するピーク強度(S/M)が3~15%である、紫外半導体発光素子。
  2. 前記p型AlY1Ga1-Y1N層のMg濃度は3.0×1019cm-3~5.0×1019cm-3の範囲内であり、前記p型AlY2Ga1-Y2N層のMg濃度は2.0×1019cm-3~1.0×1020cm-3の範囲内である、請求項1に記載の紫外半導体発光素子。
  3. 前記p型AlY2Ga1-Y2N層のMg濃度は2.0×1019cm-3~5.0×1019cm-3の範囲内である、請求項1に記載の紫外半導体発光素子。
  4. 前記p型AlY1Ga1-Y1N層の層厚は4~10nmの範囲内である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  5. 前記p型AlY1Ga1-Y1N層はp型AlN層である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  6. 前記サブピークの強度(S)の前記メインピークの強度(M)に対するピーク強度(S/M)が3~6%である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  7. 単結晶AlNからなる基板と、
    前記基板上に、n型AlGaN層、活性層、Mg(マグネシウム)ドープのp型AlY1Ga1-Y1N層(0.5≦Y1≦1.0)及びMgドープのp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、
    前記活性層の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にあり、
    前記p型AlY1Ga1-Y1N層のMg濃度は3.0×1019cm-3~5.0×1019cm-3の範囲内であり、前記p型AlY2Ga1-Y2N層のMg濃度は2.0×1019cm-3~1.0×1020cm-3の範囲内であり、
    前記p型AlY1Ga1-Y1N層の層厚は4~10nmの範囲内である、紫外半導体発光素子。
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