JP2022167231A - 紫外半導体発光素子 - Google Patents

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Toshiyuki Obata
亨 木下
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Abstract

【課題】高効率かつ高出力で、劣化が小さく優れた素子寿命を有する紫外半導体発光素子を提供することを目的とする。【解決手段】n型AlGaN層12、活性層13、AlY1Ga1-Y1N層(0.5≦Y1≦1.0)層14及びp型AlY2Ga1-Y2N(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)層15がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、p型AlY2Ga1-Y2N層15はアクセプタとなるp型不純物とドナーとなるn型不純物とがコドープされ、n型不純物の濃度(Nd)のp型不純物の濃度(Na)に対する濃度比(Nd/Na)が、0.009≦(Nd/Na)<0.185を満たし、AlY1Ga1-Y1N層は、n型不純物を含まないか、又はn型不純物の濃度がp型AlY2Ga1-Y2N層15のn型不純物の濃度未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、紫外半導体発光素子、特に紫外光を放出する窒化物半導体発光素子に関する。
近年、細菌やウイルスの不活化作用及び殺菌効果を有する光源として深紫外領域を発光波長帯域とする半導体発光素子が注目されている。
例えば、特許文献1には、電子ブロック層上のp型半導体層が組成傾斜層であるAlGaN系の半導体発光素子が開示されている。
また、特許文献2及び3には、電子ブロック層にSi及びMgをドープした3族窒化物半導体発光素子が開示されている。
特開2019-160974号公報 特開2020-057783号公報 特開2019-083221号公報
従来の紫外半導体発光素子においては、高効率かつ高出力のみならず高信頼性の素子を実現することが困難であった。特に、高い光出力を得るために大きな電流で駆動した場合、早期に素子の劣化が進行するという問題があった。すなわち、高出力特性と高信頼性(長寿命)を両立することは困難であった。
本願の発明者は、高効率及び高出力な素子ほど通電後の出力低下が大きく、素子寿命が低下するというトレードオフ関係及び劣化のメカニズムについての知見を得た。本願発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、高効率かつ高出力で、劣化が小さく優れた素子寿命を有する紫外半導体発光素子を提供することを目的とする。
本発明の1実施態様による紫外半導体発光素子は、
n型AlGaN層、活性層、AlY1Ga1-Y1N層(0.8≦Y1≦1.0)及びp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、
前記p型AlY2Ga1-Y2N層はアクセプタとなるp型不純物とドナーとなるn型不純物とがコドープされ、前記n型不純物の濃度(Nd)の前記p型不純物の濃度(Na)に対する濃度比(Nd/Na)が、0.009≦(Nd/Na)<0.185を満たし、
前記AlY1Ga1-Y1N層は、前記n型不純物を含まないか、又は前記n型不純物の濃度が前記p型AlY2Ga1-Y2N層の前記n型不純物の濃度未満である。
本発明の1実施態様による紫外半導体発光素子10の構造を模式的に示す断面図である。 紫外LED10のバンドダイアグラムを模式的に示す図である。 p型AlY2Ga1-Y2N層15のMg濃度が異なる2種類のウェハから得られた紫外LED10の特性を纏めて示した表である。 p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi濃度と、通電開始初期の発光効率(任意単位)との関係をプロットしたグラフである。 p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi/Mg比(Si濃度/Mg濃度)と、通電開始初期の発光効率(任意単位)との関係をプロットしたグラフである。 p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi濃度に対する、初期から100時間経過後の出力維持率(@100h)を示すグラフである。 p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi/Mg比(Si濃度/Mg濃度)と、出力維持率を示すグラフである。 構造1、2(EX1、EX2)及び比較例1、2(CM1、CM2)から得られた素子の、通電開始初期の光出力(任意単位)に対する出力維持率(@100h)を示すグラフである。
以下においては、本発明の好適な実施例について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[紫外半導体発光素子の構造]
図1は、本発明の1実施態様による紫外半導体発光素子10の構造を模式的に示す断面図である。紫外半導体発光素子10は、紫外発光ダイオード(以下、紫外LED10と称する)であり、基板11上に、順次、n型AlGaN層12、活性層13、AlGaN層14、p型AlGaN層15及びp型GaN層16がエピタキシャル成長によって積層されて形成されている。
図2には、紫外LED10のバンドダイアグラムが模式的に示されている。図1及び図2を参照してより詳細に説明する。
基板11は、活性層中の転位密度が低くなるような転位密度の低い基板が好ましいが、特に限定されない。活性層中の転位密度を10cm-2以下、好ましくは10cm-2以下に下げられるような材料が好ましく、例えば特許文献1に記載されているようなサファイア基板上にAlN膜が積層されたAlNテンプレート基板や特許文献2に記載されている単結晶AlN基板を用いることができる。
AlNテンプレート基板を使用する場合は、AlN層の最表面の転位密度が10cm-2以下、さらに好ましくは10cm-2以下の物を選択することが好ましい。当該テンプレート基板におけるAlN層の成長方法は、上述の転位密度を満たしていれば特に限定されるものではなく、有機金属気相成長(MOCVD)法、ハイドライド気相成長(HVPE)法、スパッタリングなどの物理蒸着法を採用することができる。
またテンプレート基板表面粗さが大きいと、基板上に成長するAlGaN層での異常成長などの要因となるため、表面粗さ(RMS)は1.0nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5nm以下である。また、この表面粗さを得るために、または成長後に表面に形成されたダメージ層を取り除くために、テンプレート基板の表面は化学機械研磨(CMP)などの公知の研磨手法で研磨してあってもよい。また、AlNテンプレート基板上には、n型AlGaN層との歪を干渉するための超格子層をさらに設けることもできる。
また、活性層中の転位密度を低減する観点からは、単結晶AlN基板を基板11として用いる方が好ましい。単結晶AlN基板の転位密度は、10cm-2以下であることが好ましく、さらに好ましくは10cm-2以下、最も好ましくは10cm-2以下である。より転位密度の低い、10cm-2以下、さらには10cm-2のAlN基板を用いることで、転位による活性層での発光効率の低減を防ぐことができ、さらには、紫外発光素子の通電時に発生する転位を介した不純物の拡散や、リーク電流の増加などの不具合も防ぐことができる。
また、単結晶AlN基板11の表面粗さ(RMS)は、上述のAlNテンプレート基板と同様の理由により、1.0nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5nm以下である。当然のことながら、AlN基板においても、表面は化学機械研磨(CMP)などの公知の研磨手法で研磨してあってもよい。
また、活性層から放射される紫外光に対する基板の吸収係数が大きいと、外部へ取り出せる紫外光の総量が減少して発光効率の低下を招く懸念がある。そのため、AlN基板およびAlNテンプレートのAlN層の吸収係数は、好ましくは20cm-1以下であり、さらに好ましくは10cm-1以下である。10cm-1以下にすることで、例えばAlN基板11の板厚が100μmであっても、90%以上の直線透過率を確保することができる。
n型AlGaN層12は、Si(シリコン)ドープされたn型導電層である。n型AlGaN層のAl組成は、所望とする紫外光の発光波長に対して十分な透過性が得られるように適宜決定することができる。紫外半導体発光素子において、発光層から放出された紫外光は、n型AlGaN層12と基板11を透過して外部に放出される。また、n型AlGaN層のAl組成が大きくなるにつれて、n型AlGaN層のバンドギャップは大きくなり、それに応じて、より短波長の紫外光を透過することができるようになるためである。
また、n型AlGaN層12は、Al組成の異なる複数の層から形成されていてもよく、さらに、積層方向にAl組成が傾斜する組成傾斜層とすることもできる。例えば、第1のn型AlX1Ga1-X1N層12A及び第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bからなる。第1のn型AlX1Ga1-X1N層12Aは、積層方向にAl組成X1が1.0から0.75に減じる組成傾斜層であり、第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bは、Al組成X2が0.75から0.70に減じる組成傾斜層とすることができる。
また、n型AlGaN層12の膜厚は、特に限定されるものではなく適宜決定される。基板11に単結晶AlN基板を用いる場合は、n型AlGaN層12の膜厚は、0.5μm以上2μm以下とすることが好ましい。n型AlGaN層の抵抗値を下げる観点からは、n型AlGaN層の膜厚が厚い方が好ましいが、基板11にAlN基板を用いる場合は、n型AlGaN層の膜厚が厚くなりすぎると、n型AlGaN層が格子緩和を起こして転位が発生しやすくなるためである。
例えば、n型AlGaN層12を上記した第1のn型AlX1Ga1-X1N層12A及び第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bからなる積層構造として形成した場合は、第1のn型AlX1Ga1-X1N層12Aは200nmの層厚を有し、第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bは1000nmの層厚とすることができる。また、これら第1のn型AlX1Ga1-X1N層12A及び第2のn型AlX2Ga1-X2N層12Bの膜厚は例示した数字に限定されるものではなく、総膜厚が2.0μm以下になるように適宜決定することができる。
一方、AlNテンプレート基板を使用する場合には、n型AlGaN層12の膜厚は、1.5μm以上10μm以下であることが好ましい。n型AlGaN層12の膜厚が厚くなることによって、抵抗値の低減に加えて、転位が減少する効果も期待できるため、1.5μm以上であることが好ましいと考えられるためである。また、AlNテンプレート基板を用いる場合のn型AlGaN層12の膜厚の上限は、製造時間などの工業的な観点を考慮すると10.0μm程度が好ましいと考えられるためである。
また、n型AlGaN層12にドーピングするSi濃度は、所望のn型導電性が得られるように適宜決定すればよいが、n型AlGaN層12の抵抗値を下げる観点からは、1×1018~1×1020cm-3であることが好ましく、更には5×1018~5×1019cm-3であることが好ましい。またSiドーピング濃度は、n型AlGaN層内の膜厚方向で一定であってもいいし、膜厚方向でSi濃度の異なる変調ドーピングにすることもできる。
なお、Si濃度、および後述するMg濃度は、公知のSecondary Ion Mass Spectrometry(SIMS)分析により測定することができる。また、本願におけるSi濃度、およびMg濃度の測定値は、AlN層、AlGaN層、GaN層について、それぞれAlN、Al0.65Ga0.35N、GaNの標準試料を用いた定量値を採用している。
活性層(ACT)13は、AlA1Ga1-A1N層からなる障壁層とAlA2Ga1-A2N層からなる井戸層で構成される量子井戸構造である。活性層13の発光ピーク波長は210~300nmの範囲内にある。活性層13から放出される光の波長は井戸層のAl組成と膜厚によって決まるため、Al組成と膜厚は、上記の波長範囲において所望の発光波長が得られるように適宜決定すすることができる。
例えば、井戸層の膜厚は2~10nmの範囲で設定し、所望の発光波長が得られるようにAl組成を決定することができる。また、障壁層のAl組成と膜厚についても、特に限定されるものではないが、例えば、Al組成はA2<A1≦1.0、膜厚は2~15nmの範囲内で設定することができる。
また、井戸層や障壁層は、Siがドープされたn型層とすることもできる。井戸層と障壁層ともにSiドーピング層であってもよいし、井戸層のみ、もしくは障壁層のみにSiがドーピングされた構造であってもよい。ドーピングされるSi濃度は、特に限定されるものではないが、1×1017~5×1018cm-3の範囲が好ましい。
また、量子井戸の層数も特に限定されるものではなく、複数の井戸層が形成された多重量子井戸(MQW:Multi Quantum Well)構造であってもいいし、単一量子井戸(SQW:Single Quantum Well)であってもよい。井戸層の数は、1~5の範囲で適宜決定することが好ましい。
AlY1Ga1-Y1N層14は、活性層13上に隣接して設けられた層である。AlY1Ga1-Y1N層14は、活性層13に注入された電子がp型AlY2Ga1-Y2N層15へオーバーフローすることを抑制するための電子ブロック層(EBL:Electron Blocking Layer)として機能する。そのため、AlY1Ga1-Y1N層14は、活性層13、および後述するp型AlY2Ga1-Y2N層15よりも大きなバンドギャップを有し、AlY1Ga1-Y1N層14のAl組成Y1は0.8<Y1≦1.0の範囲で決定される。
発光波長の短波長化に伴って、基板11上にエピタキシャル成長するAlGaN層のAl組成は高くなり、発光波長が270nmよりも短い場合では、電子ブロック層としての機能を十分に発現させるため、Al組成Y1は0.9≦Y1≦1.0であることが好ましい。なお本実施例においては、AlY1Ga1-Y1N層14としてAlN(Y1=1)を用いている。
また、AlY1Ga1-Y1N層14は、電子ブロック層としての機能を発現できる限りは、アンドープ層であってもよく、またはp型ドーパントがドーピングされていてもよい。AlY1Ga1-Y1N層14におけるp型のドーパント材料としてはMg(マグネシウム)、Zn(亜鉛),Be(ベリリウム)、C(炭素)等を用いることができる。特に、AlGaN層のp型ドーパント材料として一般的に用いられているMgを用いることが好ましく、後述する本発明の実施例においてもMgを用いている。
p型ドーパント材料は、AlY1Ga1-Y1N層14の積層方向において、一様にドーピングされていてもよいし、積層方向でドーパント材料の濃度を変えることもできる。例えば、活性層と接する側から、アンドープのAlN層14A(Y1=1)及びMg(マグネシウム)ドープされたp型AlN層14Bからなる積層構造などとすることもできる。
AlY1Ga1-Y1N層14におけるp型ドーパント濃度は、特に限定されるものではないが、電子ブロック層としての機能を得るためには、5×1018~1×1020cm-3であることが好ましく、発光層へのキャリアの注入効率を高められるという観点から、1×1019~8×1019cm-3であることが特に好ましい。
本発明のAlY1Ga1-Y1N層14は、n型ドーパントを含まないか、もしくは後述するp型AlY2Ga1-Y2N層15に含まれるn型ドーパント未満の濃度でn型ドーパントを含むことができる。具体的には、AlY1Ga1-Y1N層14中のn型の不純物濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましい。本発明者らの知見によれば、p型AlY2Ga1-Y2N層15の成長中には、隣接するAlY1Ga1-Y1N層14との間でドーパントの拡散が起こることが分かっている。そのため、AlY1Ga1-Y1N層14中のn型ドーパント濃度が、p型AlY2Ga1-Y2N層15のそれよりも高い場合、AlY1Ga1-Y1N層14中からp型AlY2Ga1-Y2N層15へn型ドーパントが拡散し、p型AlY2Ga1-Y2N層15中のn型ドーパント濃度の精密な制御が困難になる場合がある。この拡散によるp型AlY2Ga1-Y2N層15中のn型ドーパントの濃度変化を防ぐためには、少なくとも、AlY1Ga1-Y1N層14中のn型ドーパントは、p型AlY2Ga1-Y2N層15に含まれるn型ドーパント以下の濃度未満である必要がある。
また、AlY1Ga1-Y1N層14の膜厚は、電子ブロック層としての機能、およびp型AlY2Ga1-Y2N層15からホールを活性層に効率よく注入できるように適宜決定すればよいが、1~30nmの範囲が好ましい。膜厚が1nmを下回ると電子がトンネリングしてしまうため電子ブロック層としての機能が低下し、一方で膜厚が30nmを上回ると、p型AlY2Ga1-Y2N層15からホールが活性層に注入されにくくなる。これらを勘案すると、AlY1Ga1-Y1N層14の膜厚は2~20nmであることが好ましく、さらに好ましくは5~15nmである。
また、上述したように、AlY1Ga1-Y1N層14中にドーピングされるMgは積層方向で濃度差を設けることもできる。例えば、活性層13に接する側にアンドープのAlN層14Aを1~5nmの層厚で積層し、さらにMgドープのp型AlN層14Bを5~15nm積層した構造とすることもできる。この際のMgドーピング濃度は、上述と同様に、5×1018~1×1020cm-3であることが好ましく、1×1019~8×1019cm-3であることが特に好ましい。
本発明のp型AlY2Ga1-Y2N層15は、前記AlY1Ga1-Y1N層14上に形成され、p型クラッド層として機能する。p型AlY2Ga1-Y2N層15にはアクセプタとなるp型不純物とドナーとなるn型不純物がコドーピングされている。
p型AlY2Ga1-Y2N層15にドーピングされるp型不純物には、Mg(マグネシウム)、Zn(亜鉛),Be(ベリリウム)、C(炭素)等が使用し得る。中でも、AlGaN半導体のp型ドーパント材料として一般的に用いられているMgを用いることが好ましい。またn型不純物には、Si、Ge(ゲルマニウム)、Se(セレン)、S(硫黄)、O(酸素)等を使用することができる。中でも、n型ドーパント材料として一般的に用いられているSiを用いることが好ましい。
本発明のp型AlY2Ga1-Y2N層15は、p型AlY2Ga1-Y2N層15中のn型不純物濃度(Nd)とp型不純物濃度の比(Nd/Na)が、式(1)を満たす。
0.009≦(Nd/Na)<0.185 ・・・式(1)
さらには、Nd/Naが次式のいずれかを満たすことがさらに好ましい。
0.009≦(Nd/Na)<0.135 ・・・式(2)
0.038≦(Nd/Na)<0.185 ・・・式(3)
Nd/Naが上記式(1)~(3)のいずれかを満たすようにp型AlY2Ga1-Y2N層15にコドープされることにより、高発光効率で、良好な出力維持率(素子寿命)を有する紫外LEDが実現される。
また、p型AlY2Ga1-Y2N層15にドーピングされるp型不純物量は、1×1017~1.2×1020cm-3であることが好ましい。また、J. Applmaru Physmaru, Volmaru 95, No. 8, 15 April (2004)において理論的に示されているように、p型AlY2Ga1-Y2N層15中のp型不純物量に伴って、劣化の要因と考えられる窒素欠陥量も増加すると考えられる。そのため、p型不純物量が1.2×1020cm-3を超える場合、初期に形成される窒素欠陥量が多くなりすぎて、高い出力維持率を得ることが困難になる。
また、p型不純物濃度が低くなると、特にAl組成Y2が一定であるときは、ホール濃度の低下と少数キャリア(電子)移動度増加により、Al組成Y2が傾斜している場合には少数キャリア(電子)移動度増加により、出力が低下して高い発光効率を得ることが困難となる。従って、p型不純物濃度は、このようなトレードオフを勘案して、上記の範囲内で適宜決定することができるが、より高い出力維持率と高出力を得るためには、1×1019~5×1019cm-3であることが好ましく、さらに好ましくは、1×1019~4×1019cm-3である。
p型AlY2Ga1-Y2N層15にドーピングされるn型不純物量は、1.1×1018以上9.0×1018cm-3以下であることが好ましく、さらに好ましくは、1.8×1018以上8.0×1018cm-3以下である。これらn型不純物量において、高い発光効率の発光素子10を得ることができる。
また、p型AlY2Ga1-Y2N層15にドーピングされるp型不純物とn型不純物は、それらの濃度が層内で一定であってもよいし積層方向で濃度差を設けてもよい。例えば、AlY1Ga1-Y1N層14に接する側をコドーピング層として、残りのp型AlY2Ga1-Y2N層15層は、n型不純物をドーピングしない層にすることもできる。
p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2は、0.5以上1.0以下で、かつAlY1Ga1-Y1N層14のAl組成Y1以下である。
p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2は、積層方向でY2が一定の値である構造の場合、活性層の障壁層のAl組成を超え、かつAlY1Ga1-Y1N層14のAl組成Y1以下であることが好ましい。p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2を上記の範囲にすることにより、紫外発光素子の注入電流量が多い場合においても、高いキャリアオーバーフローの抑制効果が得られる。より高い効果を得るためには、活性層の障壁層のAl組成とp型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2の差が、0.5以上であることが好ましい。また、p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2は、n型AlGaN層12のAl組成よりも大きいことが好ましく、これによってp型層へのキャリアオーバーフローの抑制効果が高まり、紫外発光素子の発光効率を高めることができる。以上のことより、p型AlY2Ga1-Y2N層15のAl組成Y2は、積層方向でY2が一定の値である構造の場合は、0.6以上0.9以下であることが好ましい。
また、p型AlY2Ga1-Y2N層15は、Al組成Y2が積層方向で変化する組成傾斜層であってもよい。特に、AlY1Ga1-Y1N層14に接する側から、Al組成Y2が積層方向に小さくなる構造であることが好ましい。これによって、p型AlY2Ga1-Y2N層15内で分極ドーピング効果が得られるため、より高いホール濃度が得られやすくなり、その結果、活性層へのホールの注入効率が高くなる。例えば、発光波長が270nm以下の場合、AlY1Ga1-Y1N層14に接する側のAl組成は0.95~1.0であることが好ましく、反対側のp型AlY2Ga1-Y2N層15の表層におけるAl組成は0.60~0.85であることが好ましい。このような構造を採用することで、上述した分極ドーピング効果を高め、かつ発光波長に対して透明性を維持できるため、高い発光効率が得られやすくなる。
また、p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚は、特に制限されるものではないが、10~150nmの範囲で適宜決定すればよい。p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚が10nm未満になると、上述したキャリアオーバーフローの抑制効果が得られにくくなり、一方で、膜厚が厚くなり、150nmを超える場合、p型AlY2Ga1-Y2N層15の抵抗値が大きくなり、結果として紫外発光素子の動作電圧の上昇を招いてしまう。このような観点から、p型AlY2Ga1-Y2N層15の膜厚は、40~120nmであることが好ましく、特に好ましくは50~100nmである。
p型AlY2Ga1-Y2N層15上には、電極との接触抵抗を下げる目的で、p型ドーパントがドーピングされたp型GaN層16が形成されていてもよい。p型ドーパント材料としては上述した公知のp型ドーパント材料を用いることができるが、同様の理由によりMgを用いることが好ましい。p型GaN層16中のMgドーピング濃度は、特に制限されるものではないが、p型GaN層中の抵抗値を下げ、かつ電極との接触抵抗を下げるためには、1×1018~2×1020cm-3であることが好ましい。また、p型GaN層16の膜厚も特に制限されるものではなく、5~500nmの範囲で適宜決定すればよい。
なお、AlNを基板11として用いる場合は、p型GaN層16を除き、AlGaN層12,13,14,15の全層はAlN基板11と格子接合した状態で結晶成長されているため、AlN基板11と同等の低い転位密度を有している。具体的には、10cm-2以下の転位密度を有している。
なお、紫外半導体発光素子10として、発光ダイオード(LED)である場合について説明したが、半導体レーザ素子(LD:Laser Diode)として構成されていてもよい。
紫外半導体発光素子10として、基板11を備えた半導体発光素子について説明したが、基板11は、用いる基板の性質等に鑑み、必要に応じて除去することもでき、任意に備えることもできる。
紫外半導体発光素子10として、n型AlGaN層12側に基板11を備えた半導体発光素子について説明したが、エピタキシャル成長用に用いられる基板11とは別の支持基板をp型GaN層16側に備えることもできる。この場合、支持基板の材質などは特に制限されるものではなく、多結晶AlN、Si、AlCu、CuWなど、発光素子の支持基板部材として用いられている公知の材料を制限なく用いることができる。
以下では、紫外半導体発光素子10として、半導体積層構造の成長基板としての基板11を備えた半導体発光素子について説明するが、上述の通り、支持基板等の成長基板とは異なる基板11を備えた半導体発光素子とすることもできる。
次に、上記で説明した構造の紫外LEDの製造方法について説明する。本発明の紫外LED10は、MOCVD法、分子線エピタキシー(MBE)法などの公知の結晶成長法によって製造することができる。中でも、生産性が高く、工業的に広く採用されているMOCVD法が好ましい。本発明で使用するIII族(Al、Ga)原料ガス、V族(N)原料ガスには、特に制限なく公知の原料ガスを使用できる。
例えば、III族原料ガスとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム等のガスを使用できる。またV族原料ガスとしては、通常アンモニアが用いられる。
また、Mg、Siのドーパント原料ガスも、公知の材料が制限なく使用でき、例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム、モノシラン、テトラエチルシランなどを使用できる。
以上の原料ガスを、水素/および又は窒素などのキャリアガスと共に基板11上に供給することで紫外LED10の素子層を成長させる。
III族原料ガスとV族原料ガスの供給量比(V/III比)は、所望の特性が得られるように適宜決定すればよいが、500~10000の範囲内で設定することが好ましい。
また、紫外LED10を構成する素子層の成長温度については、特に制限されるものではなく所望とする、各層の特性、および紫外LED10の特性が得られるように適宜決定すればよいが、1000~1200℃で成長することが好ましく、より好ましくは1000~1150℃である。
以下において、発光波長265nmの紫外LEDを作製した実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[素子の作製]
紫外LED素子層を成長する基板にはApplied Physics Express 5 (2012)122101に記載の方法により作製されたAlN単結晶基板を用いた。具体的には、物理気相輸送(PVT)法により作製されたC面AlN種基板とHVPE法で成長したAlN厚膜を備えた積層基板である。このAlN基板の転位密度は10cm-2以下であり、5×5μmの範囲での方面粗さ(RMS)は0.1nmであった。
このAlN基板上に、MOCVD装置によって、AlN層(100nm)、第1のn型AlGaN層12A(200nm)、第2のn型AlGaN層12B(1000nm)を成長させた。第1のn型AlGaN層12A、および第2のn型AlGaN層12Bはいずれも組成傾斜層であって、第1のn型AlGaN層12Aでは、AlN層と接する側からAl組成が1.0から0.75に減じ、第2のn型AlGaN層12Bでは、第1のn型AlGaN層12Aと接する側から、Al組成が0.75から0.70に減じている。また、n型AlGaN層12におけるSi濃度は1×1019cm-3になるように制御した。
次いで、n型Al0.6Ga0.4N(7nm)からなる障壁層と、Al0.5Ga0.5N(4nm)からなる井戸層とからなる、3重量子井戸層からなる活性層13を成長させた。障壁層のSi濃度は1×1018cm-3になるように制御した。
次いで、AlN(10nm)からなる電子ブロック層14を成長させた。障壁層と接する側の電子ブロック層はアンドープ層14A(2nm)とし、残りの電子ブロック層14Bには4×1019cm-3のMgのドーピング層とした。なお、アンドープAlN層14A及びMgドープのp型AlN層14BにはSiはドープされていない。
次いで、p型AlGaN層15(60nm)を成長させた。p型AlGaN層15は電子ブロック層と接する側からAl組成が1.0から0.8に減じる組成傾斜層である。p型AlGaN層15のMg濃度は、1.0×1020cm-3(以下、1.0E20cm-3のように表記する場合がある。)のウェハ(以下、構造1(EX1)と称する。)と、p型AlGaN層15のMg濃度が4.3E19cm-3のウェハ(以下、構造2(EX2)と称する。)と、を作製した。また、各構造において、コドーピングするSi濃度を1×1018~9×1018cm-3の範囲で調整したウェハを複数作製した。
次いで、p型GaN層16(270nm)を成長し、深紫外LED素子層を完成させた。p型GaN層16中のMg濃度は5×1019cm-3とした。
次いで、ICP(誘導結合型プラズマ方式)ドライエッチングにより、第2のn型AlGaN層が露出するまでエッチングした後、Ti層とAu層を積層したn型電極を形成し、窒素雰囲気中、900℃の条件で熱処理を行った。次いで、p型GaN層上にNi層とAu層を積層したp電極を形成し、酸素雰囲気中、500℃の条件で熱処理を行った。
次いで、HVPE法で形成されたAlN厚膜が露出するまで成長基板の裏面(紫外LED素子層とは反対側)を機械研磨して、紫外LEDを完成させた。次いで、ダイシングによって0.75mm×0.95mmのチップ形状に切断した後、セラミックサブマウント上へフリップチップボンディングして紫外LED素子を完成させた。
図3は、p型AlN層14およびp型AlGaN層15中のMg濃度、Si濃度、およびSiとMg濃度の比(Si/Mg)を纏めて示した表である。
また、構造1(EX1)、および構造2(EX2)に対する比較例1、比較例2(以下、CM1、CM2と称する)として、Siをコドーピングしないウェハも合わせて作製した。なお、CM1及びCM2のウェハのp型AlGaN層15のMg濃度は、それぞれ1.0E20cm-3、4.3E19cm-3であり、構造1(EX1)及び構造2(EX2)のウェハと同じである。なお、コドープ無しの比較例の構造においてもSiは取り込まれており、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)測定により、7×1016~1×1017cm-3程度のSiが検出されるが、SIMS分析における検出下限を示しており、実際はより少ない濃度である。つまり、測定された7×1016~1×1017cm-3程度とは、これ以上は含まれていない濃度であることを示している。
[素子の評価]
以上で説明した種々の紫外LED10のMg濃度及びSi濃度及び発光特性を評価した。Mg濃度及びSi濃度については、素子毎にSIMS測定を行って測定した。なお、AlN層、およびAlGaN層の定量には、標準サンプルとして、AlN、Al0.65Ga0.35Nをそれぞれ用いた。
(1)初期の発光効率
図4Aは、p型AlY2Ga1-Y2N層15(以下、p型クラッド層15とも称する)のSi濃度と、通電開始初期の発光効率(任意単位)との関係をプロットしたグラフである。構造1及び構造2のいずれにおいても、Siをコドープすることにより、初期の発光効率は殆ど変化しないか、又は僅かに減少傾向が見られる程度であった。しかし、構造1においては、Si濃度が8E18cm-3まで増加すると、発光効率は急激に減少し、構造2においては、Si濃度が9E18cm-3まで増加すると、発光効率は急激に減少した。
図4Bは、p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi/Mg比(Si濃度/Mg濃度)と、通電開始初期の発光効率(任意単位)との関係をプロットしたグラフである。構造1においては、Si/Mg比が0.135以上となると発光効率が急激に減少し、構造2においてはSi/Mg比が0.185以上となると発光効率が急激に減少した。
すなわち、p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi濃度は、9E18cm-3未満であることが好ましく、さらに8E18cm-3未満であることがより好ましいことがわかった。また、p型AlY2Ga1-Y2N層15のSi/Mg比は0.185未満であることが好ましく、さらに0.135未満であることがより好ましいことがわかった。
(2)出力維持率
図4Cは、p型クラッド層15のSi濃度に対する、初期から100時間経過後の出力維持率(@100h)を示すグラフである。より詳細には、素子への通電開始後から素子への通電100時間(hr)経過後の素子出力の変化の割合である出力維持率をp型クラッド層15のSi濃度に対してプロットしている。なお、素子への通電は、素子に450mAの駆動電流を流す定電流(ACC)駆動モードで行った。
また、図4Dは、p型クラッド層15のSi/Mg比(Si濃度/Mg濃度)と、出力維持率を示すグラフである。構造1(EX1)及び構造2(EX2)のいずれの場合でも、p型クラッド層15のSi濃度及びSi/Mg比の増加に伴って出力維持率は改善傾向を示している。
(構造1:EX1)
Si濃度に関して、図4C及び図3を参照すると、p型クラッド層15のMg濃度が高い構造1(EX1:1.0E20cm-3)の場合では、Si濃度が1.1E18cm-3以上で出力維持率が改善した。また、Si濃度が9.0E18cm-3以下であれば出力低下を起こさなかった。
また、Si/Mg比に関しては、図4D及び図3を参照すると、Si/Mg比が0.009以上で出力維持率が改善した。また、Si/Mg比が0.135未満であれば出力低下を起こさなかった。
(構造2:EX2)
Si濃度に関して、図4C及び図3を参照すると、p型クラッド層15のMg濃度が低い構造2(EX2:4.3E19cm-3)の場合では、Si濃度が1.8E18cm-3以上で出力維持率が改善した。また、Si濃度が8.0E18cm-3以下であれば出力低下を起こさなかった。
また、Si/Mg比に関しては、図4D及び図3を参照すると、Si/Mg比が0.038以上で出力維持率が改善した。また、Si/Mg比が0.185未満であれば出力低下を起こさなかった。
(Si/Mg比)
図4Dに示すように、構造1及び構造2のいずれの場合でも、出力維持率はSi/Mg比の増加に伴って略直線的に増加し、Si/Mg比が出力維持率を左右する支配的な物理パラメータであると考えられる。なお、Si/Mg比は、アンドープ時に形成される窒素欠陥濃度に反比例すると推定される。
具体的には、Si/Mg比が0.009以上、0.038以上、0.064以上で、それぞれ出力維持率が0.7以上、0.8以上、0.9以上が見込まれる。
なお、Siをコドープしない場合(CM1(比較例1)及びCM2(比較例2))においても、Mg濃度が低い比較例2(CM2)の方が高い出力維持率を示している。これは後述するように(図5)、Mg濃度が高い構造1及び比較例1では、劣化の真因と考えられる窒素欠陥濃度の初期値が大きいためだと考えられる。
従って、Si/Mg比が次式を満たすようにp型クラッド層15にコドープされることにより、高発光効率で、良好な出力維持率(素子寿命)を有する紫外LEDが実現される。
0.009≦(Si/Mg)<0.185 ・・・式(1)
また、Si/Mg比が次式のいずれかを満たすことがさらに好ましい。
0.009≦(Si/Mg)<0.135 ・・・式(2)
0.038≦(Si/Mg)<0.185 ・・・式(3)
(初期出力及び出力維持率)
図5は、構造1(EX1)、構造2(EX2)、比較例1(CM1)及び比較例2(CM2)から得られた素子の、通電開始初期の光出力(任意単位)に対する出力維持率(@100h)を示すグラフである。
比較例1及び2(CM1、CM2)の素子においては、信頼性試験において通電開始初期(~100h)の出力維持率が小さく、光出力の低下が大きいことがわかる。また、高効率(すなわち、高出力)なものほど出力低下幅が大きいというトレードオフの関係性があり、高出力かつ高信頼性の素子を作製することが難しい。
一方、本発明の構造1及び2(EX1、EX2)の素子においては、電開始初期(~100h)の出力維持率が大きく、光出力の低下が抑制されていることがわかる。また、p型クラッド層15のMg濃度が低い構造2(EX2)の方が構造1(EX1)よりも出力維持率が大きい。
出力維持率(@100h)については、長時間寿命(1000h)との相関関係があることを確認した。従って、構造1及び2(EX1、EX2)の素子が長時間寿命の点においても優れていることが確認され、本発明によれば、高効率、高出力) かつ高信頼性の素子を実現することができる。
[劣化要因の推定]
紫外LEDにおける出力低下要因として、一般的には、活性層の劣化、すなわち活性層での点欠陥の増加によって再結合確率(発光遷移確率)が低下するためである、と報告されている。
本発明者らは、上述の知見と、本発明を完成させる過程で実施した検証実験の結果より、紫外LEDの劣化機構を以下のように推定するに至った。すなわち、p型AlY2Ga1-Y2N層15にドナーであるSiをドーピングすることで、p型AlY2Ga1-Y2N層15中の窒素欠陥は減少すると推定される。その結果、活性層へ拡散する窒素欠陥量が減少することで、活性層の劣化が抑制され、高い出力維持率が得られたものと推定している。
(コドープ不純物)
上記した実施形態においては、p型クラッド層であるp型AlY2Ga1-Y2N層15のp型不純物としてMgが、コドープ不純物としてSiが用いられた場合について説明したが、これに限定されない。
上記したように、本願発明のメカニズムは、p型AlY2Ga1-Y2N層15へドーピングしたアクセプタ不純物であるMgと、ドナー不純物であるSiの相互作用によって窒素欠陥の低減効果が発現したと考えられる。そのため、p型AlY2Ga1-Y2N層15に対してアクセプタ、およびドナーとして機能する材料であれば制限なく使用できる。
具体的には、アクセプタとなるp型不純物としてMg以外に、Zn(亜鉛),Be(ベリリウム)、C(炭素)等を使用し得る。また、ドナーとなるn型不純物(コドープ不純物)としてSi以外にGe(ゲルマニウム)、Se(セレン)、S(硫黄)、O(酸素)等を使用し得る。
従って、一般に、p型AlY2Ga1-Y2N層15のp型不純物濃度をNa、n型不純物濃度をNdとしたとき、Nd/Naが次式を満たすことが好ましい。
0.009≦(Nd/Na)<0.185 ・・・式(4)
また、Nd/Naが次式のいずれかを満たすことがさらに好ましい。
0.009≦(Nd/Na)<0.135 ・・・式(5)
0.038≦(Nd/Na)<0.185 ・・・式(6)
従って、Nd/Naが上記式を満たすようにp型クラッド層15にコドープされることにより、高発光効率で、良好な出力維持率(素子寿命)を有する紫外LEDが実現される。
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、高効率かつ高出力で、劣化が小さく優れた素子寿命を有する紫外LEDを提供することができる。
10:紫外半導体発光素子、11:基板、12:n型AlGaN層、12A:第1のn型AlX1Ga1-X1N層、12B:第2のn型AlX2Ga1-X2N層、13:活性層、14:AlY1Ga1-Y1N層、14A:AlN層、14B:p型AlN層、15:p型AlGaN層、16:p型GaN層

Claims (9)

  1. n型AlGaN層、活性層、AlY1Ga1-Y1N層(0.8≦Y1≦1.0)及びp型AlY2Ga1-Y2N層(0.5≦Y2≦1.0,Y2≦Y1)がこの順でエピタキシャル成長された半導体構造層、を含み、
    前記p型AlY2Ga1-Y2N層はアクセプタとなるp型不純物とドナーとなるn型不純物とがコドープされ、前記n型不純物の濃度(Nd)の前記p型不純物の濃度(Na)に対する濃度比(Nd/Na)が、0.009≦(Nd/Na)<0.185を満たし、
    前記AlY1Ga1-Y1N層は、前記n型不純物を含まないか、又は前記n型不純物の濃度が前記p型AlY2Ga1-Y2N層の前記n型不純物の濃度未満である、紫外半導体発光素子。
  2. 前記p型不純物はMg(マグネシウム)であり、前記n型不純物はSi(シリコン)である、請求項1に記載の紫外半導体発光素子。
  3. 前記n型不純物の濃度の前記p型不純物の濃度に対する濃度比であるSi/Mgが、0.009≦(Si/Mg)<0.135を満たす、請求項2に記載の紫外半導体発光素子。
  4. 前記濃度比が、0.038≦(Si/Mg)<0.185を満たす、請求項2に記載の紫外半導体発光素子。
  5. 前記AlY1Ga1-Y1N層は不純物としてMgを含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  6. 前記p型AlY2Ga1-Y2N層は、前記AlY1Ga1-Y1N層から離れるに従いAl組成が小さくなる組成傾斜層である、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  7. 前記AlY1Ga1-Y1N層は、前記活性層上に形成されたアンドープ層と、前記アンドープ層上に形成されたMgドープ層とを含む、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  8. 前記AlY1Ga1-Y1N層はAlN層である、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
  9. 前記半導体構造層は、基板上に形成され、
    前記基板は単結晶AlN基板である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の紫外半導体発光素子。
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